投資が副業にあたるかどうか気になっていないでしょうか。会社の就業規則によっては副業が禁止されていることもあるため、会社員にとっては気になる問題です。
結論から言えば、一般的に投資は資産運用であり副業ではありません。また、会社が従業員の投資を制限すること自体、原則として許されません。
この記事では副業の定義を踏まえつつ、会社員が投資をするのは問題かどうかについて紹介します。投資のメリットや注意点もわかるので、ぜひ副収入を得る目的で投資を始めたい人は参考にしてみてください。
投資が副業にあたるのかは定義による
そもそも副業には、法令で定められた定義はありません。つまり投資が副業にあたるかは、個人やその個人の所属する団体、企業、組織の個別の定義によります。
これからさまざまな副業の定義を紹介していきますが、一般的な副業の定義は「本業以外に収入を得ている仕事」です。
たとえば、積立投資をして換金や売却をしないのであれば、分配金や配当金があるときを除いて収入はありません。この定義によれば、本業以外に収入を得ていないので副業に当てはまらないことになります。
一方、同様に積立投資をしている場合で分配金という収入があったとしても、それだけで直ちに副業とみなされるのは不自然です。投資が副業にあたるかは個別の定義によるものの、一律に副業と言い切るのは難しいでしょう。
経済産業省による副業の定義
経済産業省が設置した研究会では、次のように副業が定義されています。
兼業・副業とは、一般的に、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す
引用元:経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業 研究会提言」
厚生労働省による副業の定義
厚生労働省は、副業について次のように定義しています。
副業・兼業を行うということは、二つ以上の仕事を掛け持つことをここでは想定しています。 副業・兼業は、企業に雇用される形で行うもの(正社員、パート・アルバイトなど)、自ら起業して事業主として行うもの、コンサルタントとして請負や委任といった形で行うものなど、さまざまな形態があります。
リクルートによる副業の定義
リクルートは「兼業・副業に関する動向調査」を実施していますが、その調査において、副業を次のように定義しています。これによると、投資は副業から明確に除かれています。
本調査における「兼業・副業」は、他企業や他者から業務依頼を受け、報酬として金銭を受け取るものを指します。株式運用・FX・不動産投資・家賃収入・オークションやフリーマーケットでの販売などは除きます。
引用元:リクルート「兼業・副業に関する動向調査データ集 2020」
税法(所得税法・地方税法)による副業の定義
所得税や地方税に関する法律(税法)では、副業は定義されていません。一方で、国税庁のWebサイトで、副業による所得は一般的に雑所得に該当すると説明されています。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
引用元:国税庁「No.1500 雑所得」
公務員法による副業の定義
国家公務員法では、副業に言及されている規定はありません。ただし、兼業に関しては次のように制限されています。
国家公務員法による兼業の制限
- 営利企業の役員等になるのは禁止(役員兼業)
- 自ら営利企業を営むのは禁止(自営兼業)
- 労働の対価として報酬を得て事業や事務に継続的または定期的に従事するのは許可制(報酬を得る兼業)
投資を当てはめてみると、役員兼業に該当しないのは明らかで、自営兼業についても投資は一般的に事業の経営ではないため該当しません。労働の対価でもないので報酬を得る兼業ともなりません。
なお国家公務員の人事に関する事務をつかさどる人事院のWebサイト上には、資産運用に関するページが掲載されています。つまり株式や投資信託への投資は、禁止されている兼業(自営兼業)ではなく資産運用と捉えられるでしょう。
投資が副業として制限されるかどうかは会社の就業規則を確認しよう
これから副業を始めようとしている人が気にするべきなのは、勤務先の就業規則です。企業によってそれぞれ副業の定義は異なるため、勤務先の定義を確認しましょう。
就業規則を確認する方法の例を挙げると次のとおりです。
就業規則を確認する方法の例
- 入社時に配布された冊子で確認する
- パソコンから共有フォルダにアクセスしてファイルを確認する
- 社内ポータルサイトで確認する
投資をするメリット6選
副業で投資をするメリットを簡単に紹介します。
副業で投資をするメリット6選
- メリット①始めるだけならスキルや経験は不要である
- メリット②大きなキャピタルゲインが狙える
- メリット③安定したインカムゲインが狙える
- メリット④iDeCoやNISAなどの非課税制度を利用できる
- メリット⑤100円など少額から始められる
- メリット⑥定年退職後も運用を続けられる
メリット①始めるだけならスキルや経験は不要である
投資は始めるだけならスキルや経験なしで始められるのがメリットです。たとえば、株式投資なら証券会社に口座を開設して入金し、Webサイトなどで売買注文をするだけで投資を始められます。
メリット②大きなキャピタルゲインが狙える
投資をすると、大きなキャピタルゲインを狙うこともできます。なおキャピタルゲインとは、資産の値上がり益のことです。
株式投資で大きなキャピタルゲインが狙える事例を見てみましょう。
初代iPhoneが発表された日(2007年1月9日)の終値でアップル株(AAPL)を100万円分購入していたとすると、2022年1月4日終値時点では約54.29 倍の5,429万円になっていました。(外貨換算レートは未考慮)
もっとも、約15年間保有し続けることや、株価が上昇したときにいつ売るのかなどを判断するには知識が必要になります。
メリット③安定したインカムゲインが狙える
キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインを狙える投資もあります。インカムゲインとは、資産を保有していることで得られる利益です。
株式の場合は配当金、投資信託の場合は分配金、債券の場合は利子(クーポン)がインカムゲインに該当します。
メリット④iDeCoやNISAなどの非課税制度を利用できる
iDeCoやNISAなどの非課税制度を利用できるのもメリットです。本来、譲渡益(キャピタルゲイン)は約20%の税率で、配当益は原則として総合課税によって所得に応じた税率で税金を負担します。
ところが、iDeCoやNISAなら譲渡益や配当益にも税金はかかりません(非課税)。そのため、iDeCoやNISAを上手に活用すると投資利回りを向上できます。
メリット⑤100円など少額から始められる
最近では、100円など少額から投資を始められるようになりました。金融商品にもよりますが、たとえば投資信託は100円から売買することができます。
株式の場合は一般的に数万円以上必要ですが、証券会社によっては100株未満(単元未満株)で売買できるので、この場合は数百円から取引可能です。
毎月100円だけの投資なら、比較的簡単に投資を始めることができるでしょう。
メリット⑥定年退職後も運用を続けられる
投資は定年退職後も運用を続けられます。また、仮に病気で働けなくても一定の収入を得ることが可能です。
投資は労働力を提供しなくても一定の収入を得られる不労所得であるため、より魅力的な収入源といえるでしょう。
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投資を始めるときの注意点とは?
投資のメリットを紹介してきましたが、投資を始めるときには注意点もあるため把握しておきましょう。
投資を始めるときの注意点
- 会社によっては禁止されていることがある
- 損失(元本割れ)が生じる可能性がある
- 取引タイミングが合わない可能性がある
- 正しい情報リテラシーが必要となる
会社によっては禁止されていることがある
投資が制限されている場合もあるため注意しておきましょう。たとえば証券会社の従業員です。
証券会社の従業員は、投資商品の値上がり値下がりに影響するインサイダー情報を持っていることもあるため、証券会社によっては他の証券会社での口座開設を制限していることがあります。
また、自主規制団体である「日本証券業協会」の規則で、信用取引や先物・オプション取引、その他投機的な取引は禁止とされています。
証券会社の従業員だけでなく、銀行や保険会社など金融機関の従業員も社内規則で禁止されていないかチェックしておきましょう。
損失(元本割れ)が生じる可能性がある
投資をすると、損失(元本割れ)が生じる可能性があります。たとえば株式を取得したとき、その後に株価が下がる可能性はゼロにできません。
そのため、短期的な下落でも投資対象を保有し続けられるように少額投資や積立投資を活用することがおすすめです。もし短期的に売買するのであれば、損切りルールなど取引ルールを決めておきましょう。
取引タイミングが合わない可能性がある
投資を始める場合、一般的に株式投資は平日の9時から15時までしかできないことに注意しておきましょう。
そのため、会社員は終業後に取引しようとしても取引が終了していることがあります。
もっとも、東京証券取引所の立会時間は平日9時から15時までですが、PTS(私設取引システム)は23時59分まで取引可能です。
PTSに接続している証券会社は限られるので、事前に証券会社のWebサイトなどで取引できる時間帯を確認しておきましょう。
正しい情報リテラシーが必要となる
投資をするときは、正しい情報リテラシーを持っていることが求められます。誤った情報を信じてしまうと投資判断に影響が生じてしまう上に、投資に関する詐欺も多いためです。
次のように、正しい情報かどうかを確認することを習慣づけましょう。
情報のファクトチェック
- 他の情報と比べる
- 情報の発信元が信頼できるか確認する
- 情報はいつのものか確認する
- 一次情報を確認する
会社員が投資をする際のよくある質問
会社員が投資をする場合によくある質問をまとめていますので、参考にしてみてください。
投資で利益が出ると確定申告は必要?
給与年収2,000万円以下の会社員が投資をして年間の利益(所得)が20万円を超えると、確定申告が必要な場合があります。
具体的には、投資資金を入れる証券口座を「源泉徴収あり」と指定していない場合は、確定申告が必要になります。また、不動産投資による家賃収入があり不動産所得が20万円をこえる場合も、所得税の確定申告が必要です。
ただ年間利益(所得)が20万円以下でも、所得税の確定申告をしなければ住民税の申告は必要とされています。
投資が会社にバレる可能性は?
投資を始めたことが会社にバレる可能性はあります。投資をしていることを口外した場合はもちろん、利益(所得)が出ると給与から天引きされる住民税の額(特別徴収税額)が変わるからです。
特別徴収税額を変えないためには、利益(所得)が20万円以下であっても確定申告または住民税の申告をして普通徴収を希望する必要があります。
普通徴収になれば自分でその分の住民税を納付するため、特別徴収税額に含まれないので会社には知られません。なお、源泉徴収選択口座やNISA口座は会社にバレずに取引できる口座です。
住民税で投資が会社にバレない方法
- NISA口座は利益(所得)が出ても非課税なので特別徴収税額に影響しない
- 源泉徴収選択口座は確定申告しなければ特別徴収税額に影響しない
- その他の課税口座でも普通徴収にできれば特別徴収税額に影響しない
まとめ:投資は就業規則上は問題ない会社が大半!注意点を押さえて投資を検討してみましょう
投資は資産運用であるので、会社の就業規則によって禁止されている副業には当たらないことが一般的です。そのため、多くの人は副業が禁止されていても投資をすることは制限されません。
ただし、投資は元本保証がありません。計画的に資産形成ができるよう、ぜひこの記事で紹介した注意点を押さえておきましょう。