ニュースレター登録

相続

身内に不幸があったとき、悲しみに暮れる暇もなく、さまざまな申請手続きに追われてしまいます。受け取った死亡保険金に伴う相続税の申告・納税もそのひとつです。

死亡保険金には非課税枠があるため、条件によっては相続税を減らせます。また、配偶者控除を利用すれば、さらなる相続税の減額も見込めます。

本記事を参考に、死亡保険金を受け取ったときに納付すべき相続税の額を求めてみましょう。
 

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

死亡保険金を受け取ったら相続税は必ずかかるのか

身内の不幸などで死亡保険金を受け取る際、相続税がかかる場合があります。ただし、相続する金額が控除額を下回っている場合には、相続税を支払う必要はありません。控除額や非課税枠があるためです。控除額と非課税枠については後ほど説明します。

また、保険金の受取人によっては相続税ではなく、「贈与税」や「所得税と住民税」が課税されるので注意が必要です。受取人と税金の関係については、次の章で解説します。

死亡保険金の受取人と税金の関係

死亡保険金の受取人と税金の関係を解説します。

契約者・被保険者・受取人をだれにしているかによって税金の種類が異なります。死亡保険金の受取人と税金の関係を以下の表にまとめました。

契約形態 契約者(例) 被保険者(例) 受取人(例) 税金の種類
契約者=被保険者 相続税
契約者=受取人 所得税+住民税
それぞれ異なる 贈与税
  • 契約者:死亡保険を申し込み、保険金を支払っている人
  • 被保険者:死亡保険の対象者
  • 受取人:保険金を受け取る人

 本記事では、契約者と被保険者が同一で、死亡保険金に相続税がかかるケースについて詳しく解説していきます。死亡保険金を相続する際の注意事項は以下の2点です。

  1. 相続する額に応じて税率は変化する
  2. 相続したら確定申告が必要になる

相続する額に応じて税率は変化

死亡保険金とそのほかの遺産を相続する際、相続の合計額に応じて相続税の税率が変化します。相続する金額と相続税率の関係表は以下のとおりです。

相続税速算表(相続の開始日が2015年1月1日以降)

相続する金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 参考:国税庁「相続税の税率」

なお、こちらの速算表は本記事の後半「実際に相続税を計算してみよう」の「STEP③相続税の総額を算出する」で使用します。

相続には確定申告が必要なケースも

相続をしたら、相続税が発生して申告や納税が必要になるケースがあります。申告と納税期間は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

例えば、8月31日に亡くなった場合は、翌年の6月30日までに申告書の提出と納税を行うのが基本です。「期日が土日の場合は翌日にずれる」などの特別ルールもあるため、不安なときは早めに税務署や税理士に問い合わせて正確な期日を確認しておきましょう。

この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。

死亡保険金には非課税枠がある

死亡保険金は残された家族への生活保障という救済の性格があります。それゆえ、死亡保険金には非課税枠が設けられています。

死亡保険の非課税限度額の計算方法と、非課税枠が使えないケースについて見ていきましょう。
 

非課税限度額の計算式

死亡保険金の非課税限度額は次の計算式で求められます。

法定相続人の人数×500万円

ここでは、夫・妻・子供3人の世帯で、生命保険の契約者かつ被保険者の夫が亡くなった場合を考えてみましょう。この場合、法定相続人は妻と子供3人です。したがって、法定相続人4人×500万円=2,000万円の死亡保険金を非課税で受け取れます。

非課税枠が使えないケース

上の例のように、死亡保険金の受取人が法定相続人の場合は、問題なく非課税枠を使用できます。しかし、受取人によっては相続税の非課税枠を利用できない場合があります。

非課税枠を利用できないのは、以下の3ケースです。

  • 法定相続人以外が受け取った場合
  • 相続欠格者、排除者が受け取った場合
  • 相続を放棄した人が受け取った場合

実際に相続税を計算してみよう

相続税は以下の4ステップで算出できます。

  1. STEP①遺産総額(課税価格)を算出する
  2. STEP②相続税の基礎控除を差し引いて課税対象額を算出する
  3. STEP③相続税の総額を算出する
  4. STEP④各相続人が納付すべき相続税額を算出する

 夫・妻・子供3人の世帯で、生命保険の契約者で被保険者の夫が亡くなった場合を例にして、相続税の計算方法を詳しく解説していきます。

STEP①遺産総額(課税価格)を算出する

遺産総額は、相続された財産から債務を差し引くことで求められます。相続財産には、受け取った死亡保険金の非課税枠を超過した額も含めて計算してください。

遺産総額=相続財産-相続財産のうち非課税分-債務控除-葬式費用(+相続開始前3年以内に贈与した財産)

今回、非課税枠は法定相続人4人×500万円=2,000万円です。

なお、葬式にかかった費用は財産の額から控除できます。また、相続開始前3年以内に贈与した財産には相続税がかかるので注意しましょう。

法定相続人 相続財産 非課税財産(死亡保険金の非課税枠) 債務控除 葬式費用 遺産総額(差引合計)
9,000万円 2,000万円 800万円 200万円 6,000万円
子A 3,000万円 3,000万円
子B 3,000万円 3,000万円
子C 3,000万円 3,000万円
合計 18,000万円 2,000万円 800万円 200万円 15,000万円

STEP②相続税の基礎控除を差し引いて課税対象額を算出する

遺産総額から相続税の基礎控除額を差し引いた額を課税対象として計算します。

相続税の課税対象額=遺産総額-(3,000万円+法定相続人の額×600万円)

遺産総額が15,000万円で法定相続人が4人の場合の計算結果は以下のとおりです。

  • 基礎控除控除額:3,000万円+4人×600万円=5,400万円
  • 相続税の課税対象額:15,000万円-5,400万円=9,600万円

STEP③相続税の総額を算出する

法定相続分に応じた仮の相続金額を計算した後に、先ほど紹介した速算表を使用して相続税の総額を出しましょう。

法定相続分に応じた仮の相続金額を求める

法定相続分とは、民法で定められた遺産割合の目安のことです。以下のとおり規定されています。

  • 【配偶者と子供が相続人の場合】配偶者:1/2、子供:1/2
  • 【配偶者と直系尊属が相続人の場合】配偶者:2/3、直系尊属:1/3
  • 【配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合】配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4

今回のケースでは、課税対象額の9,600万円を、配偶者と子供で1/2ずつ相続します。続いて、子供は相続額を3人で按分し、子供1人当たりの相続割合は1/2×1/3=1/6になります。

以下の表のように課税対象額に法定相続分をかけて仮の相続金額を算出しましょう。

法定相続人 課税対象額 相続割合(法定相続分) 仮の相続金額
9,600万円 1/2 4,800万円
子A 9,600万円 1/6 1,600万円
子B 9,600万円 1/6 1,600万円
子C 9,600万円 1/6 1,600万円

速算表を用いて相続税の総額を求める

仮の相続金額を求めたら、相続税の速算表を確認しながら法定相続人それぞれの相続税額を計算していきます。

【再掲】相続税速算表(相続の開始日が2015年1月1日以降)

相続する金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

参考:国税庁「相続税の税率」 

仮の相続金額に相続税率をかけてから、控除額を差し引きましょう。各人の相続税額を合計することで、世帯全体の相続税額を求められます。

今回のケースで、妻の相続税率を計算する式を一例として紹介します。
相続税額=(仮の相続金額 4,800万円)×20%ー(控除額 200万円)=760万円

法定相続人 仮の相続金額 税率 控除額 相続税額
4,800万円 20% 200万円 760万円
子A 1,600万円 15% 50万円 190万円
子B 1,600万円 15% 50万円 190万円
子C 1,600万円 15% 50万円 190万円
合計 1,330万円

STEP④各相続人が納付すべき相続税額を算出する

相続税の総額を実際の相続割合で按分して、各人の相続税額を計算します。。

法定相続人 相続税の総額 遺産総額に占める実際の相続額の割合 各人の相続税額
1,330万円 6,000万円/15,000万円 532万円
子A 1,330万円 3,000万円/15,000万円 266万円
子B 1,330万円 3,000万円/15,000万円 266万円
子C 1,330万円 3,000万円/15,000万円 266万円

ただし、この後説明するように相続税には配偶者控除があり、実際の納付額は異なります。 

配偶者控除でさらに税額を軽減できる

相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した財産の総額が①「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分に相当する額」のどちらか多い金額または②配偶者の法定相続分に相当する額のどちらか多い金額までは、相続税がかからない制度です。

配偶者の税額軽減額は、以下ように計算します。

配偶者の税額軽減額=相続税の総額×①②いずれか少ない額/遺産総額 ① 「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分に相当する額」のどちらか多い金額 ②配偶者が相続した実際の遺産(課税価額)

今回の例では妻の相続財産は1億6,000万円以下のため、妻分の相続税はかからずに済みます。

結論として、妻の税額532万円は全額控除できるため、納付すべき相続税の合計額は266万×子供3人=798万円となります。

配偶者控除のほか、相続税には以下のような控除があります。該当する場合は、積極的に活用していきましょう。

  • 未成年者控除:相続人(未成年者)が満20歳になるまでの年数1年につき10万円の控除
  • 障害者控除:相続人(障害者)が満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)の控除

まとめ:死亡保険金には相続税が発生する場合もあるが減額措置もある

死亡保険金を受け取っても、全額が相続税の課税対象になるわけではありません。非課税枠を活用したり、

配偶者の税額軽減を利用したりして 、可能な限り多くの財産を残せるように制度を活用していきましょう。

相続税の計算は複雑で戸惑うことも多いかもしれませんが、本記事を参考に計算してみてください。
 

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

CONTENTS 注目のコンテンツ

THIS WEEK’S RANKING 今週の記事ランキング