FIREやセミリタイアという大きな目標を持って貯金をしている方のなかには、すでに貯金額が3,000万円を超えた人もいると思います。
3,000万円の貯金があれば実際にFIREやセミリタイアすることは可能なのでしょうか。結論から書いてしまうと、3,000万円を超えたとしても、FIREやセミリタイアはおすすめできません。
今回は3,000万円を効率良く増やすためにおすすめの資産運用や、3,000万円でもFIREやセミリタイアが難しい理由などについて解説します。
貯金3,000万円を超えている人の割合はどれくらい?
貯金額が3,000万円を超えているような人の割合は決して多くありません。
金融広報中央委員会が行った「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世帯と二人以上世帯で3,000万円以上の金融資産を持っている人の割合は以下のとおりです。
単身世帯の場合
世帯主の年代 | 金融資産3000万円以上の割合 |
---|---|
20歳代 | 0.5% |
30歳代 | 2.8% |
40歳代 | 5.9% |
50歳代 | 9.6% |
60歳代 | 16.9% |
70歳代 | 16.1% |
単身世帯は二人以上世帯と比較しても、全年代を通して3,000万円以上の金融資産を持っている人の割合が少なくなっています。
原因は想像するしかありませんが、「働き手を増やせない」ということが大きな要因と言えるでしょう。
二人以上世帯の場合
世帯主の年代 | 金融資産3000万円以上の割合 |
---|---|
20歳代 | 1.2% |
30歳代 | 2.2% |
40歳代 | 4.9% |
50歳代 | 10.8% |
60歳代 | 20.3% |
70歳代 | 18.3% |
二人以上世帯は、全年代を通じて単身世帯より3,000万円以上の金融資産を持っている家庭が多い結果になりました。
特に60代の20%以上が貯金3,000万円の大台を超えています。「共働きで2人とも退職金が手に入る」「年金が2人分受け取れる」など、単身世帯よりは老後資金が手に入りやすい点が要因として考えられるのではないでしょうか。
いずれにしても、3,000万円を超える貯金を持つ人は全体の一部しかいないことが分かります。
貯金が3,000万円を超えたら検討したい資産運用
貯金が3,000万円を超えれば将来安泰と思うかもしれませんが、「ゆとりある老後生活」のためには、さらに多くの貯金額を目指すことも検討しましょう。
元手が大きいほど効率的に資産運用ができるため、貯金が3,000万円を超えた人こそ資産の一部を投資に振り向けることをおすすめします。
具体的におすすめできる投資は「投資信託」「不動産投資」「株式投資」「ヘッジファンド」などです。
おすすめ1.投資信託
3,000万円を超える貯金ができる家庭は夫婦で共働きであったり、高年収な仕事をしていたりと、何かと多忙に過ごすことが多いのではないでしょうか。
数ある投資先の中から「どの投資先が効率良くリターンを得られるのか」を考えるには投資に関する勉強が不可欠ですが、多忙な家庭では学習時間の確保が難しい場合もあるでしょう。
そこで、おすすめしたいことが「プロに運用を任せる投資方法」です。
投資信託なら預けたお金を運用会社やファンドマネージャーといったプロが自分に代わって運用してくれます。
商品ごとに投資対象はさまざまですが、「日経平均株価」「TOPIX」「ダウ平均」といった指数に連動する値動きを目指すインデックスファンドであれば、指数を構成する数十~数千の銘柄全体に間接的に投資できます。
また、投資信託のなかには分配金を自動的に再投資する商品があり、複利で効率的に資産形成が可能です。
おすすめ2.不動産投資
不動産投資は文字通り、マンションやアパートといった不動産を購入して、利用者に部屋を貸し出すことで家賃収入を得る投資方法です。
不動産を安く買って、土地などの価格が値上がりしたあとに売却することで売買差益(キャピタルゲイン)を得ることもできます。
不動産をローンで購入する際に「団体信用生命保険」に加入することになるため、自分に万が一のことがあった際はローンの返済がなくなります。家賃収入を生みだしてくれるマンション・アパートを家族に残せることから、生命保険と同じような使い方も可能です。
おすすめ3.株式投資
投資について勉強したり、投資先を厳選したりする時間的な余裕がある人なら、個別株式への投資もおすすめです。
株式投資は投資信託のようにプロに運用を任せることはせず、自分で投資先の株式や売買タイミングを判断することになります。
投資の対象は「トヨタ」「ソニー」など日本国内の銘柄だけでなく、米国・中国・ヨーロッパなど世界中の銘柄が投資対象になります。
たとえばiPhoneやiPadなどで有名なAppleは2020年3月20日時点で1株=57.31ドルだった株価が、2021年12月10日には179.45ドルと、2年も経過しないうちに約3倍に株価が成長しています。
どの銘柄が今後成長するかを当てられれば、市場全体に分散投資するインデックスファンドと比較しても高いリターンを狙えます。
おすすめ4.ヘッジファンド
ヘッジファンドは「私募ファンド」とも呼ばれており、投資信託と同様に運用を運用会社やファンドマネージャーといったプロに任せられます。
ヘッジファンドと投資信託の違いは、市場の値動きに惑わされない投資ができる点です。
投資信託は特定の指数が軸になっており、その指数と連動することを目指すインデックスファンド、指数を超えることを目指すアクティブファンド等の種類があります。対象の指数が値上がりすれば基準価額が上がりますが、下がった場合は連動して下がります。
一方のヘッジファンドは絶対収益の運用方針を掲げており、相場が上昇していても下落していても、利益を出すことを目指して投資をしていくことが特徴です。
たとえば、先物取引で売りから始めて「高く売って安く買い戻す」という取引をすることで、現物株価が値下がりしているタイミングでも利益を狙えます。
貯金3,000万円を超えた人の資産運用で気を付けたい注意点
貯金が3,000万円もあれば、効率良く運用することで更に資産増を狙うこともできますが、間違った運用をしてしまうと資産を大きく減らしたり、全く増えなかったりする原因になる場合があります。
ここからは、貯金3,000万円を超えた人が資産運用で気を付けたいポイントを見ていきましょう。
注意点1.高リスクの投資は避ける
これまで紹介してきた「おすすめの投資方法」よりも、明らかにリスクが大きな投資・投機は避けるほうが無難です。
分かりやすいのは「暗号資産(仮想通貨)」でしょう。2017年頃に多くの「億り人」を生んだことで一気に有名になってニュースになったことを覚えている人もいるのではないでしょうか。
代表的な銘柄であるビットコイン(BTC)は2017年11月10日時点で1BTC=約72万円でしたが、12月15日には約221万円と、約1ヵ月で3倍も成長しました。2016年12月時点では1BTC=約10万円しかなく、そこから1年保有した人の暗号資産は約20倍まで成長したことになります。
直近では2021年にも急成長しており、2020年12月11日には1BTC=約196万円のところ、2021年3月12日には約668万円と、3ヵ月で約3.4倍になりました。ただし、急成長のあとはいずれも急降下しており、2021年7月16日には約347万円と3月時点から半減しています。
このように暗号資産は乱高下が非常に激しく、買うポイントを間違えると急降下に巻き込まれて大きな含み損を抱えることになります。購入するなら、リスク許容度の範囲内で資産の一部に留めた方が良いでしょう。
注意点2.元本保証の金融商品だけの資産運用は避ける
あまりに高リスクの投資は避けるべき、とお伝えしましたが、逆に「元本保証の金融商品のみ」という資産運用もおすすめできません。
2023年4月現在、大手メガバンクの普通預金の金利は0.001%、定期預金でも0.002%程度しかありません。
一方、IMFの「World Economic Outlook Databases」によれば、2022年1月~10月までの時点で日本のインフレ率は1.99%になっています。アメリカのインフレ率8.05%と比べればまだまだ低い水準であるものの、定期預金だけではインフレについていけずに実質的に資産が目減りすることが考えられるでしょう。
インフレに負けずに資産を増やすためには、リスク許容度に見合うレベルで資産の一部をリスク性投資に振り向けることが大切です。
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貯金3,000万円あればFIREやセミリタイアは可能?
お金を貯める目的は人それぞれでしょうが、いわゆる「FIRE(リタイア)」や「セミリタイア」を目指している方もいるのではないでしょうか?
3,000万円の貯金でFIREやセミリタイアができれば、無理にリスク性商品に投資する必要はないかもしれません。
では3,000万円の貯金でFIREやセミリタイアは可能なのでしょうか。
貯金3,000万円はFIREやセミリタイアをするには少ない
結論からいってしまうと、3,000万円の貯金があったとしてもFIREはもちろん、セミリタイアも現実的ではありません。
リスク性商品の投資利回りは確実に決まってはいませんが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用結果が参考になります。
GPIFでは「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」にそれぞれ25%ずつ分散投資して運用を行っていますが、2001年から2022年までの収益率が「3.38%」でした。
ここではGPIFの収益率を参考に、年率3%の利益を得たと仮定してみましょう。3,000万円を年率3%で運用すると1年で得られる利益は90万円であり、税引き後では約72万円しかありません。
毎月6万円で生活していくことはもちろん、子育て世帯の場合はセミリタイアも難しいことが分かります。だからこそ、資産運用を続けて更に多くの資産を狙う必要があるわけです。
3,000万円で足りないなら、FIREはどれくらい貯金があればいいの?
3,000万円ではFIREには到底足りないだろうということはすでに解説した通りです。
では、いくらあればFIREが可能なのでしょうか。3,000万円から更に資産を増やす際の目標にできるようにシミュレーションしてみましょう。
FIREに必要な資産は、「年間生活費の25倍」で計算しよう |
根拠は「4%ルール」です。資産を年4%で運用したうえで支出を資産の4%以内にすることで、資産が目減りしないという考え方があります。
仮に年間の生活費が400万円の場合、25倍の資産と言えば1億円です。1億円の4%=400万円ですから、資産を減らすことなく運用成果だけで生活することが(理論上は)可能になります。
年間の生活費が500万円の家庭であれば、貯金3,000万円を更に増やして1億円にするということが今後の目標になるのではないでしょうか。
貯金3,000万円あれば何ができる?
3,000万円では早期のFIREやセミリタイアはかなり難しいことは解説しました。しかし、ここまでの貯金を持てる人がわずかであることも事実。悲観することなく、メリットに目を向けてみましょう。
3,000万円もの貯金があれば、以下のようにさまざまなことを始められます。
将来的には1億円の資産を作れる可能性がある
前述の通り、FIREを目指すなら1億円前後が1つの目標になってきます。貯金なしの状態から1億円を目指すことは相当難しいですが、初期費用が3,000万円もあれば現実味のあるシミュレーションが可能です。
3,000万円を元金として1年間で4%の利回りで運用した場合、追加投資なしでも「31年」で1億円に到達できる計算になります。
3,000万円に加えて毎月5万円を追加投資した場合は「24年」まで短縮が可能です。
即金で住宅を購入できる
住宅の条件にもよりますが、3,000万円の貯金があれば即金で住宅を購入することもできます。
老後資金とは使い方が全く異なりますが、賃貸物件の家賃を節約する目的なら選択肢に入るでしょう。
不労所得を作れる
3,000万円を投資信託のように「配当金を再投資するタイプ」の投資に活用することで「複利」の効果が働き、効率良く資産形成を進められます。
一方、定期的に配当を得られるタイプの金融資産に投資することで不労所得を生み出すことも可能です。
3,000万円を配当利回り3%の株式に投資した場合、年間90万円(税引き後は約72万円)の配当金を得られます。月にすると約6万円の不労所得が得られる計算になり、生活費の補填として十分に頼りになるでしょう。
銘柄によって配当金・分配金が入ってくるタイミング(配当月)が異なるため、配当月が異なる4~6銘柄を組み合わせることで毎月お金を得ることも可能です。
まとめ:3,000万円の貯金があってもFIREやセミリタイアは難しい
3,000万円を超えるような貯金・資産を持てる人はわずかです。
ただし、年率4%という現実的な数値で資産運用をするという前提で考えた場合、FIREするにはまだまだ足りない金額です。子どもがいる世帯の場合、セミリタイアも厳しい場合があります。
現実的にFIREするなら、年間生活費にもよりますが1億円前後の金額が目標になってくるでしょう。3,000万円の元手を活かして投資信託やヘッジファンド等の資産運用を行うことで、更に貯金額を増やすことを目指しましょう。