日本の大学は学費が高いため、大学生のうち3人に1人は奨学金を利用しています。私立大学だと、授業料だけでなく多額の入学金を支払わなければいけないため、最初の出費も多くなりがちです。
しかし、奨学金をもらえるタイミングは入学後なので、入学金にあてることができません。せっかく大学に合格できたのに、入学金が払えずに進学を諦める人もいるようです。
この記事では、奨学金の仕組みと入学金が払えない人のための対処法を紹介します。お金の問題で大学入学を諦めないように、しっかりと理解して備えておきましょう。
奨学金を入学金に充てることはできない?
冒頭でも説明しましたが、奨学金を入学金に充てることはできません。理由は、奨学金がもらえるタイミングが入学後であるためです。
では、入学金が支払えない学生はどうすれば良いのでしょうか。結論から言うと、奨学金以外の方法でお金を借りる必要があります。
具体的にどんな方法があるかは後ほど詳しく説明していきます。
そもそも奨学金制度って何?
奨学金について簡単に説明すると、経済的な理由で就学できない学生に対して金銭面でサポートする制度のことです。
ここでは、3人に1人が借りていると言われる日本学生支援機構(JASSO)の奨学金について解説します。
JASSOの奨学金は、以下の3種類があります。
- 給付型
- 無利息の貸与型
- 利息付きの貸与型
多くの人が借りているのは貸与型の返済必要な奨学金です。しかし、なかには給付型の返済しなくていい奨学金などもあるので、申し込み対象か確認して有効に活用しましょう。
それでは、給付型から順に解説していきます。
返還の必要がない「給付型」
給付型は、その名前の通り返済義務がない奨学金です。これまでは、金銭的に進学が困難な家庭かつ成績優秀者が受けられる奨学金でした。
しかし、2020年4月からは、成績優秀者でなくとも、世帯収入がJASSOが定めた基準以下かつ学びの意欲があれば給付対象になります。世帯収入の基準は家族構成などによって異なるので、JASSO「進学資金シミュレータ」にて対象か確認してみてください。
また、給付型の対象になれば、学校から授業料・入学金の免除や減額も受けられます。金銭面でのサポートがかなり手厚くなるので、対象であれば申し込んでおきましょう。
給付金額は以下の通りです。
国公立 | 私立 | |
---|---|---|
自宅生 | 2万円 | 3万円 |
自宅外生 | 3万円 | 4万円 |
参考:栄光の個別ビザビ「大学4年間の授業料が無料になることも!大学生がもらえる奨学金とは?」
返還の必要がある「無利息の貸与型」
多くの学生が受給している貸与型の奨学金ですが、利息がつく場合とつかない場合の2種類あります。利息がつかないものは第一種と言われる奨学金で、選考基準が少し厳し目に設けられています。
普通お金を借りる時は利息がつきますが、第一種は無利息で借りられるので申し込んで損はありません。
審査に通らないと借りられないため、まずは申し込んでみることをおすすめします。
無利息よりも選考基準が緩い「利息付きの貸与型」
利息つきの奨学金は第二種と呼ばれるものです。第一種よりも選考基準が低いので、多くの人は第二種を借りているのではないでしょうか。
利息がつくとは言うものの、令和2年の利率は0.002%〜0.467%と低金利で、借りやすくなっているのが特徴です。日本政策金融公庫の教育ローンだと1.7%の金利なので、奨学金の利息はかなり割安な設定だと言えるでしょう。
2万円〜12万円までと、家計の事情に合わせて受給額を自由に選べます。将来、自分で返済できる範囲内のお金を借りるようにしましょう。
大学に入学するにはいくら必要なの?
では、次に大学の入学金がいくらかかるかを確認していきましょう。
以下の表をご覧ください。それぞれの費用は、4,700 人のアンケート対象者の回答した費用の平均額です。実際にかかる費用は大学によって変わるので注意しましょう。
大学種別 | 入学費用 | 在学費用 | 合計 |
---|---|---|---|
文系私立大学 | 86.6万円 | 157.6万円 | 244.2万円 |
理系私立大学 | 84.5万円 | 184.3万円 | 268.8万円 |
国公立大学 | 71.4万円 | 107万円 | 178.4万円 |
参考:日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査結果」
入学時には、比較的まとまったお金が必要です。入学金に加えて前期授業料を支払う必要があるため、70万円以上は用意しなければいけません。
私立大学だと入学金が高いため、学校によっては100万円以上かかることもあるでしょう。入学金は、合格通知がきてから2週間以内で支払うケースが多いです。
事前にお金を準備しておく必要があるので注意しましょう。
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大学に合格しても入学金が払えない...そんなときの対処法とは?
前述の通り入学金は、合格通知がきてから短期間で支払う必要があります。奨学金の申し込みが通っても、実際の振り込みは入学後になるため入学金の支払いには充てることができません。
ここからは入学金の支払いに悩む学生のために、奨学金以外のお金を借りる方法を6つ紹介します。
- ①国の教育ローン
- ②民間の教育ローン
- ③労働金庫の入学時必要資金融資
- ④母子父子寡婦福祉資金貸付
- ⑤生活福祉資金貸付
- ⑥入学資金あっせん制度
無利息のものから奨学金より金利が高いものまであるので、入学金の分だけ借りるようにすることがおすすめです。
①国の教育ローン
「国の教育ローン」は、日本政策金融公庫が提供している公的な教育ローンです。無担保で利用でき、他の民間教育ローンに比べると金利も低めなので利用しやすくなっています。
貸与金額は350万円まで借りられますが、奨学金で授業料を賄う人は入学金に必要な金額分だけの申し込みがおすすめです。
金額 | 350万円まで |
---|---|
対象 | 世帯年収の制限の条件をクリアしている学生 |
時期 | 入学前から利用可能 |
利息 | 1.76%(固定金利) |
注意点 | 奨学金と併用可能受験前から申し込み可能申し込みから20日程度で入金 |
参考:日本学生支援機構「進学マネー・ハンドブック(2018年)」
②民間の教育ローン
民間企業の教育ローンも、入学金に使うことができます。どのタイミングでも借りられるため、推薦入試などで早めの時期に支払いがある学生にもおすすめです。
注意点としては、企業によって金利が異なる点です。契約内容によっては金利が高く返済額が大きくなってしまうこともあるので注意してください。
また、入学時期などに低金利キャンペーンなどを行っている場合もあります。複数のサービスを比較して、お得に借りられるようにしましょう。
金額 | 企業によって異なる |
---|---|
対象 | 企業の審査に通った人(審査内容は企業により異なります) |
時期 | 入学前から利用可能 |
利息 | 固定金利か変動金利を選択(金利相場)2%〜5%程度 |
注意点 | 奨学金と併用可能受験前から申し込み可能 |
③労働金庫の入学時必要資金融資
労働金庫の入学時必要資金融資は、国の教育ローンが借りれなかった人のためのサービスです。金利も1.7%と低めの設定になっています。
最大50万円まで借りられるので、国の教育ローンの審査に落ちてしまった人は活用しましょう。
金額 | 50万円まで |
---|---|
対象 | ① 日本学生支援機構の奨学金対象校に合格し進学する人 ② 日本学生支援機構の奨学金振込口座を労働金庫に指定できる人 ③ ご父母(または親権者)のご住所またはお勤め先が労働金庫の取扱地域内にある人 <以下は、日本学生支援機構の「令和3年度(大学等)(大学院)奨学生採用候補者決定通知」の「入学時特別増額貸与奨学金(有利子)」欄に「日本政策金融公庫の『国の教育ローン』の申込:必要」の記載がある人のみ> ④ 入学時特別増額貸与奨学金の貸与条件(日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の融資を受けられなかった世帯の学生であること)を、融資申込前に満たしている人 |
時期 | 入学前から利用可能 |
利息 | 1.70%(固定金利) |
注意点 | 入学時に進学先に支払う教育資金(入学金、授業料)にのみ使用可能受験前から申し込み可能 |
参考:全国労働金庫協会「奨学生採用候補者の皆様へ(2020年)」
④母子父子寡婦福祉資金貸付
「母子父子寡婦福祉資金貸付」は、父子世帯、父母世帯向けの無利子で借りられる就学支援制度です。お住まいの市区町村の福祉担当窓口で申し込みを受け付けています。入学金に使用する場合は、「就学支度資金」が活用できます。
最大38万円まで無利子で借りられるので、父子世帯、父母世帯の学生は活用しましょう。
金額 | ①就学資金短大・専修学校(専門課程):月額9万円大学 :月額9.6万円 ②就学支度資金国公立大学・短大等:38万円まで私立大学・短大等:59万円まで |
---|---|
対象 | 母子家庭の母、父子家庭の父が扶養する児童父母のない児童、寡婦が扶養する子 |
時期 | 卒業後6ヵ月以内 |
利息 | 無利息 |
注意点 | 奨学金と併用可能受験前から申し込み可能 |
参考:日本学生支援機構「進学マネー・ハンドブック(2018年)」
⑤生活福祉資金貸付
「生活福祉資金貸付」は低所得世帯に向けた就学支援制度です。お住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口で申し込みを受け付けています。
入学金に使いたい場合は、就学支度費を利用すれば無利子で50万円まで借りられます。他の教育ローンなどが借りられる人は対象外なので注意してください。
他社の教育ローンの審査で落ちてしまった人は、無利子なので申し込みしてみましょう。
金額 | ① 教育支援費短大等:月額6万円まで大学:月額6.5万円以内 ② 就学支度費 50万円以内※必要と認める場合は、上記上限額の1.5倍まで貸付可 |
---|---|
対象 | 低所得世帯:他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)等 |
時期 | 必要な時期に利用可能入学前から利用可能 |
利息 | 無利息 |
注意点 | 受験前から申し込み可能 |
参考:日本学生支援機構「進学マネー・ハンドブック(2018年)」
⑥入学資金あっせん制度
入学資金あっせん制度は、自治体が入学資金の貸付や金融機関からの借入を支援する制度です。
自治体が利子や保証料を補助してくれるので、お得に借りることができます。
金額は自治体によって異なりますが、例えば埼玉県三芳町だと50万円まで、東京都葛飾区だと10万円〜160万円まで借りることが可能です。
利子を全額補助してくれる自治体もあるので、今住んでいる自治体の制度を確認してみてください。
金額 | 自治体によって異なる |
---|---|
対象 | 自治体によって異なる |
時期 | 入学前から利用可能 |
利息 | 自治体によって異なる(自治体が利子や保証料を補助) |
注意点 | 受験前から申し込み可能 |
まとめ:奨学金だけでなく国の教育ローンなどの利用も考えよう
この記事では、奨学金の種類や入学金が不足した時の工面方法についてご紹介しました。
奨学金はありがたい制度ですが、入学後の支給になるため入学金などには使えません。急にまとまったお金が必要になることもあるので、事前に準備しておく必要があります。
とくに私立大学だと多額の入学金や授業料を支払わなければいけません。その際は、国の教育ローンなどを利用すれば入学費用に充てることができます。
親御さんと事前にしっかり相談し、支払いの準備をしておきましょう。