自営業やフリーランスで生計を立てている場合、老後に不安を感じるかもしれません。「サラリーマンには厚生年金があるけど、自分には国民年金しかないから生活難しそう」と思う人にご一考していただきたいのが、国民年金基金です。
国民年金基金は自営業者やフリーランサーの老後を支える年金制度です。「聞いたことはあるけれど、毎月の納付額や将来受け取れる金額が不安」という人も多いでしょう。
そこで本記事では、国民年金基金の概要と、メリット、デメリット、将来の受給額確認法をご紹介します。国民年金基金の内容を知っておくと、加入すべきかどうかを検討できます。
国民年金基金とは
国民年金基金とは、公的年金制度にもとづいた、国民年金に上乗せできる老後の年金です。年金制度は2階建てになっており、1階部分は国民年金です。国民年金は自営業者やサラリーマンといった職種を問わず受給できます。
しかし、2階建て部分に違いがあります。会社員や公務員は厚生年金を受け取れるのに対して、自営業者やフリーランサーは受け取れません。そのままでは国民年金しか受け取れない自営業者等にとって、2階建て部分となるのが「国民年金基金」なのです。
国民年金基金に加入できるのは、自営業者やフリーランサーといった国民年金の第1号被保険者のみです。会社員や公務員は加入できません。厚生年金がない人のために設計された年金制度といえます。
国民年金基金のメリット
国民年金基金には、次に挙げる4つのメリットがあります。
- 税制優遇がある
- 終身年金なので一生涯受け取れる
- 将来の年金額が確定している
- 掛け捨てにならない
いずれも自営業者やフリーランサーにとって大きなメリットです。それぞれについて以下でご説明します。
メリット①税制優遇がある
国民年金基金は、毎月の掛金全額が所得控除されます。掛金の上限額は月6万8,000円なので、年換算すると81万6,000円です。掛金すべてが所得から控除されるため課税所得を減らせます。その結果、支払うべき所得税および住民税が軽減されます。
老後に対して備えると同時に節税できるまさに、一石二鳥の制度です。
メリット②終身年金なので一生涯受け取れる
国民年金基金のベースは終身年金です。つまり、65歳から死ぬまでずっと受け取り続けられます。人生100年時代といわれる高齢化社会においては、非常に頼れる年金制度です。
たとえば、近年話題となっている個人型確定拠出年金iDeCoは終身年金ではありません。一定期間を過ぎると払われなくなり、「こんなに長生きすると思わなかった」という長生きリスクにさらされる可能性もあります。
その点、国民年金基金は自分で作れる生涯の年金です。生きている限り受け取れるため安心です。また、終身年金に上乗せする形で、受取期間の決まった「確定年金」に加入することもできます。
メリット③将来の年金額が確定している
将来受給できる年金額があらかじめ定まっているのも、国民年金基金の大きなメリットです。いくら掛金を払えば将来いくら受け取れるのかがわかっていると、安心して過ごせます。貯蓄など長期のマネープランも立てやすいでしょう。
自営業者やフリーランサーのもうひとつの選択肢として挙げられるのが、個人型確定拠出年金iDeCoです。ただ、iDeCoは自分で運用する必要があり受給額も定まっていません。運良くがうまくいけば掛金以上に受け取れますが、運用がうまくいかなければ掛金以下になってしまうおそれもあります。
一方、国民年金基金は自分で運用する必要がなく、事前に受給額も決まっています。ローリスクを望む人に特におすすめです。
メリット④掛け捨てにならない
「加入しても自分が早死にしたら、その分損してしまう」と考える人もいるかもしれません。実は、国民年金基金は掛け捨てにはなりません。万が一加入者が早く亡くなった場合は、残された家族に遺族一時金として支払われます。
不慮の事態になっても、無駄にならないのが国民年金基金です。ご家族がいる場合、配偶者や子ども、両親のためにも加入しておくと、残された家族の生活の助けになるでしょう。
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国民年金基金のデメリット
メリットの多い国民年金基金ですが、デメリットもあります。次の2点です。
- 途中で脱退することができない
- 物価変動に対応できない
「こんなことになるとは知らなかった」という事態にならないように、事前にデメリットも確認しておきましょう。
デメリット①途中で脱退することができない
国民年金基金についてぜひ知っておいていただきたいのは、途中で脱退することができない点です。「加入したけど家計が厳しくなったからやめよう」と思っても、脱退は不可能です。いったん加入すると脱退はできません。また、今までに払った掛金を引き出すこともできません。
毎月の掛金支払いが苦しくなった場合、2年間の支払い猶予や掛金自体の減額は可能です。自営業者やフリーランサーは、経営状態等が不測の事態になることもあるため、無理のない範囲で掛金を設定しておくと安心です。
デメリット②物価変動に対応できない
国民年金基金は事前に受け取れる年金額が決まっているため、将来時点で、予想以上の物価上昇が起こった場合に不利です。いわゆるインフレーションへの対応ができないのが、国民年金基金のデメリットです。
どれほど大きな物価上昇になっても、事前に確定した金額しか受給されません。そのため、インフレ時には実質的に額面より価値が下がってしまいます。
国民年金基金でもらえる金額は?3ステップで確認
「国民年金基金は事前に受給額が確定しているらしいけど、いくらもらえるのか」と疑問をお持ちの人も多いでしょう。
いくら払えばいくら受け取れるのかを確かめる方法を次の3ステップで紹介します。
- 7種類から選んでプランを設計
- 自分のライフプランにあった掛金を設定
- 掛金と口数を設定できたら年金額を確認
簡単に確認できるので、プランや掛金、口数を変えていろいろシミュレーションしてみてください。ご自分にとって最適なパターンを見出せます。
①7種類から選んでプランを設計
国民年金基金は、給付タイプを選んで組み合わせることができます。タイプは「終身年金」のA型・B型の2種類と、受給期間が限定されている「確定年金」のⅠ~Ⅴ型の5種類、計7種類あります。
1口目として「終身年金」のA型またはB型からひとつ選びます。2口目以降は全7種類から好きな組み合わせで選べます。月額合計限度額は6万8,000円です。ただし、「確定年金」の年金額は「終身年金」の年金額を超えられない点にご注意ください。
②自分のライフプランにあった掛金を設定
1口目は月額1〜2万円(35歳誕生月までの加入:2万円、35歳〜45歳誕生月までの加入:1万5,000円、35歳〜45歳誕生月までの加入:1万5,000円、45歳〜50歳誕生月までの加入:1万円)、2口目以降は1口あたり、35歳誕生月までの加入で月額1万円、35歳〜50歳誕生月までの加入で月額5,000円を受け取れます。それらを受け取るためにいくら掛金を払えばいいのか、簡単にチェックできます。
掛金月額表で性別と年齢を選ぶと瞬時に表示されるので、ご確認ください。加入時年齢が高いほど、掛金が高くなっています。自分に必要な年金額を計算し、無理のない範囲で掛金や口数を設定しましょう。
③掛金と口数を設定できたら年金額を確認
1口目のA型もしくはB型を決定し、2口目以降の加入パターンを設定できたら、実際どの程度の年金を受け取れるのか確認してみましょう。
年金額シミュレーションで、性別と生年月日、1口目、2口目以降、課税所得額を入力すると即時結果が表示されます。年金受給額と受給期間、毎月の掛金額と払込期間、税の軽減見込み額を確認できるので、ぜひお試しください。
まとめ:国民年金基金は自営業者の老後の基礎になるもの
国民年金基金の概要とメリット、デメリット、受給年金額の確認方法をご紹介しました。デメリットもありますが、節税もでき万一の場合には家族の支えにもなりうるのが国民年金基金です。
国民年金基金は、厚生年金がない自営業者等にとっては老後の生活を支える年金です。無理のない掛金で加入することを検討してみてください。