ソーシャルレンディングの利回りは高い?株式や債券などと比較

金綱 恭平

監修者:金綱 恭平

保険代理店勤務
・FP(ファイナンシャルプランナー)2級資格保有・自動車保険ディーラー特級保有
・保険をかけすぎている、必要以上に保険をかけている人を少しでも減らしたい。という想いから自身でもブログ運営を行う。

ソーシャルレンディングを投資の対象として検討している人にとって、ソーシャルレンディングの利回りがどのくらいか把握することは大切なことです。

株式や債券投資などと比較する利回りは高いのか低いのか、ソーシャルレンディング業者ごとの利回りはどの程度なのかといったことが気になっていることでしょう。

結論からいえば、ソーシャルレンディングの想定利回りはおおよそ4.50%前後が一般的です。株式投資との比較は難しいですが、債券投資と比べるとソーシャルレンディングのほうが一般的に利回りは高いと言え、ハイリスク・ハイリターンです。

本記事では、ソーシャルレンディングの利回りがどの程度なのかを紹介したうえで、実利回りが変動する要素、他の資産運用手段と比べた利回りなどを解説します。

多くの投資対象の中で、ソーシャルレンディングがどのような位置づけにあるかわかるため、ぜひ投資をするにあたって参考にしてください。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

目次

ソーシャルレンディングとは?

まず、ソーシャルレンディングとは何かを簡単に解説します。ソーシャルレンディングとは、インターネット上でファンドを通じて会社にお金を貸す仕組みです。

具体的な仕組みはいくつかありますが、バンカーズでは以下のような流れです。

  1. 投資家とバンカーズが匿名組合契約を締結する
  2. 投資家はバンカーズが組成したファンドに出資する
  3. ファンドは借り手企業と金銭消費貸借契約を締結する
  4. 借り手企業からファンドに元本と利息が返済される
  5. ファンドが営業者報酬を控除して投資家に利益を分配する

お金を貸すという点では債券投資と共通していますが、債券を発行している企業よりもリスクが高い点や、運用期間中は値動きがない点、途中売却ができない点などが異なります。

投資型クラウドファンディングサービス「Funds(ファンズ)」

ソーシャルレンディングの利回りとは?

ソーシャルレンディングの利回りは、借り手企業が返済する利息(金利)から営業者報酬(報酬率)を控除して求めることができます。

ソーシャルレンディングの想定利回り=貸付利率-営業者報酬率

仮に、年利5.00%で1,000万円を貸付けるときでも、営業者報酬率(ファンドの手数料)が2.00%であれば投資家利回りは3.00%です。

この投資家利回りは、ファンドによってばらつきはあるものの、一般的に4.50%前後といえるでしょう。なお、高利回りファンドを取扱っているLENDEXは、ソーシャルレンディング業界の平均的な水準は5.00~6.00%と公式サイト上で記載しています。

参考までに、2021年10月5日時点の各ソーシャルレンディング業者における最新ファンドの参考利回りは以下の通りです。

  • クラウドバンク:5.00%
  • SAMURAI FUND:6.50%
  • クラウドクレジット:5.90%
  • OwnersBook:4.60%
  • LENDEX:7.50%
  • 貸付ファンドのFunds:2.50%
  • バンカーズ:3.50%
  • CRE Funding:2.50%
  • AG Croud Funding:1.38%
  • Pocket Funding:5.30%

※幅を持って参考利回りが提示されている場合は、その中心値を記載しています。

以上によれば、平均は4.5%で中央値は4.8%となりました。

ただし、上記はすべてのソーシャルレンディング業者を網羅しているわけではなく、各ソーシャルレンディング業者から1つのファンドのみ抽出しています。あくまでも参考としてください。

また、実際の運用結果に基づく実利回りではなく想定(目標)利回りであることにも注意が必要です。想定利回りと実利回りの違いについては後述します。

この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。

ソーシャルレンディングの実利回りが変動する要素とは?

ソーシャルレンディング業者の公式サイトで記載されている「想定利回り」は、あくまでも参考です。実際に投資した場合の実利回りは状況によって変動することを押さえておかなければなりません。

一般に、実利回りは、以下の式のように想定利回りに対して手数料や諸費用、税金などを控除したものです。会社員の給与に例えると額面給与(年収)と手取りの関係といえます。つまり、見かけ(想定利回り)より実際の利益(実利回り)は少なくなってしまうのです。

  • 実利回り=想定利回り-(手数料+諸費用+税金)
  • 手取り=額面給与-(社会保険料+税金)

約束どおりに借り手が返済しなかった場合は実利回りが下がってしまうおそれがありますが、本記事では、約束どおりに返済された場合に実利回りが変動する要素について紹介します。

貸付利率:利回りは貸付利率でほとんど決まる

ソーシャルレンディングは主にお金を貸して利息収入を得ることを目的としているため、貸付利率が利回りの大半を構成する要素です。

なお、貸付利率とはお金を借りている額に対して発生する利息の割合をいい、金銭消費貸借契約で定めます。通常は1年間に発生する利息の割合で表現するため、「年利(率)」です。

例えば、貸付利率が年利5.00%で100万円借りると、1年後には105万円返済しなければなりません。利息は1日ごとに発生(日割り計算)するのが原則です。(民法第89条第2項)

当然、お金を借りる側としては低いほうが好ましく、貸す側としては高いほうが好ましいです。

営業者報酬:ソーシャルレンディング事業者の取り分

営業者報酬は、実際にお金を貸す業務を行う営業者の取り分です。投資家はソーシャルレンディング業者と匿名組合契約を締結します。匿名組合契約とは、営業者が行う営業のために出資し、その営業利益の分配を請求できるという契約です。

匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

引用元:e-Gov法令検索「商法」

投資家としては、資産を運用してもらうための手数料と考えることができます。当然、手数料は低いほうが望ましいですが、ファンドの状況によって変動するため比較や予測は困難です。

振込手数料:入金時の手数料は負担することが多い

大手証券会社なら多くの銀行と提携しており、投資家から入金する際の手数料は証券会社が負担しています。

一方、ソーシャルレンディング業者の多くは投資家の入金手数料は負担しておらず、指定口座へ入金する際の振込手数料は投資家が負担しなければなりません。

出金時の振込手数料についてはソーシャルレンディング業者が負担してくれることが多いですが、月1回までなら無料などの取扱いがあります。重要事項説明書などで事前に確認しておきましょう。

所得税の税率:本来の税率は所得によって変わる

ソーシャルレンディングの分配金は税法上「雑所得」とされ、分配利益に対して20.42%の源泉徴収税が差し引かれます。(所得税法第210条)なお、源泉徴収は「仮の税金」を前払いするものです。

「本来の税金」はというと、大まかには1年間の儲けから所得控除を差し引いた額に累進税率(5~45%)を掛けて求めます。そのため、所得控除がいくらか、他に課税される所得はあるのかなどによって本来の税率が変わります。

課税所得に対して実質20.42%の税率が課されるのは、少なくとも課税所得が1,181万円を超える人です。課税所得が1,181万円を超える人はそう多くないため、多くの人は税金を納めすぎていることになります。

もっとも、1年間の所得が48万円以下であれば基礎控除48万円によって課税所得は0円です。つまり税金が発生しないため、源泉徴収された税金は確定申告するとすべて戻ってきます。

参照:国税庁「No.2260 所得税の税率」

納めすぎた税金は確定申告をしなければ還付されません。詳細は以下の記事を参考にしてください。

ソーシャルレンディングの利回りは高い?他の資産運用と比較

ソーシャルレンディングの想定利回りは、ファンドによって異なりますが、およそ4.50%前後であることを紹介しました。それでは、他の資産運用(投資)と比べるとどうでしょうか。

参考までに、世界最大のプロ投資家(機関投資家)といわれるGPIFが算出したリスクと期待リターンを紹介します。

資産 リスク(標準偏差) 期待リターン
国内債券 2.56% 0.70%
外国債券 11.87% 2.60%
国内株式 23.14% 5.60%
外国株式 24.85% 7.20%

参照:GPIF「基本 ポートフォリオの変更について」(PDF)
参照:GPIF「2020年度 業務概況書」(PDF)

算出方法は異なるため比較が難しい点はありますが、ソーシャルレンディングの期待リターン4.50%は、おおむね国内株式と同程度といえそうです。

もっとも、以上の金融商品は価格変動リスクがある点で、ソーシャルレンディングとは大きく異なります。

価格変動リスクを負わず4.50%程度のリターンを狙えるソーシャルレンディングは、非常に投資効率の高い投資商品といえるでしょう。

実際、大手ソーシャルレンディング業者「クラウドバンク」の実績平均利回りは6.80%(2021年3月期)に対し、元本割れの実績は2021年9月まで0%です。

つまり、ソーシャルレンディングでは投資したお金が減ることなく、平均して6.80%のリターンが得られたという実績があります。

まとめ:ソーシャルレンディングの利回りは高め!リスクを把握しつつ投資を検討しましょう

ソーシャルレンディングの利回りは、ファンドにより異なるもののおよそ4.50%前後と比較的高めです。リターンが高いため、リスクも大きいことは注意が必要です。

とはいっても、ソーシャルレンディングは投資後は価格変動を気にせずにすみ、1万円程度の少額資金で始めることができます。ソーシャルレンディングのリスクを把握したうえで、許容できる場合にはソーシャルレンディング投資を検討してみて下さい。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次