「ニュースでよく円安とか円高とかって聞くけれど、よく分からない」
「円安って私たちの生活にとっていいこと?悪いこと?」
新聞やテレビでよく聞く言葉である円安や円高は、何が安くなったり高くなったりしているか分かりづらい言葉です。
分かっていたら、あの時に海外旅行していたのに、と後悔した人も少なくありません。実は、円安や円高は、日本のお金と他の国のお金を交換するときの割合が変わることを表す言葉です。
この交換するときの比率の変化が示すのは、日本円の価値の変化です。ここでは、円安・円高のあらましとともに、お金を交換するときの比率が変わる仕組みや、それぞれのメリットとデメリットを順番にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、円安や円高が続くと起こりそうな少し先の未来を予測できるようになります。
円安・円高とは?計算方法もわかりやすく解説
円安・円高は円の価値の変化を示しています。日本で買い物をする限りでは、円の価値の変化を実感する機会はありません。
しかし、海外と取引をする場合、海外の通貨と円を交換する必要があります。交換する際に、利用するのが為替レートです。
為替レートは刻々と変化しており、交換先の通貨と円の価値が常に変化していることを意味しています。
円の価値が上がる場合と下がる場合のどちらが、円安または円高と表現されるのか、順を追って解説します。
円安とは?
円安とは、円の価値が下がることを意味します。例えば、1ドルを交換するのに必要な日本円が100円から150円に変わると、円安です。
1ドル=150円になると、今まで100円で1ドルに交換できたものが、余分に50円払う必要があります。多くの円を払わないと1ドルに交換してもらえないことは、円の価値が下がっていることを示します。
交換先の通貨を入手するために、以前と比べて多くの円が必要になっている状況の場合、円安です。
円高とは?
円高は、円の価値が上がることを意味します。例えば、1ドルを交換するのに必要な日本円が100円から50円に変わると、円高です。
50円で1ドル交換できるようになれば、今まで100円で1ドルに交換したときと比べて、50円少なく済みます。少ない円で1ドルに交換してもらえることは、円の価値が上がっていることを示します。
交換先の通貨を入手するのに、以前と比べての少ない円で交換できる状況の場合、円高です。
円安と円高の仕組みとは?
円安や円高が発生する背景には、交換したい通貨との交換比率が常に変化する変動為替制度があります。
変更為替制度では、交換先の通貨と日本円の需要と供給が変化すると交換比率も変化します。需要と供給に影響を及ぼす原因はさまざまです。
例えば、2022年から2023年にかけてアメリカの金利が高まる一方で、日本の金利は低いままです。そうなると、アメリカでドルを預ければ、日本で預けるよりも利子がもらえることになるため、円をドルに換えて運用しようする人が増えます。
ドルの需要が高まればドルの価値が高まり、日本円からドルに換えるためにはより多くの日本円が必要です。昨今ニュースで耳にする円安ドル高は、このようにドルが円よりも需要が高まったことで、ドルと比較して日本円の価値が下落したことを示しています。
国内や海外の動向により、日本円や外国通貨の需要上下動が、日本円の価値を変化させます。この日本円の価値の変化が、円安や円高の発生原因です。
円安と円高の為替変動が与える影響
為替の変動は、経済に影響を及ぼします。なぜなら、通貨を交換する割合が変わることで、国や企業の利益が増えることもあれば、減ることもあるからです。
為替の変動の影響を受ける対象例として以下が挙げられます。
- 輸出企業の価格競争力の変化
- 訪日外国人によるインバウンド消費の増減
- 輸入コストの変化による企業収益の増減や消費者の購買意欲の変化
円安が有利なものもあれば、円安が不利になるものもあります。よって、為替変動のあり方を一概に良し悪しの判断をすることはできません。
為替変動の影響は、国や企業だけでなく、消費者にまで及びます。そのため、為替変動は私たちの生活にも影響を及ぼすキーワードであることを覚えておきましょう。
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円安と円高を理解して覚える方法を2つ紹介
円安と円高をわかりやすく理解して覚える方法は、以下の2つです。自分が覚えやすい方法で覚えましょう。
- 覚え方①ドルが安いか高いかを考える
- 覚え方②アメリカで5ドルのビッグマックを買う
覚え方①:ドルが安いか高いかを考える
1ドル100円や1ドル120円を見たとき、「ドルが安いか高いか」を考えましょう。円が安いか高いかではありません。
例えば海外旅行に行くときに、1,000ドルを円で買う場合を考えます。
- 1ドル100円なら1,000ドルは10万円(ドル安い)
- 1ドル120円なら1,000ドルは12万円(ドル高い)
同じ1,000ドルを買うのに、10万円で済むのか12万円かかるのか2万円の差があります。前者はドルが安いので円高で、後者はドルが高いので円安です。
覚え方②:アメリカで5ドルのビッグマックを買う
まだわからないという人は、「円の価値」を基準にして考えましょう。具体的には、アメリカで5ドルのビッグマックを買うシーンを考えます。
- 1ドル100円なら、5ドルのビッグマックを買うのに500円で済む(円の価値が高い)
- 1ドル120円なら、5ドルのビッグマックを買うのに600円も払う(円の価値が安い)
1ドル100円ならビッグマックは500円ですが、1ドル120円ならビッグマックは600円です。前者のほうがビッグマックは安く感じます。つまり、円の価値が高いから「円高」なのです。
覚え方としては、「円安」の場合、円安の間に「の価値が」という文字を入れて考えてみると、「円の価値が安い」となります。つまり、円安の場合には「円の価値が安い」と覚えておくと、イメージがしやすいもしれません。
(例)円高⇒円高のときは、「円の価値が高い」
円安のメリット・デメリット
円安が及ぼす影響には、メリットもデメリットもあります。ポイントは、誰しもが同じ影響を受けるわけではないことです。
そこで、ここからは円安のメリットとデメリットの内容について、誰が影響を受けるかも併せてご紹介します。
円安のメリットとは?
円安のメリットは、輸出企業の売上の増加や、訪日外国人のインバウンド消費の活性化です。例えば、1ドル=100円から150円になった場合で考えてみましょう。
輸出企業からモノを仕入れる企業の立場で見てみると、600万円の商品を購入するのに1ドル=100円の場合6万ドル必要です。しかし、1ドル=150円になると、必要費用は4万ドルになり、2万ドル安く購入できます。
残った2万ドルを使って追加で購入してもらえるかもしれません。輸出企業からすると、販売品数が増えれば売上増になります。
この状況は訪日外国人が日本で買い物をするときにも当てはまります。輸出企業や訪日外国人にメリットのある為替相場は、円安と言えるでしょう。
円安のデメリットとは?
円安のデメリットは、輸入企業の業績が下がり、生活必需品が高くなることです。ここでも、1ドル=100円から1ドル=150円になった場合を見てみましょう。
例えば、食料の輸入企業が100万ドルのモノを調達する場合、1ドル=100円ならば支払額は1億円です。しかし、1ドル=150円になると、1.5億円と0.5億円も多く支払わなければなりません。
つまり、同じものを調達しようとすると、それだけ費用がかかり、利益の圧迫につながります。そのため、輸入企業は最終消費者に対する提供価格を上げることで、利益減少を緩和させようとします。
円安になると、輸入企業や私たちのような消費者には困ることが増えるため、メリットよりもデメリットの方が強いです。
円高のメリット・デメリット
円安になるとメリットを感じる人が、円高になるとデメリットを感じることになります。
ここからは、円高になってメリットとデメリットをどんな人が感じるのか、それぞれ解説します。
円高のメリットとは?
円高のメリットは、輸入ビジネスが中心の企業の利益改善や、日本から海外旅行に対する経済的なハードルの低下です。例えば、1ドル=100円から1ドル=50円になった場合を検討します。
輸入企業が100万ドルのモノを購入したとき、為替相場が1ドル=50円だと支払額は0.5億円です。為替相場が1ドル=100円の場合と比較すると、0.5億円も少なく済みます。
同じものを安く調達できれば、利益を増やせます。この状況は海外旅行をする日本人が旅行先でお土産を購入する場合にも当てはまります。
輸入企業や外国で買い物を予定している人にとって、円高の為替相場はメリットを感じやすい状況です。
円高のデメリットとは?
円高のデメリットは、輸出企業の売上が減少したり、海外からの外国旅行者が期待できなくなったりすることです。ここでも、1ドル=100円から1ドル=50円になった場合で考えてみましょう。
輸出企業からモノを買う企業からすると、日本円で100万円のものを購入する場合、1ドル=100円の場合1万ドルで済んだものが、1ドル=50円だと2万ドル必要です。つまり、海外取引先からすると同じ商品にもかかわらず、購入価格が上がります。
輸出企業が販売価格を落とさないと取引先の購買数が減ることが予想されるため、輸出企業の売上が悪化しかねません。訪日外国人も同様に、日本での買い物を渋ることになるため、インバウンド需要をあてにする企業の売上は減少します。
輸出企業や訪日予定の外国人が困ることになる為替の状況が、円高です。
まとめ:円安・円高を理解して周りに説明できる人になろう
この記事では、円安や円高のあらましを中心に下記の3点を解説しました。
- 円安・円高は円の価値の変化であり、その背景にあるのは変動為替制度
- 円安によるメリット、輸出企業の売上向上や訪日外国人によるインバウンド消費の増加
- 円高によるメリット、輸入企業の利益改善や日本からの海外旅行のハードルの低下
円安・円高は外国通貨との交換比率の変化により、円の価値の変化を一言で表現した言葉です。相手先の通貨に対して、交換に必要な日本円が100円から150円になると、数字の表記だけだと、円が高くなったように見えます。
しかし、これは日本円を他国の通貨に交換する為に必要な日本円が多くなっているため、日本円の価値が下がり円が安くなったことを示します。交換先の通貨に対して必要な日本円が、以前よりも多くなったら円安、逆に少なくなったら円高です。
円安・円高はあなたの日常生活にも影響する、知っておいて損のないキーワードです。言葉の意味を理解した上でニュースを見ると、今まで見えなかった未来が予測できるようになります。
日用品の価格上昇に備えた買いだめのタイミングや、お得に海外旅行に行けるチャンスを敏感にキャッチできるようになりましょう。