ドル建て保険は円安・円高どっちで加入すべき?終身保険・個人年金保険・養老保険を比較

ドル建て保険は円安・円高どっちで加入すべき?終身保険・個人年金保険・養老保険を比較

  • 「ドル建て保険って、円安のときに入るべき?それとも円高のときが得?」
  • 「為替変動で損するって聞いたけど、タイミングが重要なの?」
  • 「加入後に円高が進んだらどうなるのか不安…」

このように考えている方もいるでしょう。

結論、為替の有利・不利だけでドル建て保険への加入を判断するのは危険です。

以下のように、円安・円高それぞれでメリット・デメリットがあります。

為替状況円安で加入した場合円高で加入した場合
円安時保険金の円換算額が増えやすい保険料負担が重く、家計圧迫に注意
円高時保険料が安く済む将来の受取時に円安になると損失リスクあり

本記事では、円安・円高のタイミングによる影響を分かりやすく整理しつつ、終身保険・個人年金・変額年金・養老保険といった主要なドル建て保険の違いや、加入・解約タイミングの判断方法まで解説していきます。

この記事を読めば、ドル建て保険の加入・解約・据置の最適タイミングが判断できるようになります。

「為替に振り回されたくない」「損したくない」という方は、ぜひ参考にしてください。


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目次

ドル建て保険とは?円安・円高って?

ドル建て保険とは?円安・円高って?

まずは、ドル建て保険とはどんな保険なのか、そして円安・円高がどう関係してくるのかを解説していきます。

ドル建て保険(外貨建保険)は外貨で運用される生命保険商品

ドル建て保険とは、日本円ではなく米ドルなどの「外貨」で保険料を払う生命保険です。正式には「外貨建保険(がいかだてほけん)」と呼ばれています。

一番の特徴は、支払うお金も受け取るお金も外貨ベースで計算されることです。日本円の保険ではなかなか得られない高い利回りを期待できるため「貯金代わりに入っておこうかな」と考える方も増えてきました。

代表的な種類は以下の通りです。

種類詳細
終身保険一生涯の保障があるタイプ。亡くなったときにドルで保険金が出る
個人年金保険老後に向けて、一定の期間ドルで年金を受け取る仕組み
養老保険満期まで生きていれば満額がもらえ、万一でも同額の保険金が支払われる

ただし、保険金の支払いや満期返戻金を円で受け取る場合には為替レートの影響を受けるため、「いつ加入するか」「いつ解約するか」によって受け取り額が変わる点に注意が必要です。

円安・円高は「円の価値の変動」であり資産価値に直結する

「円安」「円高」とは、日本円と外国通貨(主に米ドル)との相対的な価値の変化を示す言葉です。

意味をシンプルに説明すると、以下のような違いがあります。

為替状態為替の変化例意味保険への影響例
円安1ドル=100円↓1ドル=150円円の価値が下がる(ドルの価値が上がる)保険金を円に換算したときの金額が増える可能性がある
円高1ドル=150円↓1ドル=100円円の価値が上がる(ドルの価値が下がる)円で受け取ると、受取額が減ってしまう恐れがある

円安・円高が具体的にどう関係してくるかを表すと以下のようになります。

▼10万ドルの保険金を受け取る場合の具体例

為替レート円換算額
1ドル=80円800万円
1ドル=100円1,000万円
1ドル=130円1,300万円

このように、ドル建て保険は単なる生命保険商品ではなく為替を伴う金融商品でもあるため、「保障」だけでなく「為替の知識」が重要になるということです。

ドル建て保険は円安・円高でどう変わる?加入・解約タイミングとは

ドル建て保険は円安・円高でどう変わる?加入・解約タイミングとは

円安・円高それぞれの局面で、ドル建て保険にどのような影響があるのかを解説します。

加入・解約タイミングの判断材料としてぜひ参考にしてください。

円安|保険金の円換算額は増えるが払込保険料の負担も大きい

円安局面では、ドル建て保険金を受け取る際に円換算で増えやすいというメリットがあります。

▼10万ドルのドル建て保険金を受け取る場合の具体例

為替レート円換算額
1ド=100円1,000万円
1ドル=150円1,500万円

このように、出口(満期・解約・死亡)のタイミングが円安なら有利に受け取れる可能性があります。

ただし、加入タイミングによっては割高になりやすいのが円安時の注意点です。

つまり、円安のときは「受け取りには有利・加入には不利」。円安局面でドル建て保険に加入する場合は、一時払いではなく平準払い(分割支払い)でリスクを分散するのがおすすめです。

円高|解約時の為替次第で元本割れの可能性あり

円高局面では、ドル建て保険の加入コストが抑えられるというメリットがあります。

しかし、出口が円高である場合は要注意です。円での受取額が思っていたよりも少なくなる=元本割れするリスクがあります。

解約返戻金為替レート円換算額
10万ドル130円1,300万円
10万ドル100円1,000万円
10万ドル80円80円

解約時には「為替手数料」や「解約控除」も差し引かれるため、円高+中途解約は損失が重なりやすいです。

したがって、円高時に加入するなら、長期前提ですぐに解約しない覚悟がある人向けと言えるでしょう。

ドル建て保険の円安・円高影響を受けやすい4商品を比較

ドル建て保険の代表的な4つの商品について、円安・円高の影響をどれくらい受けやすいかという視点で比較していきます。

終身保険|長期保有なら為替変動の影響を受けにくい

ドル建ての終身保険は、亡くなるまで一生涯保障が続くタイプです。保険金の受け取りは基本的に「死亡時」なので、数十年単位での長期運用が前提になります。

「長期運用」が肝であり、円高や円安の影響は時間とともに平均化されやすくなるのがポイントです。

観点内容
円安時死亡保険金を円で受け取る場合は換算額が増えやすい
円高時円換算額は下がるが、外貨での受け取りを選べばリスク回避も可能

終身保険は資産の一部を外貨で保有する感覚に近く、為替の変動を気にしすぎずにじっくりと持ち続けたい人向けです。

家族に外貨のまま資産を残したい、という目的にもフィットします。

個人年金保険|受取時期の為替で年金額に差が出る

ドル建ての個人年金保険は、老後の生活費を準備するための商品です。60歳や65歳から、数年〜数十年にわたってドルで年金を受け取る形式が一般的です。

受取期間中の為替の動きが年金額にそのまま反映されます。

観点内容
円安時1回ごとの年金受取額が増えやすい
円高時年金の換算額が目減りし、生活費が足りない可能性あり

確定年金(受取期間が固定されているタイプ)の場合、数年間の為替変動がそのまま年金総額に影響します。

据え置き(年金の受け取りを遅らせる仕組み)や外貨受取の可否など、柔軟性の高い商品かどうかも契約前にチェックしましょう。

変額年金保険|運用成績と為替で受取年金額が大きく変動する

ドル建ての変額年金保険は、支払った保険料を投資信託のように運用し、成果に応じて将来の年金額が変わるリスク型の商品です。

ドル建ての場合は為替の影響もダブルで受けるため、上下の振れ幅が大きくなります。

観点内容
円安時×好運用年金額が大きく増える可能性あり(運用+為替のダブル効果)
円高時×不調運用元本割れ+為替目減りのダブルリスクあり

リターンを求めたい人には魅力的ですが、「老後資金を確実に確保したい」という方には向きません。

投資経験があり、値動きにも慣れている方に適した商品です。

養老保険|短期運用向きで為替のタイミングが重要

ドル建ての養老保険は保障期間中に亡くなれば保険金無事に満期まで生きれば同額の満期金がもらえるという「定期+貯蓄」の中間型です。

保険期間は5年〜10年程度と短めで為替が動く回数が少なく、契約時と満期時の為替レートがすべてといっても過言ではありません。

観点内容
満期時に円安受け取る金額が円換算で増える
満期時に円高受け取り額が目減りし、元本割れに近づく可能性あり

一時払い(最初にまとめて払う)の契約では、元手を短期で回収するために為替の見極めが重要になります。

短期勝負なだけに、為替のタイミングを慎重に見て動ける人向けの商品です。

とはいえ、「今が為替的に有利なのか判断がつかない」「家計にどれくらいリスクを取ってよいのかわからない」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

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プロのファイナンシャルプランナーが、あなたのライフプランや資産状況をもとに、外貨建て保険の活用方法や家計全体のバランスについて丁寧にアドバイスしてくれます。

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【シミュレーション】円安の今、ドル建て保険でいくら得する?損する?

【シミュレーション】円安の今、ドル建て保険でいくら得する?損する?

ドル建て保険の仕組みを理解できても、実際にどれくらいの損得になるのか気になるものです。

ここでは、以下の条件でシミュレーションをします。

  • 加入年齢:30歳
  • 保険タイプ:終身保険
  • 月額保険料:200ドル
  • 払込期間:35年間(65歳まで)
  • 受取額:10万ドル(65歳時点で受取)
スクロールできます
想定為替月額保険料払込年数払込総額受取額(ドル)受取額(円)差額
円高(110円)200ドル35年12,096,000円(144円基準)84,000ドル9,240,000円−2,856,000円(損)
現在(144円)※2025年5月27日時点の為替レート200ドル35年12,096,000円(144円基準)84,000ドル12,096,000円±0円
円安(160円)200ドル35年12,096,000円(144円基準)84,000ドル13,440,000円+1,344,000円(得)

同じ保険金でも為替次第で「数百万円単位」の差が出るのがドル建て保険です。

「今の為替がどうか」だけではなく、自分が将来どのタイミングで受け取るのかを見据えて契約を検討することが大切です。

ドル建て保険の円安・円高リスクに備えるには?やってはいけない3つのこと

ドル建て保険の円安・円高リスクに備えるには?やってはいけない3つのこと

為替リスクに備えるために絶対に避けるべき「やってはいけない3つのこと」を紹介します。

円安下で無理な加入は払込期間中に家計を圧迫する

ドル建て保険加入時の為替が円安すぎると、支払う保険料が高くなり家計を苦しめるリスクがあります。

もし「無理して契約→払えなくなって途中解約」になれば、

  • 解約控除で元本割れ
  • 解約時が円高だとさらに損

というダブルパンチに陥る可能性も。

加入タイミングよりも「今後も無理なく払えるかどうか」を基準に考えることが大切です。

「払い済みにすれば為替リスクがなくなる」と思い込むのは危険

ドル建て保険には「払い済み」という保険料の支払いを止めて契約だけ続ける方法があります。

「支払いが終わったから、あとは安心」と思いがちですが、保険金や解約返戻金を円で受け取る限り為替リスクは最後までついて回るため注意が必要です。

たとえ払い済みにしても、受け取り時が円高だった場合は目減りして損をすることも

「払い済み=安全」ではなく、むしろ戦略的に出口を見極める準備が必要になるタイミングだと考えてください。

プルデンシャルなど有名保険でも対策なしはリスクを高める

「プルデンシャル」や「ジブラルタ生命」など、名前を聞いたことのある大手保険会社のドル建て保険。信頼できそうに見える分、「なんとなく安心」と思ってしまう方も少なくありません。

ですが、どんな保険会社の商品でも為替リスクは必ずついてきます。パンフレットのシミュレーションは「理想的な為替」で作られていることが多いため、現実の動きとギャップが生まれるのは当然です。

さらに、金融庁も「外貨建保険は説明不足による誤認が多い」と警鐘を鳴らしています。

  • 為替のチェックを怠る
  • 契約時の説明だけで納得してしまう
  • 出口(受取・解約)の計画を立てていない

こうした放置は保険金の目減り元本割れにつながる可能性が高くなります。

ブランドに頼りすぎず、契約後の自分の管理力も重要であることを忘れないようにしましょう。

ドル建て保険は円安・円高で解約返戻金が変動する?損を防ぐ3つの方法

ドル建て保険は円安・円高で解約返戻金が変動する?損を防ぐ3つの方法

ドル建て保険での解約返戻金の損失を防ぐための3つの重要ポイントを紹介します。

円安時の解約は為替益で解約返戻金が増える可能性がある

解約返戻金はドル建てで計算された金額を円に換算して支払われるため、円安のときに解約すると円換算額が増えて得しやすい傾向があります。

ただし、為替手数料・税金・解約控除などのコストもあるため、「増えた分がそのまま利益になる」とは限りません。

解約前には受取額のシミュレーションをして、手取り額まで計算しておくことが大切です。

円高時は外貨で受け取ると円換算の目減りを避けられる可能性も

円高のときにドル建て保険を解約すると、ドルの価値が下がってしまう関係で受取額が目減りするリスクがあります。

すぐに円で受け取るのではなく外貨のまま受け取って、タイミングを見て換金するという方法がおすすめです。

多くの保険商品では「円受け取り or 外貨受け取り」が選べるため、契約時にどちらが選べるかを確認しておくことが損を避けるコツになります。

解約前には「解約控除」と「為替タイミング」を確認する

ドル建て保険の解約時に見落とされがちなのが、「解約控除(解約時に差し引かれる手数料)」と「適用される為替レートのタイミング」です。

注意点詳細
解約控除契約から5〜10年未満で解約すると数十万円単位で引かれることが多い
為替タイミング多くの場合、「解約申出日」ではなく「処理完了日」のレートが使われる

つまり、思っていたよりも不利なレートが適用される場合もあり、「いつ解約するか」は日単位で結果が変わることもあるということです。

損を避けるには、解約前に以下を確認しておきましょう。

解約前の損を避けるコツ
  • 解約返戻金のドル建て金額と計算方法
  • 適用される為替レートと決定タイミング
  • 解約控除の有無と金額
  • 外貨受け取りの可否

不安な方は事前に保険会社へ問い合わせて「今解約したらどうなるか」をシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

ドル建て保険は円安・円高のどっちで10年満期を迎えるべき?

ドル建て保険は円安・円高のどっちで10年満期を迎えるべき?

ドル建て保険の多くは中期運用を想定した設計であり「いつ満期を迎えるか」=「どの為替水準で受け取るか」によって受取額を左右します。

ここでは、円安・円高それぞれの満期時の影響と、最適な受取判断の方法を紹介します。

円安時の満期受取は円換算額が増える傾向にある

満期時に円安が進んでいれば、同じドル建て保険金でも円換算額が増えるため受取額の面では有利になります。

円安時は「外貨建て資産の価値が高く評価される」状態であるため、円で受け取ることによって為替益が期待できるのです。

したがって、満期が近づいたタイミングで円安傾向にある場合は、受け取りの絶好機といえます。

円高が進んだ場合は外貨のまま据え置く選択肢も

満期を迎えたときに円高が進んでいると、同じドル額でも円で受け取ると損してしまうことがあります。

無理に円で受け取らず、ドルのまま保険会社に据え置いておくことも視野に入れましょう。

保険商品によっては、満期後一定期間は外貨建てで運用を続けられる「据え置き制度」や「外貨口座への振替制度」が用意されています。

とはいえ、「据え置いた方が得なの?」「円高が今後どうなるの?」といった判断は専門知識がないと難しいものです。

そんなときは、マネーコーチの無料オンライン家計診断を利用してみてはいかがでしょうか。

プロのファイナンシャルプランナーが、為替リスクを含めたあなたの資産全体を分析し、最適な選択肢をご提案します。

「今の選択が本当にベストなのか?」と迷ったら、まずは気軽にご相談ください。


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ドル建て保険に向いている人・向かない人とは?

ドル建て保険に向いている人・向かない人とは?

ドル建て保険は円建て保険にはない魅力がある一方で、仕組みの複雑さからすべての人に適しているわけではありません。

ここでは、ドル建て保険に「向いている人」と「向かない人」の特徴を整理しますので、自分がどちらに該当するのかを確認してみましょう。

資産を外貨分散したい人にはメリットがある

以下のような人は、ドル建て保険をうまく活用することで資産形成における外貨分散の効果を得られます。

  • 日本円だけでの資産保有に不安を感じている人
  • 将来的に米ドルを使う予定がある人(子どもの留学、海外移住など)
  • 円安傾向が続くと予想している人
  • 長期的な資産運用に対して柔軟なスタンスを持っている人

ドル建て保険は為替変動によって利益が出る可能性もあるため、「守り」と「攻め」をバランスよく取り入れたい人には向いています。

為替リスクや元本保証を重視する人には不向き

一方で、以下のような考えを持つ人にとってドル建て保険は不向きといえるでしょう。

  • 確実な返戻率を重視する人
  • 為替リスクに対する理解・耐性が乏しい人
  • 保険=保障としか考えていない人
  • 定期的に為替や市場動向をチェックする習慣がない人

「何となく利率が高そう」「担当者に勧められたから」といった理由だけで加入してしまうと、予期せぬ為替変動による損失リスクが高まります。

長期運用かつ目的に合っているかが判断の分かれ目

ドル建て保険に向いているかどうかは、「保険を何のために活用するのか」という目的と「どれくらい長く持ち続けられるか」によって変わります。

活用目的向き・不向き
老後資金など10年以上の長期目的◎(向いている)
数年以内に使う資金を運用したい✕(向いていない)
相続対策や外貨資産の分散として◎(向いている)
解約する可能性が高い or 金利上昇に備えたい✕(再検討すべき)

ドル建て保険は「長期運用+資産分散+目的一致」が揃ったときに最も力を発揮する商品です。

安易な契約は避け、自分に本当に合っているのかを今一度検討しましょう。

ドル建て保険の契約時に注意すべき4つのポイント

ドル建て保険の契約時に注意すべき4つのポイント

ドル建て保険の契約前に必ずチェックすべき4つの重要ポイントを紹介します。

保険金の受け取り方法が「円のみ」か「外貨選択可」かを確認

ドル建て保険金や解約返戻金を「円でしか受け取れない」のか「ドルで受け取ることもできるのか」によって将来の自由度が変わります。

受け取り方法特徴
円のみ為替が不利でも円換算されてしまう。目減りのリスクが避けられない
外貨選択可為替のタイミングを見て円換算できる or ドル預金として据え置ける

満期時が円高だった場合に外貨で受け取れると、有利な為替レートまで待ってから円に換えることが可能です。

パンフレットや設計書には「円受取のみ」か「選択可能」かが明記されています。契約前に必ずチェックし、「出口戦略に柔軟性があるか」を見極めましょう。

「利率が高い」はリスクが高いの裏返しである

「予定利率が高いです」「日本の保険よりお得です」など、利回りの高さばかりを強調する営業トークに要注意です。

たしかにドル建て保険は円建てよりも利率が高く設定されていることが多いですが、元本保証がない・為替リスクがあるなどのリスクを背負っているからこそです。

こんな言葉には気をつけましょう。

  • 「3%で運用できるからお得です」
  • 「定期預金より効率的ですよ」
  • 「増える保険で安心です」

こういった言葉の裏には、為替の変動・解約控除・手数料負担などが含まれていることが多く、数字の見た目だけでは判断できません。

「高利率=高リスク」という基本を忘れずに、契約前にはリスクとリターンのバランスを冷静に見極めることが必要です。

契約内容に「解約控除」や「手数料」が含まれているか要チェック

ドル建て保険を途中でやめると「解約控除」というコストが差し引かれる場合があります。

契約条件内容
解約控除契約から〇年以内に解約した場合、返戻金から差し引かれる罰金のようなコスト
為替スプレッド両替時に発生する手数料(買値と売値の差)
外貨口座維持・管理手数料保険会社や金融機関により発生する可能性あり

今は必要なくても、将来の事情で解約する可能性は0ではありません。契約時点で、「いくら戻ってくるのか」「どんな手数料が引かれるのか」をしっかり確認しましょう。

金融庁が警鐘を鳴らす「誤認誘導」に注意

ドル建て保険をめぐっては、金融庁が過去に何度も「販売現場における誤認誘導」に対して注意喚起を行っています。

以下のような誤解を招く説明は、実際に行政指導の対象になったこともあります。

  • 「為替の変動リスクはあまり気にしなくていい」
  • 「円安の今こそお得です」
  • 「元本割れの心配はありません」

こうした営業トークを真に受けて契約してしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」というトラブルに発展する恐れがあります。

高齢者への説明不足やパンフレットの記載不備などは金融庁も問題視しており、自分自身で契約内容を理解・納得したうえで判断することが大切です。

ドル建て保険と円安・円高に関するよくある質問

ドル建て保険と円安・円高に関するよくある質問

ドル建て保険と円安・円高に関するよくある質問と回答を紹介します。

ドル建て保険は円安・円高のどっちで加入すべき?

加入するなら「円高のとき」のほうが為替面では有利です。とはいえ、為替を気にしすぎて本来の目的を見失ってはいけません。

保険は10年〜20年持ち続ける前提の商品です。「家計的に継続できるか」「目的に合っているか」を優先して判断しましょう。

ドル建て保険のやめ時はいつ?

ドル建て保険をやめるなら、円安が進んで解約返戻金が円で大きく増えるタイミングがひとつの判断材料です。

ライフスタイルの変化で保険の目的が不要になったり支払いが厳しくなったときも、やめどきを見直すチャンスです。

ただし、解約には手数料や為替リスクがつきものなので、損益シミュレーションをしたうえで判断することが大切です。

解約返戻金にかかる税金は?

ドル建て保険を解約して利益が出た場合は、「一時所得」として所得税の対象になります。 課税額は以下の式で算出されます

(解約返戻金 − 払込総額 − 特別控除50万円)÷ 2

例えば、解約で200万円の利益が出た場合、控除後の半分=75万円が課税対象です。

なお、ドル建て保険金を外貨で受け取っても、日本円に換えたタイミングで課税される点には要注意。事前に税理士や保険会社に確認することをおすすめします。

ドル建て保険を解約したほうがいい状況とは?

以下のいずれかに当てはまるなら、解約を前向きに検討してもよいでしょう。

  • 契約時より大幅に円安が進み、為替益が大きく膨らんでいる
  • 保険に期待していた目的(学費・老後資金など)が不要になった
  • 保険料の支払いが負担になっていて、途中での継続が難しい

ただし、途中解約では「解約控除」や「為替スプレッド」により元本割れのリスクもあります。焦って判断せず、契約内容と損益をしっかり確認した上で決断しましょう。

ドル建て保険は満額受け取れることもある?

はい。条件を満たせば、円換算で払込額以上の金額を受け取れることがあります。

とはいえ、解約控除・為替手数料・税金などで差し引かれるコストもあるため、満額保証ではない点には注意しましょう。

事前に保険会社からシミュレーションを出してもらうのがおすすめです。

ドル建て保険はどんな人におすすめ?

次のような人にドル建て保険は向いています。

  • 資産の一部を外貨で持ちたい
  • 長期でじっくり資産運用したい
  • 米ドルで支出予定がある(留学・移住・教育など)

一方、短期で現金化したい人や、元本保証を強く求める人にはあまり適しません。為替リスクを受け入れられる人にとっては適しているでしょう。

一括で支払う「一時払い」の場合は為替の影響が大きい?

はい。一時払いタイプでは「契約時の為替レート」が直接損益に影響します。

例えば、10万ドルの契約を1ドル=150円の円安時にすると、支払いは1,500万円。 一方、1ドル=100円の円高なら1,000万円で済みます。

つまり、一時払いは為替の読みがズレると大きな差額が生じやすいタイプ。タイミングを見極めづらい商品なので、為替に自信がない方は分割払いでリスクを分散するのも一案です。

ドル建て保険で儲かった人の共通点とは?

ドル建てで儲かった人には「円高で加入し、円安で受け取った」という明確な共通点があります。

加えて、以下も成功要因といえるでしょう。

  • 外貨受取や据え置き制度をフル活用
  • 契約時から出口戦略まで見据えて運用
  • 為替や契約内容を常に確認していた

つまり、儲かった人は運任せではなく、計画的に行動していたという点が最大の違いです。

ドル建て保険はいつまで持ち続けるべき?

ドル建て保険の保有期間は契約時の目的によって決まります。

  • 老後資金目的→年金開始年齢まで
  • 相続対策→被相続人の死亡時まで
  • 資産運用目的→為替や金利の状況が好転したとき

とはいえ、「もっと利率のいい運用先が出てきた」「保険の必要性が変わった」などの理由で見直すことも大切です。

一度契約したら放置ではなく、定期的に出口戦略を検討しましょう。

まとめ:目的に合った続け方・やめ方を考えよう

この記事では、ドル建て保険が円安・円高によってどう変化するのか、仕組みや向き不向きの判断軸を解説しました。

大切なのは、為替のタイミングだけで判断しないことです。

資産形成の目的や支払い可能額、そして何より「いつ・どのように受け取るか」の出口戦略こそが損益の分かれ目になります。

状況有利な点注意点
円安で加入受取時の円換算額が増える保険料が高く家計を圧迫しがち
円高で加入保険料が割安で始めやすい将来の受取額が減るリスク

「貯金代わりにドル建て保険を使いたい!」という方にもおすすめですが、思い込みで契約してしまうと後悔につながることも。為替リスクを踏まえたうえで、自分に合った持ち方を選ぶことが大切です。

とはいえ、「本当に自分に向いているの?」「家計に無理なく続けられるの?」といった判断に迷うこともあるでしょう。

そんなときは、マネーコーチの無料オンライン家計診断を活用してみてください。

プロのファイナンシャルプランナーが、あなたの家計状況やライフプランに合わせて、ドル建て保険を含めた最適な資産形成の方法をご提案します。

家計の見直しや将来の資金計画にもつながる診断ですので、これからのマネープランに不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。


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