遺族年金の寡婦加算とは?受給要件とその金額を解説


夫が亡くなった時の遺族年金について少し確認したことのある人は以下の疑問を持つ場合もあるでしょう。
「遺族年金については大体わかったけれど寡婦加算って何?」
「私も寡婦加算がもらえるの?もらえるとしたら金額はいくら?」

今回の記事では、夫が亡くなって妻が遺族年金を受取るときに受給できる寡婦加算について、受給要件やその金額を解説します。寡婦加算の有無や受給できる金額を知ることで、遺族年金の総額を概算できます。

寡婦加算の対象は遺族厚生年金をもらえる妻だけ


寡婦加算は夫と死別した妻(寡婦)の遺族年金に加算されます。妻を亡くした夫には支給されないので、男性からみれば不公平に感じるかもしれません。しかし、専業主婦など一般的に女性の方が収入が少ないため、遺族年金は女性の方が有利です。
 

寡婦加算がもらえない妻

寡婦加算の受給要件詳細は後述しますが、加算の有無を判断する基本は次の2つです。

  • 寡婦加算の対象は、遺族厚生年金を受給する40歳以上の妻のみ
  • 遺族基礎年金(※)を受給していると寡婦加算はもらえない

※遺族基礎年金とは、「高校生以下の子ども」や「20歳前の障害のある子ども」がいる配偶者が受給する遺族年金のことを指します。

つまり、以下に該当する妻は寡婦加算をもらうことはできません。

  • 遺族基礎年金の受給できる妻
  • 遺族厚生年金を受給できない妻
  • 夫死亡時に40歳未満の妻

 しかし、遺族基礎年金を受給していた妻が、子どもの高校卒業によって遺族基礎年金を受給できなくなった場合など例外があります。詳細は後述の「中高齢寡婦加算」の解説で確認ください。

遺族厚生年金とは

前述の通り、寡婦加算は遺族厚生年金のみに加算されるので、遺族厚生年金について簡単に確認しておきましょう。

遺族厚生年金は、所定の要件を満たした厚生年金加入者などが死亡した時、その遺族に支給されます。遺族には死亡者との続柄によって優先順位があり、最優先されるのは妻です。

死亡した厚生年金加入者の要件は次のいずれかに該当することです。

  • ①保険料納付要件を満たした厚生年金の被保険者
  • ②厚生年金加入中の病気やけがで初診日から5年以内の死亡者
  • ③障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給者
  • ④老齢基礎年金の受給者や受給権者、受給資格期間のある人

 参考:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」

寡婦加算には2種類ある

寡婦加算には以下の2種類があり、妻の年齢によってもらえる種類が異なります。

  • 中高齢寡婦加算:40歳以上65歳未満の妻
  • 経過的寡婦加算:65歳以上の妻

 経過的寡婦加算の「経過的」という言葉は、いずれなくなる制度であることを意味します。具体的には、昭和31年4月1日以前に生まれた妻までが対象で、それ以降に生まれた妻は経過的寡婦加算はもらえません
        

中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満の妻が対象


中高齢寡婦加算は遺族厚生年金を受給する40歳以上65歳未満の妻に支給されます。受給要件や加算額などについてみていきましょう。

中高齢寡婦加算の受給要件

受給要件は、遺族厚生年金を受給できる妻が以下に該当することです。

  • 夫が亡くなったとき妻40歳以上65歳未満で、高校生以下の子どもなどがいないとき
  • 遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子どもの高校卒業などで遺族基礎年金を受給できなくなったとき

つまり、遺族基礎年金をもらえない妻と遺族基礎年金がもらえなくなった妻が対象です。また、夫が死亡したとき「子のない40歳未満の妻」には中高齢寡婦加算がありませんので覚えておきましょう。

参考:日本年金機構「中高齢寡婦加算」

中高齢寡婦加算の金額

令和2年度の加算額は586,300円です。加算額は遺族基礎年金の3/4で年金額改定によって毎年金額が変更になります。

子どもがいて遺族基礎年金受給中は満額の78万1,700円で、子どもが高校を卒業して中高齢寡婦加算に切り替わると金額が3/4になる、という仕組みです。

中高齢寡婦加算の受給期間と支給停止

受給期間は40歳から65歳までです。65歳になると「昭和31年4月1日以前に生まれた妻」は経過的寡婦加算に切り替わり、「昭和31年4月2日以後に生まれた妻」は打ち切りになります。

また、妻が障害厚生年金を受給するなどして遺族厚生年金が支給停止されると、中高齢寡婦加算も同時に支給停止されます。
 

経過的寡婦加算は65歳以上の妻が対象


経過的寡婦加算は遺族厚生年金を受給する65歳以上の妻(昭和31年4月1日以前に生まれた妻)に支給されます。受給要件や加算額などについてみていきましょう。

経過的寡婦加算の受給要件

受給要件は、遺族厚生年金を受給できる昭和31年4月1日以前生まれの妻が以下の要件に該当することです。

  • 妻が65歳以上で遺族厚生年金の受給をスタートしたとき
  • 中高齢寡婦加算を受給していた妻が65歳になったとき

 参考:日本年金機構「経過的寡婦加算」

経過的寡婦加算の金額

令和2年度の加算額は、妻の生年月日によって以下のとおりです。

経過的寡婦加算の金額

生年月日(妻) 加算額
昭和2年4月1日以前 586,300円
昭和2年4月2日~昭和3年4月1日 556,235円
昭和27年4月2日~昭和28年4月1日 78,195円
昭和28年4月2日~昭和29年4月1日 58,652円
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日 39,110円
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日 19,567円

経過的寡婦加算の金額は、中高齢寡婦加算の満額(586,300円)-老齢基礎年金額で計算されます。

専業主婦は昭和61年3月まで国民年金の強制加入ではなかったため、たとえば、昭和2年4月1日以前の専業主婦は任意加入してなければ老齢基礎年金はありません。そのため、年金額の少ない高齢者ほど、経過的寡婦加算の金額は大きくなります。

経過的寡婦加算の受給期間と支給停止

経過的寡婦加算の受給期間は、65歳から一生涯です。

遺族厚生年金が支給停止にならない限り、一生涯もらえる加算です。支給停止になるのは、障害厚生年金などを選択した場合です。

また、遺族厚生年金の受給者が結婚したり養子になったりした場合は、失権と言って権利が消滅するので、寡婦加算はもらえません。

夫が国民年金の妻には寡婦年金


夫が国民年金しか加入していなければ遺族厚生年金はもらえないので寡婦加算もありません。

ただし、所定の要件を満たした夫が亡くなった場合に、妻が60歳から65歳までの間は「寡婦年金」を受給できます。

寡婦年金の支給要件と年金額

寡婦年金がうけられるのは、以下の要件を満たした妻です。

  • 死亡した夫が国民年金第1号被保険者として10年以上保険料を納付、または免除
  • 夫との婚姻期間が10年以上継続

 寡婦年金の年金額は「夫の老齢基礎年金受給予定額の3/4」です。

まとめ:寡婦加算の対象は遺族厚生年金を受給する40歳以上の妻

寡婦加算の対象は遺族厚生年金を受給する40歳以上の妻です。

子どもが高校卒業前に会社員の夫が死亡した場合、妻の受給するのは遺族厚生年金と次の年金です。

  • 子どもが高校卒業まで :遺族基礎年金
  • 高校卒業後、妻65歳まで:中高齢寡婦加算
  • 妻65歳以降      :経過的寡婦加算

 これから65歳になる妻には経過的寡婦加算はないので、加算されるのは「子どもが高校卒業してから65歳になるまでの間」の中高齢寡婦加算586,300円です。


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