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家計

扶養というと、同居家族を思い浮かべる人が多いと思いますが、別居している家族を扶養にできるケースもあります。1人暮らしの大学生の子どもや、実家で暮らす高齢の親などが所定の要件を満たすケースが該当します。

別居家族の扶養と聞いて、「別居の家族を扶養にするとどんなメリットがあるの?」「扶養にするための家族の条件は?」「どんな手続きをすればいいの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。

今回の記事では、別居する家族を扶養にする条件を中心に解説します。別居家族を扶養にすれば税金や社会保険料が節約できるので、対象となる別居家族がいる人は扶養に入れることを検討してみましょう。

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家族の扶養には2種類ある

「扶養については複雑でよくわからない」と言われることがあります。原因の1つは、扶養には「所得税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、両者を混同していることです。

それぞれについて説明します。
 

所得税法上の扶養

「所得税法上の扶養」とは、所得税を計算する際に配偶者控除や扶養控除を受けられる条件としての扶養です。

所得税法上、家族を扶養していると認められれば、扶養控除等の所得控除を受けることができるので所得税や住民税が安くなります。税金が安くなるというメリットを受けるのは、家族を扶養する「扶養者」です。
 

社会保険上の扶養

「社会保険上の扶養」とは、扶養者が加入する会社の健康保険に家族が加入できる条件としての扶養です。

健康保険では、加入者に扶養されている家族は保険料を支払うことなく扶養者が加入している会社の健康保険に加入できます。健康保険料を支払わなくていいというメリットを受けるのは、会社員に扶養される「被扶養者」です。

また、厚生年金に加入する会社員に扶養される配偶者は、「被扶養配偶者」として国民年金第3号被保険者となります。被扶養配偶者は、保険料を支払うことなく国民年金に加入できます。

これから、別居家族を扶養にするための条件やメリットについて解説します。「所得税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」を区別しながら記事を読んでいただくと理解しやすくなります。また、以下の用語も混同しやすいので注意しましょう。

  1. 扶養者:家族を扶養する人(世帯主など)
  2. 被扶養配偶者:扶養者に扶養される配偶者(専業主婦など)
  3. 被扶養者:扶養者に扶養される配偶者以外の家族
     

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別居の家族を扶養にする条件

別居の家族を扶養にできれば、扶養者の税金が安くなったり、被扶養者などの社会保険料の支払いが不要になります。別居の家族を扶養にするための条件をみていきましょう。

所得税法上の扶養控除を受けるための条件

別居の家族を扶養にすることで、扶養者は所得控除を受けられますが、被扶養配偶者と被扶養者では所得控除の種類が異なります。

  1. 被扶養配偶者:配偶者控除や配偶者特別控除の対象
  2. 被扶養者:扶養控除の対象

配偶者控除や配偶者特別控除を受けるための条件

別居の被扶養配偶者がいれば、扶養者は「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられます。被扶養配偶者の収入によって、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらが適用されるかが決まります。ただし、扶養者の所得が1,000万円を超えると所得控除は受けられません。

  1. 配偶者控除:年間の合計所得金額が48万円以下であること(収入が給与だけなら給与103万円以下)
  2. 配偶者特別控除:年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること(収入が給与だけなら給与103万円超201万円以下)

参考:国税庁「配偶者控除」
参考:国税庁「配偶者特別控除」

上記の収入要件以外の、配偶者控除や配偶者特別控除を受けるための条件は共通となります。具体的には次の通りです。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
  2. 納税者(扶養者)と生計を一にしていること
  3. 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、又は白色申告者の事業専従者でないこと

別居している家族については「納税者と生計を一にしている」という条件が扶養の有無を判断するポイントです。


 

「生計を一にしている」とは

同居の配偶者は、特別な状況がない限り「納税者と生計を一にしている」と判断されます。扶養者が単身赴任している場合など、別居中の配偶者については次のケースで「納税者と生計を一にしている」ものとして取り扱われます。

  • 生活費や学資金、療養費などを常に送金しているとき
  • 日常の起居を共にしていない親族が、勤務や修学の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているとき

配偶者以外の別居の家族についても、上記の要件を満たした場合、「納税者と生計を一にしている」と判断されます。

 

参考:国税庁「生計を一にする」

 

扶養控除を受けるための条件

配偶者を除く別居している家族が扶養控除を受けるための条件は次の通りです。ただし、16歳未満の子どもは扶養控除の対象にはなりません。所得控除の代わりに児童手当が支給されるからです。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)、市町村長から養護を委託された老人
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること(収入が給与だけなら給与103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、又は白色申告者の事業専従者でないこと

参考:国税庁「家族と税・扶養控除」

1人暮らしをする大学生の子どもや実家の親に仕送りしている場合、「納税者と生計を一にしている」と判断されるため、子どもや親は扶養控除の対象となります。

社会保険上の被扶養配偶者や被扶養者にするための条件

別居の家族を、社会保険上の被扶養配偶者や被扶養者にするための条件は、「所得税法上の扶養」とは異なります。
 

国民年金第3号被保険者になる条件

配偶者が国民年金第3号被保険者になるための条件は次の通りです。第3号被保険者になれば、配偶者は保険料の負担無しで国民年金に加入できます。

  1. 配偶者が20歳以上60歳未満であること
  2. 第2号被保険者に扶養されていること
  3. 配偶者の年収が130万円未満(障害者の場合は180万円未満)であること

「第2号被保険者に扶養されている」とは、配偶者の年収が次の条件を満たしているかどうかで判断されます。

  • 同居の場合:収入が扶養者の収入を下回る
  • 別居の場合:収入が扶養者からの仕送り額を下回る

また、配偶者の年収が130万円を超えると自分で社会保険に加入しなければなりません。ただし、社会保険の適用拡大によって年収130万円未満でも社会保険に加入した人は、第3号被保険者になれません。

参考:日本年金機構「第3号被保険者」
 

健康保険の被扶養者になる条件

家族が健康保険の被扶養者になる(扶養者の会社の健康保険に保険料の負担無しで加入する)条件は、扶養者と同居か別居で異なります。

扶養者と同居のときの条件は次の通りです。

  1. 扶養者の3親等内の親族であること
  2. 扶養者に生計を維持されていること(=収入が扶養者の収入を下回ること)
  3. 年収が130万円未満(障害者の場合は180万円未満)であること

扶養者と別居のときの条件は次の通りです。

  • 扶養者の配偶者や子、兄弟姉妹、父母、祖父母などであること
  • 扶養者に生計を維持されていること(=収入が扶養者からの仕送り額を下回ること)
  • 年収が130万円未満(障害者の場合は180万円未満)であること

「生計を維持されている」と「扶養されている」(第3号被保険者)とは同じ意味で、生計維持要件と呼ばれます。別居の家族については、「収入が扶養者からの仕送り額を下回る」かどうかが、扶養の有無を判断するポイントです。

参考:神奈川医療従事者健康保険組合「健康保険の資格」

別居の家族を扶養にする手続き

別居の家族を扶養にする手続きは難しくありません。ただし、社会保険上の扶養にする場合はすぐに手続きすることがおすすめです。

所得控除を受けるための手続き

別居の家族を対象に配偶者(特別)控除や扶養控除を受けるためは、年末調整や確定申告が必要です。職業などによって必要な手続きは異なり、次の通りです。

  • 会社員など:年末調整時に「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出する
  • 自営業者など:税務署での確定申告時に控除申請をする
     

別居家族が生計維持要件を満たしていることを確認するため、「親族関係書類及び送金関係書類」などが必要となるため、手続き前に勤務先(年末調整)や税務署(確定申告)に確認しましょう。

参考:国税庁「[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」
 

別居の家族が社会保険に加入するための手続き

別居の家族を社会保険の扶養に入れる時は、勤務先に「健康保険被扶養者届(国民年金第3号被保険者関係届)」を提出します。提出が遅れると、健康保険や国民年金への加入時期が遅くなるため早めに手続きしましょう。

手続きには「親族関係書類及び送金関係書類」のほか、家族の所得を証明する書類なども必要です。

参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
 

まとめ:別居家族を扶養に入れて税金と社会保険料を節約しよう

別居家族であっても、所定の条件を満たせば扶養に入れることができます。ただし、同居家族の場合と異なり、以下の条件を満たす扶養者から被扶養者などに対する定期的な仕送りが必要です。

  • 所得税法上の扶養:扶養者と生計を一にしていること
  • 社会保険上の扶養:扶養者に生計を維持されていること

「所得税法上の扶養」により扶養者は税金が安くなり、「社会保険上の扶養」により被扶養者(配偶者)は保険料を負担することなく社会保険に加入できます。節税効果と社会保険料の節約が期待できるので、対象者がいる人は制度の利用をおすすめします。

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