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資産運用

米国の高配当銘柄の投資信託である米国高配当ETFへの投資を検討していないでしょうか。資産を増やすことだけを考えると分配金を出さないファンドがおすすめですが、安定したキャッシュフローを生み続けてくれる高配当株や高配当ETFへの投資も魅力的です。

この記事では、米国株式市場に上場しており高配当が期待できる投資信託(米国高配当ETF)の中から、おすすめの3銘柄を比較しつつ紹介します。

高配当ETF投資のメリットやデメリットも紹介するので、ぜひ本記事をファンド選びの参考としてみてください。

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高配当ETFとは何か?

高配当ETFとは、配当利回りの高い株式で構成された上場投資信託のことです。ここでは、配当利回りとETFそれぞれについて詳しく内容を解説していきます。

配当利回りとは

配当利回りは、株価に対する年間配当金(インカムゲイン)の割合を示す指標です。例えば、株価2,000円の銘柄の株式が1株当たり年間配当金150円出していると、配当利回りは7.5%と算出できます。

配当利回りの計算式

配当利回り(%)=(1株当たり年間配当金÷株価)×100

ETF(上場投資信託)とは

ETF(Exchange Traded Funds)は、証券取引所に上場している投資信託(ファンド)です。一般的な投資信託と比べてファンド本数は少ないものの、リアルタイムに価格がわかり、指値注文など株式と同じように売買することができます。

また、販売会社に支払う部分がないことなどから、一般的な投資信託と比べて維持運用コストが低いことも特徴です。

比較項目 投資信託 ETF(上場投資信託)
上場 していない している
ファンド数 5,930本 218本
購入窓口 証券会社や銀行などの金融機関 証券会社
価格 基準価格 市場価格
注文方法 ブラインド方式(基準価額は不明) 成行・指値注文ができる
購入時手数料 投資信託ごとに販売会社が定める 証券会社が定める
維持運用コスト 一般的にETFより高い 一般的には通常の投資信託より低い
信用取引 できない できる

参照(ファンド数):一般社団法人 投資信託協会「統計資料」(2022年2月末)
※海外ファンドは考慮していません。

米国高配当ETF投資のメリットとは?

米国高配当ETF投資のメリットには、次の3つが挙げられます。

米国高配当ETF投資のメリット

  • 分散投資でリスクを抑えることができる
  • 安定した配当益(インカムゲイン)を得られる
  • ほとんどの銘柄は配当が年4回ある

 

分散投資でリスクを抑えることができる

米国高配当ETFに限らず、投資信託は複数の資産や銘柄に幅広く分散投資をしているため、分散投資によるリスク低減効果を期待できます。そのため、一般的には1つの銘柄(個別銘柄)に投資をするよりもリスクを抑えることが可能です。

安定した配当益(インカムゲイン)を得られる

米国高配当ETFに投資をすると、比較的安定した配当益(インカムゲイン)を得られることがメリットです。キャピタルゲインは、配当金が出るかどうかといった要素よりも不確実性(リスク)は高くなってしまいます。

一方、高配当ETFは成熟した安定企業が組み入れられていることが多いため、より安定したキャッシュフローを狙うことが可能です。さらに、日本国内の配当金利回りは約2.0%ですが、米国高配当ETFは3.0%を超える場合もあります。

ほとんどの銘柄は配当が年4回ある

米国高配当ETFでは多くの場合、年に4回ほど分配金を得ることができます。日本では年に2回までがほとんどなので、投資家にとってより早期にキャッシュフローが生じる点で日本より米国銘柄のほうが有利です。

米国高配当ETF投資のデメリットとは?

米国高配当ETF投資にはメリットがある反面、把握しておくべきデメリットもあります。

米国高配当ETF投資のデメリット

  • 大きなキャピタルゲインを見込みにくい
  • 配当金が減額される可能性がある

 

大きなキャピタルゲインを見込みにくい

高配当ETFは、分配金を出さない場合と比べるとキャピタルゲインを見込みにくい点がデメリットです。分配金を出すとETFの純資産が減ってしまうため、いざETFを売却するときの価格は比較的低くなってしまいます。

分配金が多い投資信託ほど良いと思われがちですが、そうとは限りません。分配金の支払い原資は、投資信託の運用に使われる信託財産です。分配金を支払うと、信託財産が目減りするため、その分だけ投資信託の基準価額が下落します。分配金の金額だけでなく、投資信託の基準価額も含めたトータルリターンで、投資信託の良し悪しを比較する必要があります。

引用元:一般社団法人 投資信託協会「投資信託なんでもQ&A気になる100選」

また、分配金を再投資することによって複利効果を狙うこともできますが、分配時の税負担などによって分配がされないときと比べて投資効率は落ちてしまいます。

長期的な運用資産の成長(キャピタルゲイン)を狙うのであれば分配頻度が少ないファンドを検討しましょう。反対に、安定したキャッシュフロー(インカムゲイン)を狙うのであれば高配当ETFへの投資を検討しましょう。

配当金が減額される可能性がある

高配当ETFであっても、配当金(分配金)が減額される可能性があることに注意が必要です。個別の企業が出す配当金は保証されているわけではありません。

もっとも、ETFは複数銘柄に分散投資をしていることから、1つの企業が配当金を減額(減配)したとしても影響は抑えられます。それでもETF全体で見て減配の可能性はゼロではないため、想定よりも分配金が低くなる可能性も考慮しておくべきです。

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米国高配当ETFのおすすめを比較

それでは、米国高配当ETFのおすすめを比較していきます。下表におすすめ3銘柄の概要をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

  SPYD HDV VYM
運用会社 ステート・ストリート ブラックロック バンガード
設定日 2015年10月21日 2011年3月29日 2006年11月10日
ベンチマーク指標 S&P500高配当指数 モーニングスター配当フォーカス指数 FTSE高配当利回り指数
構成銘柄数 80銘柄 75銘柄 410銘柄
主要セクター ・公益事業(18.31%)
・金融(16.84%)
・不動産(13.78%)
・ヘルスケア(25.17%)
・エネルギー(20.58%)
・生活必需品(16.91%)
・金融(21.60%)
・生活必需品(13.50%)
・ヘルスケア(12.70%)
純資産総額 60億7,939万米ドル 86億4,466万米ドル 552億米ドル
総経費率 0.07% 0.08% 0.06%
分配頻度 四半期ごと(3ヶ月に1回) 四半期ごと(3ヶ月に1回) 四半期ごと(3ヶ月に1回)
2020年末価格 32.94米ドル 87.67米ドル 91.51米ドル
2021年の年間配当金 1.54921米ドル 3.508022米ドル 3.0961米ドル
配当利回り 4.70% 4.00% 3.38%

SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)

SPYDは、ステート・ストリート社がS&P500高配当指数をベンチマークとして運用するETFです。特徴や配当利回り、組入銘柄について解説していきます。

特徴

SPYDの特徴は、この記事で紹介する3銘柄のうち、最も配当利回りが高いことです。実際、2020年末の株価に対する2021年の年間配当金は4.70%と高い利回りを実現しています。

配当利回り

SPYDの配当利回りを見ると、直近5年間の推移は次のとおりです。直近5年間の前年末株価に対する配当利回りは4.0%を下回っていませんが、基準価額は伸び悩んでいます。

  前年末株価 年間分配金 配当利回り
2017年 34.86米ドル 1.422151米ドル 4.08%
2018年 37.45米ドル 1.618932米ドル 4.32%
2019年 34.07米ドル 1.746223米ドル 5.13%
2020年 39.46米ドル 1.632091米ドル 4.14%
2021年 32.94米ドル 1.54921米ドル 4.70%

組入銘柄とセクター比率

SPYDの組入銘柄とセクター比率は、ベンチマーク指標(S&P500高配当株式指数)と同等です。公益事業が18.31%と最も高く、次いで金融16.84%、不動産13.78%と続きます。

セクター 比率
公益事業 18.31%
金融 16.84%
不動産 13.78%
エネルギー 13.60%
生活必需品 10.54%
ヘルスケア 9.92%
素材 6.34%
コミュニケーション・サービス 5.97%
情報技術 2.49%
一般消費財・サービス 1.17%
資本財・サービス 1.04%

※2022年3月17日確認時点の数値です。数値は変動することがあるため、最新の情報は参照先URLにて確認ください。

参照:ステート・ストリート「SPYD: SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF」

HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)

HDVは、ブラックロック社がモーニングスター配当フォーカス指数をベンチマークとして運用するETFです。特徴や配当利回り、組入銘柄について解説していきます。

特徴

HDVは、米国モーニングスター社が提供する米国市場インデックス(Morningstar® US Market Index)をベースに、特に高利回りで財務健全性に優れた上位75銘柄が組み入れられたインデックス(Morningstar Dividend Yield Focus)を参照するETFです。

ヘルスケアやエネルギー、生活必需品の3セクターが大半を占めています。

配当利回り

HDVの直近5年間の配当利回りの推移は次のとおりです。前年末株価に対する配当利回りはSPYDと比べてやや低めとなっています。

  前年末株価 年間分配金 配当利回り
2017年 82.25米ドル 2.948988米ドル 3.59%
2018年 90.14米ドル 3.094937米ドル 3.43%
2019年 84.38米ドル 3.208827米ドル 3.80%
2020年 98.07米ドル 3.567859米ドル 3.64%
2021年 87.67米ドル 3.508022米ドル 4.00%

組入銘柄とセクター比率

HDVの組入銘柄とセクター比率は、ベンチマーク指標(モーニングスター配当フォーカス指数)と同等です。ヘルスケアが25.17%と最も高く、次いでエネルギー20.58%、生活必需品16.91%と続きます。

セクター 比率
ヘルスケア 25.17%
エネルギー 20.58%
生活必需品 16.91%
情報技術 8.98%
公益事業 7.88%
通信 5.88%
金融 5.14%
資本財・サービス 4.42%
一般消費財・サービス 2.82%
素材 1.90%

※2022年3月17日確認時点の数値です。数値は変動することがあるため、最新の情報は参照先URLにて確認ください。

参照:ブラックロック「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」

VYM(バンガード高配当利回りETF)

VYMは、バンガード社がFTSE高配当利回り指数をベンチマークとして運用するETFです。特徴や配当利回り、組入銘柄について解説していきます。

特徴

VYMは純資産総額が552億米ドル(2022年3月確認時点)と規模が大きく、金融セクターの比率が高い点が特徴です。また、構成銘柄数が410と多いことも特徴といえます。

配当利回り

VYMの直近5年間の配当利回りの推移は次のとおりです。前年末株価に対する配当利回りは、他の2銘柄と比べてやや低めとなっています。

  前年末株価 年間分配金 配当利回り
2017年 75.77米ドル 2.4011米ドル 3.17%
2018年 85.63米ドル 2.6492米ドル 3.09%
2019年 77.99米ドル 2.8418米ドル 3.64%
2020年 93.71米ドル 2.9061米ドル 3.10%
2021年 91.51米ドル 3.0961米ドル 3.38%

組入銘柄とセクター比率

VYMの組入銘柄とセクター比率は、ベンチマーク指標(FTSE高配当利回り指数)と同等です。金融が21.60%と最も高く、次いで生活必需品13.50%、ヘルスケア12.70%と続きます。

セクター 比率
金融 21.60%
生活必需品 13.50%
ヘルスケア 12.70%
資本財 9.80%
エネルギー 8.80%
公益事業 7.90%
生活必需品 7.60%
テクノロジー 7.60%
電気通信 6.60%
素材 4.20%

※2022年3月17日確認時点の数値です。数値は変動することがあるため、最新の情報は参照先URLにて確認ください。

参照:Vanguard「VYM - Vanguard High Dividend Yield ETF」

高配当ETFに関するよくある質問

高配当ETFに関するよくある質問を2点まとめていますので、高配当ETFの理解を深めるためにも参考にしてみてください。

高配当ETFはおすすめしないというのは本当か?

前述のとおり、高配当ETFは分配金があるため基準価額が伸びにくく、分配金なしの場合と比べると投資効率は悪化します。とはいえ、高配当ETFはほぼ確実にインカムゲイン(キャッシュフロー)が得られる点でメリットが大きいものです。

一概に高配当ETFを避けるのではなく、投資スタイルに応じて商品を選択することをおすすめします。

米国高配当ETFを積立購入することはできるか?

米国高配当ETFを積立購入することは可能です。例えば、SBI証券では「米国株式・ETF定期買付サービス」を、楽天証券では「米株積立」を提供しています。

他の証券会社でも米国高配当ETFを積立購入できる場合も多いため、事前に確認しておきましょう。

まとめ:高配当ETFのおすすめを把握して検討してみましょう

米国高配当ETFのおすすめとして、SPYDとHDV、VYMの3つを紹介しました。どれも直近5年間で前年末価格ベースで配当利回り3.0%を超えている高配当銘柄です。

一概にどれか1つをおすすめすることは難しいですが、投資ポートフォリオを見直す際に、ETFの利回りやセクター比率などを考慮して検討してみましょう。

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