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家計

雇用保険の再就職手当は、いくらもらえるのでしょうか。

基本手当の受給中、就職すると基本手当をもらえなくなります。ただし、早期に再就職をした場合、基本手当の満額のうち一部が支給されるものが「再就職手当」です。

厚生労働省の資料によると、令和元年度は42.5万人に支給され、1人あたりの平均支給額は約39.1万円でした。

本記事では、再就職手当の制度概要を踏まえながら受給金額の計算方法を解説します。受給手続きもわかりますので、ぜひお役立てください。

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雇用保険の再就職手当とは?どんなときにもらえる?

それでは、再就職手当がどのようなものか、どのようなときにもらえるのかについて確認していきましょう。

目的:早期の再就職を促進するための制度

雇用保険の再就職手当は、早期の再就職を促進するための制度(手当)です。詳細は後述しますが、早く安定した職業に就くことで、基本手当の満額に対し70%相当が支給されます。

雇用保険の最も基本的な手当は「基本手当」であり、基本手当を受ける流れは、ハローワークに求職の申し込みをすることから始まります。その後、求職活動を行いつつ、原則として4週間に1度のペースで失業認定申告書を提出しなければなりません。

基本手当を満額受けるためには、所定給付日数の全日数について失業の認定を受ける必要があります。「基本手当を満額もらう」という考え方だと、再就職が遅れ、雇用保険の本来の趣旨を外れてしまいます。

「再就職手当」は早期に再就職するほど多くの手当をもらえるため、早期再就職に向けたインセンティブの位置づけにあるといえるでしょう。

受給要件:待機期間満了後早期に再就職など

再就職手当は、安定した職業に早期に再就職した場合に、基本手当の残額の60%または70%が支給されます。

「安定した職業」や、「早期に再就職した」をさらに具体的にし、不正受給や制度の悪用を除外する要件を追加したものが以下8つの受給要件です。

  • 待機期間満了後に就職または事業を開始したこと
  • 給付制限がある場合は、待機期間満了後1ヶ月間はハローワーク等による紹介就職であること
  • 再就職日の前日時点で基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 再就職日または事業開始日前の3年間に再就職手当や常用就職支度手当を受けていないこと
  • 再就職先で雇用保険の被保険者となること
  • 1年を超えて勤務することが確実であること
  • 離職前の事業主に再雇用されたものでないこと
  • 求職申し込み日前に採用内定していた再就職ではないこと

※求職申し込み日(受給資格決定日)を含め7日間

8つの要件を分類ごとにまとめると以下のようになります。

  • いつから:求職申し込み日から7日間経過(※)してから
  • いつまでに:再就職日の前日時点で基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるときまで
  • どのような再就職:雇用保険の被保険者となる再就職
  • 除外要件:求職申し込み日前に採用が内定した再就職や同一の事業主への再就職ではなく、再就職日前の3年間に再就職手当を受けていないこと

※自己都合退職などの場合は待機期間に加えて2ヶ月または3ヶ月の給付制限があり、待機期間満了後1ヶ月間の応募就職は支給対象にはなりません。

待機期間中に就職した場合や、自己都合退職などで待機期間満了後の1ヶ月以内にハローワーク外で就職した場合は手当をもらえないことに注意してください。

自営業(個人事業)の開始や法人設立した場合の再就職手当の受給要件は?

自営業(個人事業)の開始や法人を設立した場合でも、一定の要件を満たせば雇用保険の再就職手当を受給できます。
一定の要件とは、おもに「労働者を雇い入れた場合」です。その他、税理士資格など業務独占資格を有する人が独立開業した場合も対象となりえます。

参照:厚生労働省「業務取扱要領 雇用保険給付関係(就職促進給付)」(PDF)

雇用保険の再就職手当はいくらもらえる?受給金額の計算方法

それでは、雇用保険の再就職手当がいくらもらえるのか、受給金額の計算方法を紹介します。概要は以下のとおりです。

  • 支給残日数3分の2以上:基本手当日額×支給残日数×給付率70%
  • 支給残日数3分の1以上:基本手当日額×支給残日数×給付率60%

支給残日数が30日以上残っていれば基本手当残額の60%相当がもらえ、60日以上なら基本手当残額の70%相当がもらえます。

以降で、雇用保険の基本手当を受給中の方が再就職手当の額を計算する流れを確認していきましょう。

計算方法①基本手当日額を確認する

まず、計算の基礎となる基本手当日額を確認します。基本手当日額は、雇用保険受給資格者証第1面の19欄に記載があるので確認しましょう。

出典:厚生労働省「雇用保険受給資格者証」を一部編集(PDF)

ただし、再就職手当や就業促進定着手当を含む就業促進定着手当については、以下のように年齢別で基本手当日額の上限額が定められています。

  • 離職時の年齢が60歳未満:6,120円
  • 離職時の年齢が60歳以上65歳未満:4,950円

※毎年8月1日に見直しがあり、この値は2021年8月1日から2022年7月31日までの金額です。

例えば、60歳未満の人が雇用保険受給資格者証の19欄「基本手当日額」に6,500円と記載されていても、再就職手当を計算するときは6,120円になってしまうため注意してください。(2022年7月31日まで)

計算方法②所定給付日数の支給残日数を確認する

次に、所定給付日数の支給残日数を確認します。所定給付日数の支給残日数は、失業の認定を受けた後、雇用保険受給資格者証第3面に記載されます。

出典:厚生労働省「雇用保険受給資格者証」を一部編集(PDF)

ただし、本書面に記載されている残日数は、最後に失業の認定を受けた日における支給残日数であることに注意してください。

実際の手当は、再就職日の前日時点の支給残日数で計算します。まだ再就職が決まっていない人が手当の額を試算するためには、最後の失業認定日から再就職日の前日までの日数を差し引くことが必要です。

仮に認定日が4月10日で、書面に記載されている残日数が80日だったとしましょう。そこで、再就職日が4月20日の場合、再就職日の前日までの日数である10日(認定日当日を含む)を差し引きます。結果、再就職日の前日における支給残日数は70日です。

計算方法③給付率を計算して再就職手当の額を求める

最後に、給付率(60%または70%)を計算して手当の額を求めます。雇用保険受給資格者証に記載された所定給付日数と、再就職日の前日までの支給残日数を踏まえ、給付率を求めましょう。

所定給付日数 給付率60% 給付率70%
90日 30日以上 60日以上
120日 40日以上 80日以上
150日 50日以上 100日以上
180日 60日以上 120日以上
210日 70日以上 140日以上
240日 80日以上 160日以上
270日 90日以上 180日以上
300日 100日以上 200日以上
330日 110日以上 220日以上
360日 120日以上 240日以上

参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」(PDF)

給付率がわかったら、「基本手当日額(上限あり)」に「支給残日数」を乗じ、さらに給付率を乗じると手当の額がわかります。

例えば、基本手当日額が4,747円で所定給付日数が90日、支給残日数が70日の場合は以下のとおりです。なお、1円未満の端数が出た場合は切り捨てます。

基本手当日額4,747円×支給残日数70日×給付率70%=232,603円

この手当があるため、早期再就職の結果、雇用保険からの給付をほとんどもらえないということはありません。(待機期間を満了していない場合と給付制限があって待機期間満了後1ヶ月以内の応募就職の場合を除きます)

自己都合退職で給付制限があっても、ハローワーク等による紹介就職なら待機期間満了後すぐ手当がもらえます。給付制限期間中でも、基本手当の満額に対して70%もらえますので、ぜひ早期再就職を目指しましょう。

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雇用保険の再就職手当をもらう手続き

最後に、雇用保険の再就職手当をもらう手続きを確認しましょう。請求の流れは以下のとおりです。

  1. 「受給者のしおり」にある採用証明書を採用を受けた職場で記入してもらう
  2. 採用証明書・雇用保険受給資格者証・失業認定報告書をハローワークに提出する(就職の申告)
  3. 支給申請書(様式第29号の2)を受け取る
  4. 支給申請書の「事業主の証明」欄を採用を受けた職場で記入してもらう
  5. 支給申請書と雇用保険受給資格者証をハローワークに提出する

必要に応じその他の書類提出を求められることがありますが、通常は「採用証明書」で足ります。なお、支給申請書は、再就職日の翌日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。

支給が決定すると、支給決定日の翌日から7日以内に支給されます。

手当の申請をせずに就職日から1ヶ月を過ぎてしまった場合は?

再就職手当の支給申請は、原則として就職日の翌日から1ヶ月以内に行わなければならないと定められていますが、この時点で請求権が消滅するわけではありません。
具体的には、時効は2年までとされています。就職翌日から2年間は申請できますので、該当する人は申請を急ぎましょう。

参考:厚生労働省「申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ」(PDF)

まとめ:雇用保険の再就職手当を理解し早期再就職を目指しましょう

雇用保険の再就職手当は、失業した人が早期に安定した職業に再就職することを促進する制度です。

本制度の趣旨にならい、8つの要件があります。大まかには、「待機期間の満了後、基本手当の支給残日数が3分の1以上残っている期間までに、雇用保険の被保険者となる再就職をする」ことが受給要件です。

要件を満たせば、「基本手当日額(上限あり)×支給残日数×給付率(60%または70%)」の手当が一括で支給されます。早期再就職は経済的にも精神的にも大きなメリットがあるといえるでしょう。

再就職手当を理解することで、「早く職が見つかった場合に結局、雇用保険の基本手当がもらえず損する」という不安や不満もなくなります。ぜひ、ためらわずに早期再就職を目指しましょう。

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