iDeCo(イデコ)のデメリットは9つ!主婦・自営業者・会社員それぞれに潜む落とし穴とは?

iDeCo(イデコ)のデメリットは9つ!主婦・自営業者・会社員それぞれに潜む落とし穴とは?

  • 「iDeCoって節税できるって聞いたけど、デメリットもあるの?」
  • 「老後資金を作りたいけど、今のお金がカツカツで不安…」
  • 「60歳まで引き出せないって本当?それってかなり不便じゃない?」

このように考えている方もいるでしょう。

結論、iDeCoは職業によっては損をする可能性が高い制度です。

以下に当てはまる人は、iDeCoを始める前に慎重な検討が必要です。

職業デメリット
主婦・扶養内の人所得控除の恩恵がほぼ受けられないため、節税メリットが小さい
自営業者掛金の上限が高い分、投資リスクや元本割れの可能性が大きくなる
会社員・公務員企業型DCと併用できない場合がある(マッチング拠出)

本記事では、iDeCoの制度をよく知らずに始めるリスクや、職業や状況によって損する人の特徴を解説します。

この記事を読むと、手数料や運用リスクなどiDeCoの利用にあたって気をつけるべき落とし穴がわかります。

iDeCoは決して万人向けの制度ではありません。この先の人生設計を後悔しないために、今こそ冷静な判断をしましょう。


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目次

iDeCo(イデコ)のデメリットは9つ!制度の裏にあるリスクとは?

iDeCo(イデコ)のデメリットは9つ!制度の裏にあるリスクとは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せして老後資金を準備できる私的年金制度です。

毎月5,000円から決めた掛金を積み立て、各自が選んだ金融商品(定期預金、保険商品、投資信託など)で運用し、その運用成果を60歳以降に年金または一時金で受け取ります。

そんなiDeCo最大のメリットは税制優遇にあります。掛金は全額が所得控除の対象となり(所得税・住民税の負担軽減)、運用益も非課税で再投資され、受取時も年金なら「公的年金等控除」、一時金なら「退職所得控除」が適用されるため一定額まで非課税です。

しかしその一方で、以下のようなデメリットも存在します。

「良い点だけでなく悪い点もきちんと理解したい」という方はぜひチェックしてください。

原則60歳まで引き出し不可!ライフイベントに不利

iDeCo最大のデメリットは、途中でお金を引き出せないことです。

iDeCoは「老後の資産形成」を目的とした年金制度であるため、加入後は原則として60歳以降になるまで積み立てた資産を引き出すことはできません。

積み立てた資産は60歳になるまで凍結状態となり、途中解約して払い戻しを受けることはできないルールです。もし加入後に資金が必要になっても、iDeCo以外の手段で工面しなければなりません。

なお、例外的に「脱退一時金」の制度があるものの、以下の厳しい条件を全て満たした場合に限られています。

1) 60歳未満である

2) 企業型確定拠出年金加入者でない

3) iDeCoに加入できない者である(国民年金保険料免除者や外国籍の海外居住者など)

4) 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でない

5) 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない

6) 通算拠出期間が5年以下、または、年金資産の額が25万円以下である

7) 企業型確定拠出年金またはiDeCoの加入者の資格を、最後に喪失した日から2年以内である

引用:iDeCo公式サイト「加入者の方へ 4.脱退一時金

障害を負った場合には障害給付金を受け取れる制度もありますが、所定の高度障害状態になった場合のみです。

結婚・出産・住宅購入などの支出に使えない

たとえ急な出費やライフイベント(住宅購入、教育費、病気など)でまとまったお金が必要になっても、基本的にはiDeCo口座の資金には手を付けられません

iDeCo特有の流動性の低さは、いつでも引き出せる普通預金や他の投資商品にはない大きな制約と言えます。

「いざという時はiDeCoのお金を使おう」という考えは通用しないので、生活防衛資金や中期的に使う予定の資金はiDeCoではなく手元に残しておくことをおすすめします。

元本割れリスクのある投資商品が多い

運用商品の選び方によっては、元本割れのリスクもあります。iDeCoでは預金や保険の商品も選べますが、多くの人は資産を増やすため投資信託など元本変動型の商品で運用します。

その場合、市場環境や運用成績次第では受取額が支払った掛金の合計を下回ってしまう可能性があります。

例えば株式型の投資信託で運用した場合、相場の下落により積み立てた資産が目減りするリスクは0%ではありません。

投資信託は運用次第で損する可能性がある

iDeCoはあくまで自己責任で運用する年金制度です。運用の結果について国や企業は補償してくれません。

仮に運用に失敗して損失が出ても、その穴埋めをしてもらうことはできないのです。運用成績次第では資産が増減し、最悪の場合は掛金総額を下回ることもありえます。

定期預金などの元本確保型は利益が少ない

リスクを抑えたい人は元本確保型の商品(定期預金や保険など)を選ぶことで元本割れを避けることも可能です。

ただし、元本確保型は利息や運用益がごくわずかで、手数料を差し引くと実質的にほとんど増えない場合もあります。

リスクを取らなければリターンも小さいため、iDeCoで積極的に資産を増やしたい方はある程度の元本割れリスクと向き合う必要があります。

加入・運用・受給すべてに手数料がかかる

iDeCoでは口座開設や運用に当たり各種手数料がかかる点もデメリットです。

主な手数料としては以下のようなものがあります。

スクロールできます
項目手数料目安備考
新規加入手数料2,829円iDeCo口座を開設し加入者資格を取得する際に、国民年金基金連合会に対して支払うもの
※初回のみ口座開設時に差し引かれる
掛金納付手数料105円掛金を拠出するたびに国民年金基金連合会に対して支払うもの
※拠出のたびに掛金から天引きされる
還付手数料1,048円国民年金保険料未納月にiDeCoの掛金を納付した場合、その月の掛金は還付(返金)される
※手数料が差し引かれた掛金が返金される
口座管理手数料無料~数百円iDeCo口座を管理・運用する金融機関に対して支払うもの
参考:iDeCo公式サイト「加入希望者の方へ

運営管理手数料が高いと「手数料負け」になる

毎月差し引かれる手数料は拠出額が少ない場合には無視できません。

月5,000円の掛金の場合、仮に口座管理料が月0円でも毎月105円+(資産管理料)約66円=171円程度は必ず差し引かれます。

年間では約2,052円、これに初回手数料2,829円も加わります。掛金が小さいと運用益より手数料負担の方が大きくなる可能性があるのです。

ろうきんやネット証券など金融機関選びで差が出る

「口座管理手数料」は金融機関によって差が大きいため、可能な限り手数料の安い金融機関を選ぶことが大切です。

例えば、マネックス証券やSBI証券などは口座管理手数料が実質無料なので人気です。一方で店舗型の銀行では月数百円の手数料がかかる場合もあります。

iDeCoを始める際は、事前に手数料体系を確認し、節税効果で手数料を十分カバーできるかも検討することが大切です。

掛金に上限がある

iDeCoでは、毎月拠出できる掛金額に上限(拠出限度額)が定められています。人によっては「もっとたくさん積み立てたいのに…」と感じる点でありデメリットとされているのです。

iDeCoの掛金上限は職業や加入状況によって異なり、以下のように分類されています。

職業区分・加入区分月額掛金上限(拠出限度額)
自営業者など(第1号被保険者)月額68,000円
会社員・公務員等(第2号被保険者)・企業年金がない場合:月額23,000円
・その他:月額20,000円
専業主婦(主夫)など(第3号被保険者)月額23,000円
参考:iDeCo公式サイト「加入希望者の方へ

掛金上限の存在は、より高額の資産形成を望む人にはデメリットとなりえます。

「十分な余裕資金があるから月5万円積み立てたい」と思っても、会社員であれば上限2.3万円までしか拠出できません。自営業者でも月6.8万円が上限なので、それ以上老後資金に回したい場合はiDeCo以外の手段を考える必要があります。

また、上限だけでなく下限も月5,000円と決まっています。極端に少額(例えば月1,000円)の拠出はできず、最低でも月5,000円からのスタートです。

もちろん5,000円から無理なく始められるよう設定されている額ではありますが、「とりあえず月2,000円くらいで様子を見たい」といった希望は叶いません。

金額変更や停止が柔軟でない

iDeCoは掛金の拠出額や拠出そのものの柔軟な変更が難しいというデメリットもあります。

毎月コツコツと積み立てる性質上、基本的に一度決めた掛金額を継続していく仕組みであり、必要に応じて増減したり一時停止したりするには一定の手続き・制約があります。

掛金額の変更は年1回まで

iDeCoの掛金額の変更は年1回までと定められています。毎年(原則として当年12月~翌年11月までを1年単位とします)掛金額を見直す機会があり、そのタイミングで増額・減額は可能です。

しかし年に一度しか変更できないため、仮に途中で収入が減って負担が重くなっても、すぐには掛金を減額できず次の変更時期まで待つ必要があります。

掛金の拠出停止は簡単ではない

掛金の拠出そのものを止める(中断する)ことも簡単ではありません。何らかの事情でしばらく掛金を払えないという場合、加入者資格をいったん喪失して「運用指図者」になる手続きを取る必要があります。

<運用指図者とは>
掛金拠出をやめ、運用管理だけを続ける加入者のことです。

具体的には加入している金融機関に「加入者資格喪失届」を提出することで掛金の停止が可能ですが、所定の書類提出など手間のかかる手続きが必要になります。

単に銀行の自動引き落としを止めればOK、というような手軽さはありません。

加入資格に条件があり、誰でもできるわけではない

誰もが自由にiDeCoに加入できるわけではなく、加入資格に一定の条件・制約があります。

主な加入資格上のポイントは以下の通りです。

iDeCoの主な加入資格
  • 国民年金保険料未納・未加入期間中は不可
  • 農業者年金に加入していると併用できない
  • 企業型DCのマッチング拠出者は原則併用不可

国民年金保険料未納・未加入期間中は不可

国民年金保険料を納めていることが前提です。国民年金の第1号被保険者で保険料免除中の方や未納の方は加入対象外になります。

第3号被保険者(会社員の配偶者で国民年金を納付していないが被保険者扱いの方)は加入可能ですが、そもそも課税所得がない場合はiDeCoの所得控除メリットが受けられない点に注意が必要です。

農業者年金に加入していると併用できない

農業者年金に加入している人は、二重加入防止のためiDeCo加入不可です。

企業型DCのマッチング拠出者は原則併用不可

企業型の確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員でも、基本的にはiDeCo加入可能となりましたが、企業型DCでマッチング拠出(本人が給与から拠出)を利用している場合はiDeCoに加入できません

受け取り方によっては税金がかかる

iDeCoは「掛金払込時」「運用中」「受取時」の全てで税制優遇があるのがメリットですが、受取時だけは受け取り方法によって課税対象となってしまうことがあります。

受取方法は年金(一括ではなく分割受取)か一時金(まとめて一括受取)の2通りです。年金なら「公的年金等控除」、一時金なら「退職所得控除」が適用されます。

一時金で受け取ると退職所得控除が適用される

一時金で受け取る場合は退職所得扱いとなり、勤続(加入)年数に応じた退職所得控除額を超える部分に税金がかかります

仮にiDeCo一時金が控除額以内に収まれば非課税ですが、それを超えると超過部分の半分が課税対象となります。

また、同じ年に勤め先からの退職金など別の退職所得がある場合、iDeCo一時金と合算して計算されるため注意が必要です。

年金受取の場合は公的年金等控除が適用される

公的年金等控除額(年金収入から一定額が非課税)を超える年金額については課税対象です。

公的年金等控除は65歳未満で年額60万円、65歳以上で年額110万円(2025年時点)などと定められています。iDeCo年金だけでそこまでの金額になるケースは少ないかもしれませんが、他の年金(公的年金や企業年金)と合わせると控除枠を超えることは十分あり得ます。

その場合は通常の年金所得として所得税・住民税の課税対象となります。

死亡時・受給中に死亡した場合の扱いが複雑

加入者が60歳前に死亡した場合、iDeCoの積立資産は遺族に「死亡一時金」として支給されます。受給開始前に加入者が亡くなった場合でも、積立てられた資産は無駄にならず遺族が全額受け取ることが可能です。

受取先となる遺族には法律で定められた順位(配偶者、子、父母…の順)がありますが、加入者があらかじめ特定の受取人を指定しておくことも可能です。

ただし、死亡日の翌日から5年以内に請求がない場合、その資産は加入者の相続財産として扱われ、さらに一定期間請求が無ければ最終的に法務局に供託されます。

制度改正リスクがあり、将来のルールが不透明

DeCoは法律に基づく制度のため、将来的な制度改正によって条件が変わるリスクがあります。長期に渡る資金計画である以上、途中で制度の内容や税制が変わる可能性も考慮しなければなりません。

実際、これまでもiDeCo制度は度々改正されています。例えば加入可能年齢は当初60歳未満でしたが、2022年以降は原則65歳未満まで延長されました。掛金拠出期間も最長5年間延長されるよう改正されています。

また、公務員や企業年金加入者も2017年以降iDeCoに加入できるようになるなど、加入対象範囲も広がりました。こうした改正は利用者に有利な拡大でしたが、今後も常に良い改正ばかりとは限りません。

税制面の改正リスクも十分あり得る

現在、確定拠出年金には「特別法人税」という年率1.173%の資産課税が法律上存在しますが、令和8年(2026年)3月31日までは特別法人税の課税は凍結されています。

しかし、将来の財政状況によっては特別法人税が復活し、iDeCo資産にも毎年課税される可能性がゼロとは言い切れません。もし復活すれば毎年1%以上資産が目減りする計算で、運用益が吹き飛びかねない影響があります。

退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に改正

最近の例では、退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に改正されました。

iDeCo一時金など退職所得として受け取る際、他の退職所得との控除調整対象期間が従来は「過去4年以内」だったのが「過去9年以内」に拡大されたものです。

簡単に言えば、退職金とiDeCo一時金を別年度に受け取って控除枠をフル活用するには、従来は5年以上ずらせばよかったのが今後は10年以上間隔を空ける必要が出てきました。

改正は2026年以後の受取に適用される予定で、「増税だ」「改悪だ」といった声も一部で上がっています。

制度開始当初は想定していなかったような改正が行われることもあり、将来的な税制変更リスクは念頭に置くべきでしょう。

とはいえ、「具体的にどう備えればいいのか分からない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。

そんなときは、お金のプロに一度相談してみるのもひとつの手です。

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【職業別】iDeCo(イデコ)のメリットが少ない人の特徴とは?

【職業別】iDeCo(イデコ)のメリットが少ない人の特徴とは?

iDeCoの主なデメリットを紹介しましたが、以上を踏まえると職業や状況によっては「iDeCoに向いていない人」も存在します。

「自分は加入すべきかどうか」判断する際に、特に注意したいケースを職業別に整理してみましょう。

専業主婦や扶養内主夫は節税メリットがほとんどない

専業主婦(主夫)など所得のない方は、iDeCoの恩恵が小さい代表的なケースです。最大の理由は、所得控除のメリットを享受できない可能性が高いことです。

以下に主な理由と影響をまとめました。

項目内容
所得控除が使えない課税所得がないため、所得税・住民税の軽減ができず、iDeCo最大のメリットを享受できない
手数料が実質負担になる節税で相殺できないため、年間2,000円前後の手数料が直接負担に。運用益で賄えないと元本割れリスクも
資金が長期間拘束される原則60歳まで引き出せず、ライフイベントへの柔軟な対応が難しい
家計全体での必要性が低い配偶者が厚生年金・企業年金加入済みであれば、老後資金は既にある程度確保できる可能性がある
他に優先すべき支出がある教育費・住宅ローン・緊急資金など、短期で必要な支出への備えが優先されることが多い

iDeCoの節税メリットを享受できないうえに、手数料や資金拘束のデメリットだけが残ってしまうため、専業主婦(夫)は「やめておいた方がいい」と言われることが多い傾向にあります。

自営業者は掛金が高いぶんリスクも大きい

自営業者やフリーランス(第1号被保険者)は、iDeCoの恩恵をもっとも受けやすい立場です。掛金の上限が月6.8万円と高く設定されているため、所得控除による節税効果もダイレクトに得られます。

とはいえ、すべてのケースでiDeCoがベストとは限りません。以下のようなケースでは注意が必要です。

慎重になるべきケース内容
収入が不安定な場合売上が落ちた月でも掛金を払い続ける必要があり、家計を圧迫する可能性あり
掛金の調整を柔軟にしたい年1回しか変更できず、事業環境の急変に対応しにくい
手元資金を確保したいiDeCoは原則60歳まで引き出せず、事業資金が固定されるリスクがある
廃業リスクがある将来的な廃業を見越すなら、より柔軟な「小規模企業共済」の方が有利なことも
十分な資産がある既に老後資金が確保されているなら、流動性の高い運用手段(株式・預金等)を優先するのも一つの方法

よく比較される小規模企業共済とiDeCoの違いは以下の通りです。

項目iDeCo小規模企業共済
掛金上限月6.8万円まで月7万円まで
所得控除全額対象(掛け金額)全額対象(掛け金額)
引き出しの自由度原則60歳まで引き出し不可・廃業/退職時に共済金受取
・中途解約や貸付も可能
廃業・退職時の控除退職所得控除退職所得控除あり
資金流動性低い(60歳まで高速)高い(貸付・解約など柔軟な対応可)
備考節税+運用重視「自営業の退職金制度」として機能する

基本的に、自営業者・フリーランスの方はiDeCoを活用する価値は高いものの、「節税のため」と拠出を無理してしまうと、事業運営に支障が出るリスクもあります。

場合によってはNISAや小規模企業共済との併用・使い分けも検討するとよいでしょう。

会社員や公務員は企業型DCと併用できないケースがある

会社員や公務員(第2号被保険者)は、原則としてiDeCoのメリットがある立場ですが、すべての人にとって最適とは限りません

以下のようなケースでは、「やらない方がいい」可能性もあるため注意が必要です。

ケース詳細
企業年金や退職金制度が手厚い確定給付企業年金や退職金が十分ある場合、iDeCoで無理に上乗せしなくても老後資金が足りる可能性が高い。
住宅ローン減税などで税負担が少ない住宅借入金等特別控除により、もともと所得税が少なく、iDeCoの所得控除の効果が限定的になるケース。
控除枠を使い切れていない可能性があるため、NISAの活用が有効な場合も。
近い将来に大きな支出がある子どもの教育費や住宅購入資金など、60歳前に必要なお金はiDeCoから出せないため、流動性を損ねる。
目前の支出が優先されるライフステージでは、無理にiDeCoを使わない判断も重要。
定年までの期間が短いiDeCoは原則10年以上の加入が必要で、50代後半で加入しても60歳から受け取れない可能性がある。
短期加入では控除額も小さく、課税リスクが高くなることも。

つまり、会社員や公務員でも「iDeCo=正解」とは限りません。以下のように、自分のライフプランや税制状況に合わせて適切な制度を選びましょう。

チェックポイント
  • 退職金制度や企業年金の有無
  • 現在の所得税負担の状況(住宅ローン減税など)
  • 今後10年の資金予定(教育・住宅など)
  • 定年までの年数とiDeCo受給開始年齢の関係

iDeCo(イデコ)と他の制度・金融商品の比較

iDeCo(イデコ)と他の制度・金融商品の比較

iDeCoが万能ではない以上、場合によっては他の制度や商品を併用・代替することも検討すべきです。

ここでは、代表的な非課税制度のNISAや預金などの安全資産とiDeCoを比較し、それぞれの特徴を整理します。

iDeCo(イデコ)と他の制度・金融商品の比較

iDeCo vs NISA(ニーサ)

近年注目されているNISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託の運用益・売却益が非課税になる制度です。2024年からは新NISA制度として恒久化され、非課税枠も大幅に拡充されました。

一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金の積立専用制度で、所得控除など強力な節税効果が魅力です。

両制度とも税制優遇のある資産形成ツールですが、性質はかなり異なります。

以下の表で詳しく比較してみましょう。

項目iDeCo新NISA制度
税制メリット掛金が全額所得控除+運用益非課税+受取時にも一定の控除あり。※受取時に課税されるケースあり投資元本の控除はなし。運用益・売却益が完全非課税(無期限)
引き出し自由度原則60歳まで引き出し不可。途中解約も不可いつでも引き出し可能。非課税枠内の商品を売却すれば資金化できる
加入対象・年齢制限国民年金加入者など条件あり。65歳未満まで加入可(75歳まで拠出可能)18歳以上の日本居住者なら誰でも利用可。年齢制限なし
年間投資・拠出枠月額上限あり(例:会社員2.3万円)。最大年額81.6万円程度(自営業者は年額816,000円)生涯非課税枠1,800万円(成長投資枠1,200万+安定枠600万)。年間制限はなし
手数料初期費用+毎月の口座管理料あり(年間2,000円程度)+信託報酬等の運用手数料基本的に口座管理料は無料。信託報酬など商品ごとのコストのみ
投資商品限られたラインナップから選択(定期預金・保険・投資信託など)上場株・ETF・投資信託など幅広く自由に選択可能(証券会社ごとに異なる)

大まかにまとめると以下の違いがあります。

iDeCoとNISAの大まかな違い
  • iDeCoは「節税効果が非常に高いが換金性が低い年金制度」
  • NISAは「節税効果は運用益のみだが、流動性が高く柔軟な投資制度」

ただし、NISAはいつでも引き出せる反面「つい使ってしまう誘惑」もあります。老後資金として運用する場合は、iDeCoの“強制貯蓄機能”も活用すると良いでしょう。

iDeCoと預貯金・その他の選択肢

老後の資産形成は、iDeCo(投資)だけに頼る必要はありません。預金・保険・共済・企業年金など、ライフステージに応じた手段をうまく使い分けることが大切です。

まずは、主な選択肢の特徴を以下にまとめます。

スクロールできます
選択肢主な特徴メリットデメリット
預貯金(普通預金・定期預金)元本保証。いつでも引き出せる流動性が最大の魅力生活防衛資金や近い支出に最適。安心感がある金利が非常に低く、資産を増やす力は弱い
iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金の所得控除+運用益非課税。60歳まで引き出せない年金制度節税効果が非常に大きい。長期運用向き資金拘束が強い。短期用途には不向き
小規模企業共済自営業者向けの「退職金制度」。廃業時に共済金受取+所得控除あり解約柔軟・貸付制度あり。事業者にとって使いやすい制度中途解約時に減額あり。用途は基本的に事業に限定
企業型DC(確定拠出年金)勤務先にある年金制度。マッチング拠出で会社からの補助ありiDeCoよりお得な制度がある場合も。手数料も割安制度の内容は会社ごとに異なる。併用制限があることも
学資保険・個人年金保険保障付きの貯蓄商品。解約返戻金や将来の年金受取がある万一に備えつつ貯蓄できる。家族の保障を兼ねたい人向け手数料が高く、中途解約で元本割れしやすい

老後資金準備は「1つの正解」にこだわらず、自分と家族の将来に合った組み合わせ(ポートフォリオ)を構築することが大切です。

おすすめの資産形成イメージをまとめると以下のようになります。

おすすめの資産形成イメージ
  • 預貯金:生活防衛・近い出費用
  • iDeCo:節税しながら老後資金を積立
  • NISA:中期的な資産運用に柔軟に活用
  • 共済・企業年金:職業に応じて最大限利用
  • 保険:家族保障+貯蓄を両立したい人向け

iDeCoを軸に、預貯金・NISA・共済・保険などの強みを生かした分散戦略を取り入れていきましょう。

iDeCo(イデコ)をやるべき人/やめた方がいい人

iDeCo(イデコをやるべき人/やめた方がいい人

ここまでの内容を踏まえ、「どんな人がiDeCoに向いているか/向いていないか」を整理してみます。ご自身がどちらに当てはまるかチェックしてみてください。

iDeCoをやるべき人(加入を検討すべき人)

iDeCoの加入を検討すべき人の特徴一覧は以下の通りです。

特徴理由
安定した所得があり課税されている人所得控除の恩恵をフルに受けられ、節税効果が手数料を上回る可能性が高い
老後資金が不足しそうな人厚生年金や国民年金だけでは不十分な場合、iDeCoで自助努力による積立が効果的
長期でコツコツ資産運用したい人60歳まで引き出せないが、その分長期運用で複利効果が期待できる。時間を味方にしたい人向け
節税しながら投資したい人NISAではできない「掛金そのものの所得控除」が可能。運用益非課税もあり、ダブルの節税効果
計画的な貯蓄が苦手な人自動的に積立され、簡単には引き出せない仕組みなので、強制貯金として活用できる
運用リスクを取る覚悟がある人投資信託などを活用すれば増やせるが、元本割れリスクも伴う。リスクと向き合える人向け

iDeCoは長期目線での資産形成に最適です。「節税したい」「将来が不安」「強制的に貯金したい」という思いがあるなら、まずは月5,000円からでも始めてみる価値は十分あると言えるでしょう。

iDeCoはやめた方がいい人(加入を慎重にすべき人)

iDeCoの加入を慎重に検討すべき人の特徴一覧は以下の通りです。

特徴加入を避けるべき理由
課税所得がない人所得控除メリットがないため節税効果ゼロ。手数料だけが発生し損をする可能性が高い
近い将来に大きな出費予定がある人iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、必要なときにお金を使えず困るリスクがある
収入が不安定な人掛金の拠出が滞ると、停止・再開の手続きが煩雑。安定収入がないならまず生活防衛資金の確保が優先
借金返済や生活費の確保が優先の人住宅ローンや高金利の借入があるなら、まず返済に集中した方がトータルで得になる
リスクを一切取りたくない人定期預金でも利回りはほぼゼロ。元本割れを嫌うなら普通預金と変わらず、資金拘束だけがデメリット
制度変更に過敏な人長期制度であるiDeCoは、将来の税制変更リスクを強く感じる人には精神的負担になる可能性がある

iDeCoには多くのメリットがありますが、「絶対にやるべき」制度ではありません。老後資金を確実に準備したいなら多少のデメリットがあっても活用すべきですが、「いつでも使えるお金がないと不安」という方は、NISAや預貯金での運用が現実的です。

iDeCo(イデコ)に関するよくある質問

iDeCo(イデコ)に関するよくある質問

最後に、iDeCoに関するよくある疑問や不安点についてQ&A形式でまとめます

iDeCoと農業者年金は併用できる?

残念ながら、iDeCoと農業者年金の併用はできません

農業者年金は、農業に従事する方を対象にした独自の年金制度で、同じく「老後の年金」を目的とした私的年金制度です。国の制度上、同時に2つの年金制度に加入して積立を行うことは制限されています。

具体的には、農業者年金に加入している方はiDeCoの加入資格がなくなります。逆も同様で、iDeCo加入中に農業者年金へ加入することもできません。

どうしてもiDeCoを利用したい場合は、農業者年金の加入をやめる必要がありますが、その場合のデメリットや条件もありますので慎重に検討してください。

企業型DCとマッチング拠出している人は加入できる?

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入し、マッチング拠出をしている人はiDeCoに原則加入できません

マッチング拠出とは、企業型DCにおいて会社の掛金に加えて本人も追加で掛金を拠出できる制度です。制度の重複を避けるため、マッチング拠出とiDeCoの併用は不可とされています。

一方で、企業型DCにマッチング拠出をしていない方であればiDeCoの加入が可能です。

もしiDeCoをどうしても始めたい場合は、マッチング拠出を止めてiDeCoに切り替える必要がありますが、会社の制度によってはそれも難しい場合があります。社内の担当者や規約を確認することをおすすめします。

受給中に死亡したらどうなる?死亡一時金の扱いは?

iDeCoの受給期間中に加入者が亡くなった場合、その時点の資産残高は「死亡一時金」として遺族に支払われます。亡くなった時点で一部受取済みでも、残っている資産はすべて遺族に一括で支給されます。

死亡一時金は、法定相続人または事前に指定された受取人が請求できます。請求期限は5年以内で、それを過ぎると通常の相続財産とみなされます。

税制上は「みなし相続財産」となり、相続税の非課税枠(法定相続人×500万円)の対象になります。範囲内であれば基本的に非課税で受け取ることが可能です。

掛金1万円でも意味はある?得なのか損なのか?

月1万円でもiDeCoに加入する価値は十分にあります。iDeCoは掛金の金額に関係なく、掛けた分すべてが所得控除の対象になるため、たとえ少額でも税金の節約効果が見込めるからです。

例えば、年収400万円の方が月1万円(年12万円)を拠出した場合、所得税・住民税合わせて約2.4万円が軽減される可能性があります(税率20%と仮定)。

また、運用益が非課税になる点も変わりませんし長期間の複利効果も活かせます。

手数料はなぜ高い?ろうきんとネット証券の違いとは?

iDeCoにかかる手数料は主に「国民年金基金連合会」や「金融機関」への支払いです。加入時の初期費用や月ごとの口座管理料などが発生しますが、運営管理機関によって大きな差があります。

例えば、労働金庫(ろうきん)などの一部の銀行では、月々300円以上の手数料がかかることもあります。一方で、SBI証券や楽天証券などのネット証券では、月額手数料が無料(または実質無料)のケースが多いです。

手数料を抑えるならネット証券がおすすめ。加入前に必ず比較しましょう。

定期預金だけで運用するのはあり?利点と限界

iDeCoでは「定期預金」などの元本確保型商品も選べます。運用リスクを取りたくない人や高齢でリスク許容度が低い方には適しています

しかし、注意点としては利率が非常に低いため、実質的なリターンがほぼないということ。年利0.002%程度であれば手数料分だけでマイナスになる可能性があります。

また、老後までの長期間を通じて資産を増やすには、あまり効率的とはいえません。運用益非課税というiDeCoのメリットも、利回りが低ければ活かしきれません。

iDeCoをやめたくなったときはどう対応すればいい?

「毎月の負担がつらい」「投資が不安」など、iDeCoをやめたくなることはあると思います。ただし、iDeCoは原則解約できません。代わりに、掛金の拠出を停止する「運用指図者」になることが可能です。

運用指図者になると掛金の拠出はなくなる一方、口座管理手数料(年2,000円程度)は資産から差し引かれ続けます。また、積立は止まっても運用自体は継続されます。

将来的に再開する場合は「再加入届」の提出が必要です。

まとめ:iDeCoを始める前に、収入・目的・価値観を見直そう

この記事では、iDeCoの9つのデメリットや、職業別に損しやすい人の特徴について解説しました。

iDeCoは魅力的な制度ではありますが、以下のような人にとっては慎重な判断が必要です。

  • 課税所得がない人
  • 数年以内に大きな出費を予定している人
  • 資金拘束や制度変更に不安を感じる人

流動性や税制優遇の違いを踏まえたうえで、NISAや預貯金、共済などと比較しながらポートフォリオを整えていくと良いでしょう。

老後に備える方法はひとつではありません。収入・目的・価値観を見直して、後悔のない判断をしてください。

とはいえ、「自分にとってiDeCoは本当に向いているのか?」「他にもっと合う制度があるのでは?」と迷ってしまう方も多いはずです。

そんなときは、お金のプロに相談して、自分に合った選択肢を知ることが大切です。

マネーコーチのオンライン家計診断では、ライフスタイルや将来の目標に合わせて、iDeCo・NISA・保険・預貯金など幅広い選択肢から最適なプランを無料で提案してくれます。

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「今の判断で将来後悔しないか不安…」という方こそ、一度プロの診断を受けてみてはいかがでしょうか?


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