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年金

毎月の給与明細を見ると、厚生年金保険料として、かなりの金額が天引きされていることが分かります。

この給与から引かれる厚生年金保険料の金額は、標準報酬月額によって決定されています。

標準報酬月額は、給与から引かれる厚生年金保険料の金額を決める要素となる他、将来、受け取る老齢厚生年金の金額にも影響を与える大変重要なものです。

そこで、今回はこの標準報酬月額について解説していきます。

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標準報酬月額とはどんなものか

標準報酬月額は、事務上の煩雑さを回避するために、実際の給与を切りのいい額に置き換えた、原則として1年間使用される社会保険制度上の仮想の給与とされています。

標準報酬月額が必要な理由

厚生年金保険料の金額は、支給される給与に基づいて決まってきますが、毎月毎月の給与は変動するということと、1円単位となるので、実際に支給される給与の金額をべースに保険料を計算すると、計算が複雑になります。

そこで、原則として年1回変動し、金額も1万円単位の標準報酬月額という仮想の給与を設定し、この給与をベースとして保険料を計算することで、事務手続きの負担の軽減を図ります。

実際の標準報酬月額とはどんなものか

標準報酬月額は、基本給のほか残業代や通勤手当などを含めた支給額を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて分類したものです。

厚生年金保険の場合は、最低が税引き前給与等が88,000円以下の88,000円(1等級)から最高で、税引き前給与が635,000円以上の650,000円まで32等級が設けられています。

中間が税引前給与230,000円~250,000円の240,000円(16等級)と同じく250,000円から270,000円の260,000円(17等級)となっています。

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厚生年金保険料の決まり方

次に、厚生年金保険料の決まり方について解説します。厚生年金保険料は、給与と賞与の双方から引かれます。

給与から引かれる分については、標準報酬月額に保険料率を乗じて計算します。一方、賞与から引かれる分については標準賞与額に保険料率を乗じて計算します。

厚生年金の保険料率は、平成29年9月適用分以降は、一律に18.3%と固定されています。従って、標準報酬月額や標準賞与額が高ければ高いほど、天引きされる保険料の金額も高くなります。

厚生年金保険料の計算の具体例

例えば、標準報酬月額が280,000円のAさんが負担する厚生年金保険料を計算してみます。

Aさんの厚生年金保険料は280,000円×18.3%=51,240円です。

この51,240円は、会社とAさんが半分ずつ負担しますから、Aさんの給与から天引きされる厚生年金保険料の金額は、半分の25,620円となります。

標準報酬月額が将来の老齢厚生年金の受給額を決める

標準報酬月額は、現在会社員の方が給与から引かれる保険料の水準を決める際のべースとなるだけではありません。これは、将来、会社員の方が高齢となった時に、国から支給される老齢厚生年金の金額を決める上でも、重要な役割を果たします。

老齢厚生年金の報酬比例部分の計算方法

老齢厚生年金の受給額の計算は、大まかに言うと、まず、全被保険者期間の標準報酬月額を合算し、それを被保険者月数で割ります。

これによって、平均標準報酬額を計算します。そして、この平均標準報酬額に、一定の給付乗率(平成15年4月以降の期間いついては0.5481%)を乗じます。最後に、この数値に被保険者月数を掛けると、報酬比例部分の金額が計算されます。

老齢厚生年金の金額の具体的計算

平成15年4月以降に20歳を迎え、20歳から60歳まで毎月280,000円の標準報酬で継続して40年(480カ月)間、会社員として働いたBさん(賞与なし)が、65歳から受け取ることができる老齢厚生年金の報酬比例部分の金額を計算してみます。

Bさんの平均標準報酬額は、280,000円×5.481/1000×480= 736,646円になります。となります。これに、給付乗率(0.5481%)を掛けると、被保険者期間1か月当たりの報酬比例部分の金額が出てきます。Bさんの場合、この金額は約1,534円です。

この約1,534円/年に被保険者月数を乗じると、老齢厚生年金の報酬比例部分の金額が出てきます。この金額は、約736,320円です。

標準報酬月額はどのように決まるか

厚生年金の保険料や受給金額を決める上で、非常に重要な役割を果たす標準報酬月額ですが、普段はあまり見聞きすることが少ないです。そこで、以下では、この標準報酬月額が、どのようにして計算されているかについて解説します。

標準報酬月額は定時決定で決まる

標準報酬月額の大部分は、定時決定によって決まります。定時決定は、標準報酬月額について考える上で、非常に重要なキーワードとなっています。そこで、以下では、これについて解説します。

会社員(被保険者)の方が、毎年4月5月6月の3ヵ月に会社から受けた給与、賃金、俸給など、社会保険上の報酬に該当するものを一度全部合算します。そして、その金額を3で割って3か月の平均を取ります。

この平均値を、厚生年金保険の保険料額表上で、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて、対象被保険者の標準報酬月額を決めます。

算定基礎届の提出と定時決定

この方法で決めた対象被保険者の標準報酬を、算定基礎届として、毎年7月に管轄の年金事務所に提出します。この算定基礎届に記載された標準報酬月額が、その年の9月から翌年8月までの、対象被保険者の標準報酬月額となります。

そして、この一連の流れによって標準報酬月額を決めることを定時決定と言います。
※正確には、4月~6月までの報酬月額を年金事務所に届け出ることで、年金事務所が標準報酬月額を決定します。

標準報酬月額の就職時決定について

標準報酬月額は、算定基礎届によって決まる場合が多いのですが、就職直後の方は、4月5月6月の3か月に支給のされる報酬の平均を取る方法で、標準報酬月額を定めることができません。

就職して最初に支給される給与からも、厚生年金保険料は引かれます。そこで、このようなケースでは、従業員に支給される合理的な支払見込み額に基づき、標準報酬月額が決められます。

そして、このような標準報酬月額の決まり方を就職時決定と言います。

標準報酬月額の随時改定について

標準報酬月額は、年1回見直しが行われて、その見直された標準報酬月額を7月に管轄年金事務所に届け出ます。そして、その届けられた標準報酬が、その年の9月から翌年8月までの対象被保険者の標準報酬となります(定時決定)。

しかし、9月から翌年8月までの1年間の途中で、報酬が大きく変動した場合、次の定時決定まで標準報酬月額が変わるのを待っていると、報酬に比例して引かれる厚生年金保険料の水準が、多すぎたり、少なすぎたりします。

そこで、連続する3か月間の平均によって定まる標準報酬月額が、直前の定時決定による標準報酬月額より、厚生年金保険料額表における区分で2等級以上の差が出た場合、4か月目から、例外的に期間の途中で、標準報酬月額を変更できます。

そして、このように、期間途中で標準報酬月額が変更されることを随時改定と言います。

標準報酬月額変更届について

標準報酬月額の随時改訂を行うためには、最初の報酬の変動があった月から起算して4カ月目に、標準報酬月額変更届を管轄の年金事務所に提出する必要があります。

まとめ:標準報酬月額を理解して年金の計算に役立てよう

給与から引かれる厚生年金保険料の金額が高い、または、将来受け取る老齢厚生年金の金額が低いという話はよく聞きますが、その保険料がどうやって決められ、また、老齢厚生年金の受給金額がどうやって決まるかについては、よく知られていません。

そういったことを考える時に、標準報酬月額を知っておくことは、必ず役立ちます。その際に、この記事を参考して頂けたら、大変うれしいです。

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