「子供は大学に行かせてあげたい」と考えているものの、どのような方法で大学の学費を準備しようかと悩む人も多いのではないでしょうか。
本記事では学資保険について解説します。また、実際の大学の学費や児童手当についてもご紹介するので、計画的な教育資金の準備の際に参考にしてください。
大学の学費はどれくらいかかる?
大学の学費は、私立大学よりも国立大学のほうが安いと言われていますが、実際にはどれくらいかかるのでしょうか。国立大学と私立大学の学費は以下の通りです。
入学料 | 授業料 | 施設設備費 | 4年間の合計 | |
---|---|---|---|---|
国立大学 | 282,000円 | 535,800円 | - | 2,425,200円 |
私立大学(文科系) | 228,262円 | 793,513円 | 150,807円 | 3,553,121円 |
私立大学(理科系) | 255,566円 | 1,116,880円 | 177,241円 | 4,900,327円 |
私立大学(医歯系) | 1,073,083円 | 2,867,802円 | 862,493円 | 13,406,784円 |
参考:文部科学省「令和元年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」の資料データ
上記の表から分かる通り、国立大学と私立大学では学費に大きな差があります。また、私立大学の医歯系の学部に進学する場合はさらに学費が必要です。子供の希望や適性を考えながら、どの程度の学費を準備するべきか検討しましょう。
大学の学費準備には児童手当も考慮しよう
大学の学費としてまとまった金額が必要ですが、公的な手当を貯蓄することで学費準備の負担を軽減できます。ここでは公的な手当である児童手当を解説します。
児童手当とは
児童手当とは中学校卒業までの児童を養育している人に、毎年6月・10月・2月に所定の金額が支給される制度です。 令和2年度の支給額は以下の通りです。
児童の年齢 | 児童手当の額(1人あたりの月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降:15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
児童手当の受け取り総額
出生後から中学校卒業までの児童手当の受け取り総額はいくらになるのでしょうか。ここではモデルケースとして以下の条件で児童手当を算出します。
- 4月生まれの子供
- 第一子(他に養育している子供はいない)
0歳から3歳未満は月額15,000万円×36ヵ月=54万円
3歳以上小学校修了前は月額10,000円×120ヵ月=120万円
中学校卒業まで月額10,000円×36ヵ月=36万円
54万円+120万円+36万円=210万円
子供が4月生まれの場合、児童手当として計210万円が給付されます。仮に児童手当を全て貯蓄すると、大学の学費に充てることができるほどまとまった金額を確保できます。児童手当を貯蓄することは、学費工面のための有効な手段になるでしょう。
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学資保険の特徴
児童手当を貯蓄する他にも、大学の学費準備のために学資保険に加入する人がいます。学資保険には以下の特徴があります。
- 税制上のメリットがある
- 万一の際は以後の保険料の払い込みが不要
- 受け取り時期を調整できる
- 魅力的な返戻率
①税制上のメリットがある
契約者と学資年金受取人が同一であれば、受ける学資年金には所得税がかかります。しかし、一括で受け取る場合には50万円の特別控除があり、受け取った学資年金と支払った保険料の差額が50万円以下であれば非課税です。
さらに、支払う保険料は一般生命保険料控除の対象で、申告することで所得税と住民税が軽減されます。
②万一の際は以後の保険料の払い込みが不要
教育資金を準備しながら、万一の際には保険としての保障を確保できるのも学資保険の特徴です。学資保険は、契約者が死亡した際に以後の保険料を払い込むことなく、学資年金を受け取ることができるようになっています。
③受け取り時期を調整できる
大学入学時以外にも、小学校・中学校・高校の入学時にお祝い金を受け取ることができるタイプの学資保険があります。小学校や中学校の入学時に学資年金を活用したいと考える場合は、受け取り時期や頻度を調整しましょう。
④魅力的な返戻率
学資保険の返戻率は100%を超えるものが一般的で、預金として銀行に預けるよりも、学資保険に加入した方が将来の受け取り金額が多くなります。
銀行預金と比べて貯蓄性が高く、満期を迎えた時に確実に学資年金を受け取ることができるため、計画的に教育資金を準備するための手段の一つとなります。
返戻率とは
払い込む保険料に対して受け取ることができる学資年金の割合のことをいいます。返戻率は以下の式で算出します。
返戻率(%)=(受け取れる学資年金などの総額÷払い込んだ保険料の総額)×100
加入前に要確認!学資保険の2つの注意点
学資保険は長ければ20年近くも保険料を払い込みます。長期間の契約ですので、学資保険に加入する際は以下の2点に気を付けましょう。
- 途中で解約すると返戻率が低い
- 物価の変動に対応できない
①途中で解約すると返戻率が低い
子供の大学資金の確保を目的に加入する学資保険は、途中で解約すると返戻率が低くなります。解約時には解約返戻金を受け取ることができるものの、既に払い込んだ保険料を下回ることが多いため注意しましょう。
②物価の変動に対応できない
学資保険に加入したあとにインフレが進行しても、契約時の利率は変わりません。つまり、学資保険は物価の変動に対応できず、物価が上がった場合は実質的な資産価値が目減りします。
学資保険は資金の流動性が低いため、学資保険と投資を併用するなどバランスの良い学費の準備方法を検討しましょう。
学資保険の返戻率を上げる方法はある?
貯蓄性の高い学資保険に加入する際に、「もう少し返戻率が高ければ」と考えることもあるでしょう。学資保険の返戻率を上げる方法は以下の通りです。
- できるだけ早く加入する
- 払い込み期間を短くする
- まとめて払う
- お祝い金なし型を選ぶ
①できるだけ早く加入する
学資保険は被保険者である子供の年齢と、契約者の年齢に応じた保険料が設定されます。そのため、親子共に年齢が若いほど保険料が安く、早く加入するほど返戻率が高くなります。
妊娠中から加入できる学資保険もあるため、出生前加入も検討しましょう。
②払い込み期間を短くする
子供の大学入学時まで保険料を支払うプランの他に、5年間や10年間で保険料を払い終えるプランもあります。また、資金に余裕があれば保険料を一括で払い込むことも可能です。
短期間で払い込むことで、払い込み終了時から学資年金の支払いまでの据え置き期間に保険会社が運用できるため、通常よりも利率が良くなります。
③まとめて払う
払い込み期間を短くするほか、月払いではなく半年払いや年払いを利用してまとめて払うことで返戻率を上げることができます。まとめて保険料を払うことで保険料の割引が発生し、結果として月払いよりも少ない保険料で加入できます。
ボーナスの時期に合わせて年払いを利用するなど、支払い方法を考慮することが大切です。
④お祝い金なし型を選ぶ
学資年金の受け取り方を工夫することで返戻率を上げることができます。学資保険のプランごとに、小学校・中学校・高校の入学時にお祝い金を受け取れるものがあるなど、学資年金の受け取り時期や回数はさまざまです。
何度もお祝い金を受け取ることができるプランよりも、受け取りが一回だけのプランのほうが返戻率は高くなります。学資年金を受け取るタイミングを加入時に確認しましょう。
まとめ:学資保険を利用して大学の学費に備えよう
大学の学費の準備のために学資保険を利用することで、魅力的な返戻率といざという時の保障といったメリットがあります。ただし、短期間で解約することのないよう、保険料や払い込み期間を調整することが大切です。
児童手当も貴重な教育資金ですので、貯蓄して大学の学費に充てることを検討しましょう。