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家計

病気やけがなどで仕事ができないとき、気になるのは休職中の収入です。休職予定の方は「休職中は給料が出ないの?」「休職したとき、国からはどんな保障があるの?」など、不安や疑問を抱く人も多いでしょう。

今回の記事では、休職中の給料の有無と国から支給される手当を中心に解説します。支給金額についても紹介しますので、休職中の家計収支について事前に確認しましょう。

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休職とは?|休職制度と休職の種類

「休職(休業)」とは、何らかの理由により会社に籍を置きながら一定期間、会社を休むことです。「休暇」と似ていますが、休職と休暇(有給休暇など)は異なります。最初に、休職制度の特徴と主な休職の種類について見ていきましょう。
 

会社によって異なる休職制度

休職(休業)は会社が任意に設ける人事・労務上の制度で、制度内容は会社によって異なります。

労働基準法には「有給休暇」に関する定めがあり、一定期間勤めた人には有給休暇が付与されます。一方、休職(休業)については、休職制度を設けた場合には労働契約や就業規則への明示が義務付けられているだけで、休職制度を設けて従業員に付与する義務は定められていません。

ただし、労働基準法第65条では産前産後(原則、産前6週間と産後8週間)の労働を禁止しています。また、育児・介護休業法では、従業員が希望すれば所定日数の育児休業や介護休業の取得を認めています。

法定の休業以外は、従業員の福利厚生などを目的に会社が任意に設けたものです。

休職と有給休暇の違い
休職と有給休暇の主な違いは次の通りです。
  • 有給休暇がレジャーなど従業員が自由に使うために取得するのに対し、休職は何らかの理由によって仕事ができないために取得するケースが多い
  • 一般的に、休職の方が会社を休む期間が長い
  • 有給休暇と異なり、休職の場合は給料が出ないこともある
  • 育児・介護休業などを除けば、休職制度は会社が任意に設ける(法定されていない)

 

主な休職の種類

休職の種類は、その原因によって「会社都合による休職」と「自己都合による休職」に分類できます。

会社都合による休職

会社都合による休職とは、労働基準法第26条に定める「使用者の責に帰すべき事由による休業」のことです。会社側の理由によって、責任のない従業員が就業できないことになるので、会社は従業員に対し所定の「休業手当」の支払いが義務付けられています。

具体的には、次のケースが会社都合による休職(使用者の責に帰すべき事由による休業)に該当します。

  • 経営不振(仕事がない、製品が売れない、など)による休業
  • 工場などで機械の点検や修理をするための休業
  • 売上減少による従業員の一部を対象とする休業 など

ただし、地震や台風などの自然災害により、会社が休業せざるを得ない状況になった場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないため、会社に休業手当の支払い義務は発生しません。

自己都合による休職

自己都合による休職は、従業員本人に理由のある休職です。主な自己都合による休職は、次の通りです.

  • 業務上の病気やけがによる休職
  • 業務外の病気やけがによる休職
  • 出産や育児のための休職
  • 家族の介護のための休職
  • 自己啓発・留学・研修などのための休職 など

「育児や家族の介護のための休職」は、前述の通り育児・介護休業法で従業員に認められた休職です。また、「業務上の病気やけがによる休職」や「出産のための休職」は、労働基準法第19条で次の解雇が禁止されていることから、法律で保障されていると言えます。

  • 業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇
  • 産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇

「業務外の病気やけがによる休職」については、法律上の定めがないため休暇制度を設けるかどうかは会社が任意に決定しますが、多くの会社では休職が認められています。ただし、対象者や休職できる期間などは会社によってさまざまです。

「自己啓発・留学・研修などのための休職」を認める会社もありますので、会社の就業規則などで確認しましょう。

休職中の給与は支給される?

次に、休職中に給与が支払われるかどうかについて説明します。

休職中の給与の有無は就業規則次第

休職中の給与については法律に特段の定めがないため、給与の有無は会社が任意に決定します。給与の計算方法などについては就業規則に明記することが義務付けられているため、就業規則を見れば、休業中に給与が支払われるかどうかを確認できます。

ただし、会社都合による休職の場合、労働基準法第26条に下記の定めがあるため、休職中でも平均賃金の6割以上の金額が「休業手当」として支給されます。

労働基準法第26条「休業手当」
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

自己都合による休職中は無給がほとんど

休職中に給与を支払うかどうかは、休業手当などを除き会社が任意に決定しますが、自己都合による休職の場合は、無給であるケースがほとんどです。

労働基準法第24条は「賃金は直接労働者にその全額を支払わなければならない」と定めています。賃金とは「労働の対価」として支払われるものですから、労働していない場合は会社に賃金の支払い義務はありません。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼びます。

ノーワーク・ノーペイの原則は、休職だけではなく欠勤や遅刻についても適用されます。会社がノーワークに対しても給与を支払うと定めて就業規則に記載すれば、休職中でも給料がもらえますが、ノーペイ(無給)が一般的です。

会社が休職に対して給料を支払わない理由は、法律上の義務がないからだけでなく、無給による収入の減少を補う公的な給付制度があるからです。

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休職中に支給される公的給付

休職で無給になった場合、収入の減少を補うための公的制度が設けられています。主な公的給付は次の通りです。
 

公的給付①:病気で休職したときは「傷病手当金」

業務外の病気やけがで休職したときは、健康保険から傷病手当金が支給されます。

  • 支給金額:1日当たり直近1年間の平均標準報酬月額の2/3
  • 支給期間:支給開始した日から最長1年6ヵ月

支給金額は、土日を含めて賃金が支払われなかった日に対して支給されます。以下の公的給付についても同様です。

公的給付②:労災で休業したときは「災害補償給付」

業務上や通勤途上の病気やけがで休職したときは、労災保険から災害(補償)給付(※)が支給されます。

※業務災害は「災害補償給付」、通勤災害は「災害給付」が支給されます。

  • 支給金額:1日当たり給付基礎日額の60%(休業特別支給金として20%加算)
  • 支給期間:療養開始した日から最長1年6ヵ月

労災補償は手厚い給付が特徴です。傷病が療養開始後1年6か月経過しても治癒していなければ「傷病(補償)年金」、治癒後に障害が残った場合は「障害(補償)年金・一時金」などが支給される可能性もあります。

参考:厚生労働省「労災保険給付等一覧(PDF)」

公的給付③:産前産後休業のときは「出産手当金」

産前産後の休業のときは、健康保険から出産手当金が支給されます。

  • 支給金額:1日当たり直近1年間の平均標準報酬月額(※)÷30日の2/3
  • 支給期間:原則、産前6週間と産後8週間

※標準報酬月額は、被保険者が事業主から受け取る給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分したものです。詳細は下記リンクで確認ください。

参考:日本年金機構「標準報酬月額」

公的給付④:育児休業を取得したときは「育児休業給付金」

育児休業を取得したときは、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

  • 支給金額:1日当たり休業開始時賃金日額の2/3(育児休業開始6か月経過後は1/2)
  • 支給期間:原則、子供が1歳まで(パパママ育休プラス制度利用の場合は1年2か月)

子供を預ける保育園が見つからないなどの理由で育児休業は延長可能ですが、育児休業給付金は最大1年分しかもらえません。

公的給付⑤:介護休業を取得したときは「介護休業給付金」

介護休業を取得したときは、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。

  • 支給金額:1日当たり休業開始時賃金日額の2/3
  • 支給期間:同じ家族について93日を限度に3回まで支給

介護する家族は、配偶者や子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹などに限定されています。

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休職中に公的給付を受けるための手続き

休職中に公的給付を受けるためには、所定の請求書と添付書類を次の公的機関に提出します。

  • 傷病手当金:健康保険組合または協会けんぽ
  • 災害補償給付:労働基準監督署
  • 出産手当金:健康保険組合または協会けんぽ
  • 育児休業給付金:ハローワーク
  • 介護休業給付金:ハローワーク

「育児休業給付金」と「介護休業給付金」の場合は会社経由でハローワークに申請するので、会社に必要書類を提出します。

「傷病手当金」「災害補償給付」「出産手当金」については、事業主の証明と医師の証明が必要です。原則は従業員本人が申請するものですが、従業員が医師の証明を取り付けた上で、会社の担当者が「事業主の証明」を実施し、公的機関に提出してくれるケースもあります。

申請しないと公的給付を受けられないため、勤務先の担当者に相談しながら手続きを行いましょう。

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まとめ:受給可能な公的給付を確認して休職中の収入を確保しよう!

自己都合による休職の場合、給与が出るかどうかは会社によって異なりますが、原則無給であると覚えておきましょう。

しかし、休職で無給になった場合、収入の減少を補うためにさまざまな公的制度が設けられているため、給付を受けられるケースもあります。

まずは、会社の就業規則で休職中の給料について確認が必要です。また、本記事を参考に受給可能な公的給付を確認して請求しましょう。手続きについては勤務先の担当者に相談することをおすすめします。

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