「保険に傷害特約や災害割増特約が付加されているけど、どのような保障内容なの?」このような疑問を抱きながら保険に加入している人もいるでしょう。いずれの特約も万が一の際や障害状態に備える保障ですが、異なる支払い要件が設定されています。
本記事では傷害特約と災害割増特約の内容を解説した上で、特約を付加する際の注意点を解説します。
本記事で紹介する各特約の概要を理解し、保障の上乗せを検討する際にぜひお役立てください。
傷害特約とは
傷害特約は生命保険や損害保険に付加することができる保障です。傷害特約を付加すると、不慮の事故で所定の身体障害状態になった場合は障害給付金を、不慮の事故や所定の感染症による死亡時には災害死亡保険金を受け取ることができます。
なお、不慮の事故とは急激かつ偶発的な外来の事故を指し、交通事故や溺死、窒息が該当します。逆に、高山病や熱中症は不慮の事故に該当しません。
従来の死亡保障よりも割安な保険料で付加することができるため、万が一の際の保障をさらに確保したい場合は傷害特約の上乗せを検討しましょう。
傷害特約の保険金の支払い要件・金額
生命保険や損害保険の主契約に付加する「傷害特約」は、不慮の事故を原因とした障害や死亡時に給付金や保険金が支払われる保障です。傷害特約の支払い事由について、障害給付金と災害死亡保険金に分けてそれぞれ解説します。
障害給付金
障害給付金は、保険期間中の不慮の事故で180日以内に所定の身体障害状態に該当した場合に支払われる給付金です。給付金額は、災害保険金額に身体障害状態の程度に応じて所定の給付割合を乗じた額です。
給付対象となる所定の身体障害状態とは以下の通りです。ここでは例として等級第1~3級の内容を記載します。なお、所定の身体障害状態は保険会社ごとに定められていますので、契約時に確認しましょう。
等級 | 身体障害 | 給付割合 |
---|---|---|
第1級 | ・両眼の視力を全く永久に失ったもの ・言語またはそしゃくの希望を全く永久に失ったもの |
100% |
第2級 | ・1上肢および1下肢の用を全く永久に失ったもの ・10手指を失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
70% |
第3級 | ・1眼の視力を全く永久に失ったもの ・1上肢を手関節以上で失ったかまたは1上肢の用または1上肢の3大関節中の2関節の用を全く永久に失ったもの |
50% |
災害死亡保険金
保険期間中に以下のいずれかに該当した場合、死亡保険金受取人に災害死亡保険金が支払われます。
- 不慮の事故によって180日以内に死亡したとき
- 所定の感染症によって死亡したとき
所定の感染症とは、コレラや腸チフス、細菌性赤痢などを言います。なお、同一の不慮の事故が原因で障害給付金を受け取っている場合は、災害死亡保険金から障害給付金を差し引いた金額が死亡保険金受取人に支払われます。
「主契約」とは?
生命保険や損害保険の保障の基礎部分を指します。つまり、主契約部分は単独で契約ができます。この主契約部分に付加する保障を特約と言い、特約は単独で契約することができません。
災害割増特約とは
災害割増特約も生命保険や損害保険に付加することができます。
不慮の事故や所定の感染症で死亡した場合は災害死亡保険金、不慮の事故や所定の感染症が原因で高度障害状態になった場合は災害高度障害保険金が支払われます。なお、災害死亡保険金と災害高度障害保険金は重複して支払われませんので注意が必要です。
災害割増特約は「高度障害状態」を支払い事由としているため、「所定の身体障害状態」を支払い事由としている傷害特約よりも給付範囲が狭い点が特徴です。
災害割増特約の保険金の支払い要件・金額
万が一の際の保障の上乗せとして加入する災害割増特約は、所定の支払い事由に該当すると、災害死亡保険金もしくは災害高度障害保険金がそれぞれ支払われます。
災害死亡保険金
保険期間中に以下のいずれかに該当した場合、死亡保険金受取人に災害死亡保険金が支払われます。なお、不慮の事故の要件や所定の感染症は、傷害特約と同一の内容です。
- 不慮の事故によって180日以内に死亡したとき
- 所定の感染症によって死亡したとき
災害高度障害保険金
災害高度障害保険金は、保険期間中に以下のいずれかに該当する場合に被保険者に支払われます。
- 不慮の事故によって180日以内に所定の高度障害状態になったとき
- 所定の感染症によって所定の高度障害状態になったとき
給付対象となる所定の高度障害状態の一例を紹介します。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
所定の高度障害状態は保険会社ごとに規定されていますので、予め確認しましょう。
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傷害特約や災害割増特約を付加する際の注意点
事故や所定の感染症時の保障である傷害特約や災害割増特約は支払い要件が細かく設定されています。そのため、「給付金や保険金が受け取れなかった」という状況は避けたいものです。
給付金や保険金が支払われないケースを含め、傷害特約や災害割増特約を付加する際の3つの注意点を解説します。
- 特約のみでの加入はできない
- 支払い対象外となるケースがある
- 災害時や戦争時には保険金が削減されることも
注意点1:特約のみでの加入はできない
傷害特約や災害割増特約は「特約」であるため、単体で加入することができません。加入時は生命保険か損害保険の主契約に付加する形で加入します。
なお、主契約部分を解約した場合は自動的に特約部分である傷害特約や災害割増特約も解約されることに注意しましょう。
注意点2:支払い対象外となるケースがある
傷害特約や災害割増特約の場合、疾病による請求と故意または重大な過失による請求は支払い対象外です。傷害特約や災害割増特約において、支払い対象外となる2つのケースを以下で解説します。
疾病による請求
指定伝染病を除く病気を原因とした死亡や身体障害は保険金の支払い対象外です。例として、運転中に心臓発作が原因で事故を起こして死亡した場合、死亡原因は心臓発作によるものと判断されるため保険金は支払われません。
故意または重大な過失による請求
契約者や被保険者、保険金受取人の故意または重大な過失が原因である場合も保険金は支払われません。これを免責事由といい、例えば被保険者の犯罪行為や酒気帯び運転が該当します。
注意点3:災害時や戦争時には保険金が削減されることも
支払い事由に該当すれば通常は保険金の支払い対象ですが、例外として地震や噴火、津波といった災害時や戦争時は支払いの対象外となることがあります。このような事態の場合、保険会社は保険金を一切支払わない、もしくは一部削減した保険金を支払うと定められています。
災害時や戦争時は契約通りに保険金がもらえない可能性があるため気を付けましょう。
新型コロナウイルス感染症も特約の支払い対象?
傷害特約と災害割増特約のいずれも、所定の感染症に該当すると給付金を受け取ることができます。最近では、この所定の感染症に新型コロナウイルス感染症を含む保険会社もあるため、傷害特約や災害割増特約に加入している人は確認しておくと安心です。
新型コロナウイルスに罹患時における各特約からの支払い事由は、「新型コロナウイルス感染症を直接の原因として死亡・高度障害状態に該当した場合」と規定されており、医師の診断を受ける必要があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、今後災害保障の概念に適さなくなった場合等には、事前に保険会社から周知の上でこの取扱いを終了する場合があるため、適宜確認が必要です。
まとめ:傷害特約や災害割増特約を付加して死亡保険金額を上乗せしよう
傷害特約や災害割増特約については、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 不慮の事故や所定の感染症が原因の死亡や(高度)障害状態に該当した場合に保険金や給付金が支払われる
- 特約単独での加入はできない
- 保険会社によっては新型コロナウイルス感染症を直接の原因とする死亡・(高度)障害状態該当時は支払い対象になる場合も
なお、保険会社ごとに支払い要件が定められているため、加入時に確認しておくことが大切です。傷害特約と災害割増特約の特徴を理解した上で、万が一の保障の上乗せを希望する際にはこれらの特約を付加しましょう。