- 「バセドウ病でも生命保険に入れるのだろうか」
 - 「持病があると、やはり審査に通らないのでは…」
 - 「治療中でも入れる保険があるなら知りたい」
 
このように考えている方もいるでしょう。
本記事では、バセドウ病と生命保険の関係について審査で見られる基準給付金が支払われるケース、公的支援制度の活用方法を紹介します。
生命保険の審査や給付条件に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
- バセドウ病の方が生命保険に加入できる条件
 - 手術・入院・治療費に対して給付金が支払われるケース
 - 加入の流れと注意点
 - 公的支援制度(高額療養費制度・傷病手当金など)の利用方法
 - 保険会社や保険タイプによる違い
 
バセドウ病でも生命保険に加入できる?審査の仕組みと通過条件

保険会社は申し込み時に提出する「告知書」をもとに、完治(寛解)しているか、治療中なのか、薬だけ服用しているのかを総合的に判断します。寛解状態であれば、一般的な生命保険に加入できる可能性もありますし、治療中であっても緩和型の医療保険を選べば加入できる例もあります。
ここでは、バセドウ病の方がどのように審査を受け、どの条件で通過しやすくなるのかを解説します。
審査で見られるのは完治・治療中・服薬中の3分類
生命保険の審査では、バセドウ病の状態を「完治」「治療中」「服薬中」の3つに分けて判断します。
大きなポイントは、症状が安定しているかどうかです。
- 完治している場合(寛解状態)
 - 治療中の場合
 - 服薬のみで安定している場合
 
完治している場合(寛解状態)
入院や手術をしておらず、治療が終わってから2年以上経過していると、一般的な医療保険や死亡保険にも申し込みやすくなります。
甲状腺ホルモンの数値が安定し、通院の必要がない状態であれば、特別な条件が付かないまま契約できることもあります。
治療中の場合
抗甲状腺薬の服用やアイソトープ療法(放射線を使った治療)を受けている段階では、再発の可能性があると判断されやすいです。
そのため「甲状腺部位を保障対象外とする」または「保険料が割増になる」といった条件付きで承諾されることがあります。
服薬のみで安定している場合
定期的に通院しながら薬の服用で症状を抑えている方は、引受基準緩和型保険(持病がある人向けの医療保険)を検討するのが現実的です。健康状態がさらに安定すれば、将来的に通常の医療保険へ切り替えることも可能です。
保険会社によって判断が異なるのが実情
同じバセドウ病でも、保険会社ごとに審査基準や条件の付け方が異なります。ある会社では「5年間の甲状腺不担保(甲状腺に関する病気は保障の対象外)」とする一方で、別の会社では「永久不担保(期間の制限なく対象外)」とする場合もあります。
提示された条件に納得できない場合は、複数の保険会社へ見積もりを依頼して比較することが重要です。同じ病歴でも、ある会社では「緩和型医療保険なら加入可能」、別の会社では「通常保険でも問題なし」と判断が分かれることがあるからです。

バセドウ病で給付金はおりる?

バセドウ病を患っている方の中には、「病気があると給付金が出ないのでは?」と不安を抱く方も多いでしょう。実際には契約している保険の内容や治療の種類によっては給付金が支払われる場合があります。
ここからは、どんな治療で給付金が支払われるのか、また支払われにくいパターンについて整理していきましょう。
甲状腺の手術・アイソトープ治療・入院は給付対象
バセドウ病の治療内容によっては、医療保険から給付金が支払われる場合があります。代表的な治療と給付対象を、次の表にまとめました。
| 治療内容 | 給付金の対象となる可能性 | 補足 | 
|---|---|---|
| 甲状腺の手術 | 手術給付金・入院給付金 | 甲状腺を摘出すると再発の心配はほとんどなくなるが、手術後はホルモン剤の服用が必要になる | 
| アイソトープ治療(放射性ヨウ素を使った治療) | 入院給付金・治療給付金 | 薬で効果が得られない場合に行われる。短期間の入院や隔離が必要になることがあり、給付対象になることが多い | 
| 入院治療 | 入院給付金 | 差額ベッド代や食費などの自己負担を補う目的で支払われることが多い | 
手術や入院を伴う治療は、保険金の支払い対象になりやすい傾向があります。給付金は医療費だけでなく、治療中の生活費や休業期間の補填にも使えるため、契約内容をあらかじめ確認しておくことが大切です。
通院や薬物治療のみではおりないケースが多い
通院や薬物療法だけの場合は、医療保険の給付金が支払われない契約が多いのが現実です。
しかし、バセドウ病は抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンの働きを抑える薬)を飲みながら、定期的に通院して症状をコントロールする治療が一般的です。
負担を減らすためには、次の2つを意識してみてください。
- 通院保障がついた医療保険を選ぶ
 - 高額療養費制度を活用して自己負担額を抑える
 
出産時の甲状腺異常・再発でも特約次第で給付されることがある
加入している医療保険に「女性疾病入院特約(女性特有の病気による入院を保障するオプション)」が付いていれば、給付金を受け取れる可能性があります。
女性疾病入院特約で対象となることがある主なケースは、次のとおりです。
- 甲状腺の良性疾患(がん以外の腫れやしこり)や甲状腺機能低下症による入院
 - 妊娠や出産にともなう甲状腺の異常
 - 出産後のホルモン変化によるバセドウ病の再発
 

バセドウ病の方が加入できる保険の種類

病状の安定度や治療経過に応じて加入できる保険のタイプが異なります。主に次の3つのタイプがあります。
通常の生命保険(条件次第)
通常の生命保険とは、健康状態やこれまでの病歴を基準に、一般的な審査を行うタイプの保険です。バセドウ病でも、症状が安定していて治療を終えてから一定の期間が経過していれば、加入できる場合があります。
たとえば、次のような条件が目安になります。
| 審査で確認される内容 | 判断のポイント | 
|---|---|
| 治療状況 | 抗甲状腺薬(ホルモンの働きを抑える薬)の服用が続いているか、手術済みか、通院の有無など | 
| 医師の指示・検査結果 | 最近の入院や再検査の有無、甲状腺ホルモン値の安定状況 | 
| 保険会社の審査基準 | 例:治療中でも「甲状腺部位を5年間保障対象外(不担保)」としたうえで加入を認める会社もある | 
このように、完治しているかどうかや経過が良好かどうかによって、審査結果は大きく変わります。
ただし、病歴を隠して加入すると、給付金の支払いを拒否されることがあるためご注意ください。
引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型医療保険とは、健康状態に不安がある人でも加入しやすいように、審査基準をゆるめた保険です。バセドウ病で治療中の方や、薬の服用を続けている方でも、条件を満たせば加入できる場合があります。
一般的な医療保険よりも、健康に関する質問(告知項目)が少なく、内容も限定されています。確認される質問の一例は次のとおりです。
- 過去2年以内に入院や手術を受けたか
 - 最近3ヶ月以内に入院や手術を勧められたか
 - 医師から経過観察を指示されていないか
 
通常の医療保険では審査に通りにくい人でも、引受基準緩和型医療保険なら加入できる可能性があります。また、持病や過去の病気(既往症)が再発しても給付の対象になる場合が多いことが特徴です。
無選択型保険
無選択型保険とは、健康状態を一切問わず申し込めるタイプの保険です。「無告知型」や「告知なし保険」とも呼ばれ、病気の治療中や通院中でも加入できるのが特徴です。
バセドウ病の治療を続けている方や、ほかの持病を併発している方でも加入できる可能性があります。ただし、加入しやすい反面、保障内容や保険料に制限が設けられていることが多いため、注意が必要です。
| 特徴 | 内容 | 
|---|---|
| 告知不要 | 健康状態を申告しなくても加入できる | 
| 保険料 | 一般の医療保険よりも高めに設定されている | 
| 保障内容 | 加入直後は保障が制限される(例:1年間は給付対象外) | 
| 給付条件 | 病気の悪化や再発が対象外となる場合がある | 
無選択型保険は、ほかの保険に加入できなかった場合の最後の選択肢として検討するのが現実的です。契約前には必ず約款を確認することをおすすめします。

バセドウ病の方が生命保険に加入する際の流れ

バセドウ病を患っている場合、一般の保険よりも手続きが慎重に進むため、加入までの流れを理解して準備しておくことが大切です。基本的なステップは次のとおりです。
保険内容の情報収集と比較検討
最初に行うべきことは、保険商品の情報を集めて内容を比較することです。保険会社によって、審査基準・告知項目・部位不担保の有無は異なります。
比較する際に確認したい主なポイントは次のとおりです。
| 比較項目 | チェックすべき内容 | 
|---|---|
| 保障内容 | 死亡保障・医療保障・特約の範囲 | 
| 保険料 | 持病がある場合に保険料が割増されるか | 
| 制限条件 | 部位不担保や免責期間(保障が始まらない期間)の有無 | 
「持病があるから普通の保険は無理」と決めつけず、条件付きでも加入できる保険を探す姿勢が大切です。
告知すべき健康情報・治療状況の整理
生命保険に申し込む際は、自分の健康情報を正確に整理しておくことが大切です。告知書の内容は、保険審査の中心となるため、必要な情報を事前にまとめておくと手続きがスムーズに進みます。
整理しておきたい主な項目は次のとおりです。
- 病名と診断を受けた時期
 - 治療内容(服薬・通院・手術・入院の有無)
 - 最近の検査結果や甲状腺ホルモンの数値
 - 合併症の有無や再発の経験
 
告知義務違反があると、契約後に給付金が支払われない可能性があります。不明な点がある場合は、申込書を提出する前に保険会社や代理店へ確認しておきましょう。
専門家相談&保険申し込み手続き
バセドウ病などの持病がある場合は、保険の専門家に相談してから申し込むのがおすすめです。
ファイナンシャルプランナー(FP)や保険代理店に相談すれば、治療状況や通院の有無を踏まえて加入しやすい保険を一緒に探してもらえます。

公的制度でカバーできる費用補助制度一覧

ここでは、甲状腺疾患の治療時に利用できる可能性がある代表的な制度を紹介します。
高額療養費制度
医療費が高額になった際に、自己負担の上限を超えた分が払い戻される制度です。加入している健康保険組合に申請し、月初から月末までの医療費が対象になります。
食事代や差額ベッド代など、保険適用外の費用は含まれません。
自己負担の上限は所得によって異なるため、勤務先や自治体のホームページで事前に確認しておくと良いでしょう。
傷病手当金
会社員が業務外の病気やけがで働けなくなった場合に、収入の一部を補うための給付金です。連続して3日以上仕事を休み、給与が支払われない状況で支給対象となります。
支給額は「直近12ヶ月の平均給与÷30×3分の2」で計算され、最長で1年6ヶ月まで受け取れます。自宅療養中でも対象になり、給与が一部支払われている場合は差額分のみ支給されるのが特徴です。
障害年金
症状が悪化し、日常生活や仕事に支障が出る場合には障害年金の受給対象になることがあります。バセドウ病で体力の低下や視力障害などが起こり、生活に制限がある場合が該当します。
等級は以下の3段階です。
| 等級 | 状況の目安 | 
|---|---|
| 1級 | 常に介助が必要で生活のほとんどをベッドで過ごす状態 | 
| 2級 | 日常生活に著しい制限があり自立が難しい状態 | 
| 3級 | 労働に支障がある程度の障害(厚生年金加入者のみ対象) | 
初診日に加入していた年金制度(国民年金または厚生年金)によって申請先が異なります。
生活保護
収入が少なく、治療や生活を続けるのが難しい場合に、最低限の生活を保障する制度です。病気で働けない方や、治療費の支払いが困難な方も対象です。
支給される内容は生活費・医療費・住宅費などで、必要に応じて医療機関の受診費も負担されます。申請は居住地の市区町村の福祉事務所で行い、世帯収入や資産状況に応じて判断されます。

バセドウ病の生命保険に関するよくある質問

ここでは、バセドウ病と生命保険に関してよく寄せられる質問をまとめました。加入を検討している方は、参考にしてみてください。
- バセドウ病の治療中でも保険に加入できる?
 - 給付金はどんな治療でおりる?
 - 出産時に甲状腺機能が悪化した場合は対象になる?
 - 医療費控除と高額療養費制度は併用できる?
 - ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するとどんな提案が受けられる?
 - バセドウ病でも死亡保険に加入できる?
 - バセドウ病でもがん保険に加入できる?
 - 県民共済・アフラック・第一生命・住友生命など会社で加入条件は違う?
 - 女性特有のリスクに対応した保険はある?
 - 検査中・診断待ちでも保険に入れる?
 - バセドウ病は特定疾患に含まれる?医療費助成の対象になる?
 - ホルモン剤の服用中でも保険金・給付金を請求できる?
 - 告知義務はどこまで必要?うっかり申告漏れはどうなる?
 - 専門家に相談するとどんなサポートを受けられる?
 
バセドウ病の治療中でも保険に加入できる?
治療中でも加入できる保険はあります。入院や手術歴がなく、治療を始めてから2年以上経過している場合は、通常の医療保険を検討できる可能性があります。
治療を続けている段階なら、引受基準緩和型や無選択型の医療保険を選ぶと加入しやすいです。
給付金はどんな治療でおりる?
給付金が支払われるのは、主に手術や放射線治療を伴う治療です。甲状腺摘出術や放射性ヨウ素治療、入院を伴う場合は対象となることが多いです。
通院や薬物治療のみの場合は給付対象外のことが多いため、通院保障付きや女性疾病特約のある保険を選ぶと良いでしょう。
出産時に甲状腺機能が悪化した場合は対象になる?
女性疾病入院特約に加入していれば、出産時に甲状腺機能が悪化した場合でも給付金を受け取れる可能性があります。
甲状腺の良性疾患や妊娠・分娩の合併症も対象に含まれるため、出産を控える方は特約の有無を確認しましょう。
医療費控除と高額療養費制度は併用できる?
併用は可能です。高額療養費制度で払い戻された金額を除いた自己負担額が、年間10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)を超えると、確定申告で医療費控除を受けられます。
高額療養費制度は月単位、医療費控除は年間単位の制度です。
ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するとどんな提案が受けられる?
ファイナンシャルプランナーに相談すると、複数の保険を比較しながらバセドウ病でも加入しやすい保険や特約を提案してもらえます。治療費の負担を軽くするために、公的制度と民間保険をどう組み合わせるかも一緒に検討してもらえます。
バセドウ病でも死亡保険に加入できる?
病状が安定していれば、死亡保障付き保険も検討できます。ただし、甲状腺に「不担保条件(保障対象外)」が付く、または保険料が割増になる場合があります。審査基準は会社ごとに異なるため、複数社を比較して確認しましょう。
バセドウ病でもがん保険に加入できる?
がんとバセドウ病は直接関係がないため、がん保険には比較的加入しやすいです。ただし、手術や放射線治療を受けてから1年以内など、直近で治療歴がある場合は審査が厳しくなる可能性があります。
県民共済・アフラック・第一生命・住友生命など会社で加入条件は違う?
はい、違います。共済や生命保険会社によって健康告知の基準が異なり、ある共済では加入できなくても、別の会社では条件付きで加入できることがあります。
女性特有のリスクに対応した保険はある?
女性疾病入院特約を付けると、甲状腺疾患や妊娠・出産の合併症で入院した際に追加給付を受けられる保険があります。さらに、乳がんや子宮筋腫など女性特有の疾患にも対応する商品もあります。
検査中・診断待ちでも保険に入れる?
検査結果が出ていない段階では、多くの保険会社が審査を保留にするか、加入を断ります。結果が出て状態が安定してから申し込む方が通過しやすいです。
バセドウ病は特定疾患に含まれる?医療費助成の対象になる?
バセドウ病は国の難病指定(特定疾患)には含まれていません。そのため、難病医療費助成制度の対象にはならないのが現状です。
ただし、18歳未満であれば「小児慢性特定疾病医療費助成制度」を利用できる可能性があります。
ホルモン剤の服用中でも保険金・給付金を請求できる?
ホルモン剤の服用のみでは給付金の対象外となる場合が多いです。ただし、甲状腺摘出手術や放射線治療を受けた後に服薬を続けている場合は、治療費も含めて保障される特約があります。
告知義務はどこまで必要?うっかり申告漏れはどうなる?
保険会社が指定する告知事項(医療機関名・病名・治療内容・期間・服薬状況など)はすべて記載が必要です。申告漏れや誤りがあると、給付金が支払われなかったり契約が解除されたりします。不安な点は自己判断せず、必ず保険会社に確認してください。
専門家に相談するとどんなサポートを受けられる?
保険や制度に詳しい専門家に相談すれば、持病があっても加入できる保険を効率的に見つけられます。複数の会社を比較し、治療費負担を抑えるための公的制度や給付の活用方法まで具体的にアドバイスしてもらえます。
まとめ
この記事では、バセドウ病の方が生命保険に加入できる条件や、給付金が支払われるケース、公的制度の活用方法までを整理しました。
病状の安定度によって加入の可否は変わりますが、自分の状況に合った保険を選ぶことが何より大切です。
加入を検討する際は、以下の3点を意識しておきましょう。
- 症状・治療経過を正確に整理してから申し込む
 - 複数社の見積もりを取り、条件や保険料を比較する
 - 高額療養費制度や傷病手当金などの公的支援も活用する
 



