- 「証券口座の審査に落ちたのはなぜ?」
- 「SBI証券や楽天証券の審査って厳しい?」
- 「また申し込むならどうすれば通る?」
このように考えている方もいるでしょう。
結論、証券口座の審査に落ちる主な理由は以下のとおりです。
- 反社会的勢力との関係や過去の重大トラブル
- 申込情報の虚偽記載(勤務先・資産額など)
- 居住地が海外である、または年齢制限に該当
- 投資経験や資産が不足している
- 他金融機関ですでにNISA口座を開設済み
本記事では、SBI証券・楽天証券・松井証券をはじめ主要証券会社の審査基準と、15の落ちる原因を詳しく解説します。
証券口座開設における審査の目的とは

証券口座開設における審査の目的は主に以下の2つです。
犯罪行為やマネーロンダリング防止のため
証券口座は資金の受け皿となるため、マネーロンダリングなどの犯罪行為を未然に防ぐことが重視されています。
日本では「犯罪収益移転防止法」に基づき、証券会社は口座開設時に厳格な本人確認を義務付けられています。
運転免許証やマイナンバーカード、在留カードなどの公的書類を用いて、氏名や住所、生年月日を正確に確認。本人確認に不備がある場合、口座開設は認められません。
顧客資産保護とリスク管理のため
証券口座の審査では、顧客が投資に対して適切な知識や経験を持っているかどうかも確認されます。
金融商品取引法第40条には「適合性の原則」が明記されており、証券会社には顧客の投資目的や財産状況を踏まえ、不適切な勧誘を避ける義務があるのです。

証券口座の審査に落ちる15の理由

証券口座の審査に落ちる理由は、大きく分けて5つのカテゴリーに分類できます。ここでは、審査に落ちる具体的な15の理由について詳しく解説します。
全社共通の落ちる理由
全社共通の落ちる理由は以下の7つです。
反社会的勢力やその関係者(暴力団・総会屋・国際テロリスト等)
証券口座の審査において、反社会的勢力との関わりは最も厳しく排除される対象です。
暴力団員や暴力団関係者、総会屋、国際テロリストなど、社会的に脅威とされる組織や人物との関係が確認された場合、口座開設は一切認められません。
また、口座開設後に関係が判明した場合は、取引を即時停止し、残高の払戻しや契約解除が進められます。
参考:大和証券グループ本社「反社会的勢力への対応について」
本人名義でない申込(代理申込・仮名口座)
証券口座の開設は、原則として申込者本人の名義で行う必要があります。代理申込みや仮名口座の利用は、業界規則で禁止されています。なりすましや資金隠匿などの犯罪を防ぎ、取引時に確実な本人確認を行うためです。
日本証券業協会の規則では、証券会社が本人以外の名義であると知りながら有価証券の注文を受ける行為を禁じています。そのため、証券口座開設時には運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提出が必須です。
例外的に、未成年者は親権者や世帯主が代理で申込むことができます。親権者による署名や委任状の提出が必要で、一部の金融機関では同居家族による代理申込みを認める場合もあります。
居住地が日本国内でない(海外在住)
証券口座は、日本国内に居住している人だけが開設できます。多くの証券会社が海外在住者を対象外としているのは、国外で金融商品取引を行うための免許を諸外国の監督官庁等から得ていないためです。
すでに口座を保有している状態で海外赴任になった場合も、取引を継続できなくなるのが一般的です。出国が決まったら早めに証券会社へ連絡し、解約や資産の移管などの手続きを済ませる必要があります。
金融商品取引業者・銀行・保険会社等の役員・従業員(情報悪用リスク)
金融機関に勤務する役員や従業員は、多くの証券会社で口座開設が制限されます。業務上、未公開の取引情報に触れる機会が多く、不正取引の温床となるおそれがあるためです。
ただし、全ての金融機関勤務者が一律に禁止されるわけではありません。松井証券では「証券会社等にお勤めの場合でも申込可能」としつつ、勤務先の社内規定に従うよう案内しています。勤務先によっては取引銘柄や投資額を制限する場合もあるため、該当者は事前に確認しましょう。
参考:松井証券「総合口座申込受付基準(個人)」
申込情報の虚偽記載や嘘(勤務先・年収・資産額など)
証券口座の申込み時に、勤務先や年収、保有資産などを偽って申告すると、審査に落ちる可能性があります。
金融商品取引業者は、提出された情報を社内データや外部情報と照合し、矛盾や不自然な点を発見します。実際の勤務先と異なる記載や、実態とかけ離れた年収申告は短期間で判明するでしょう。
また、虚偽の記載は犯罪収益移転防止法に抵触するおそれもあります。同法では、本人確認の際に住所や生年月日などを偽ることを禁じており、違反した場合には罰則が科されることもあるため注意しましょう。
マネーロンダリングの疑い
金融庁はマネーロンダリング防止の一環として、証券会社に疑わしい取引の届出を義務付けています。異常な取引パターンが検知されれば調査対象となる可能性は避けられません。
過去の金融履歴に不安がある場合は、事前に内容を整理しておくことが望ましいでしょう。
参考:日本証券業協会「証券取引及び証券市場からの反社会的勢力の排除について」
重大な社会的影響を与える行為歴
過去に金融犯罪へ関与した経歴がある場合、証券会社の審査を通過することはほぼ不可能です。各社は犯罪収益の流入を防ぐために厳格な審査体制を敷いているからです。
審査で問題視される行為には、金融商品取引法に違反した取引や、証券会社との間で発生したトラブルなど。脅迫的な態度を取ったり、暴力的な要求を行ったりした事実が確認されると、口座開設は拒否されるでしょう。

個人口座で落ちる理由
個人で証券口座を開設する際に、特に審査に落ちやすい要因は以下の3つです。
年齢制限(例:18歳未満や80歳以上で制限)
口座開設には年齢の制限があります。、成人年齢の引き下げにより18歳からは開設できるようになりましたが、「未成年口座」としての扱いが残っているため、制約が完全になくなったわけではありません。
また、高齢者についても特別な基準が設けられる場合があります。一般的には80歳以上の新規口座開設を制限する会社がほとんとです。
投資リスクを理解できないと判断される場合
証券口座は、誰でも持てるほど甘い仕組みではありません。投資リスクを理解しているかどうかも審査の対象になります。知識や経験が不十分だと判断されれば、口座開設を断られる場合があります。
金融商品取引法には「適合性の原則」という規定があり、顧客に合わない勧誘をしてはならないと定められています。そのため、申し込みの際には投資目的やリスク許容度、過去の投資経験などを細かく聞かれるのが一般的です。
借金や延滞歴などで資産状況が著しく悪い
借金が多かったり、支払いの延滞が続いていたりすると、口座開設の審査に影響が出ます。資産状況が極端に悪いと判断されれば、不利になる可能性は高いでしょう。
一般的な証券口座では影響が限定的ですが、信用取引口座やFX口座のように「信用力」が重視される口座では、返済能力が低いと判断されれば審査に通りません。
信用取引口座で落ちる理由
信用取引口座は、現物株式の口座に比べて審査が厳しくなっています。取引のリスクが高いため、以下のようなものを満たさなければ申込みは認められません。
株式や投資信託の投資経験が不足
信用取引では保証金を超える損失が出ることがあり、経験の浅い投資家は審査に通らないことが多々あります。
条件の目安としては、現物株で1年以上の取引歴、または一定回数以上の売買実績が必要とされることが多いです。数回しか売買をしていない人より、日常的に取引している人のほうが通過しやすい傾向にあります。
一定以上の金融資産を持っていない
証券会社によっては、利用者が十分な資産を持っているかどうかを厳しく確認します。
信用取引を希望するなら、事前に各社の基準を調べ、不足があれば資金を準備してから申請することが大切です。
NISA・積立NISA口座で落ちる理由
NISA・積立NISA口座で審査に落ちる理由は主に次の2つです。
他の金融機関でNISA口座をすでに開設済み
NISA口座は、一人につき一つまでと法律で決められています。すでに別の金融機関で開設している場合、新しく口座を作ることはできません。二重開設は税務署が厳しく管理しており、認められていないためです。
仮に複数の証券会社に申し込んだとしても、承認されるのは一社だけです。承認されなかった会社からは「非課税適用確認書を交付しない通知」が届き、その口座ではNISAを利用できません。
税務署審査で通らない(申告情報不一致など)
NISA口座を開設する際は税務署の確認があり、申告情報が一致しないと承認されません。過去に口座を閉鎖したのに「勘定廃止通知書」や「非課税口座廃止通知書」を出していない場合は審査で止まってしまうことがあります。
通常は1〜2週間で審査が終わりますが、場合によっては何日も遅れることがあり、書類の不備があるとさらに時間がかかることもあります。マネックス証券も「新規開設と金融機関の変更・再開設では必要書類が異なる」と案内しており、書類を揃えなければ承認は得られません。
参考:マネックス証券「税務署審査中のNISA口座でのお取引について」

法人口座で落ちる理由
法人が証券口座を開設する場合は、個人よりも厳しい基準が適用されます。法人の実在性や事業の信頼性、取引体制などが多方面から確認され、基準を満たさなければ開設はできません。
また、財務状況も重視されます。設立したばかりの法人や収益が安定していない法人は、業績面で厳しく見られる傾向があります。

【証券会社別】証券会社の審査基準

証券口座を開設するときの審査基準は、証券会社ごとに少しずつ違います。共通しているのは「日本国内に住んでいること」「本人名義での申込み」「法令を守ること」「反社会的勢力に関わっていないこと」などです。
以下に主要証券会社の基準を整理しました。
証券会社 | 口座開設できない人(例) | 信用取引口座の基準 | 年齢制限 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | ・反社会的勢力関係者 ・不当要求や業務妨害をした人 ・海外居住者 ・証券会社勤務者とその家族 ・本人以外の申込 ・既に口座を持っている人 | ・75歳未満の成人 ・投資経験と金融資産あり ・常時連絡可能 | 原則18歳以上(80歳未満は申請により開設可) | NISA・外国株対応、アプリ複数展開 |
楽天証券 | ・海外居住者 ・反社会的勢力関係者(5年経過後も制限) ・外国PEPsとその家族 ・未成年(基準未満の場合) ・既に口座を持っている人 | ・80歳未満 ・金融資産100万円以上 ・株式取引経験あり ・常時連絡可能 | 原則18歳以上 | 未成年口座は親権者が同社に口座を持つ場合のみ可能 |
松井証券 | ・基準未満の未成年 ・電話連絡が取れない人 ・証券会社勤務者など | ・18歳以上 ・投資経験1年以上 ・金融資産100万円以上 ・緊急時に電話連絡可能 | 原則18歳以上(80歳以上は要確認) | 一日信用取引や米国株信用取引も条件付きで提供 |
三菱UFJ eスマート証券 (旧:auカブコム証券) | ・基準未満の人(投資経験不足など) ・審査で不合格となった人 | ・保証金30万円以上 ・株式・先物・FXなどの投資経験あり | 原則18歳以上 | 不合格でも再申込可能、最短即日で信用口座開設 |
LINE証券 | ・日本国内に住んでいない人 ・18歳未満、または75歳超 | – | 18歳以上75歳以下 | スマホ完結型、手軽に申込可 |
DMM株 | ・詳細基準は非公開 ・審査基準に合致しない人 | – | 原則18歳以上 | 外国株信用取引も対応 |
PayPay証券 | ・海外居住者 ・米国籍または外国PEPs ・審査不通過者 | – | 原則18歳以上 | 1,000円から投資可能、スマホ完結 |
参考:楽天証券「口座開設から手続きまで」
参考:松井証券「総合口座申込受付基準(商品)」
参考:三菱UFJ eスマート証券「信用取引(制度・一般) お取引までの流れ」
参考:LINE証券「口座開設にあたり、条件はありますか?(年齢・居住地国など)」
参考:DMM株「アカウント登録:質問・回答詳細」
参考:PayPay証券「口座開設基準」

証券口座開設で審査落ちした時の対処法

証券口座の審査に落ちた場合でも、慌てる必要はありません。
以下の順に対処し、同じ会社に再挑戦するか、別の証券会社を選ぶかは状況によって判断するとよいでしょう。
否決理由を文面から推測
証券会社の審査落ち通知は、多くがメールで届きます。文面は定型的ですが、そこからある程度の理由を推測できます。
たとえばSBI証券は「当社内規に基づく審査の結果、お申込みは受付いたしかねます」、楽天証券は「弊社では口座開設を承ることができませんでした」と案内しています。
NISAの場合は税務署での確認が必要になるため、一般の証券口座とは基準が異なります。理由を推測する際は、まず以下の基本条件をチェックしましょう。
- 日本国内に住んでいるか
- 本人名義で申込んでいるか
- 反社会的勢力と関わりがないか
- 証券会社勤務者やその家族ではないか
これらに当てはまると審査に通るのは難しくなります。通知の内容と自分の状況を見比べて、どこに問題がありそうか把握することから始めましょう。
入力情報を再チェック
否決の理由を推測できたら、次は申込み内容を見直しましょう。
入力ミスや書類の不備は、審査落ちでよくある原因です。本人確認書類は有効期限内か、画像が鮮明か、住所が一致しているかを確認してください。マイナンバーカードを使った場合は、12桁の番号を誤って入力していないかも注意が必要です。
また、「反社会的勢力ではない」や同意事項のチェックを忘れると、その時点で否決になるので注意しましょう。
同一会社or他社に申込
否決の原因を修正できたら、再度申込みを検討します。方法は大きく分けて2つです。ひとつは同じ証券会社に再申込みする方法、もうひとつは別の証券会社に申し込む方法です。
同じ会社に再挑戦する場合は、3〜6か月ほど間隔を空けるのが望ましいとされています。短期間で再申込みをしても改善点が反映されず、再び否決される可能性が高いためです。
他の証券会社に申し込むのも有効です。A社で落ちても、B社では通ることがあります。会社ごとに資産要件や年収基準が異なるためです。ただし、短期間に複数社へ同時に申込むのは逆効果になりやすいので注意しましょう。
証券口座の審査に関するよくある質問

証券口座の審査に関するよくある質問と回答は以下のとおりです。
無職・学生でも証券口座は作れる?
無職や学生でも基本的に口座開設の申し込みは可能です。ただし、年齢制限や職業の項目等々で審査落ちする可能性はあります。
クレジットカード審査に落ちたら証券口座も落ちる?
クレジットカード審査と証券口座審査は目的が異なるため、直接の影響はありません。カードは返済能力や信用情報を重視しますが、証券口座は本人確認や居住地の確認が中心です。
税務署審査でNISA口座が通らなかったら?
NISA口座が否決される主因は他社での口座保有です。2018年以降は一人一口座に統一され、閉鎖時に「勘定廃止通知書」などを提出していないと新規開設ができません。口座の所在はマイナポータルで確認可能です。解決には、開設中の金融機関で廃止通知書を取得し提出する必要があります。
法人口座の必要書類は?
法人で証券口座を開設する際は、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必須で発行から3か月以内の原本が求められます。加えて代表者や取引責任者の本人確認書類、委任状が必要になる場合があります。
審査結果が遅い場合の確認方法は?
審査が遅いときは各社の進捗確認ページを利用できます。SBI証券では「口座開設状況の確認」から本人確認や初期設定の進捗を確認可能です。
まとめ:審査落ちの理由を踏まえ証券口座開設を実現しよう
この記事では、証券口座の審査に落ちる主な理由を15項目に整理し、あわせてSBI証券・楽天証券・松井証券の基準についても紹介しました。
「投資経験が浅くて不安…」という方も、現物株の取引を一定期間積み重ねれば、信用口座の審査は通りやすくなります。再申込みは3〜6か月ほど空けるのが一般的で、その間に経験や資産状況を整えておくことが有効です。
大切なのは、なぜ落ちたのかを整理し、改善してから次に進むことです。自分の状況を見直し、改善点を押さえたうえで、前向きに再チャレンジしてみてください。