家計にとって水道代は少なくない支出です。水道代の平均はいくらなのか気になるのも当然でしょう。
水道代は、世帯人数や住んでいる地域、年収、さらにはライフスタイルによって変わります。そのため、家庭の水道代の適切な料金を把握することは難しいものです。
そこでこの記事では、国の統計である「家計調査」をもとに、世帯人数別・地方別・年収順位別の水道代平均額を紹介します。
この記事を読むと、自身の家庭での水道代の水準がわかり、水道代を抑える(節水)方法もわかります。
ぜひ家計の負担を抑えるためにお役立てください。
水道の平均額は4,091円!状況別の額も紹介
本章では、状況別の水道料金を紹介します。
- 世帯人数別
- 地域別
- 年収順位別
各数値をみて、自身の水道料金と照らし合わせましょう。
①世帯人数別
2022年分の政府統計「家計調査」(※)によると、世帯人数別の水道代平均額は以下のとおりです。
世帯人数 | 平均額 |
---|---|
1人 | ¥2,116 |
2人 | ¥4,229 |
3人 | ¥5,500 |
4人 | ¥6,196 |
5人 | ¥7,128 |
6人 | ¥9,033 |
平均 | ¥4,091 |
※参照:総務省「家計調査 家計収支編 総世帯 第4表 2022年」
全体の平均額は1ヶ月あたり4,091円でした。2ヶ月分の請求なら、8,182円です。
平均額は4,091円ですが、例えば一人暮らし(単身世帯)なら4,091円となると平均より高い水準といえます。
上記の表は全国の1世帯あたり1ヶ月間の世帯人数別平均額のため、地方別ではどうか以降で確認します。
②地域別
地方別の水道代平均額は、以下のとおりです。
地方 | 平均額 |
---|---|
北海道地方 | ¥4,058 |
東北地方 | ¥5,156 |
関東地方 | ¥4,050 |
北陸地方 | ¥4,757 |
東海地方 | ¥4,008 |
近畿地方 | ¥3,925 |
中国地方 | ¥4,103 |
四国地方 | ¥3,574 |
九州地方 | ¥3,858 |
沖縄地方 | ¥3,557 |
※参照:総務省「家計調査 家計収支編 総世帯 第2表 2022年」
北海道から関東・北陸地方までは平均額より高めで、東海地方から沖縄地方までは平均より低めでした(中国地方を除く)。
また、最も水道代が高い地方は5,156円の東北地方で、最も水道代が安い地方は3,557円の沖縄地方です。
地方だけで見ても、1ヶ月あたりの平均額に1,599円(年額19,188円)の差があります。
③年収順位別
最後に、年収順位別の水道代平均額を見てみましょう。なお「下位0~10%」とは、「上位90~100%」を意味します。
年収順位別 | 年収範囲 | 平均額 |
---|---|---|
下位0~10% | 0~183万円 | ¥2,471 |
下位10~20% | 183~245万円 | ¥2,893 |
下位20~30% | 245~306万円 | ¥3,487 |
下位30~40% | 306~364万円 | ¥3,686 |
下位40~50% | 364~432万円 | ¥3,773 |
下位50~60% | 432~519万円 | ¥4,041 |
下位60~70% | 519~621万円 | ¥4,492 |
下位70~80% | 621~760万円 | ¥4,949 |
下位80~90% | 760~975万円 | ¥5,290 |
下位90~100% | 975万円~ | ¥5,830 |
※参照:総務省「家計調査 家計収支編 総世帯 第3表 2022年」
上の表より、水道代は世帯年収によっても異なることがわかりました。
年収が最も低いグループの水道代平均額は2,417円である一方、年収が最も高いグループの水道代平均額は5,830円と、3,413円の差があります。
全世帯の平均額は4,091円だったため、平均に最も近いのは、年収順位の中間にいる下位40~50%(上位50~60%)の年収グループです。
ただし、ここでいう年収は1人ではなく1世帯の金額のため、「世帯人数が多く、働いている人も多いから水道代が高い」と考えることもできます。
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水道代が決まる仕組み
水道代は、基本料金と従量課金、下水道料金の合計金額で決まります。水道代は、生活インフラであり、公益事業なため、急激な価格上昇は起きません。
ここでは、水道代の基本料金の仕組みや従量課金、下水道料金の仕組みを解説します。
水道代の基本料金の仕組み
家庭の水道料金の基本料金は、水道メーターのサイズ(つまり、水道管の直径)によって決まります。サイズは「メーター口径」と呼ばれています。東京都水道局(23区)の料金は、メーター口径ごとに設定されています。
メーター口径のサイズは13mm、20mm、25mm、30mm、40mmなどです。一般的な家庭では20mmのサイズがよく使われますが、以前は13mmが一般的でした。
従量課金の仕組み
従量課金は、実際に使った水の量に基づいて計算されます。水道メーターは2ヶ月ごとに検収し、料金は検収の都度請求します。
メーターのサイズ(メーター口径)も料金を決める要素です。例えば、一般家庭でよく使われている13mmから25mmのメーター口径の場合、最初の5m3は無料です。
それを超えて10m3まで使うと、1m3当たりの料金が22円になります。さらに、合計で20m3まで使うと、1m3当たりの料金が128円になります。つまり、水の使用量が増えると、1m3当たりの料金も上がる仕組みです。
下水道料金の仕組み
下水道の料金も水の使用量に応じて変わる従量課金です。下水道には上水道とは異なり、使用量を計るための専用の水道メーターが設置されていません。
そのため、使用した水の量をもとに料金を計算します。下水道料金の具体的な計算方法は以下の通りです。まず、使用量が8立方メートル(m3)までの部分は一律で560円です。
その次に、8m3を超えて20m3まで使うと、その部分の使用量については1m3当たり110円になります。さらに、20m3を超えて30m3まで使った場合、その部分の使用量は1m3当たり140円がかかります。
水道料金の従量課金制度は、使用量が増えると料金も上がる仕組みになっているため、水の使用量が増えると水道料金も上がるため注意が必要です。
水道代を計算する方法
水道代の平均額がわかったところで、そもそも水道代がどのように計算されているのか知っておきましょう。
東京都水道局によれば、水道代の計算式は以下となります。
- 水道代=上水道料金+下水道料金
- 上水道料金=(基本料金+従量料金)×消費税率
- 下水道料金=表で算出した額(従量料金)×消費税率
参照:東京都水道局「水道料金・下水道料金の計算方法(23区)」
以降では、世帯人数3人の1ヶ月あたり平均使用水量「20.7立方メートル」(※)の場合の計算例を紹介します。
なお検針票では使用水量に端数が生じないため、今回は四捨五入により「21立方メートル」として計算します。
計算①上水道料金を求める
はじめに、上水道料金を求めます。基本料金は水道メーター口径で決まるため、ここでは13mmと仮定しましょう。13mmの場合、基本料金は860円です。
従量料金は、以下のように計算します。
- 1~5立方メートル:@0円×5立方メートル=0円
- 6~10立方メートル:@22円×5立方メートル=110円
- 11~20立方メートル:@128円×10立方メートル=1,280円
- 21~30立方メートル:@163円×1立方メートル=163円
- 小計:1,553円
※「@」は、1立方メートルあたりの単価を示す
※1円未満の端数は切り捨て
上記のとおり、使えば使うほど単価も上がる逓増型の料金体系となっています。
基本料金860円と従量料金1,553円を合計すると2,413円で、消費税(税率10%)を加算すると2,654円です。
計算②下水道料金を求める
次に、下水料金を求めます。下水道料金は基本料金がなく、従量料金のみ計算します。
- 0~8立方メートル:一律560円
- 9~20立方メートル:@110円×13立方メートル=1,430円
※「@」は、1立方メートルあたりの単価を示す
※1円未満の端数は切り捨て
下水道料金にも消費税がかかるため、10%を加算して1,573円です。
計算③水道料金を求める
最後に、上水道料金2,654円と下水道料金1,573円を加算すると、4,227円となります。これが1ヶ月あたりの水道料金です。
なお、水道料金4,227円は、冒頭でご紹介した全国の水道料金の平均額4,181円に近い結果です。
なお通常は2ヶ月おきに検針と請求があるため、実際に計算するときは検針票の使用水量を半分にして1ヶ月ごとに計算します。
水道代の節約方法7選
前章までで水道代を計算しましたが、少し高いと感じた方もいるのではないでしょうか。そこで本章では、水道代の節約方法を7つ紹介します。
- 何に多く使っているかを把握する
- 流しっぱなし(出しっぱなし)をやめる
- お風呂の残り湯を有効に活用する
- 節水できる家電に買い替える
- 節水コマを利用する
- トイレを流すときは「大」と「小」を区別する
- 水道代の支払い方法で得をする
日常生活で何気なく使っている水は、実は上記のことを意識するだけで、節約できます。まずは一つだけでも意識して、水道代を節約しましょう。
方法①何に多く使っているかを把握する
水道代を節約するなら、まず「何に多くの水を使っているか」を把握しましょう。水をたくさん使っているものを重点的に対策するのが効果的だからです。
東京都水道局の調査(※)によれば、以下のとおり、お風呂で多くの水を使っているようです。
- 風呂:40%
- トイレ:21%
- 台所(キッチン):18%
- 洗濯:15%
- 洗面・その他:6%
※参照:東京都水道局「平成27年度 一般家庭水使用目的別実態調査」
まずは、お風呂の節水を検討することが効果的といえるでしょう。
方法②流しっぱなし(出しっぱなし)をやめる
お風呂だけでなく、水道代の節約をするなら水の流しっぱなしをやめる必要があります。以下の表は、用途ごとに水を流しっぱなしにすることによる水の使用量です。
用途 | 流しっぱなし | 使用量 |
洗面・手洗い | 1分間 | 約12リットル |
歯みがき | 30秒間 | 約6リットル |
食器洗い | 5分間 | 約60リットル |
洗車 | 常時 | 約90リットル |
シャワー | 3分間 | 約36リットル |
流しっぱなし対策として以下のような方法があるため、ぜひ検討してみてください。
- 水が不要なときは蛇口をしめておく(基本)
- 歯みがきはコップを利用する
- 食器を洗うときやすすぐとき以外は蛇口をしめておく
また、蛇口をあけるのは必要最小限に抑えておくのも有効といえるでしょう。
方法③お風呂の残り湯を有効に活用する
お風呂の残り湯は、約180リットル(0.18立方メートル)もあるといわれています。以下のような用途で有効活用ができないか検討してみましょう。
- 洗車
- 洗濯
- 掃除
- 散水
方法④節水できる家電に買い替える
今使っている家電から新しい家電に買い替えることや、節水家電(グッズ)の購入を検討してみましょう。
新しい家電は、省エネ性能が向上しているものがあります。
- 洗濯機
- 食洗機
- 家庭用バスポンプ
- 節水トイレ
- 節水シャワーヘッド
例えば、洗濯機はタテ型式よりもドラム式のほうが節水できます。
その理由は、タテ型式はもみ洗いですが、ドラム式はたたき洗いが可能だからです。その結果、使用水量が少なく済みます。
方法⑤節水コマを利用する
節水コマを利用すると、水量を調節でき、節水ができます。
節水コマとは?
節水コマとは、蛇口に取り付けて流出水量を調節し、節水ができるコマのことです。各地の水道局で無料配布していることがあり、節水効果は最大で50%といわれています。
節水コマは、洗面所やキッチンの蛇口に取り付けると効果的です。ただし、以下の点に注意しておきましょう。
- 取り付けるときは、メーターボックス内のバルブをしめておく必要がある
- 蛇口のパッキン押え部分をスパナ等で外す必要がある
- すでに水量が調節されている給湯側には取り付けないこと
- 一般用蛇口以外には取り付けられない
方法⑥トイレを流すときは「大」と「小」を区別する
トイレをしてから水を流すときは、「大」と「小」をしっかり区別して流しましょう。「大」と「小」で、洗浄水量は以下のように違いがあります(一例)。
大 | 小 | |
床排水(戸建て) | 3.8リットル | 3.3リットル |
壁排水(マンション) | 4.8リットル | 3.6リットル |
なお、トイレの排水には床排水と壁排水があり、床排水のほうが洗浄水量は少なめです。床排水はトイレの排水管が見えませんが、壁排水はトイレの排水管が見えます。
一度確認してみても良いかもしれません。
方法⑦水道代の支払い方法で得をする
最後に紹介する水道代を抑える方法は「支払方法」です。東京都水道局では以下の支払方法が選択できます。
支払方法 | 割引・還元 |
口座振替 | 1ヶ月あたり55円(税込)の割引 |
クレジットカード | 独自の還元(以下一例)イオン:0.5%(※1)オリコ:1.0%(※2) |
請求書 | なし |
スマートフォン決済 | 独自の還元PayPay:ステップに応じて0.5~1.5%(※3) |
※1:イオンカード 暮らしのマネーサイト「ときめきポイントの詳細」
※2:クレジットカードのオリコカード「クレジットカード」
※3:PayPay「公共料金がPayPay残高で支払い可能に!」
口座振替は1ヶ月あたり55円の割引ですので、2ヶ月分の請求では110円の割引です(税込)。
仮に還元率が1.0%のクレジットカードやスマートフォン決済サービスを使うとすると、1ヶ月あたり5,500円(2ヶ月11,000円)以上の水道代なら、クレジットカードやスマートフォン決済サービスがお得となります。
ただし、一部のクレジットカードは公共料金の支払いのみ還元率が低い場合があるため注意してください。
また、どの自治体でも口座振替割引があるとは限らず、クレジットカードやスマートフォン決済が利用できるとも限りません。
まとめ:水道代の平均は1ヶ月あたり約4,200円!水道代の節約を検討しましょう
水道代の平均額は、1ヶ月あたり約4,200円でした。ただし、地域や世帯人数によって平均額は変わります。
水道事業は都道府県や市町村が経営する公営企業によって運営されており、料金体系は条例などで定められています。東京都の場合、使えば使うほど単価も上がる逓増型の料金体系です。
家庭の水は約4割がお風呂で使われているため、まずはお風呂の節水を検討してみましょう。節水だけでなく、支払方法も検討すると良いかもしれません。
ぜひ本記事を参考に、水道代の節約(節水)を検討しましょう。