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家計

「子どもを私立小中学校に通わせる場合、学費はいくらなの?どのくらい準備すべきなの?」とお子さんのいる家庭では一度は検討するのではないでしょうか。

義務教育である小中学校は、公立学校に通うのが一般的です。実際、文部科学省によると私立小学校に通う児童数は全体の1.2%で、中学校に通う児童数は全体の7.4%と少数です。

子どもの教育面を考えると、できる限り良い環境で学んでほしいと考えるのが親の気持ちなのではないでしょうか。

そこでネックになるのが、私立小中学校の高い学費です。

結論から言えば、私立小中学校は入学時だけで100万円程度、1年間の学費としては平均で160万円程度が必要です。最低でも世帯年収600万円以上なければ、私立小中学校の学費を捻出するのは難しいかもしれません。

本記事では、文部科学省が2年ごとに発表する「子どもの学習費調査」の結果をもとに、私立小中学校の学費について詳しく解説します。

多くの方が利用できる制度ではありませんが、私立小中学校の学費負担を抑える制度も2つ紹介します。ぜひ、お子さんを私立小中学校に進学させるためにお役立てください。

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私立小学校の学費はいくら?

平成30年度の文部科学省の学費調査結果によると、私立小学校の学費は年間約160万円です。公立小学校が約32万円のため、私立小学校では公立小学校の約5倍もの学費を要します。

  公立小学校 私立小学校
学習費総額 ¥321,281 ¥1,598,691
学校教育費 学校教育費総額 ¥63,102 ¥904,164
授業料 ¥0 ¥485,337
修学旅行・遠足・見学費 ¥6,951 ¥44,816
学校納付金等 ¥12,235 ¥231,425
図書・学用品・実習材料費等 ¥19,673 ¥32,055
教科外活動費 ¥2,041 ¥10,507
通学費・制服・通学用品費 ¥18,032 ¥90,749
その他 ¥4,170 ¥9,275
学校給食費 ¥43,728 ¥47,638
学校外活動費 ¥214,451 ¥646,889

出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」

私立中学校の学費はいくら?

同様に平成30年度の文部科学省の学費調査結果によると、私立中学校の学費は1年間に約141万円です。公立中学校は約49万円のため、私立中学校では公立中学校の約3倍もの学費を要します。

  公立中学校 私立中学校
学習費総額 ¥488,397 ¥1,406,433
学校教育費 学校教育費総額 ¥138,961 ¥1,071,438
授業料 ¥0 ¥428,574
修学旅行・遠足・見学費 ¥26,217 ¥82,578
学校納付金等 ¥16,758 ¥305,130
図書・学用品・実習材料費等 ¥25,413 ¥50,198
教科外活動費 ¥29,308 ¥55,796
通学費・制服・通学用品費 ¥37,666 ¥140,765
その他 ¥3,599 ¥8,397
学校給食費 ¥42,945 ¥3,731
学校外活動費 ¥306,491 ¥331,264

出典:文部科省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」

私立小中学校の学年別学費をチェックしましょう

先ほど紹介した金額は1年間の平均的な学費です。実際には入学した年の学費が高くなる傾向があります。

私立小学校の1年生では1年間に約190万円もの学費となっており、私立小中学校の学費において最もお金がかかる時期と言えるでしょう。

区分 公立 私立
小学校 1年生 ¥350,860 ¥1,892,002
2年生 ¥263,310 ¥1,366,148
3年生 ¥292,950 ¥1,415,910
4年生 ¥309,617 ¥1,497,087
5年生 ¥339,132 ¥1,630,684
6年生 ¥370,940 ¥1,790,314
小学校合計 ¥1,926,809 ¥9,592,145
中学校 1年生 ¥456,582 ¥1,624,661
2年生 ¥436,183 ¥1,230,122
3年生 ¥569,348 ¥1,362,389
中学校合計 ¥1,462,113 ¥4,217,172

出典:文部科省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」

私立小中学校の学費について知っておくべきポイント

ここまで、公立・私立小中学校の具体的な学費について触れてきました。次に、私立小中学校の学費について知っておくべき以下のポイントを確認しましょう。

  • ポイント①公立と比べて学費が私立小学校では5倍、私立中学校では3倍
  • ポイント②私立では授業料を払う必要がある
  • ポイント③修学旅行や遠足にかかる費用も高め
  • ポイント④制服など通学関係費がかさむ
  • ポイント⑤学習塾や家庭教師など学校外活動費が高い

ポイント①公立と比べて学費が私立小学校では5倍、私立中学校では3倍

義務教育を私立学校に通わせる場合、目安として小学校では5倍、中学校では3倍もの学費が見込まれます。金額にすると以下のとおりです。

  • 公立小学校の6年間の学費は約193万円に対し、私立小学校の6年間学費は約960万円
  • 公立中学校の3年間の学費は約146万円に対し、私立中学校の3年間学費は約422万円

私立小中学校の初年度の学費を準備できたとしても、継続的に安定した収入がなければ私立小中学校への進学は厳しいのが現実です。

ポイント②私立では授業料を払う必要がある

小中学校はいわゆる義務教育であり、日本国憲法で無償と定められています。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

引用元:日本国憲法(第26条2項) | e-Gov法令検索

実際には学用品や給食費などすべてが無償ではなく、授業料が無償です。一方、私立学校は授業料の徴収が認められており、授業料を払わなければなりません。

具体的には、私立小学校では1年間に約49万円、私立中学校では1年間に約43万円の授業料が必要になります。

ポイント③修学旅行や遠足にかかる費用も高め

私立小中学校で増える費用負担は、授業料だけではありません。修学旅行や遠足にかかる費用も高い傾向です。具体的には以下のとおり。(年額)

  • 公立小学校は1年間に約0.7万円に対して、私立小学校は約4.5万円
  • 公立中学校は1年間に約2.6万円に対して、私立中学校は約8.3万円

公立学校の場合は、市区町村の教育委員会が小中学校の修学旅行について一定の基準を定めます。例えば愛知県の場合、「保護者の負担を考えて軽減に努める」と定められています。

出典:公益財団法人日本修学旅行協会公式サイト「就学旅行実施基準」

このような旅費基準がない市区町村もありますが、公立学校は基本的に修学旅行費が抑えられている傾向にあります。一方、私立学校では公立学校ほど負担軽減がされていないのが現実です。

ポイント④制服など通学関係費がかさむ

私立小中学校では、制服を含めた通学関係費も高くなります。具体的には次のような費用です。

  • 通学のための交通費
  • スクールバス代
  • 学校指定の制服
  • ランドセル・カバン代

小学校では公立学校でも制服がない私服通学が一般的です。ただし、中国・四国地方では制服通学の割合も少なくないため地域的な違いも考慮しましょう。

ポイント⑤学習塾や家庭教師など学校外活動費が高い

私立小中学校であるかどうかとは直接関係ありませんが、私立小中学校に進学した児童にかけている学校外活動費は高い傾向です。学校外活動費には、家庭内学習のための教材や家庭教師費・学習塾・習い事の月謝などが含まれています。

学校外活動費の総額と主な費用の一覧は以下になります。

  公立小学校 私立小学校 公立中学校 私立中学校
学校外活動費総額 ¥214,451 ¥646,889 ¥306,491 ¥331,264
家庭内学習費 ¥14,761 ¥45,480 ¥13,229 ¥28,534
家庭教師費 ¥13,015 ¥42,560 ¥20,777 ¥31,174
学習塾費 ¥53,313 ¥252,790 ¥202,965 ¥153,365
芸術文化活動の月謝 ¥35,402 ¥95,712 ¥15,865 ¥45,181
スポーツ・レクリエーション活動の月謝 ¥55,002 ¥82,902 ¥29,167 ¥24,358
教養・その他の月謝等 ¥37,236 ¥97,101 ¥16,386 ¥31,339

出典:結果の概要-平成30年度子供の学習費調査:文部科学省

上記の表のとおり、中学校では公立でも私立でも学校外活動費はあまり変わりません。一方で、私立小学校の学校外活動費は公立の約3倍です。

つまり、多くの家庭で中学校から行うような学校外活動を、私立小学校に通っている児童は、小学校からお金をかけて行っているといえます。また、学習塾と習い事を並行している家庭が多いのが推測できます。

私立小中学校に進学するのに必ずかかる費用ではありませんが、このような現状を把握しておきしょう。

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私立に進学させられる世帯年収の目安は?

私立小中学校に進学するための費用は、公立の5倍にもなることを説明しました。それでは、親として子どもを私立に進学させられる世帯年収の目安はどのくらいでしょうか。

ご家庭の収入状況や今後の見通しをもとに、学習費に充当できる額を判断するのが望ましいですが、一定の目安もあるので紹介します。

実状としては、私立小中学校に子どもを通わせている世帯の年収は1,200万円以上が多いです。

世帯年収 公立小学校 私立小学校 公立中学校 私立中学校
400万円未満 14.1% 3.0% 14.2% 3.9%
400~599万円 29.0% 6.0% 26.1% 7.2%
600~799万円 27.0% 11.4% 25.4% 16.8%
800~999万円 15.7% 15.0% 18.7% 19.8%
1,000~1,199万円 7.3% 15.2% 10.1% 16.8%
1,200万円以上 6.9% 49.4% 5.4% 35.5%

出典:文部科学省参照元:「平成28年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の金額段階別構成比」

最低でも世帯年収600万円以上が目安

私立小中学校に進学させられる世帯年収の目安は600万円以上です。先ほどの表で考えると、世帯年収600万円未満の世帯は全体の約10%で、残り約90%の世帯は年収600万円以上です。

私立小学校の学習費は1年間に約160万円のため、世帯年収600万円の場合、年収の約27%が子どもの学習費になります。

実際には年収から税金や社会保険料・住居費用・食費などを除いた額を学習費として充てることになります。

世帯年収1,000万円以上が望まれる

現実的には、世帯年収1,000万円以上が望まれます。世帯年収1,000万円以上の世帯が全体の半数を占めるためです。つまり、クラスの半分以上が世帯年収1,000万円以上の世帯の児童という計算になります。

世帯年収1,000万円であれば私立小学校の年間学費約160万円の割合は16%となり、学習費を現実的に捻出できる範囲です。

私立小中学校の学費負担を抑える数少ない2つの制度

私立小中学校への進学は、最低でも年収600万円以上なければ厳しいのが現実です。しかし、年収600万円未満でも私立小中学校に進学しているケースが10%程度見られました。

おそらく学費負担を抑える制度を利用しているものだと考えられます。そこで、私立小中学校の学費負担を抑える数少ない2つの制度を紹介します。

ただし、あまり大きな期待は持てないのも現実です。実際に以下2制度の内容を確認していきましょう。

  • 就学援助制度
  • 経済的支援に関する実証事業(授業料軽減制度)

就学援助制度(要保護児童生徒援助費)

学校教育法第19条では、経済的理由で就学困難な児童を持つ保護者に対して、市町村が援助することが定められています。この義務に基づいた制度が就学援助制度です。

  • 対象者:生活保護世帯および、各市町村が定める世帯所得要件を満たす世帯
  • 支給額:学用品費・郊外授業費・卒業アルバム費など支給額は各市町村が定める

ただし就学援助制度は、公立小中学校に通う児童を持つ保護者に対する支援というのが基本的な考え方です。実際、東京都世田谷区では私立小中学校は援助の対象外です。文京区では援助費目の一部のみ支給可能とされています。

世田谷区内在住で国公立小・中学校に在籍するお子様がいる家庭(所得審査があります)。

引用元:令和2年度 就学援助費について | 世田谷区ホームページ

私立の小・中学校に在籍されている場合は、学習支援費(クラブ活動費相当額を除く)と新入学用品費のみの支給となります。

引用元:文京区 就学援助(小・中学校でかかる費用の援助)

就学援助制度は、各市町村が制度詳細を設計することになっています。詳細は市町村窓口で問い合わせましょう。

経済的支援に関する実証事業

経済的支援に関する実証事業は、一定の要件を満たして対象として認められれば最大で年額10万円の授業料が減額される制度です。一定の要件とは以下のとおり。

  • 7月1日時点で私立小中学校等に通っている
  • 保護者等の所得金額の合計が140万円未満であること(およそ年収400万円未満)
  • 保護者等の資産保有額の合計が600万円以下であること
  • 児童生徒が贈与税が非課税とされる祖父母等からの教育資金の一括贈与を受けていないこと
  • 保護者等が誓約書を提出すること
  • 保護者等がアンケートおよびヒアリング調査に協力すること

参照:東京都私学財団「立小中学校等就学支援実証事業」

所得に関する要件に関しては、判定所得はおおむね住民税における課税総所得金額等です。給与所得や事業所得などを合計した額から、基礎控除や社会保険料控除など所得控除の合計額を引いた値のことをいいます。

なお、ひとり親控除または寡婦控除の適用があれば判定基準が異なってくるので注意してください。

本制度は、2021年7月1日が申請期限です。該当する方は見逃さないようにしておきましょう。

まとめ:私立小中学校に進学させたいなら世帯年収600万円以上を目標にしよう

私立小中学校の学費について説明してきました。学校によって異なるのであくまでも目安ですが、入学時には100万円程度必要となり、1年間トータルでは約160万円ほど必要です。

私立小中学校にかかる支援制度は形式的にはあるものの、実質的にはあまり期待できるものではありません。そのため、世帯年収600万円以上なければ私立小中学校への進学は経済的に厳しいかもしれません。

ただし、本記事で紹介した金額はあくまでも平均的な目安です。私立小中学校によっては、平均以下の学費でも進学できる場合があります。

私立小中学校への子どもの進学を希望する場合、早めに情報収集しながら世帯年収を向上できないか検討してみましょう。

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