産休期間に入ると手当がもらえることを知っていても、具体的な支給条件はわからないという人も多いのではないでしょうか。産休期間に入れば、全員がもらえるものではなく、一定の条件を満たし書類を作成して申請する必要があります。
本記事では、産休手当の支給対象となる条件と、申請までの流れや必要な書類について解説します。
出産の前後は何かと他にもやるべきことが多いため、本記事を読んで事前に準備し、安心して出産を迎えられるようにしましょう。
産休手当とはどのような制度?
産休手当とは、正式には「出産手当金」という名前の給付金です。出産のために仕事を休んで、給与が支給されない場合、その期間中の生活を支えるために支給されます。
出産手当金の支給対象となるには、複数の条件を満たす必要があります。支給される金額も収入によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
出産手当金の対象となる3つの条件
出産手当金を受け取るためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 勤務先の健康保険に加入している
- 妊娠4ヵ月以降の出産である
- 出産のために休業している
例外もあるため、それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
条件①勤務先の健康保険に加入している
出産手当金を受け取るためには、妊婦本人が会社員・団体職員・公務員で、被保険者として勤務先の健康保険組合や協会けんぽ、共済組合などに加入している必要があります。正社員だけでなく、アルバイトやパートの人も対象です。
国民健康保険加入者である、自営業やフリーランスの人は対象外となるため、注意してください。
公務員は仕組みが異なる場合があるため、今回は会社員を前提として解説します。
退職後でも適用となるケース
一般的に退職後は、勤め先で加入していた健康保険の被保険者の資格を喪失します。しかし、条件を満たせば、退職後でも出産手当金を受け取ることが可能です。
- 被保険者の資格を喪失をした日の前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること
- 資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること
なお、退職日に出勤してしまうと継続給付を受ける条件を満たさなくなり、退職日の翌日以降は出産手当金が支給されないため、注意してください。
※参考:全国健康保険協会「よくある質問 出産手当金について」
条件②妊娠4ヶ月以降の出産である
健康保険では、「出産」を妊娠4か月以降経過してからの出産と定義しています。出産手当金の支給対象となるのは、妊娠4か月以降に出産した場合のみで、それ以前は支給の対象外です。
条件③出産のために休業している
出産手当金を受け取るには、原則として給与は受け取っていないことが条件です。
産休中に給与の支払いがある場合、給与の支給額が出産手当金より少なければ、差額のみが支給されます。もし給与の支払いがある場合は、どのくらいの金額になるのか計算しておきましょう。
出産手当金がもらえない4つのケース
出産手当金が支給されない場合は、どのようなケースがあるでしょうか。詳しく見ていきましょう。
出産手当金と同様に、育児休業中にもらえる育児休業給付金も給付条件があります。多くの人が、どちらも併せて受給することになるため、こちらも合わせてご覧ください。
対象外①健康保険の被保険者ではなく、扶養家族である
出産手当金の支給対象は、健康保険に加入している被保険者本人です。
そのため、夫が被保険者で、妊婦本人が扶養家族の場合は、出産手当金は申請できません。
対象外②任意で健康保険を継続している
退職などを理由に、勤め先の健康保険の被保険者資格を喪失した後でも、一定の条件のもと希望すれば健康保険を継続して加入することが可能です。
しかし、任意継続で健康保険に加入している場合は、出産手当金は支給されません。対象外となるのが、傷病手当と出産手当金のみのため、受け取れると勘違いしてしまう人も多いため注意しましょう。
※参考:全国健康保険協会「よくある質問 退職後の健康保険について」
対象外③国民健康保険に加入している
国民健康保険に加入している自営業やフリーランスの人は、出産手当金は支給されません。しかし、会社が加入している保険が国民健康保険の場合は給付されることもあるため、確認しましょう。
国民健康保険の加入者の場合は、出産一時金は支給の対象となるため、こちらは忘れずに申請してください。
対象外④産休中に出産手当金の日額以上の収入がある
受給の資格を満たしていても、対象の期間内に給与を受け取っていて、給与の金額が出産手当金の支給額より多い場合は、出産手当金は受け取れません。出産手当金より給与額が少ない場合は、差額分のみが支給されます。
対象の期間内に、有給休暇を取得して収入が発生した場合も、支給の対象外となってしまいます。産休と合わせて有給休暇を取得する場合は、期間をずらすようにしましょう。
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出産手当金はどれくらいもらえる?
出産手当金はいくらくらいもらえるのか気になるでしょう。出産手当金は、支給日以前の働いていた期間の標準報酬月額をもとに計算します。
具体的な計算方法は以下の通りです。
- 出産手当金(1日当たり)=支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3
※標準報酬月額とは、毎年4月~6月に支払われた「報酬」の平均金額を指す
※「報酬」とは、会社から支給される基本給・通勤手当・家族手当・住宅手当・役職手当・残業手当等を指す
上記の式の通り、出産手当金を計算するには、支給開始日(1番最初に出産手当金が支給された日)以前の12か月間における、標準報酬月額から平均額を算出する必要があります。
※参考:全国健康保険協会「よくある質問 出産手当金について」
出産手当金の支給条件について、より詳しく知りたい人は下記の記事もご覧ください。
出産手当金の申請方法とは?
出産手当金を受け取るには、各種書類を作成し、所定の窓口に申請する必要があります。
申請期間は、出産手当金を受け取れるようになった日の翌日から2年で時効になります。場合によっては復職してから申請するという会社もありますが、育休期間や有給休暇も加味して、いつまでに申請すればいいのか、どのように申請するのか把握しておきましょう。
申請手続きの流れ
出産手当金の申請は、勤務先の会社が申請を行ってくれることもあるため、自社はどうなのか確認しましょう。申請までの流れは以下の通りです。
- 会社に産前・産後休業の申請をする
- 出産する人が申請書類を準備する
- 勤め先の会社が事業主証明書類を準備する
- 各種申請書類と添付書類を合わせて所定の窓口に送付する
申請や書類作成のタイミングは企業によって異なるため、直前に慌てないように必要な書類を把握しておきましょう。
申請に必要な書類
出産手当金の申請には、申請書を作成し、必要な書類を添付して提出する必要があります。申請書は、全国健康保険協会のHPから、各種書類(全国健康保険協会「健康保険出産手当金支給申請書」)をダウンロードできます。
申請書に記載が必要な内容は以下の通りです。
- 被保険者情報
- 手当金の振込先指定口座
- 出産予定日や出産年月日などの情報
- 医師・助産師による証明
- 事業主による証明
自分一人で書類を完成させることはできないため、余裕をもって用意することをおすすめします。
まとめ:産休手当の支給条件に自分が該当するか確認してみましょう
産休手当はすべての人がもらえるわけではなく、3つの条件を満たす必要があります。
しかし、退職していても一定の条件を満たせば支給されるため、該当する人は確認しておきましょう。在職中であっても、対象外となる場合もあるため注意してください。
支給までは少し時間がかかったり、本来働いているときの収入の額よりは下がってしまうため、出産手当金だけを頼りにせず、自分でも産休期間中の生活資金は用意しておくことをおすすめします。