企業型拠出年金はデメリットしかない?入らない方がいい?やめとけと言われる7つの理由を解説

企業型拠出年金はデメリットしかない?入らない方がいい?やめとけと言われる7つの理由を解説

  • 「企業型DCって、やめといた方がいい?」
  • 「勝手に加入させられて困ってる…」
  • 「損する制度なのに、なぜこんなに推されるの?」

このような疑問やモヤモヤを抱えている方もいるでしょう。

結論、企業型確定拠出年金はデメリットしかないと言われる理由は以下の7つです。

企業型確定拠出年金はデメリットしかないと言われる理由
  • 将来の年金額が不確定で元本割れリスクがある
  • 60歳まで引き出せないため急な出費に使えない
  • 自分で運用する必要があり知識がなければ損をする
  • 選択制DCでは手取りや厚生年金額が減る場合がある
  • 給付時に一時金or年金で税負担が変わりやすい
  • 退職・転職時に移換を忘れると資産が目減りする
  • 元本確保型だけでは資産がほとんど増えないリスクがある

本記事では、企業型確定拠出年金の仕組みを基礎から解説しつつ、デメリットしかないとされる理由損しないための工夫も紹介します。

この記事を読むことで、企業型DCに加入すべきか、やめるべきかを判断できるようになります。

損をせず制度を活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。


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目次

企業型確定拠出年金とは?企業型DC(401k)の基礎知識

企業型確定拠出年金とは?企業型DC(401k)の基礎知識

まずは、企業型確定拠出年金の根本的な仕組みについて以下の通り解説します。

掛金は企業、運用は社員が担う「自分で育てる年金制度」

企業型確定拠出年金は、企業が用意する「将来のための積立制度」です。

掛金を出すのは会社、増やすのは社員という仕組みであり、運用の責任はすべて社員自身にあります。

企業型確定拠出年金の基本構造は以下の通りです。

項目詳細
掛金原則、勤務先の企業
※マッチング拠出があれば本人も上乗せ可能
運用方法加入者(社員)が自分で投資商品を選んで運用する
目的老後の生活資金づくり
※原則60歳まで引き出せない
給付方法一時金or年金形式のいづれか
※税制が異なる
参考:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要

元本保証型に預けるか、株式型の投資信託で積極運用するかなど、会社からもらった運用資金を自分の判断でどう育てていくかによって将来の受取額に差が出ます。

通常型は自動加入、選択制は給与の一部を拠出

企業型確定拠出年金には「通常型」と「選択制」という2つのタイプがあります。

どちらに該当するかで加入方法や毎月のお金の扱いが変わるため、まずは違いをわかりやすく表で見てみましょう。

項目通常型DC選択制DC
加入方法企業が加入を決める
※社員は原則自動加入
社員が自分で加入の有無を決める
掛金の出どころ企業が別枠で用意した掛金を拠出社員の給与の一部を掛金として振り替える
社員の負担感原則なし実質的に給与が減るため手取り減の感覚あり
導入企業の傾向福利厚生の一環として大企業が導入傾向にあり中小企業や選択肢を持たせたい企業が導入傾向にあり

通常型DCは、福利厚生の一部として「社員の老後資金を企業が支援」する立てつけであって、手続きをしなくても自動的に積立が始まります。

一方、選択制DCは自分の給与から積立に回す制度であることから、所得控除を受けられるものの手取りが減ってしまうのが懸念点です。

企業型確定拠出年金と他制度の違い

企業型確定拠出年金と他制度の違い

企業型確定拠出年金は自分で運用して老後資金をつくる制度ですが、年金・資産形成制度はほかにも複数あります。

ここでは、企業型確定拠出年金と混同されやすい下記5つの制度について解説します。

確定給付企業年金(DB)|将来の年金額が約束されている

確定給付企業年金とは、企業側が将来の給付額を保証する年金制度です。

企業型確定拠出年金との違いは以下の通りです。

項目確定給付企業年金(DB)企業型確定拠出年金(DC)
給付額あらかじめ企業が約束運用成績によって変動
運用者企業社員
リスクの担い手企業が損益リスクを負う社員がリスクを負う
信頼性安定性が高い自己責任の色が強い

「手厚く守られるDB」「自分で育てるDC」というイメージで覚えておくとわかりやすいです。

厚生年金基金|制度自体がほぼ廃止済み

厚生年金基金は、かつて企業が独自に上乗せ年金を支給するために使われていた制度です。

ですが、2014年(平成26年)の制度改正をきっかけに、多くの基金が解散または確定給付企業年金への移行を求められるようになりました。

企業の倒産で維持できなくなった例が多く、現在では新しく作ることができない制度となっています。

厚生年金基金はほぼ廃止された過去の制度と考えてよいでしょう。検索で見かけても、現行の企業型DCとは関係がないので注意してください。

個人型(iDeCo)|自分で加入し、自分で運用する私的年金

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、企業に関係なく自分で申し込むタイプの私的年金制度です。

企業型確定拠出年金が「会社が用意してくれる制度」なら、iDeCoは「自分で作る年金制度」という位置づけであり、勤務先にDC制度がない場合でもiDeCoを活用すれば老後資金の準備はできます。

企業型確定拠出年金とiDeCoの違いは以下の通りです。

項目iDeCo企業型確定拠出年金
加入方法本人が金融機関を通じて申し込む企業が制度を用意し社員が加入
掛金全額自己負担会社負担
利用条件20歳以上で収入がある人勤務先が制度を導入している必要あり

iDeCoはフリーランスや主婦でも加入できるのが特徴です。

財形年金貯蓄|給与天引きで積み立てる元本確保型制度

財形年金貯蓄は、会社が導入していれば利用できる「元本を守る貯金型」の制度です。

老後資金づくりという目的は企業型確定拠出年金と似ていますが、資産を増やす力は弱めでハイリターンを求める人には少し物足りないかもしれません。

企業型確定拠出年金との違いは以下の通りです。

項目財形年金貯蓄企業型確定拠出年金
掛金給与天引き(本人負担)企業負担が基本
商品元本保証型投資信託や元本保証型など
リスク低リスク(元本保証)運用次第で増減あり

NISA(少額投資非課税制度)|投資利益が非課税になる資産運用制度

NISA(ニーサ)は、投資で得た利益が非課税になる制度です。年金ではありませんが、自由に使えるお金を増やすための「資産運用制度」として人気があります。

企業型確定拠出年金とは異なり、いつでも自由に引き出せるのが大きな違いです。使いたいタイミングでお金を使えるので、結婚資金や旅行など老後以外の目標にも使えます。

新NISAについては以下の記事で詳しく解説しています。

企業型拠出年金がデメリットしかないとされる7つの理由

企業型拠出年金がデメリットしかないとされる7つの理由

企業型拠出年金がデメリットしかないと言われる7つの理由は以下の通りです。

将来の年金額が不確定で元本割れリスクがある

企業が掛金を出してくれる一方で、そのお金をどう運用するかは自分の判断に委ねられます。

運用がうまくいけば資産は増えますが、選んだ商品によっては元本割れ(積み立てた金額よりも減ってしまう)リスクもあるのが現実です。

株式型やアクティブファンドなど変動の激しい商品を選んだ場合は、リターンと同時にリスクも背負うことになります。

将来もらえる金額が確定していないからこそ、不安に感じる人が多いのです。

60歳まで引き出せないため急な出費に使えない

企業型確定拠出年金で積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せません

例えば「突然の病気」「親の介護」「転職での収入減」といった急な出費が発生しても、企業型確定拠出年金で積み立てたお金をあてにはできないのです。

というのも、「年金として使うことを前提にした制度」だからです。「いざという時に使えないお金」という前提で利用する必要があります。

自分で運用する必要があり知識がなければ損をする

運用そのものを人任せにできない制度であるため、ただ加入しただけで資産が増えるかというとそうではありません

自分で投資商品を選び運用する必要があります。

リスクの高い商品を知らずに選んで損をしたり、元本確保型で長年放置しても増えなかったりするなど、自分で管理できない人にとってはむしろ損失リスクしかないとの見方もできるでしょう。

選択制DCでは手取りや厚生年金額が減る場合がある

給与の一部を掛金に充てる選択制DCの場合、見かけ上の給料に加え厚生年金額が減る可能性があります。

例えば、月給30万円の人が3万円を選択制DCに振り分ける場合、社会保険や税金の計算基準は27万円になります。

節税にはなるものの、「標準報酬月額」が下がることで厚生年金の受給額に悪影響を及ぼすという仕組みです。

給付時に一時金or年金で税負担が変わりやすい

企業型DCで積み立てたお金は、60歳以降に「一時金」として一括でもらうか、「年金形式」で分割して受け取るかを選べます。

しかし、どちらを選ぶかによって税金のかかり方に違いが生じます。

給付形式税金の扱い
一時金「退職所得控除」が適用されるが、条件によっては課税対象になる
年金形式「公的年金等控除」の対象だが、所得扱いとして税金がかかる

退職・転職時に移換を忘れると資産が目減りする

企業型確定拠出年金は勤務先の企業が制度を用意する前提なので、退職や転職をすると自動的に運用が止まります

そのまま放置すると「国民年金基金連合会へ自動移換される」ことになり、その期間は運用もできず手数料だけが差し引かれる状態です。

手続きひとつ忘れるだけで、何十万円も将来の受け取りが減ってしまう可能性があるので注意しましょう。

元本確保型だけでは資産がほとんど増えないリスクがある

リスクを嫌って「定期預金」や「保険商品」などの元本確保型ばかりに投資していると、資産はほとんど増えません。

現在の金利水準では、数十年預けてもほぼ変わらない金額になることも珍しくありません

商品タイプ安全性期待リターン
元本確保型(定期預金など)ほぼゼロに近い
投資信託(分散型)市場に応じて増える可能性あり

とはいえ、「何から始めればよいかわからない」「損をしそうで怖い…」と感じる方もいるでしょう。

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【反対意見】企業型確定拠出年金には「メリットしかない」という声も

【反対意見】企業型確定拠出年金には「メリットしかない」という声も

制度のメリットを実感しやすい人たちの視点から、企業型確定拠出年金の利点を見ていきましょう。

【反対意見】企業型確定拠出年金には「メリットしかない」という声も

通常型なら企業負担で節税メリットを得やすい

企業型DCの「通常型」に加入できる人は、ほとんどお金を出さずに老後資金をつくれます

掛金はすべて会社が出してくれるうえに、マッチング拠出(自分で上乗せする制度)を使えば拠出額はすべて所得控除の対象となるからです。

さらに、DC内で得た利益には税金が一切かかりません。仮に100万円の運用益が出ても、通常なら20万円程度かかる税金が0円です。

長期運用と資産分散ができる人には有利に働く

企業型確定拠出年金は、若いうちから始めて分散投資を心がける人に最適です。

以下のようなスタイルで運用できる人は、老後までに資産を伸ばせる可能性があるからです。

投資スタイル見込める効果
長期保有複利効果で資産が雪だるま式に増える
分散投資リスクを抑えながら安定的に運用可能
リバランス偏りを修正し損失を防ぎやすい
インデックス投資市場全体の成長を取り込めるため手間が少ない

企業型確定拠出年金はやめたほうがいい?やるべき人とやらない方がいい人の違い

企業型確定拠出年金はやめたほうがいい?やるべき人とやらない方がいい人の違い

企業型確定拠出年金は、万人が得する制度ではありません。人によっては「かなり得」になる一方で、「使いづらい」「損をした」と感じる可能性があります。

ここでは、企業型確定拠出年金をやるべき人とやめたほうがいい人の特徴を解説します。

企業型確定拠出年金はやめたほうがいい?やるべき人とやらない方がいい人の違い

やるべき人は「節税や長期運用を重視する人」

企業型確定拠出年金のメリットを活かせるのは以下のようなタイプです。

タイプ理由
年収が高めの会社員掛金が所得控除され節税効果が大きいから
資産運用に前向きな人自分で商品を選んで増やす意識があるから
若年層(20~30代)運用期間が長く複利効果を享受しやすいから
将来への備えを優先したい人流動性よりも老後資金の確保を重視しているから

やめたほうがいい人は「流動性を重視する人」

一方で、以下のような人に企業型確定拠出年金は不向きな可能性があります。

タイプ理由
手取り収入が少なく家計に余裕がない人拠出で手取りが減ると生活に影響するから
急な出費が多く貯蓄を自由に使いたい人60歳まで引き出せない資金拘束がネックになるから
投資が不安or苦手な人商品選びや管理が負担になるから
転職や退職が多い人毎回の移管手続きが煩雑だから

企業型確定拠出年金を活かすために必要な3つの工夫

企業型確定拠出年金を活かすために必要な3つの工夫

企業型確定拠出年金を無理なく有効活用する3つの工夫を紹介します。

アクティブ型と元本確保型を年代に応じて使い分ける

株式・債券などに積極的に投資する「アクティブ型」、預金や保険などで元本を守る「元本確保型」を年齢に応じて使い分けるのがおすすめです。

年代資産配分例
20~30代アクティブ型中心でリターン重視
40代債券やバランス型を加えて安定性も意識
50代以降元本確保型でリスク抑制

若いうちは運用期間が長いため、リスクを取っても回復する時間があるのが強みです。

定期的なポートフォリオ見直しが損失回避に必須

よくある失敗は、最初に選んだ商品を放置してしまうことです。

金融情勢は常に変化しており、定期的な見直しをしなければ知らぬ間に大きな損失を抱えてしまいます。

具体的には以下のような見直しが必要かもしれません。

  • 株式比率が高すぎてリスク過剰になっていないか?
  • 債券中心すぎてリターンが見込めない状態になっていないか?
  • 市場全体の下落に備えたリバランスを行っているか?

シミュレーションで長期視点の判断をする

金融庁や各金融機関が提供している資産形成シミュレーターの活用もおすすめです。

年齢・掛金・利回り・運用期間などを入力するだけで、将来の資産見込み額が一目でわかります。

投資金額や利率、設定期間の入力のみでシミュレーションできるので、気になる方は金融庁の「資産形成シミュレーター」を活用してみてください。

企業型確定拠出年金に関するよくある質問

企業型確定拠出年金に関するよくある質問

最後に、企業型確定拠出年金に関するよくある質問と回答を紹介します。

企業型確定拠出年金に入らないとどうなる?不参加のリスクは?

企業型DCがある企業に勤めていても、選択制で自ら加入しない選択をすると拠出分の企業負担が受け取れない可能性があります。資産形成の機会も失うため、長期的にはもったいない選択になる場合があるといえます。

企業型確定拠出年金にいくらかけるべき?掛金の目安は?

会社が設定した上限内で拠出可能ですが、月1万円〜2万円程度が無理なく続けやすい金額とされています。ライフプランや他の貯蓄とバランスを取りつつ決めましょう。

企業型確定拠出年金に保険商品は含まれる?

一部の運用ラインナップには元本確保型の保険商品(例:利率保証型終身保険など)が含まれています

選択型DCとは何?選択制との違いは?

選択型DCとは、給与の一部をDC掛金に振り分けるタイプです。いわゆる「選択制DC」と同義で使われることが多く、厳密な違いはないものの給与とのトレードオフである点が共通しています。

企業型確定拠出年金は本当にひどい制度なの?

制度自体がひどいというよりも、仕組みを理解しないまま加入・放置することがリスクです。手取り減や元本割れの不安はありますが、正しく活用すればメリットもあります。

企業型確定拠出年金の最大の問題点はどこにある?

最大の問題は「運用責任がすべて個人にあること」です。成果に責任を持たなければならず、知識のない人ほど損をしやすい構造となっています。

DC制度ってそもそも何の略?

DCとは「Defined Contribution(確定拠出)」の略です。

企業型確定拠出年金は初心者には難しい?

投資や年金制度に慣れていない人にとっては難しく感じるかもしれません。

企業型確定拠出年金とiDeCo、どっちが得なの?

企業負担のある企業型DCの方が基本的には有利ですが、自分で金額を自由に決めたい・転職が多い人にはiDeCoの方が柔軟性が高い場合もあります。

ボーナスでも企業型確定拠出年金の掛金は出せる?

企業の制度設計によりますが、ボーナスから掛金を拠出できる場合があります

企業型DCの設計には罠があるって本当?

一部では「罠」とも言われる設計があります。選択制DCで加入すると給与額が下がる=社会保険料や将来の年金額に悪影響というケースです。

まとめ:企業型確定拠出年金は正しく理解して判断することが大切

この記事では、企業型確定拠出年金の仕組みや、よく指摘されるデメリットの実態、損を避けるための工夫まで解説しました。

「自分で運用しなければいけない」「お金が60歳まで引き出せない」など、人によって負担と感じやすい点があるのも事実です。

とはいえ、以下に当てはまる方であれば制度を活かしやすいでしょう。

  • 税負担を少しでも減らしたい
  • 老後の資金を計画的に準備したい
  • 投資に前向きで、長期運用を考えている

「使えそう」と思った方は、まずは自分の勤務先の制度内容を確認して始められる準備を進めてください。

とはいえ、「投資は初めてで不安」「自分に向いているかわからない」と感じる方も少なくないでしょう。

そんなときは、マネーコーチの無料オンライン家計診断を活用するのもひとつの手です。

経験豊富なファイナンシャルプランナーが、企業型確定拠出年金を含めたあなたの資産形成プランを一緒に整理し、無理なく続けられる運用の選択肢をご提案します。

将来に向けて「何から始めればいいかわからない」という方こそ、一度プロのアドバイスを受けてみてください。


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