妻が亡くなった場合の遺族年金は?夫がもらえるケースを解説


自分が死んだときに妻に遺族年金が支払われることは知っていても、逆の場合はどうなるのか分かる人は少ないと思います。

今回の記事では、妻が死亡したときに夫に支払われる遺族年金について解説します。夫が遺族年金を受け取るケースは妻が受け取りるケースより少ないですが、条件に当てはまれば受取ることができるので請求漏れのないように確認しておきましょう。

【遺族年金の基礎知識】遺族年金は2種類ある


遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、どちらも夫が受給できる可能性があります。まずは、遺族年金の基本から確認しておきましょう。

遺族基礎年金とは

遺族基礎年金は、所定の条件を満たした人が死亡した時、その配偶者や子供に支給されます。

支給条件の詳細は後で解説しますが、ポイントは次の2つです。

  • 養育すべき子ども(高校生まで)がいること
  • 死亡した人が厚生年金に未加入でも支給される

基礎年金は国民全体に対する年金なので、死亡した人が厚生年金に加入しているかどうかは関係ありません。自営業者などの国民年金第1号被保険者や、専業主婦などの第2号被保険者も対象になります。

また、養育すべき子どもがいることが条件なので、子どもが高校を卒業した後はもらえません。

遺族厚生年金とは

遺族厚生年金は、所定の条件を満たした厚生年金加入者などが死亡した時、その遺族に支給されます。

受給できるかどうかのポイントは次の2つです。

  • 死亡した人が厚生年金に加入し所定の条件を満たしている
  • 年金を受ける遺族が所定の年齢条件などを満たしている

死亡した人の厚生年金加入条件があるので、妻が国民年金だけの場合は年金はもらえません。

また、遺族厚生年金の条件は女性よりも男性の方が制限が厳しいため、男性が遺族厚生年金を受給できる確率は女性よりもかなり低くなります。

子どもがいれば夫も遺族基礎年金がもらえる


妻が死亡したとき養育すべき子どもがいれば、基本的には夫は遺族基礎年金を受取ることができます。

遺族基礎年金の受給条件

夫が年金を受取るための条件は、妻の国民年金の加入状況と養育すべき子どもの有無で決まります。まず、死亡した妻がきっちりと国民年金保険料を納付することが必要です。

  • ①20歳以上60歳未満の妻:納付すべき保険料を2/3以上納付(または免除)している
  • ②60歳以上の妻:老齢基礎年金の保険料納付条件(25年以上)を満たしている

次に、夫に養育すべき子どもがいることが条件です。養育すべき子どもは以下のとおりです。

  • 高校卒業前の子ども(卒業年度の3月末日)
  • 障害等級1級または2級の20歳未満の子供

 妻に保険料の未納がなく子どもがいれば、夫は年金を受け取れるので忘れずに手続きしましょう。夫が遺族年金をもらうのはこのパターンがほとんどです。

夫がもらえる遺族基礎年金の受給額

夫がもらえる年金の受給額は以下で計算できます。

(年金額)=78万1,700円+(子どもの加算)

子どもの加算は、子供1人あたり22万4,900円(第3子以降は75,000円)です。たとえば、子供が2人なら年金額は以下の通りです。

(年金額)=78万1,700円+(22万4,900円)×2人=123万1,500円

妻の場合と異なり、夫が遺族基礎年金と同時に遺族厚生年金を受け取ることはほとんどありません。夫が両方を受け取るには、夫が55歳を超えているなどの条件を満たさなければならないからです。

夫婦共働きなら夫も遺族厚生年金がもらえる可能性がある


夫婦共働きなら夫も遺族厚生年金がもらえる可能性があります。ただし、限定された条件に該当しないともらえないため、遺族厚生年金を受給している男性は女性よりもかなり少ないのが現状です。

遺族厚生年金の受給条件

年金を受取るための条件は、死亡した人の厚生年金の加入状況と遺族の状況によって決まります。

まず、死亡した人が以下の条件を満たす必要があります。

  • ①保険料納付条件を満たした厚生年金の被保険者
  • ②厚生年金加入中の病気やけがで初診日から5年以内の死亡者
  • ③障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給者
  • ④老齢基礎年金の受給者や受給権者、受給資格期間のある人

年金受給権が発生する遺族については以下の通り順位付けがあり、順位の高い遺族が実際に年金を受け取ります。 

  • ①子供のいる配偶者(夫は55歳上)
  • ②子供
  • ③子供のいない妻(子供が高校卒業後も含む)
  • ④子供のいない55歳以上の夫
  • ⑤55歳以上の父母
  • ⑥孫
  • ⑦55歳以上の祖父母

 また、夫や父母、祖父母は60歳以上にならないと年金は受給できない定めがあるため、55歳で妻を亡くした夫は、60歳まで待って年金を受け取ることになります。

夫が遺族厚生年金をもらえるケースと受給額

夫が遺族厚生年金をもらえるケースは、夫が55歳以上のときに所定の条件を満たした妻が死亡したときに限られます。妻が長年厚生年金に加入していても、夫が54歳のときに亡くなったら年金は出ません。

それでは、条件に該当したときの年金額はいくらになるのでしょう。計算式は次のとおりです。

(基本の年金額)=(妻の老齢厚生年金の報酬比例部分)×3/4

報酬比例部分は妻の収入や加入月数に応じて計算されるので、妻の収入が多いほど、また加入期間が長いほど金額は大きくなります。また、会社勤めのときに亡くなった場合で、加入月数が300月未満のときは300月で計算されます。

報酬比例部分を自分で正確に計算するのはかなり難しいので、ねんきん定期便に記載されている年金見込額などを参考にしましょう。

また、遺族厚生年金は終身なので再婚などをしない限り、受給権は一生涯続きます。

夫が遺族厚生年金をもらえないケース

夫が55歳以上のときに所定の条件を満たした妻が死亡したときでも、夫が年金をもらえないケースがあります。

具体的には、次の2つのケースです。

  • 夫の収入が850万円以上のとき
  • 夫の老齢厚生年金が始まり遺族厚生年金の額を上回るとき

それぞれのケースについて説明します。 

夫の収入が850万円以上のとき

遺族厚生年金の受給者には所得制限があります。前年の年収850万円未満(所得655.5万円未満)が条件で、これを上回ると年金はもらえません。土地や株式の売買など一時的に所得が大きくなった場合は、その金額を除いて判定します。

夫の老齢厚生年金が始まり遺族厚生年金の額を上回るとき

老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給されません。両方の受給資格がある場合の取り扱いは以下のとおりです。

  • 65歳まで:老齢厚生年金をもらうか遺族厚生年金をもらうか自分で選択する
  • 65歳以降:まず老齢厚生年金をもらい遺族厚生年金の額が多い場合のみ差額をもらう

 夫の老齢厚生年金が始まり、遺族厚生年金の額を上回るときは受給権はあっても年金はもらえません。結局、夫の収入が妻より多い場合に夫が遺族厚生年金をもらえるのは、60歳から老齢厚生年金が始まるまでの期間だけです。

まとめ:夫が遺族厚生年金がもらえるケースは少ない

妻が死亡したとき、夫がもらえる可能性があるのは遺族基礎年金と遺族厚生年金です。

遺族基礎年金は、妻は保険料納付条件を満たし養育すべき子どもがいれば、夫は年金を受け取れるので忘れずに手続きしましょう。

遺族厚生年金は、夫の受給条件が厳しいなどの理由でもらえないことが大半です。夫の収入が妻より多い場合、夫が55歳以上のときに妻が死亡すれば60歳から老齢厚生年金開始までの期間だけ年金を受け取れます。

遺族基礎年金は子どもがいれば受給できますが、遺族厚生年金はあまり期待できないことを前提に万一の場合に備えましょう。


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