子どもの将来を思い、子ども名義で口座開設をして積み立てを行っている人は少なくないでしょう。しかし、このような積み立て方法は名義預金と判断され、相続税の課税対象になってしまう可能性があります。
- 名義預金ってなに?
- 名義預金と判断されないための対策を知りたい
- すでに名義預金をしている場合は相続税がかかってしまうの?
この記事では、以上のような疑問を解決できるように、名義預金について詳しく解説していきます。さらに、相続税対策として名義預金ではないことを証明する方法4つと、すでに預金している場合の対策3つも紹介しています。
名義預金とは
名義預金とは、口座名義と実際に管理を行う人物が異なる口座のことを言います。よくあるのは、妻や子、孫の名義で口座を作り、管理を被相続人が行っているパターンです。
被相続人が亡くなった場合、名義預金は、残された財産と判断されて相続税の対象となります。
どうして名義預金は税務署にバレるのか
名義預金が税務署にバレてしまう理由を解説します。
「黙っていれば、名義預金は税務署にバレないだろう」と、思っている方も多いでしょう。しかし、税務署は過去の申告をベースに、財産の有り高をある程度予想できます。たとえば、専業主婦なのに高額な預金残高があると、真っ先に名義預金だと疑われます。
税金の申告漏れは加算税のペナルティ
申告漏れがあった場合、どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
税金の申告が漏れてしまうと加算税の対象となり、以下の表のように本来の納付税額よりも多く納付しなければなりません。
ペナルティ | 税率 | 備考 |
---|---|---|
過少申告加算税 | 追加納付税額×10% | 追加納付税額のうち、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える場合には、超えた部分に対して15%が課税される |
重加算税 | 追加納付税額×35〜40% | - |
事実の見落としや認識不足などで名義預金が申告漏れしてしまった場合、「過少申告加算税」が適用される可能性があります。事実の隠蔽や偽装など税務署を欺こうという意図が見られる場合には、「重加算税」という大きなペナルティが課せられる可能性があります。
名義預金か否かの判断基準
何をもって名義預金と判断されるのでしょうか?名義預金かどうかの判断基準は、以下の通りです。
- 財産の資金源はどこか
- 生前に贈与されたものか
- 財産の管理を誰が行っていたか
あなたの預貯金が名義預金にあたらないか確認してみましょう。
財産の資金源はどこか
財産の資金源から名義預金かどうかを判断します。夫が稼いだお金が妻の口座にあった場合、「預金は夫のもの」と判断されてしまいます。夫の代理として妻が預金していただけで、実質は夫の財産と判断されるためです。
生前に贈与されたものか
適切に生前贈与の手続きが行われているかによって名義預金かどうかを判断します。具体的には、過去の申告や贈与契約書の有無などから総合的にチェックされます。生前贈与が済んでいることが証明できれば、贈与をうけた人の財産といえます。
財産の管理を誰が行っていたか
財産の管理を誰が行っていたかで名義預金かどうかを判断します。親が子どもの口座に振り込んでいた場合でも、子ども名義の口座の通帳や印鑑などを親が管理していれば、名義預金とみなされる可能性が高いです。
また、夫が妻に口座管理を任せていたものの「最終的な決定権は夫にある」と、判断された事例もあるので注意が必要です。
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名義預金と判断されやすいケース3選
ここでは、名義預金と判断されやすい3つのケースを紹介します。
- 子ども名義での積み立て
- 夫による妻名義での預金
- 専業主婦のへそくり
大切な家族の預金は問題ないか確認しましょう。
①子ども名義での積み立て
子どものために、定期的に積み立てるというのは、一見すると良い習慣のように思えます。しかし、本人が口座のことを知らず資金源が名義人以外のものであれば、名義預金と判断されてしまいます。
通帳の管理を親がしている場合、注意が必要です。子ども本人が名義預金があることに気づかないと、意図せず申告漏れをすることになり加算税の対象となってしまいます。結果として、余計に相続税を支払わなければなりません。
②夫による妻名義での預金
夫が妻名義の口座へ預金しているときも、夫の名義預金と判断されます。お金の出所が夫だからです。例えば、共有の生活費として夫が妻の口座に入金し、妻が口座管理をしている場合も名義預金が疑われます。このケースも見落としやすいので、要注意です。
③専業主婦のへそくり
「主婦のへそくりだから」という言い逃れは通用しないことが多いです。専業主婦やパートなのに口座には数千万単位の残高があれば、配偶者の所得が資金源とわかるため名義預金と判断される可能性があります。
相続税対策その1|名義預金ではないことを証明する4つの方法
ここまで名義預金と判断されるケースについて説明しました。疑われる可能性がある人は、もしものときのために事前に準備をしておくと安心です。
ここでは、名義預金ではないことを証明する方法を4つ紹介します。
- 贈与契約書を作成する
- 贈与税を毎年申告する(単年ではない場合は贈与とみなされるケースがある)
- 自分名義の財産に関わる書類を保管する
- 名義人自身が口座を開設する
①贈与契約書を作成する
贈与契約書を交わし、生前贈与の証拠を残しておきましょう。贈与契約書に記載すべき事項は以下の通りです。
- 贈与する財産
- 贈与者と受贈者間での約束である旨
- いつまでに受贈者の銀行口座に振り込むか
- 各自の署名・住所・押印
- 書類の作成日時
贈与契約書は、贈与者と受贈者それぞれが1部ずつ保管するようにすると安心です。
②贈与税を毎年申告する
税務署は、生前に贈与されていた場合、名義預金ではないと判断します。そのため、贈与の事実を申告の形で残しておくことが大切です。生前に贈与していたことの記録を残すことで、申告漏れを指摘されにくくなります。
贈与税の非課税枠は1年間で110万円です。110万円を超えた部分に関しては、申告と納税を毎年行い、名義預金と認定されないようにしましょう。
③自分名義の財産に関わる書類を保管する
「この預金は自分の財産」と主張できるようにすることも大切です。そのため、根拠となる通帳や源泉徴収票などの資料は、日頃から保管するようにしましょう。
④名義人自身が口座を開設する
口座開設は、名義人自身がおこなうようにしましょう。例えば、妻の口座を開くなら、妻自身が自分の印鑑を使用し口座開設するようにします。そして、口座の管理も妻自身で行うようにすると良いです。
相続税対策その2|すでに名義預金をしている場合の3つの対策
「もうすでに名義預金をしている場合はどうしたら良いの?」という人は、以下の対策を実践しましょう。
- 名義預金を本人の名義に戻す(メモを残すことを推奨します。また、二重に贈与にならないように注意します。)
- 贈与であることを認めて贈与税を支払う
- 困ったときは専門家に相談をする
①名義預金を本人の名義に戻す
妻や子、孫の名義の口座でありながら、お金を貯めているのが別人(夫など)である場合は、本人の口座名義に戻すようにしましょう。
「財産を実質的に管理しているのは誰か」という観点で、名義預金は判断されます。本人の名義に戻すことで、名義預金ではなくなります。
そして、妻や子、孫に贈与しているという事実を残すために、贈与契約書を交わしておきましょう。110万円を超える金額に関しては贈与税がかかってしまうものの、加算税を支払う必要がなくなります。
②贈与であることを認めて贈与税を支払う
あとから名義預金が発覚すると、前述した通り加算税を課せられます。そこで、年間110万円までの贈与なら贈与税がかからない仕組みを利用して、あらかじめ正しく贈与税を納めた方が、結果的に税金を低く抑えることができます。
困ったときには税理士に相談する
判断に困ったら、税理士に相談してみましょう。税務と一口に言っても、多くの分野があるので、相続を得意・専門とする税理士に連絡することを推奨します。
まとめ:名義預金の相続税対策は早めに行おう
今回は、名義預金における注意点と相続税対策について解説しました。 最後に本記事の内容をまとめて紹介します。
- 名義預金とは、名義人と管理者が異なる財産のこと。
- 名義預金が発覚すると、ペナルティが課されるので、早めの対策が必要。
- 名義人本人の口座ということを根拠資料を提示して証明する。
- 名義人への贈与を認め、納税を行う。
- 迷ったら相続に詳しい税理士に相談する。
名義預金の概念を知っておけば、すぐにでも税金対策できます。この記事で紹介した税金の対策方法を使って、多くの財産を手元に残してください。