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年金

「老後2,000万円問題」が話題となりましたが、「安心して老後を過ごすためには5,000万円は必要」という意見もあります。老後対策を検討している人の中には、「どうして5,000万円も必要なの?」「5,000万円もどうやって準備すればいいの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

今回の記事では、「老後資金は5,000万円必要」といわれる6つの理由について解説します。老後資金を準備するおすすめの方法も紹介するので、老後対策を検討している人は参考にしてください。

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「老後資金2,000万円問題」とその根拠

まず最初に、老後資金として2,000万円準備する必要があるといわれる根拠を説明します。

総務省の「家計調査(平成29年)」によると、老後の夫婦2人世帯(夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯)の毎月の収入は20万9,198円、支出は26万3,717円(毎月5万4,519円の赤字)です。支出と収入の内訳は、次の通りです。

参考:総務省「家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)家計の概要P28」

老後生活で毎月5万4,519円の赤字が30年続くと仮定すると、赤字の累計額は約2,000万円です。

  • 赤字の累計額=5万4,519円×360ヶ月(12ヶ月×30年)=約1,962万円

実際の収入や支出は世帯ごとに大きく異なりますが、少子高齢化の進展や平均寿命の伸びなどで老後生活に対する不安が高まる中、高額な資金準備が必要ということで「老後資金2,000万円問題」への関心が高まりました。

「老後資金は5,000万円必要」といわれる6つの理由

老後資金2,000万円の理由は解説したとおりですが、どうして5,000万円も必要だという意見もあるでしょう。5,000万円必要とする理由は諸説ありますが、「一定の条件に該当する場合、5,000万円必要なケースもある」と考えるといいでしょう。

理由①:夫婦とも国民年金ならば年金は最大でも月13万円

5,000万円必要とする理由の1つ目は、国民年金加入者の収入が厚生年金加入者の平均値である月約21万円を大幅に下回ることです。国民年金加入者(※)が受給する年金は「老齢基礎年金」だけで、老齢厚生年金は受け取れません。

※会社員など厚生年金加入者も第2号被保険者として国民年金に加入していますが、本記事では第1号(自営業の人など)、3号(専業主婦・夫)被保険者を国民年金加入者とします。

老齢基礎年金の月額は、最大6万4,816円(令和4年度の年額77万7,800円)です。夫婦2人で12万9,632円の年金を受給する場合、毎月の支出を26万3,717円、老後期間を30年とすると老後の赤字額は次の通りです。

  • 老後の赤字額=(26万3,717円-12万9,632円)×360ヶ月=約4,827万円

国民年金加入者は年金収入が少ない分、老後資金を手厚く準備する必要があります。

公的年金の平均的な受給額

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、加入する年金制度ごとの毎月の年金受給額は次の通りです。

  • 老齢厚生年金の受給者:約14.6万円
  • 老齢基礎年金だけの人:約5.4万円

 

理由②:贅沢な生活習慣は変えられない

理由の2つ目は、現役時代の生活習慣は変えるのが難しいため支出を抑えられないことです。

老後の夫婦2人世帯の平均的な家計支出は約26万円ですが、日常生活費は世帯ごとに大きく異なります。現役時代、高収入で贅沢な暮らしをしていた人が老後も生活習慣を変えられずにいると、生活費がかかり老後資金の必要額も増加します。

たとえば、老後の生活費に35万円かかる場合(毎月の収入20万9,198円、老後期間30年)、老後の赤字額は次の通りです。

  • 老後の赤字額=(35万円-20万9,198円)×360ヶ月=約5,069万円

老後資金を貯めることも大事ですが、支出を抑えることも老後対策として有効です。

理由③:年金財政が厳しくなり年金額は減っていく

理由の3つ目は、公的年金の財政が厳しくなるため年金額が減っていくことです。

公的年金の給付水準は、賃金や物価の変動に応じて毎年見直されますが、給付水準を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。また、国では5年ごとに年金財政の点検(財政検証)を行い、年金財政の適正化を図っています。

しかし、少子化による年金保険料の負担者減少と平均寿命の伸びによる年金受給者の増加が進み、年金の給付水準が大幅に下がるという意見もあります。もし、給付水準が3割減少したと仮定して、夫婦2人世帯の平均的な収支を試算すると次の通りです。

  • 老後の赤字額=(26万3,717円-20万9,198円×70%)×360ヶ月=約4,222万円

将来の年金財政について悲観的な意見もありますが、老後の貴重な収入であることは間違いないので、保険料の未払いなどは避けましょう。

理由④:長生きすると老後資金が多くかかる

理由の4つ目は、長生きして老後期間が長くなると老後資金が多くかかることです。

厚生労働省の「令和3年簡易生命表」によると、現在65歳の人が平均して生存する期間(平均余命)は、男性約20年、女性約25年です。本記事では、老後期間を30年と仮定して試算しているため、平均余命通りならば老後資金はすこし余裕があるといえます。

しかし、「人生100年時代」といわれるようになり、100歳を超える人の数は急増しています。一般的に老後期間が長くなるほど老後の赤字額は増加し、介護費用などでお金がかかるケースも増えます。

何歳までの資金が必要かは事前にわかりませんが、長生きした場合に備えて余裕のある老後資金を準備できれば安心です。

理由⑤:インフレになると資産価値が下がる

理由の5つ目は、将来インフレになると資産価値が下がってしまうことです。

物価上昇率3%が10年続くと10年後の物価は約34%(5%なら約63%)アップし、年金額が変わらなければ、これまで試算した金額では老後資金が不足します。日本では物価の上がらない時期が長く続きましたが、今年は世界的なインフレの影響で日本の物価も上昇傾向です。

物価の変動に応じて年金額も見直されますが、マクロ経済スライドや今後の年金制度改正によっては、物価上昇と同程度には年金が増えないことも考えられます。

老後資金は、インフレの影響を受けにくい資産(不動産や株式などインフレに伴い価格上昇が見込める資産)で保有するのも選択肢です。

理由⑥:介護費用や余裕資金があれば安心

理由の6つ目は、日常生活費以外の支出に備えて余裕資金があれば安心できることです。

老後の支出は、日常生活費だけではありません。自宅のリフォーム費用や車の買い替えなど、さまざまな臨時出費が発生することも考えられます。また、介護が必要になったり、大きな病気をするなどして予期せぬ費用がかかることもあります。

日常生活費以外の支出に備えて、老後資金を多めに準備できれば安心です。また、臨時の出費に備えて毎月積み立てをする、生命保険などで万一の事態に備える、などの方法も考えられます。

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資金準備や老後生活スタート後も資産運用がおすすめ

老後資金の準備には、株式や債券、不動産などへ投資して資産運用することをおすすめします。

資産運用とはお金を増やすこと|貯金との違い

資産運用とは「お金を増やす」ことで、貯金とは異なります。

銀行預金は、「お金を貯める」ことを目的としたものです。積み立てた分だけ預金残高が増え、必要なときにすぐに引き出せます。しかし、低金利が続く中、銀行に積み立てたお金はほとんど増えません。

資産運用は、運用成果次第でお金を大きく増やすことができます。運用商品が値下がりして損をする可能性もありますが、長期間にわたって分散投資すればリスクを抑えることも可能です。

5,000万円貯めるための資産運用

30年間で5,000万円貯めるには、毎月どれくらいの積み立てが必要でしょうか。

利息がつかないと仮定すると、5,000万円貯めるには毎月約13.9万円の積み立てが必要です。一方、投資信託などで毎年3%の運用益が得られると仮定すると、毎月の積立金は約8.6万円で済みます。元本は約3,000万円なので、資産運用で2,000万円も増やしたことになります。

利回り3%と聞くとあまりメリットを感じないかもしれませんが、長期間複利で運用することで大きな効果が期待できます。

運用期間と貯蓄目標、積立金額を設定して自分で試算したい人は、金融庁の資産運用シミュレーションなどを活用しましょう。

老後生活が始まってからも資産運用が重要

資産運用は、老後資金を貯めるためだけのものではありません。老後生活が始まってからも資産運用の継続をおすすめします。

2,000万円の老後資金を準備し65歳から毎月10万円取り崩して生活すると仮定した場合、老後資金の運用状況によって老後資金が0円になる年齢は次の通りです。

  • 利回り0%:81歳8ヶ月
  • 利回り3%:87歳11ヶ月
  • 利回り5%:99歳3ヶ月

老後資金は老後生活がスタートしてすぐに使うわけではなく、長期間運用可能です。また、貯めたお金をうまく運用することが、長生きやインフレへの対策にもなります。

まとめ:「老後資金〇千万円必要」は気にせず自分に必要な金額を確認しよう

老後資金の必要額は、人によって異なります。5,000万円必要だという意見もありますが、「一定の条件に該当する場合、5,000万円必要なケースもある」くらいに考えるといいでしょう。

老後の生活費やもらえる年金額を確認し、毎月の赤字が20~30年続くと仮定して、自分に必要な老後資金を試算してみましょう。

老後対策は、老後資金を貯めることだけではありません。定年後も仕事を続ける、節約して支出を減らす、資産運用でお金を増やすなど自分にあった対策を検討しましょう。

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