米国債は買ってはいけないと言われる7つの理由とは?価格変動・為替リスク・元本割れなど解説

米国債は買ってはいけないと言われる7つの理由とは?価格変動・為替リスク・元本割れなど解説

  • 「米国債はなんで買ってはいけないって言われるの?」
  • 「長期で持てばお得って聞いたけど、結局どうなの?」
  • 「円安の今、買ったほうがいいのか…やめたほうがいいのか…判断に迷ってる」

このように感じている方もいるでしょう。

結論、米国債は「買ってはいけない資産」ではありませんが、「誰でも安心して買える」とも言い切れないのが実情です。

本記事では、米国債が「買ってはいけない」と言われる理由を7つに分けて解説し、なぜ多くの人が後悔しているのかを具体例とともに紹介します。

「今買うべきか」「やめとくべきか」を判断したい方は、ぜひ参考にしてください。


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目次

【結論】米国債は買ってはいけない?

【結論】米国債は買ってはいけない?

結論から言うと、米国債はすべての方におすすめできる投資ではありません

米国債は「安全資産」とされてきましたが、ここ数年は状況が一変。円安・金利上昇・インフレ圧力など複数の要因が絡み、買ってはいけないと言われることが増えてきました。

実際に米国債を購入する価値があるのは、以下のような方です。

米国債を購入すべき方
  • 円安・円高による為替の影響を理解している方
  • 「満期まで保有すればOK」と割り切れる方
  • ポートフォリオの一部に限定して投資できる方

一方で、以下に当てはまる方は慎重になったほうがよいでしょう。

米国債の購入を避けるべき方
  • 「米国債=安全」とだけ考えている方
  • 銀行や証券会社のキャンペーンにつられて検討している方
  • 「放っておけば複利で勝手に増える」と誤解している方

少しでも不安がある場合は慎重に検討することをおすすめします。

米国債は買ってはいけないと言われる7つの理由

米国債は買ってはいけないと言われる7つの理由

米国債が「買ってはいけない」と言われる理由は以下の7つです。

それぞれ詳しく解説します。

価格変動リスク|金利上昇で債券価格が暴落する

米国債で見落としがちなのが「金利の上昇=債券価格の下落」という仕組みです。

債券には「金利が上がると価格が下がる」という逆の関係があります。昔買った年利4%の米国債よりも、今の市場で年利5.5%の新しい債券が出てくれば古い債券の魅力は下がります。

途中で売ろうとすると「価値が下がって損をする」状態になるのです。

価格変動リスクが発生しやすい条件をまとめると以下の通りです。

格変動リスクが発生しやすい条件
  • 金利が上昇している局面
  • 償還までの期間が長い(10年や30年)
  • 途中売却が前提

「満期まで持てば元本は返ってくるから大丈夫」と思うかもしれませんが、急な出費で途中売却する場面も十分ありえます。

金利が不安定な状況では、買う前に冷静に考えることが大切です。

為替リスク|円高になると含み損が出やすい

米国債はドル建ての資産なので、日本人が買うときは「円⇒ドル」に両替して購入することになります。

単純計算ですが「1ドル150円で米国債を購入⇒1ドル130円になってしまった」場合、ドルの価値が下がっているので円に戻したときに損が出ます。

10万ドル分買っていたとしたら、約200万円近くの損失です。

米国債の利回りが4〜5%あるとはいえ、為替で10%以上の損を出してしまえば利回りのメリットが帳消しになってしまいます。

為替リスクが投資に与える影響を整理すると以下の通りです。

為替リスクが投資に与える影響
  • 円安で買って円高で売ると損をする
  • 為替相場は数ヶ月で急変することもある
  • 利回りよりも為替差損のほうが大きくなる場合がある

流動性リスク|中途解約が難しく売れない資産になりがち

米国債は「売ろうと思えばいつでも売れる」と思われがちですが、実際には売るタイミングによっては損をする可能性があります。

もし米国債購入後にアメリカの金利が上がった場合、市場での債券価格は下がるため、「今すぐ売りたい」と思っても買ったときより安い値段でしか売れません。

つまり、タイミングによっては売るに売れない資産の罠になってしまうのです。

途中売却時に損をしやすいパターンは以下の通りです。

途中売却時に損をしやすいパターン
  • 長期債(10年・20年・30年)を短期間で手放す
  • 金利が上昇中のときに売却する
  • 資金に余裕がない状態で運用している

急に資金が必要になったときに売却できず、他の資産に手をつけざるを得ない…という状態が最悪なシナリオです。

「安心そうだから」という理由だけで買ってしまうと、思いもよらぬ落とし穴にハマってしまうので注意してください。

商品リスク|ストリップス債やETFは構造が複雑

米国国債には、定期的に利息がもらえる「利付債」と、満期時にまとめて返金される「ストリップス債(ゼロクーポン債)」の2種類があります。

それぞれの違いと注意点を以下にまとめました。

区分利付債ストリップス債(ゼロクーポン債)
特徴年2回の利払いあり利息なし。満期時に額面全額を一括受取
償還までの収益利息収入+償還金購入価格と償還価格の差が利益(償還差益)
価格変動リスク比較的安定。ただし金利上昇局面では価格が下がる傾向満期まで保有すれば額面受取だが、途中売却は値下がりしやすい
向いている人・定期収入を得たい人
・安定志向の投資家
・長期で資産を増やしたい人
・複利効果を重視する人

長期保有リスク|運用期間と出口を誤ると失敗する

10年・20年の長期債を購入したのち金利が上がってしまうと、債権の価値は長年にわたって下がったままになります。

出口戦略(いつ・どうやって資金を回収するか)を考えていないと、老後資金が必要な時期にタイミング悪く円高になっていたり債券価格が下落していたりして「こんなはずじゃなかった…」という事態にもなりかねません。

長期保有のリスクをわかりやすく整理すると以下の通りです。

リスク起こりやすい場面
金利上昇で価格が下がり続ける保有中にアメリカの政策金利が引き上げられた場合
売却タイミングで損失が出る急な出費で満期前に売る必要が出たとき
円高で為替差損が発生する資金を円に戻すタイミングで円高が進行していた場合

インフレリスク|実質利回りが目減りし資産価値が下がる

米国債は利回りが高めに見えるかもしれませんが、インフレ(物価の上昇)が続くと実際に得られる利益がほとんど残りません

例えば、米国債の利回りが年4%あっても、その年に物価が4%上がってしまえば実質的には利益なしです。

利回りとインフレの関係をシンプルにまとめると以下のようになります。

状況実質的な資産価値
利回り4%/インフレ2%実質+2%の利益
利回り4%/インフレ4%実質利益なし
利回り4%/インフレ6%実質-2%の損失

信用リスク|米国債でもデフォルト懸念や格下げリスクがある

米国債には少なからず信用リスク(約束通りに返してもらえない可能性)があります。

もちろん、デフォルト(支払い不能)になる確率は低いですが、過去には格付けの引き下げも実際に起きています。

2025年現在の格付け評価をまとめると以下の通りです。

格付け機関米国債の評価
S&PAA+(1段階下)
ムーディーズAA+
※2025年5月16日にAaaから格下げ
フィッチAA+
参考:ロイター「米国債格付け、市場の評価はほぼ投機的 冷静な反応と裏腹

どんなに大国でも信用リスクがゼロではないという点は、しっかり押さえておきましょう。

そして同時に、「自分の資産は本当に守られているのか?」という視点で、家庭の資産バランスを見直すことも大切です。

投資や貯蓄に少しでも不安がある方には、プロのFPによる『オンライン家計診断 by MONEYCOACH』がおすすめです。

保険・預金・投資のバランスが偏っていないか、将来必要なお金に備えられているかを、中立的な立場からアドバイスしてくれます。

「投資先ばかり気にして、家計が後回しになっていたかも…」と感じたら、まずはご自身の足元から整えてみてください。


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米国債で後悔する人の特徴とは?「やめとけ」の背景にある失敗例

米国債で後悔する人の特徴とは?「やめとけ」の背景にある失敗例

米国債の購入で後悔してしまう2つの失敗例は以下の通りです。

米国債で後悔する人の特徴とは?「やめとけ」の背景にある失敗例

それぞれ詳しく解説します。

長期保有前提が崩れるとリスクが一気に顕在化する

「10年でも20年でも保有するつもりだから大丈夫」と思って米国債を買った方でも、ライフプラン通りにいかないことはよくあります。

転職による収入減・医療費・家族の介護など、急にまとまったお金が必要になる場面は突然訪れるからです。

そうなると満期まで待てずに途中で売却することになり、もし金利が上がっていれば損をすることに。

長期保有が崩れて損が出る主な要因は以下の通りです。

発生要因具体例リスク
急な出費・医療費
・引っ越し
・子供の教育費など
満期前に売却せざるを得ない
市場環境の変化・金利上昇
・円高
売却タイミングが悪化

長期保有前提でも「もしものときに動かせない資産は困る…」という方は、慎重に判断しましょう。

元本割れしたときに相談先がない

米国債は元本保証の商品ですが、金利や為替の影響で普通に損が出ます。実際に損をしても補償は一切ないのが現実です。

初心者が相談先を見つけられずに困る理由を整理すると以下のようになります。

問題点内容
専門知識が必要金利・為替・利回りの仕組みが難しい
説明されていない不安購入時にリスクの具体例が十分に理解できていない
公的な補償がない誰かが責任を取ってくれることはない

「困ったときに相談できる人がいない…」という状況は、放置すればするほど損失が広がりやすいです。

米国債はやめた方がいい?主なメリット・デメリット

米国債はやめた方がいい?主なメリット・デメリット

米国債は「安全資産」として知られていますが、当然ながらメリットだけでなくデメリットもあります。

まずは、代表的なメリットとデメリットを一覧表で整理してみましょう。

メリット・信用力が高い
・安定した利回り
・為替差益が狙える
・米ドル資産を構築できる
・定期収入が得られる
デメリット・為替リスクがある
・中途売却では損失が出やすい
・インフレに弱い
・為替手数料/税金がかかる
・政治的なリスクがある

「毎月の生活費にプラスの収入がほしい」「円だけに頼らない運用をしたい」という方には、米国債の安定感が向いているかもしれません。

一方、「短期で売るかもしれない」「為替に自信がない」といった方には、デメリットの影響が大きく出るリスク資産にもなりかねません。

「自分の目的に合っているか?」を冷静に考えてから判断すれば、後悔しない運用につながります。

無理にリターンを追わず、資産の一部として組み込むというバランスの取り方がおすすめです。

米国債と他の資産を比較|日本国債・株式・預金との違い

米国債と他の資産を比較|日本国債・株式・預金との違い

日本国債・株式・預金といった代表的な資産と米国債をわかりやすく表で比較しながら、それぞれの特徴と向いている人を解説していきます。

日本国債との違い|利回り・為替リスク・安全性

米国債と日本国債はどちらも「国が発行する債券」ですが、利回りの水準と為替リスクに大きな違いがあります。

具体的には以下の通りです。

項目米国債日本国債
利回り水準高め(10年債で4~5%台)極めて低い(0.3%前後)
為替リスクあり(円高で損をする可能性あり)なし(円建てのため為替影響を受けない)
発行国の信用力高いが近年は格下げがある高水準を維持
流動性高い(市場で売買しやすい)高い
初心者向け度△(為替や金利の仕組み理解が必要)◎(リスクが少なく仕組みがシンプル)

「とにかくリスクを避けたい」という方には日本国債が向いている一方、「少しでも資産を増やしたい」という方には米国債の高利回りが最適です。

株式との違い|値動き・リスクの大きさ

米国債と株式では、リスクの大きさと利益の出方が異なります。

具体的には以下の通りです。

項目米国債株式
値動き小さい(安定的)大きい(数%~数十%変動)
収益の源泉利息収入(年利で固定~純固定)配当+株価の上昇
元本割れリスクあり(為替や金利次第で変動)高い(決算・市況に大きく左右される)
インカムゲインあり(定期利息)あり(配当金)
キャピタルゲイン△(売買益は小さめ)◎(うまくいけば大きな値上がりが期待できる)
初心者向け度△(為替や金利の仕組み理解が必要)△(企業・業界の知識があると有利)

リスクを取ってリターンを狙いたい人は株式投資に向いていると言えるでしょう。

預金との違い|元本保証・インフレ耐性

預金と米国債ではお金の増え方に大きな差があります。物価が上がるインフレ局面では差が明確です。

具体的には以下の通りです。

項目米国債預金(日本の銀行)
利回り高め(10年債で4~5%台)ほぼゼロ(普通預金で0.001%程度)
元本保証あり(価格・為替の影響あり)あり(1,000万円+利息まで保証)
インフレへの強さ△(物価上昇時は実質利回りが下がる)×(物価が上がるほど価値が減る)
資産の増えやすさ○(複利で効率的に増やせる)△(数字は増えなくても物価で目減り)
手間・手続きの簡単さやや複雑(証券口座・為替が必要)非常に簡単(誰でもすぐに利用可能)

「とにかく元本を減らしたくない」という方は預金向きですが、お金を少しでも増やしたい人には米国債の方が効率的です。

ただし、為替リスクや税金の知識も必要なので、無理なく理解できる範囲で始めましょう。

米国債を買うタイミングを間違えると損する理由

米国債を買うタイミングを間違えると損する理由

米国債は「今が買い時なの?」「少し待ったほうがいいの?」などタイミングを見て買うことが失敗を防ぐポイントです。

なかでも注意すべきなのは次の3つの状況です。

状況詳細
金利がこれから上がりそうなとき価格が下がる可能性があり、買った直後に値下がりするリスクがある
円安がピークのとき多くの円を使って購入することになり、後で円高になった場合に為替差損が発生しやすい
市場が過剰に売られていないとき債券価格が割高な可能性があり、長期保有しても利回りがあまり伸びない

1ドル150円で購入した後に130円まで円高が進むと、それだけで13%近い為替損失になります。

金利が上昇中の局面では、今後もっと利回りの高い米国債が出てくるため、急いで買うと損を抱えやすくなるのです。

反対に、次のようなときは買い時といえます。

米国債の買い時タイミング
  • FRB(米中央銀行)が金利を下げる方向に動き始めた
  • 米国債の利回りが過去平均よりも高くなっている
  • 円高が進んでおり、ドルを安く買える状態

経済ニュースや金利・為替の動きに注目しながら「今か、それとも待つか」を見極めましょう。

それでも米国債を買うなら|後悔しない買い時・選び方

それでも米国債を買うなら|後悔しない買い時・選び方

米国債で後悔しないための判断ポイントは以下の3つです。

それぞれ詳しく解説します。

短期で使う資金は避け、10年以上動かせるお金で購入する

米国債は、長期間動かさない余裕資金で運用するのが基本です。

2~3年後に使う予定のあるお金で買ってしまうと、そのときの為替の状況次第では損をして売却することにもなりかねません。

途中で売れば価格が下がっている可能性もあり、元本割れのリスクが高くなります。

逆に、10年以上の長期で保有できるなら、一時的な値動きに左右されずに安定した利回りを受け取れます。

資金の性質ごとに向き・不向きを整理すると以下のようになります。

資金タイプ米国債に向いている?理由
数年以内に使う予定あり向いていない為替や金利の変動でそんっをするリスクがある
10年以上使う予定なし向いている満期まで保有でき、利回りを安定的に得られる

「いつか使うかも」程度の資金よりも、「しばらく使わないと決めているお金」でこそ、米国債は力を発揮します。

「利回りの高さ」よりも「実質利回り」を重視する

米国債の利回りが年4〜5%と聞くと、「けっこうお得かも」と思うかもしれませんが、表面的な利率だけを見て判断するのは危険です。

実際の利益は、以下のような要素によって目減りすることがあります。

要素実質利回りへの影響
為替変動円高になると為替差損が出て利益が減る
税金利息や売却益には20.315%の税金がかかる
インフレ物価が上がると、実質的な購買力が下がり利益が相殺される

例えば、年利4%でも為替損で−3%、税金で−0.8%と考えると、実際に手元に残るのは1%前後になる場合があります。

大切なのは、「いくらもらえるか」ではなく「いくら残るか」です。数字の見た目に惑わされず、現実的な収益を見積もっておきましょう。

資産全体での分散性を確保し「米国債オンリー」は避ける

米国債は安定した資産とはいえ、それだけに全力投資するのはリスクが大きくなります。

金利が下がれば利回りが減り、ドルが暴落すれば資産の評価額全体が一気に下がる可能性もあるからです。

次のような不安要素が重なると、想定外の損失を抱えるリスクがあります。

リスク要因想定される影響
米ドル下落為替差損で評価額が目減り
アメリカの金利低下利回りが悪化し、運用効率が下がる
政治的混乱債券市場に不安が広がる可能性あり

上記のようなリスクを抑えるには、資産全体での「分散」が必要です。

リスク分散例
  • 一部は日本国債や定期預金など安全資産へ
  • 一部は株式や不動産など成長性のある資産へ

上記のようにリスクとリターンのバランスを取ったポートフォリオを作ることが大切です。「米国債だけに賭ける」のではなく、資産全体での調和を意識して組み立てていきましょう。

米国債の買い方・売買方法|初心者向けに基本を解説

米国債の買い方・売買方法|初心者向けに基本を解説

米国債は銀行ではなく、証券会社を通じて購入します。

実際に米国債を購入する方法は以下の通りです。

それぞれ詳しく解説します。

外貨建て債券に対応した証券口座を開設する

米国債を購入するには、外貨建て債券を取り扱っている証券会社の口座が必要です。

代表的な証券会社は以下の通りです。

証券会社主な特徴備考
SBI証券為替コストが低く、ポイント投資も可NISA・IPO・FXすべて対応
楽天証券楽天ポイント連携、初心者向けアプリが充実NISA・iDeCo管理アプリが人気
松井証券ポイント還元率が高く、手数料も安め新NISAで手数料無料
三菱UFJ eスマート証券初心者向けツールが豊富、自動売買も可Pontaポイント投資あり
moomoo証券手数料無料・情報機能が豊富・AI分析も搭載日本株・米国株の手数料無料

口座開設には本人確認書類とマイナンバーの提出が必要です。

口座開設後は「米ドル口座」が自動で紐づき、円⇒ドルの両替も証券口座内で行えます。手数料(スプレッド)も確認しておきましょう。

銘柄と利回りを比較し「目的に合った種類」を選ぶ

米国債は「いつまで保有したいのか」「利息を定期的にもらいたいのか」によって、選ぶべき銘柄が変わってきます。

代表的な米国債の種類と特徴は以下の通りです。

種類特徴向いている人
10年国債安定型・利息あり中長期でじっくり運用したい人
20~30年国債高利回り型・価格変動リスクが大きい利回り重視・売却せず満期まで保有できる人
ストリップス債利息なし・償還時に一括受取満期まで使わない資金を高利回りで運用したい人

金利・為替・キャンペーンの状況を見て買付タイミングを判断する

米国債を買うときは、「金利」と「為替(ドル円)」の動きに注目しましょう。

アメリカの金利が上がっているときに買うと、買ったあとで債券価格が下がるリスクがあるからです。

損をしやすいタイミングと有利なタイミングを整理すると、以下のようになります。

状況判断ポイント
金利が上昇中債券価格は下がりやすい(買い時ではない)
円安がピークに近い円高に戻ると為替差損が出やすい
金利が安定~低下傾向にある債券価格が安定or上昇しやすい
円高時同じドル資産を少ない円で買える

円貨決済・外貨決済を選び、注文を確定する

米国債を買うときは、「円で買うか(円貨決済)」「ドルで買うか(外貨決済)」を選ぶ必要があります。

両者の違いを表で整理しました。

決済方法特徴注意点
円貨決済手続きが簡単。円でそのまま購入可能スプレッドがやや高い
外貨決済両替のタイミングを自分で選べる事前にドルを用意する必要がある

注文確定時は、「約定日(買付日)」「利回り」「償還日」などもチェックしてから進めましょう。

売却や償還時の税金・為替リスクを把握しておく

米国債を売却・償還したときは、税金と為替の影響にも注意しましょう。

利息収入や為替差益が出た場合には、20.315%の税金(特定口座の場合は自動で引かれます)がかかるからです。

また、受け取ったドルを円に戻すときの為替レートによっては、思ったよりも手取りが少なくなることもあります。

売却・償還時に影響する要素をまとめると以下の通りです。

項目内容
税金利息・売却益に対し20.315&課税
為替リスク円高時に換金すると手取りが目減りしやすい
売却タイミング金利や市場価格により損益が変動する

米国債は「満期まで保有すれば元本が戻る」と言われますが、途中売却や為替レート次第で損をすることもあるため、あらかじめ出口も見据えて運用していくことが大切です。

米国債市場はどうなる?今後の見通しとリスク【2025年最新】

米国債市場はどうなる?今後の見通しとリスク【2025年最新】

ここでは、米国債における最新の市場動向を踏まえて「今後どうなるのか?」を3つの視点から解説します。

米国債は高利回りが継続中|10年債は4.5%超

2025年5月時点、米国債の利回りは歴史的に見ても高い水準です。

債権の種類利回り(2025年5月23日時点)
米国債10年4.509%
米国債30年5.031%

高利回りの背景には、インフレの影響や金利の高止まりがあります。

信用格下げと財政赤字の懸念が続く

2025年5月、格付け会社ムーディーズが米国債の信用格付けを引き下げました

「米国債は絶対安全」と言われてきた信頼に、やや陰りが見え始めたことを意味しています。

項目内容
格付け機関ムーディーズ
格付け変更Aaa⇒Aa1(1段階引き下げ)
格下げ理由政府債務の増加、財政赤字の深刻化

格付けが下がると、利回りは高くなりやすいと同時に信用不安も高まります。今後も、米国の財政政策や債務上限問題に関するニュースには注意を払っておく必要があります。

為替リスクが増大中|ドル高が今後どう動くか

2025年5月現在、ドル円相場は143〜145円前後を上下に変動中で、1ヶ月間で数円単位の値動きが起きています。

為替が不安定な状況では米国債の評価額も変動するため、円建てでのリターンに直結するリスクとなります。

日付為替レート(USD/JPY)
2025年5月1日143.06円
2025年5月12日145.96円
2025年5月23日143.91円

ドル高が続くと米国債の購入コストが増え、円高になると償還時の円換算額が目減りします。為替は政治・金融政策にも左右されるため、中長期の視点で対応を考えましょう。

米国債に関するよくある質問

米国債に関するよくある質問

最後に、米国債に関するよくある質問と回答を紹介します。

米国債の主な種類は?

米国債はアメリカ政府が発行する債券の総称で、「満期の長さ」や「利息の付き方」によっていくつかの種類に分かれています

代表的な5つの種類は以下の通りです。

▼米国債の主な種類と特徴

スクロールできます
種類概要利払い年限発行方式
短期国債(Y-Bill)満期が1年未満(例:4週、13週、52週など)。利息はなく、額面より安く購入し、満期に差額を受け取る形式(割引債)です。なし(割引債)4週~52週割引発行100ドル
中期国債(T-Note)満期は2年、3年、5年、7年、10年など。半年ごとに利息が支払われ、満期に元本が返ってくる一般的な利付債です。半年ごと2年~10年利付債100ドル
長期国債(T-Bond)満期は20年または30年。利払いの仕組みは中期債と同じで、長く保有できる人に向いた高利回り債券です。半年ごと20年・30年利付債100ドル
物価連動国債(TIPS)満期は5年、10年、30年。インフレに強く、元本が物価上昇に合わせて増減します。利息は年2回支払われますが、金額は元本に連動して変動します。半年ごと5年・10年・30年物価連動型100ドル
変動利付債(FRN)満期は2年。3か月ごとに利率が見直される仕組みで、金利が上がると利回りも上がります。短期運用かつ変動金利を好む人向けです。3ヶ月ごと2年変動金利型

米国債は元本保証?

米国債はアメリカ政府が元本と利息の支払いを約束しており、信用力の高い金融商品とされています。

ただし、ドル建てであるため、日本円に戻す際に為替の変動で元本割れになる可能性があります。「ドルでは保証、円では変動あり」と理解しておきましょう。

米国債と日本国債はどっちが安全?

どちらも信用度はものの性質が異なります。米国債は利回りが高めな一方、為替リスクがあり値動きがやや複雑です。

日本国債は円建て・低利回り・リスクが少ないため初心者でも扱いやすい資産です。

安全性重視なら日本国債、利回りを求めるなら米国債が向いています。

米国債は2025年現在「買い時」と言える?

2025年5月時点では、10年債で年利4.5%超と高利回りが続いており、買い時と考える投資家も多い状況です。ただし、米国の財政赤字や信用格下げのリスクもあるため、タイミングを見極める必要があります。

為替が円高になるとどうなる?

円高が進むとドル建ての米国債の円換算額が減少し、為替差損が出る可能性があります。為替ヘッジを使えばリスクを抑えられる場合もあるので、必要に応じて検討しましょう。

米国債が売れないのは本当?

米国債を償還日前に売却する中途売却は可能です。ただし、手数料がかかることに注意しましょう。

米国債はどの銘柄を買うべき?初心者におすすめは?

はじめての方には、短期〜中期(1〜10年)の米国債や、米国債ETF(AGG、BNDなど)がおすすめです。

ETFであれば複数の債券に分散投資できるため、価格変動を抑えながら運用できます。

米国債は老後資金として向いている?

米国債は定期的な利息収入が見込めることから、老後の生活費補填に活用しやすい資産です。

ただし、為替の影響を受ける点や、途中売却で損をするリスクもあるため、資産の一部に取り入れて分散運用することをおすすめします。

米国債はポートフォリオに組み入れるべき?

ポートフォリオに組み入れるべきかは自己判断です。米国債は価格変動が比較的少なく、リスクの高い株式を補う安定役としての効果はあるものの、少なからずリスクもあるからです。

米国債は意味ないって本当?

「意味がない」と言われるのは、為替損や低成長といったリスクがあるからです。ですが、安定した利回りが特徴でもあるため、長期の資産形成に最適な投資先といえます。

米ドル建ての米国債と円建て商品は何が違う?

米ドル建ての米国債は利回りが高めですが、円高になると損が出るなど為替リスクを伴います。一方で、円建て商品(日本国債や円建ての投資信託など)は為替リスクなしで安心感はありますが、利回りは低めです。

目的に応じて「リターンを狙うか」「リスクを抑えるか」を基準に選ぶとよいでしょう。

そもそも債券とは?

債券とは国や企業が資金を集めるために発行する「お金を借ります」という証書のようなものです。

投資家は債券を買うことで「お金を貸す側」となり、一定期間ごとに利息が支払われ、満期には元本が戻ってきます。

米国債の利回りは複利?単利?

米国債の利回り表示は基本的に単利(1年あたりの利息)で示されます

ただし、受け取った利息を再び米国債に再投資すれば、実質的に「複利効果」が働くことになります。

米国債の最大の問題点は?

米国債の主なリスクは「金利の変動」と「為替の変動」です。

アメリカの金利が上がると既存の債券の価格は下がります。ドル建てのため、円高になれば為替差損で損失が出る可能性も。

「安全」と言われがちですが、値動きのある投資商品だということは忘れないでください。

米国債を1年だけ保有するのはアリ?

米国債を1年だけ保有して売却する方も中にはいるかもしれません。ただし、購入時と償還時で為替が動けば、利益が目減りしたり損が出たりすることも。

「1年以内に円に戻す」前提であれば、為替の影響をどこまで許容できるかをよく考えておくことが大切です。

米国債を売るとどうなる?

売却時の金利が購入時より高いと債券の価格は下がり、元本割れします。また、売却益に対する税金や為替差損の影響もあるため、「売るときこそ慎重に」が基本です。できる限り満期まで保有する方が安定した運用になります。

米国債の利回りが上昇すると価格はどう動く?

米国債の利回りが上がると、既に発行されている債券の価格は下がるという関係があります。理由は、新たに出る高利回りの債券のほうが魅力的になり、古い債券の価値が下がるためです。

「アメリカ国債」と「米国債」は同じもの?

はい、「アメリカ国債」も「米国債」も同じ意味です。どちらも正式には「アメリカ合衆国財務省が発行する国債」のことを指します。

金融メディアや証券会社によって表記が違うだけで、商品としての違いはありません。呼び方が違っても中身は共通です。

ゼロクーポン債って何?

ゼロクーポン債とは、利息の支払いがない代わりに満期時に元本と利息をまとめて受け取れる債券のことです。

価格は額面よりも安く設定されており「時間をかけて利益を得る」タイプの投資になります。

米国債が投げ売りされることはある?

はい、あります。主に金利上昇・信用不安・政治的な混乱などが原因で、大量に売られることがあります。

ETFで米国債に投資する方法は?

米国債ETFを使えば、証券口座から株式と同じように取引できます。代表的なETFには、TLT(長期債)やIEF(中期債)などがあり、いずれも米国債に分散投資可能です。

まとめ:買うか迷ったら「目的・期間・リスク」で一度整理しよう

米国債のリスクや後悔しやすい投資パターン、購入時に気をつけたいポイントなどを解説しました。

見落とされがちな落とし穴は次の通りです。

米国債の注意点
  • 金利上昇で価格が下がる
  • 円高で元本割れが起こる
  • 売りたいときに売れない可能性がある

米国債を買うなら、「10年以上動かさない資金」で「為替と金利の仕組みを理解した上」で判断するのが基本です。

安易に飛びつかず、自分の目的と期間に合った形で投資を始めてください。

とはいえ、「自分の目的や期間が本当にこれで合っているのか不安」「そもそも今の家計で投資を始めても大丈夫なのか」と迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

そんなときは、お金のプロに一度相談してみるのもひとつの方法です。

「マネーコーチのオンライン家計診断」では、投資や貯蓄の前に、今の家計やライフプランを無料で診断し、最適な改善ポイントをアドバイスしてもらえます。

「米国債を買う前に、自分の資金状況を整理しておきたい」という方は、まずは無料診断を活用してみてはいかがでしょうか。


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