「デジタル遺産とはなにかわからない」と悩んでいませんか。終活をするときには、通常の遺産と同じく、デジタル遺産も整理しましょう。デジタル遺産の取り扱いで遺族にトラブルが起きることもあるため、対策方法を知っておく必要があります。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- デジタル遺産とはなにか
- デジタル遺産の種類
- デジタル遺産と法律
- デジタル遺産に似ているデジタル遺品とは。
- デジタル遺産の終活はどうすれば良いか
- デジタル遺産に関するおすすめ書籍
デジタル遺産について知っておけば、遺族に迷惑のかからない終活ができます。ぜひ、最後まで目を通してください。
デジタル遺産とは
デジタル遺産とは、FXや仮想通貨の取引アカウントやSNSアカウントなど、デジタル形式で保管されている財産のことです。自分の死後のために身辺整理をする終活では、部屋の整理だけでなくデジタル遺産の整理も必要です。
デジタル遺産の対策をしていないゆえに、遺族が資産を受け取れないケースも発生しています。また、税金やアカウントの手数料のみが膨れ上がり、気付いたら大きなコストになってしまうこともありえます。終活をするならデジタル遺産の対策もしっかりしておきましょう。
デジタル遺産についてより理解を深めるために、以下の3点について解説していきます。
- デジタル遺産の特徴
- デジタル遺産の種類
- 日本における法整備の現状
身辺整理は健康であるときにこそ正確に行えるのです。後回しにせずに、はやめに取り組むことを推奨します。
デジタル遺産の特徴
デジタル遺産は基本的に、ネット上に保管されています。しかし、スマートフォンを解約するとデジタル遺産にアクセスできなくなる可能性があるので注意が必要です。
デジタル遺産はIDやパスワードを利用しますが、2段階認証を使用しているとログインにはスマートフォンの電話番号やメールアドレスが必要になるケースがあります。
デジタル遺産は、終活で対策をしておかないと遺族を困らせてしまう原因になります。厄介なのは、お金のかかるという点です。たとえば、有料会員登録をしている場合、退会手続きをしない限り、会員料金がずっとかかってしまいます。
生前にアカウント情報をエンディングノート(終活ノート)にまとめたり、家族に伝えたりしておきましょう。
デジタル遺産の種類
一口にデジタル遺産と言っても、いくつかの種類があります。デジタル遺産の主な種類は以下の表の通りです。
種類 | デジタル遺産の例 |
---|---|
金融口座 | ネットバンク |
仮想通貨 | |
FX | |
ポイント | 各種ポイント |
マイレージ | |
有料会員サービス | オンラインサロン |
動画サブスク | |
音楽サブスク | |
その他 | 電子マネー |
通販サイト |
スマートフォンやタブレット、パソコンなどからネット上にあるアカウントや資産は全てデジタル遺産です。遺された家族が困らないよう、アクセスに必要な情報をエンディングノートなどにまとめるようにしてください。
日本における法整備の現状
デジタル遺産も通常の遺産と同じく、相続の対象となります。通常の遺産は、相続について法律で定められています。しかし、デジタル遺産の相続については法整備はまだまだ進んでいません。
今後の法整備がどうなるのかはわかりませんが、海外ではすでに法整備がされている国もあります。たとえば、アメリカはたとえ遺族であっても法的な権限がない場合には、故人のデジタル遺産へのアクセスを禁じています。
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デジタル遺品とは
デジタル遺産について紹介しました。デジタル遺産以外にも、ネット上の財産があります。それがデジタル遺品です。
ちなみに、デジタル遺品とデジタル遺産の両方を指して「デジタル資産」と呼ぶことがあるので、覚えておくと良いでしょう。
ここからデジタル遺品について以下の3点を紹介します。
- デジタル遺産との違い
- デジタル遺品の特徴
- デジタル遺品の種類
デジタル遺産とデジタル遺品の違いを押さえておくことで、生前整理がやりやすくなります。
デジタル遺産との違い
デジタル遺産とは違って、デジタル遺品は直接的にお金につながるものではありません。自作したコンテンツや思い出のデータなどがデジタル遺品にあたります。
デジタル遺品の例は、家族や友人と撮った写真や動画、ダウンロードした音楽データ、Wordなどで作成した文章などです。
デジタル遺品の特徴
デジタル遺品には、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器に保存されているものと、ネット上に保存されているものがあります。
データがさまざまな形でバラバラに保存されているため、遺品整理に苦労する人が多いです。実際、利用している本人でさえ、どこにどのような形で保存されているのか把握できていない場合もあるでしょう。
ネット上に保存されているデータについては、データの保管に料金がかかっているケースもあります。料金を払い続けるのも大変ですが、支払いをやめてしまうとデータを失うので取り扱いに注意が必要です。
デジタル遺産と同様に、デジタル遺品についてもどこにどんなデータがあるのかを把握し、アクセスするために必要な情報をまとめておきましょう。
デジタル遺品の種類
デジタル遺品の種類について紹介します。デジタル遺品の代表的なものは以下の表の通りです。
種類 | デジタル遺品の例 |
---|---|
メール | キャリアメール(docomo、auなど) |
クラウドメール(Gmailなど) | |
アカウント | SNSアカウント |
デジタルデータ | 写真や動画 |
音楽 | |
文章 | |
知的財産 | 機密情報 |
漫画や絵画などの創作物 | |
取得したドメイン |
遺族が困らないよう、あなたが保有しているデジタル遺品をしっかりと把握しておきましょう。
デジタル遺産の整理手順【終活中の人必見】
ここまで、デジタル遺産とデジタル遺品について紹介しました。どちらも終活で情報を整理しておかないと、トラブルの原因となってしまいます。トラブルを未然に防ぐためにも、生前にしっかりと対策しておきましょう。
デジタル遺産やデジタル遺品を整理するときは、以下の6つの手順で行います。
- デジタル遺産と遺品の目録を作る
- 金融情報をスマホで管理する
- 各種サービスをスマホで管理する
- 不要な月額課金制のサービスを解約する
- エンディングノートにIDをパスワードを記載する
- 資産額を親族に伝える
この6つの手順をこなせば、デジタル遺産とデジタル遺品の整理が完了します。情報の漏れがないように、焦らずひとつずつ行ってください。
①デジタル遺産と遺品の目録を作る
まずは、デジタル遺産とデジタル遺品にどんなものがあるのか、目録を作りましょう。利用しているネット上のサービスやデジタル機器に保存されいてるデータなどを洗い出してください。
このとき、もし誰かに見せたくないものがある場合、以下のように対応しましょう。
- どのデジタル遺産・遺品を親族に見せないのか、エンディングノートに書き留める
- 信頼できる親族や友人に見られたくないものを伝える
- パスワード付き、もしくは暗号化機能付きUSBメモリなどにデータを移しておく
- Dropboxにデータを移して、2段階認証を設定した後、パスワードを誰にも教えない
遺族の行動を100%制限できる訳ではないので、あなたの安心する方法や納得する方法でデータを保存してください。
②金融情報をスマホで管理する
クレジットカード情報やFX口座、仮想通貨ウォレットなどの金融情報はスマートフォン上で管理することを推奨します。というのも、手書きで口座番号などをメモすると、筆跡によっては読み間違えることや、記載漏れが発生するリスクがあるからです。
金融情報は厳重に守りたいものなので、パスワードが複雑なケースが多く、デジタルデータで保管しておくほうが確実です。
スマートフォンのロック解除さえできれば、ブックマークやアプリから遺族が金融情報を見つけ出すことができます。遺族が見つけやすいように、ブックマークの最上に保管するなどの工夫をするとなお良いでしょう。
③各種サービスをスマホで管理する
金融情報以外の各種サービスもスマートフォンで管理すれば、遺族がデジタル遺産を管理しやすくなります。サービスによっては、一定期間に利用がない場合、自動的にアカウントを削除してくれるサービスもあります。
たとえば、Facebookには追悼アカウント設定というものがあります。生前に自分が亡くなったときにアカウントをどうするのか決めることが可能です。友人に運営を任せたり、自動で削除したりなど、自分の意思にあった選択をしてください。
④不要な月額課金制のサービスを解約する
月額課金性(サブスクリプション)サービスはあらかじめ解約しておくと安心です。有料のサービスは遺族が存在に気づかなかった場合に大きな負担となるからです。
データを保存するクラウド系のサービスであれば、パソコン上やUSB端末などにデータを移行すると良いでしょう。もし「ギリギリまで使っていたい」という場合であれば、目録に「有料であること」を明記してすぐに遺族が気付けるようにしてください。
⑤エンディングノートにIDをパスワードを記載する
作成した目録には、アクセスするために必要な情報も載せるようにしてください。IDやパスワード、アカウント登録に使っているメールアドレス、電話番号もまとめて記載しましょう。
そのほか、忘れがちなのがスマートフォンやパソコンのロック解除をするためのパスコードです。デジタル機器を使用できないと、ログイン情報があってもデータにアクセスできません。忘れずに記載しましょう。
⑥資産額を親族に伝える
デジタル遺産を全てまとめた資産額を親族に伝えておきましょう。直接お金につながらないデジタル遺品についても、誰が管理するのかを定めておくとトラブル防止になります。
生前に伝えるのが難しい場合は、誰に相続して欲しいのかをエンディングノートに記しておきましょう。これがあなたの遺言となり、相続時の判断の基準となります。
デジタル遺産に関連する書籍を紹介
ここまで、デジタル遺産とデジタル遺品の基礎知識および整理手順について解説しました。さらに詳細を知りたい人は、デジタル遺産についての書籍を読んでみることをおすすめします。
デジタル遺産についての書籍を6冊紹介していきます。
- 『デジタル遺産の法務実務Q&A』 北川洋一
- 『「デジタル遺品」が危ない』 萩原栄幸
- 『スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門』 吉田雄介
- 『ここが知りたい! デジタル遺品』 吉田雄介
- 『故人サイト』 吉田雄介
- 『デジタル終活—もしもに備えるデータ管理術』
全てデジタル遺産や遺品に関するの書籍ですが、それぞれ焦点が異なります。あなたが知りたいことに焦点を当てている書籍を選んでください。
①『デジタル遺産の法務実務Q&A』 北川洋一
最初に紹介するのは『デジタル遺産の法務実務Q&A』です。本書を書かれた北川洋一さんは弁護士であるため、デジタル遺産と法律の関係性を中心に扱っています。
Q&Aでは、本人以外にも遺族からの質問やクラウドサービス(SNSなど)の提供者からの質問に答えており、デジタル遺産を多角的に理解できるでしょう。
トラブルを防ぎたい人、デジタル遺産の法律的な部分を詳しく知りたい人におすすめの一冊です。
②『「デジタル遺品」が危ない』 萩原栄幸
『「デジタル遺品」が危ない』は、終活カウンセラーであり、セキュリティの専門家である萩原栄幸さんが書かれた本です。本書では、主にデジタル遺品のセキュリティに関して書かれています。
SNSアカウントのセキュリティが甘いと、どんなトラブルが起きて、遺族に負担をかけるのかを痛感するでしょう。また、遺族側になったときにデジタル遺品にどう対処していくべきかについても触れられています。
デジタル遺品のセキュリティについて詳しく知りたい人におすすめです。
③『スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門』 吉田雄介
『スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門』は、デジタル遺品の相続について語られています。
「遺族が本人の許可なしにSNSアカウントにログインして良いのか」「遺族にも隠したい情報はどうしたら良いのか」など、具体的な疑問を元に書かれています。
相続する側とされる側の両方からデジタル遺品の相続についてアプローチしているため、「終活をしたい人」「遺族になった人」のどちらの立場であってもおすすめです。
④『ここが知りたい! デジタル遺品』 吉田雄介
『ここが知りたい! デジタル遺品』の著者である吉田雄介さんは、デジタル遺品研究会ルクシーの理事を務めています。
ルクシーに寄せられたデジタル遺品についての質問に答えながら、デジタル遺品について詳しく解説されています。
また、本書にはデジタル遺品を整理するための専用シートがついており、手順通りにシートを書くだけでデジタル遺品の目録を作ることが可能。自分の終活に使ったり、遺族が遺品整理に使ったりできます。
デジタル遺品とはなんなのか、デジタル遺品の整理の仕方を詳しく知りたい人におすすめです。
⑤『故人サイト』 吉田雄介
『故人サイト』は、デジタル遺産の中でも、亡くなった人が運営していたサイトや利用していたサイトの取り扱いについて詳しく書かれています。人によっては、ネット上に自殺をほのめかすような書き込みをしたり、書き込みの直後に事故死したりする場合があります。
そのようなサイトの書き込みについて、遺書として取り扱うのかどうか、ダイイングメッセージと考えることはできるのか、など死と故人の関係性などについて切り込んでいる本です。
実際に、すでに亡くなった方が書いていたサイトの中でも、とくに印象的なサイトを紹介している箇所もあります。本書の場合は、終活や相続という話よりも、デジタル上の書き込みと故人の思いなどを探る内容です。
デジタル遺品や遺産から故人をどう理解していくのか、といった悩みを抱えている人におすすめの一冊です。
⑥『デジタル終活—もしもに備えるデータ管理術』
『デジタル終活—もしもに備えるデータ管理術』はムック本(書籍と雑誌の中間)であるため、図解も豊富で読書が苦手な方でも読みやすいです。
デジタル遺産とデジタル遺品について、終活時に気をつけるべきことや生前整理の仕方を紹介しています。書籍よりも手軽にデジタルデータに関する終活について知りたい人におすすめです。
まとめ:デジタル遺産と遺品を整理して終活を行おう
デジタル遺品とデジタル遺産について紹介してきました。個人が保有するデジタルデータが増えている現代では、デジタルデータとして保管されている財産について対策をする必要が出てきています。
自分の保有しているデジタル遺品やデジタル遺産を把握し、目録を作ることで遺族が遺品整理に困らないように対策をしておきましょう。さらにデジタル遺産の相続などについて詳しく知りたい人は、当記事で紹介した書籍も参考にしてください。