教育資金を準備するために学資保険に加入している人も多いでしょう。一方、近年ではNISA制度を利用する人も増えています。「学資保険の代わりにNISA制度を利用すべきなのだろうか」と考えていませんか。
学資保険とNISA制度では特徴が大きく異なります。仕組みを正しく理解した上で利用することが大切です。
そこで今回は、学資保険とNISA制度の概要を解説した上で、それぞれの制度のメリット・デメリットを解説します。この記事を参考にしながら、計画的に教育資金を準備しましょう。
学資保険の概要
学資保険とは、教育資金の準備を目的とした貯蓄型の保険を指します。毎月(毎年)決まった金額を保険料として支払い、子どもが所定の年齢に達すると教育準備金や満期学資金といった形でまとまった金額を受け取ることができます。
一般的に、学資保険は親が契約者となることが多く、契約者が死亡した場合は以後の保険料の払い込みが免除される点が大きな特徴です。この場合、契約はそのまま継続し、教育準備金や満期学資金は契約通り受け取ることができるため、教育資金をしっかりと確保できるでしょう。
なお、商品によっては小学校・中学校・高校に入学したタイミングで祝金を受け取ることができるプランもあります。学資保険はコツコツと確実に教育資金を貯めたい人に最適な方法です。
NISA制度の概要
「投資から貯蓄へ」の流れが加速していることに伴い、NISA制度の利用者も増えています。しかし、NISA制度には、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があり、混同している人も少なくありません。
今回は、教育資金の準備に適しているといわれるつみたてNISAとジュニアNISAについて解説します。
つみたてNISA
2018年から始まった、つみたてNISA制度は、少額での長期・積立・分散投資ができる非課税制度です。対象者や非課税期間の詳細は以下の通りです。
対象者 | 日本在住の20歳以上の人 |
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非課税投資枠 | 毎年40万円 |
非課税期間 | 最長20年 |
買付方法 | 積立のみ |
払い出し制限 | なし |
投資可能期間 | 2018年~2042年 |
つみたてNISAで購入できる銘柄は、一定の基準を満たした投資信託等に限定されているため、これまで投資の経験がない人であっても始めやすいです。払い出しの制限がないため、教育資金としてお金が必要になった場合には簡単に払い出すことができます。
しかし、資金拘束力が弱いことはデメリットにもなり得ます。事あるごとに払い出していると教育資金が思ったほど積み立てられていないという事態になりかねません。あくまでも長期の運用を念頭に置きながら積み立てましょう。
ジュニアNISA
ジュニアNISAとは、子どもや孫のために親権者が代理で運用し、上場株式や投資信託などを売却して得られた利益や分配金・配当金が非課税になる制度です。
対象者 | 日本在住の未成年者(2023年は0~17歳が対象) |
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非課税投資枠 | 毎年80万円 |
非課税期間 | 最長5年間 |
買付方法 | 一括もしくは積立 |
払い出し制限 | 18歳までは払い出し制限あり(2024年以降は年齢に関わらず非課税での払い出しが可能) |
投資可能期間 | 2016年~2023年 |
ジュニアNISAは主に教育資金の準備を目的としているため、原則として18歳までは払い出すことができません。災害などやむを得ない場合に限って非課税での払い出しができますが、このときジュニアNISA口座も同時に廃止することになる点には注意しましょう。
また、投資可能期間は2023年までですので、2024年以降はジュニアNISA口座を利用した新規購入はできません。ジュニアNISAを利用して教育資金を貯めようと考えている人は、投資可能期間が短い点を十分理解した上で利用しましょう。
学資保険で教育資金を準備するメリット・デメリット
学資保険は、教育資金を準備できる保険として知られているものの、活用するメリット・デメリットを正しく理解しているでしょうか。
学資保険のメリット・デメリットについて解説します。
学資保険を活用するメリット
学資保険を活用するメリットの1つに、確実に教育費を貯められる点があります。仮に、普通預金で教育資金を準備する場合、時には教育資金として貯めているお金を別の使途で使ってしまうこともあるでしょう。
しかし、学資保険は毎月(毎年)決まった金額が口座から引き落とされるため、半ば強制的にお金が貯まります。また、学資保険料として支払ったお金は、生命保険料控除の対象です。学資保険に加入することで税金の負担を安くすることができる点も大きなメリットといえるでしょう。
学資保険を活用するデメリット
学資保険を保険期間の途中で解約した場合、元本割れを起こすことが多い点には注意が必要です。特に、契約後間もない時期に解約すると、解約返戻金は既払込保険料を大きく下回ります。無理なく支払うことができる保険料かどうか、加入前に必ず確認しましょう。
学資保険のデメリットとして、インフレに弱い点も知っておかなければなりません。今後さらにインフレが進行したとしても、学資保険は契約時の利率で運用され、受け取るお金が相対的に目減りする可能性があります。
そのため、学資保険に加入する際にはインフレリスクを考慮しましょう。
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NISA制度を利用して教育資金を準備するメリット・デメリット
NISA制度を利用して教育費を準備する場合も、NISA制度の活用するメリット・デメリットを正しく把握することが大切です。
これまでNISA制度を活用したことがない人は、特に注意しながら読み進めてください。
NISA制度を活用するメリット
NISA制度を活用する最大のメリットは、運用益が非課税になる点です。加えて、運用次第では、学資保険よりも大きなリターンを得られる可能性がある点も、NISA制度ならではのメリットといえるでしょう。
また、NISA制度には投資回数や投資先の銘柄数に制限がないため、複数の銘柄を組み合わせた分散投資も可能です。
NISA制度を活用するデメリット
運用益が非課税になるという大きなメリットがあるNISA制度ですが、デメリットも知っておく必要があります。NISA制度は、元本が保障されておらず、損失が出るリスクがある点がデメリットです。
さらに、NISA制度を活用して投資できる金額にも上限がある点も注意しましょう。つみたてNISAは年間40万円、ジュニアNISAは年間80万円が上限です。仮に、手元資金に余裕があったとしても上限額以上はNISA制度で運用できないため、他の金融商品の併用を検討すると良いでしょう。
学資保険とNISA制度は併用可能
学資保険とNISA制度には、それぞれメリット・デメリットがあります。学資保険とNISA制度は併用できるため、双方を活用することでそれぞれのメリットを活かしつつ、デメリットを補い合うことができます。
先述の通り、NISA制度には元本割れのリスクが伴いますが、学資保険でまとまった金額を積み立てることで元本割れリスクを小さくできます。また、学資保険では対応できないインフレに対しても、NISA制度を取り入れることで対応することが可能です。
なお、学資保険とNISA制度を併用する際には、それぞれの金額のバランスを考慮しましょう。なかなか貯蓄ができない人は学資保険料の割合を高め、より大きなリターンを狙いたい人はNISA制度により多くのお金を出すのも一案です。
教育資金には学資保険?NISA制度?検討する際のポイント
学資保険とNISA制度は併用できるものの、学資保険かNISA制度のどちらか片方を活用したい人もいるでしょう。どちらを活用すべきかは、子供の年齢などいくつかの項目を確認しながら検討すると良いでしょう。
①子供の年齢
一般的に、学資保険は被保険者の年齢を0歳(もしくは出生前)から6歳までとしています。つまり、学資保険は目安として小学校に入学する頃までに加入する必要がある一方で、ジュニアNISA制度は6歳以上でも加入できます。
なお、親がつみたてNISA制度を利用して教育資金を準備する場合、子どもの年齢は不問です。学資保険の返戻率は、子どもの年齢によっても左右され、できるだけ早いうちに学資保険に加入すると、その分運用期間も長くなるため返戻率は高いです。
子どもの年齢次第では、学資保険ではなくNISA制度の活用を検討すると良いでしょう。
②生命保険料控除の利用
学資保険料は生命保険料控除の対象です。年末調整や確定申告にて正しく申告することで一定の所得控除を受けることができ、所得税と住民税が軽減されます。学資保険は、一般的に子どもが大学に入学する時期まで保険料を払い込むことが多いため、長ければ20年近く生命保険料控除を利用可能です。
個人として利用できる控除制度の種類は決して多くないため、教育資金を準備しながら税金の負担を軽くできる生命保険料控除は積極的に利用しましょう。
ただし、死亡保障の生命保険でその枠を使い切っている場合は、生命保険料控除はあまり関係がなくなるため注意してください。
③保険期間もしくは運用期間
先述の通り、学資保険の保険期間は大学入学まで、もしくは卒業までとしていることがほとんどですが、中には一括での支払いや5年・10年の短期払いができる商品があります。一方、ジュニアNISAは2023年までしか利用できず、掛金にも限度があります。
つみたてNISAは最大20年の非課税投資期間が設定されており、ジュニアNISAよりも長期にわたってつみたてることが可能です。学資保険かつみたてNISAのどちらを利用すべきか迷った際には、どれくらいの期間にわたってお金をつみたてていくかという点を軸に考えることで、どちらが最適な方法かを判断できるでしょう。
まとめ:NISA制度は学資保険の代わりになる!併用も検討しよう
これまでは学資保険を利用した教育資金準備が主流でしたが、NISA制度も積極的に利用すると良いでしょう。学資保険とNISA制度は併用できるため、積み立てるお金の配分を考えて双方を利用することでよりバランスよく教育資金を準備できます。
学資保険とNISA制度のそれぞれの特徴や仕組みを正しく理解し、自分に合う方法で教育資金を準備してください。