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家計

住宅購入費・教育費・老後の生活費は人生の三大支出と呼ばれます。それだけでなく、結婚・出産・子育て・車の購入・旅行・葬式などライフイベントごとに大きな出費があるものです。大きな出費に備えて、社内預金などの貯蓄制度を利用するべきかどうか悩んでいる人もいることでしょう。

本記事では社内預金を含めた勤務先での貯蓄制度について、メリットやデメリットなどを解説していきます。

結論から言えば、勤め先の会社に社内預金制度があるなら積極的に利用したい制度です。高金利かつ自動的・強制的に貯蓄ができます。ただし、利用する際には後述の保全措置が講じられているか確認しておきましょう。

また、住宅の新築や購入・リフォームを考えているなら財形貯蓄の利用も良いでしょう。ご自身やご家庭のマネープランを考える際にぜひ参考にしてください。

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社内預金とは?

社内預金とは、給与から天引きして貯蓄していく制度です。

実は、税金や社会保険料以外の理由で給与から天引きするのは労働基準法第24条(賃金の支払)で、強制的に貯金するのは同法第18条(強制貯金)で禁止されています。

それでも社内預金制度が実在するのは、働いている人と会社であらかじめ合意している場合には許されているからです。さらに、会社は以下の義務を負います。

  • 貯蓄金の管理規定を定めて作業場に備え付ける義務
  • 最低でも金利(年利)0.5%の利子をつける義務(2021年現在)
  • 返還を請求されたらすぐに返還する義務
  • 3月31日時点の預金額に保全措置を講じる義務
  • 1年毎に労働基準監督署に預金管理状況を報告する義務

 参照:社内預金制度の適正な運用のために|厚生労働省

重要なものだけわかりやすくまとめると、最低でも0.5%という高金利のうえに、いつでも自由に出金できるものです。

一方で、会社側からすれば1年間に預金額の0.5%以上の運用益を出さなければ赤字ですし、保全措置や報告の義務があるので手間が掛かる制度だと言えるでしょう。

社内預金制度を利用するなら、自由に出金ができる法律があることを覚えておくべきです。

社内預金は利用すべき?メリットは?

社内預金の制度について紹介しましたが、社内預金は利用すべきなのでしょうか。社内預金を利用するメリットには以下3つがあります。

  • 給与天引きで強制的・自動的に貯金できる
  • 最低でも金利0.5%と好条件
  • いつでも解約や出金できる

給与天引きで強制的・自動的に貯金できる

社内預金は、給与から天引きされて貯蓄するものです。そのため貯蓄する側からすれば、なかば強制的・自動的に貯金ができます。

会社員にとっては手取りから毎月の支出を引いた額が貯蓄となるため、手元のお金をどうしても使ってしまう方にとっては有効な貯蓄方法です。

あらかじめ手取りが少なければ、無駄な支出を抑える効果があるでしょう。

最低でも金利0.5%と好条件

社内預金の金利は、厚生労働省令で最低でも年利0.5%以上と決まっています。

前二条の規定による下限利率が五厘未満であるときは、これらの規定にかかわらず、下限利率は五厘とする。

引用元:労働基準法第十八条第四項の規定に基づき使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率を定める省令 | e-Gov法令検索

一方、2021年3月時点の主要銀行金利は以下のとおりですので、貯蓄にかかる金利としては最高水準です。

  普通預金金利 定期預金金利
みずほ銀行 0.001% 0.002%
三菱UFJ銀行 0.001% 0.002%
三井住友銀行 0.001% 0.002%
ゆうちょ銀行 0.001% 0.002%
りそな銀行 0.001% 0.002%

 通常、主要銀行の普通預金金利は0.001%で定期預金金利は0.002%。対して、社内預金は最低でも0.5%であり、普通預金金利の500倍となります。

細かい利子計算方法は会社によって異なるものの、目安としては以下のような利子額(概算)です。

毎月積立額 1年間の利子 5年間の利子
1万円 320円 7,600円
2万円 646円 15,230円
3万円 972円 22,860円
4万円 1,296円 30,480円
5万円 1,620円 38,100円

 ※ボーナス分、税金、利子の組み込みは考慮していない

毎月2万円を5年間続ければ、5年後には15,230円ほどの利子。通常の定期預金と比較すると、相当な高水準となっています。

ただしこの表では税金を考慮していないので、実際の額はもう少し低くなります。

いつでも解約や出金できる

社内預金は定期預金の金利を基準として計算されますが、定期預金と違っていつでも解約や出金できます。

もし会社から出金を断られたとしても法的には違法です。この場合には、所轄の労働基準監督署に相談すると良いでしょう。

社内預金のデメリットは?

金利が高くいつでも出金できる点だけ考慮すると、社内預金は良いこと尽くしのように思えます。しかし、社内預金にもデメリットがあるのです。

  • そもそも社内預金の制度を持つ企業が少ない
  • 預金保険制度の対象外

 それぞれ解説していきます。

そもそも社内預金の制度を持つ会社が少ない

社内預金制度を利用したくても、社内預金制度がない会社も多く、廃止する会社も増える傾向にあります。

その理由としては次のようなものがあるでしょう。

  • 会社としては0.5%以上の運用益を出さなければ赤字になる
  • 預金管理規程を定める義務が手間
  • 預金の保全措置を講じる義務が手間
  • 1年毎に預金管理状況を報告する義務が手間

 実際、1980年には47,841件の事業場が社内預金制度を利用していましたが、2019年には14,722件と縮小傾向が続いています。

参照:平成30年 労働基準監督年報|厚生労働省

預金保険制度の対象外

社内預金は、会社が預金の保全措置を講じていないまま倒産した場合、全額返ってこないリスクがあります。

銀行や保険会社などの金融機関は、預金保険制度によって利子付きの預金は1,000万円まで保護されます。しかし会社は金融機関ではないので、預金保険制度を利用できないのです。

とは言っても、法律で定められている預金の保全措置を講じているなら、全額返ってきます。例えば金融機関との保証契約があれば、会社が倒産しても金融機関から弁済金を受け取ることができるのです。

勤め先の会社が保全措置をきちんと行っているかどうか、労働組合を通じて確認しておくと安心できるでしょう。

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共済貯金とは?

共済貯金とは社内預金の公務員版で、共済組合の貯金事業として運営されています。

利用する側からすれば、会社員の社内預金と公務員の共済貯金に大きな差はありません。金融機関が運営するものではないので、預金保険制度の対象でない点も同様です。

ただ、市町村職員の共済組合では金利について公表されているケースが多く見られます。社内預金の最低金利は0.5%だと紹介しましたが、共済貯金ではさらに高い金利で運用されている場合も。

実際に、それぞれの共済貯金の金利を調べてみました。(2021年3月時点)

愛知県 1.00%
千葉県 1.90%
茨城県 1.44%
宮城県 1.00%
山口県 1.00%
兵庫県 0.70%
高知県 0.75%

 このように、かなり高い金利で積立貯金ができるケースが多いようです。さらに、共済組合は地方公務員等共済組合法によって設置が定義されている法人であり、倒産の可能性は限りなく0に近いと言えます。

ただし共済組合も貯金事業の運用は厳しいようで、金利は減少傾向にあります。もし利用できるのであれば、早めに利用しておくべきだと考えられます。

貯金経理では、貯金残高の増加に伴い加入者の皆さんに還元する支払利息が増える一方、長引く低金利政策の影響により、今後運用利回りが低下していくことが予想されます。
このため、現行の支払利率1.68%を維持することが難しい状況であることから、将来にわたり持続可能な事業とするため、令和2年9月から支払利率を1.44%(月利0.12%)に引き下げる貯金規則の一部改正を行いました。

引用元:茨城県市町村職員共済組合「共済貯金の支払利率を引き下げます」

社内預金と一緒に検討したい財形貯蓄とは?

会社に社内預金制度があれば積極的に利用すべきですが、財形貯蓄という制度もあります。社内預金と財形貯蓄のどちらを利用するか迷っている方もいるのではないでしょうか。

財形貯蓄とは、会社員が積立貯蓄によって財産を形成することを促進する制度です。正式には勤労者財産形成促進制度と呼ばれ、厚生労働省の政策として運用されています。

制度名が長いので、一般的には財形(ざいけい)と呼ばれることが多いです。それでは、社内預金との違いを踏まえて財形貯蓄について紹介していきます。

強制的に貯金できる点は社内預金と同じ

給与から天引きされて、なかば強制的・自動的に貯金できる点は社内預金と同じです。そのため、手元にお金があると使ってしまう方に効果的です。

社内預金と比べると金利は低い

社内預金と財形貯蓄の大きな違いは、金利が異なることです。社内預金は最低金利0.5%ですが、財形貯蓄では金利が0.02%程度となってしまいます。

金融機関にお金を預けるので預金保険制度の対象

財形貯蓄は金融機関の取り扱いである点も、社内預金との大きな違いです。

金融機関にお金を預けるので、預金保険制度の対象となります。具体的には利子付きの預金となるので、1,000万円までの元本が保護されます。

元本550万円まで非課税

財形貯蓄制度は、使いみち自由の一般財形を除いて残高550万円までの利子が非課税です。そもそも、財形貯蓄制度には以下3種類があります。

  • 一般財形:使いみち自由で利子非課税の優遇措置はない
  • 住宅財形:住宅のリフォーム・購入・新築のためで、目的外の引き出しは最長5年に遡って利子に課税される
  • 年金財形:60歳以降に年金として受け取るためのもので、目的外の引き出しは最長5年に遡って利子に課税される

 どれを選ぶかについては、目的外の出金に課税のペナルティがあることから、目的に応じた種類を選ぶのが良いでしょう。

ただし後述する財形持家融資は一般財形でも年金財形でも利用できるので、自由度の高い一般財形を選んでおくのも1つの考え方です。

財形持家融資を利用できる

財形持家融資とは、財形貯蓄をしている人専用の住宅ローンです。

財形貯蓄残高の10倍以内かつ費用の90%まで(限度額4,000万円)借りることができます。財形住宅融資を利用するための条件は以下のとおりです。

  • 70歳未満
  • 財形貯蓄を1年以上継続している
  • 財形貯蓄残高が50万円以上ある
  • 会社が財形持家転貸融資制度を導入している
  • 会社が毎年、借入金の1%以上の額を5年以上支給するなどの負担軽減措置を用意している

 実際には勤労者退職金共済機構が運営しています。

参照:財形持家融資制度|厚生労働省

もし会社がこの融資制度を導入していない場合は、住宅金融支援機構の財形住宅融資を受けられます。利用条件はほとんど変わりませんが、金利は高くなってしまうことに注意が必要です。

制度 財形持家転貸融資 財形住宅融資
取扱機関 勤労者退職金共済機構 住宅金融支援機構
金利(年利) 0.68% 新機構団信1.13%
新機構団信(デュエット)1.31%
新3大疾病付機構団信1.37%
団信加入なし0.93%
※社員300人以下の会社員または子を扶養している場合は0.20%引き下げ

 住宅ローンの金利相場は変動金利型の引き下げ後では0.5%程度なので、現状の金利0.68%はやや高めかもしれません。

ただし財形持家転貸融資(勤労者退職金共済機構)は、融資手数料が無料で会社の負担軽減措置を受けられます。

まとめ:強制的に貯金したいなら社内預金を利用しよう

勤務先を通じて貯蓄ができる制度、社内預金・共済貯金・財形貯蓄について紹介してきました。いずれの制度も、貯金が苦手な方が強制的に貯蓄ができる点で有効なものと言えるのではないでしょうか。

社内預金は最低金利0.5%と、預金金利としてはかなりの高金利です。預金保険制度の対象ではない点がややネックですが、会社が保全措置を講じていれば安心できます。

一方、財形貯蓄は定期預金の金利相当である0.02%が一般的です。積立貯金の考え方からすると給与天引き以外のメリットは小さいものの、マイホームを検討している人には嬉しい制度となっています。

ぜひ本記事を参考にしながら、将来の出費に向けて貯蓄制度を利用してみてください。

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