大切な家族が亡くなってしまうことは、とても悲しいうえに経済的ダメージも大きいです。残された家族の生活を支える「遺族年金」について、意外と詳細は知られていません。自分がどの遺族年金をどのように受給できるのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、遺族年金の種類や、それぞれの年金についての詳しい解説、万一遺族年金を受給できない時に利用できる制度をご紹介しています。受給条件や手続き方法もわかるので、悲しい中でも落ち着いて対処できます。
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遺族年金の種類は2つ
遺族年金とは、年金に加入していた方が亡くなった際に遺族に支給される年金です。遺族年金には以下の2種類があります。
- 遺族基礎年金:国民年金に加入していた方が亡くなった時に支給される遺族年金
- 遺族厚生年金:厚生年金に加入していた方が亡くなった時に支給される遺族年金
簡単に説明しますと、亡くなった家族が自営業者や農漁業者の場合、遺族基礎年金のみを受給できる可能性があります。一方、サラリーマンや公務員など厚生年金に加入していた方が亡くなった場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類を受給できる場合があります。
それぞれ条件や受給対象者、金額等の詳細が異なるので、以下で詳しく解説します。
遺族基礎年金について
遺族基礎年金はどのような年金なのか、以下の項目に沿ってご紹介します。
- 亡くなった方の条件
- 受給対象者の条件
- 受給金額
- 受給期間
- 受給に必要な手続き
各項目を読んでいただくことで、遺族基礎年金の受給方法がわかります。
亡くなった方の条件
亡くなった方が国民年金に加入していた場合に、遺族基礎年金が遺族に支給されます。正確には、亡くなった方が国民年金の被保険者である、または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あったことが受給に必要な条件です。
遺族基礎年金の受給に関して、亡くなった方の職業は関係ありません。自営業者や農漁業者といった国民年金第1号被保険者に加え、サラリーマンや公務員といった厚生年金加入者も対象です。
受給対象者の条件
遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「子がいる配偶者」か「子」のみです。子がいない配偶者は受け取ることはできません。なお、子がいる場合は、事実婚の相手も受給資格を得ることがあります。
ここでの「子」とは、次の条件を満たす子どもを指します。
- 18歳になる年の3月31日を迎えていないこと
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当すること
- 結婚していないこと
遺族基礎年金は残された子供が健康で文化的な生活を送れるように補助する遺児成育の目的が強いため、子の存在が重視されます。子がいない配偶者が遺族基礎年金を受給できない理由です。子が18歳未満でも結婚している場合は独立しているとみなされ、受給対象から外れます。
受給金額
遺族基礎年金の受給金額は、年金額年金額78万900円に子の人数に対応した加算金額との合計金額となります(2021年4月以降の金額)。受給金額は毎年改定されるため、直近の数字を日本年金機構のページでチェックしましょう。
子がいる配偶者が受給する場合、子の1人目と2人目までは各22万4700円、3人目以降は各7万4,900円が加算されます。子が受給する場合は1人目を78万700円とし、2人目は22万4700円、3人目以降は各7万4,900円を加算します。
子が年齢や結婚等で受給対象から外れると、その分加算額は減ることをご留意ください。
受給期間
受給期間は、子が受給要件を満たしている間です。受給対象となる子が18歳となる年度の3月31日を迎えたり、結婚したり死亡した場合は、遺族基礎年金の受給は終わります。子が複数いる場合は、すべての子が受給要件から外れた時点で終了です。
また、残された配偶者自身が死亡または結婚した時も、配偶者の遺族基礎年金の受給資格は終了します。
受給に必要な手続き
遺族基礎年金を受給するために必要な書類と、書類提出先をご紹介します。遺族基礎年金は亡くなった方の死亡日の翌月から受給可能ですが、請求が必要なため書類集め等に手間取っていると受給がその分遅くなります。早い受給のためにも、必要書類を確認しておきましょう。
必要な書類
遺族基礎年金を請求するために必要な年金請求書は、お住まいの市区町村役場やお近くの年金事務所でも入手できます。その他必要な書類は、状況によって異なるためこちらでご確認ください。
書類の提出先
書類の提出先はお住まいの市区町村役場の窓口です。亡くなった日が国民年金第3号被保険者の期間中であった場合は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出してください。
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遺族厚生年金について
遺族厚生年金は遺族基礎年金よりさらに複雑な制度です。「遺族基礎年金自体が相当複雑なのに」と頭を抱える方もいらっしゃるかもしれません。
次の項目ごとにご紹介するので、順に読むと理解しやすいでしょう。
- 亡くなった方の条件
- 受給対象者の条件
- 受給金額
- 受給期間
- 条件によって受給金額が加算される制度
- 受給に必要な手続き
亡くなった方の条件
亡くなった方が厚生年金に加入していた場合に、遺族厚生年金は支給されます。正確には、亡くなった方が厚生年金の被保険者であること、または老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上あることが受給に必要な条件です。また、障害厚生(共済)年金を受給できる方が亡くなられた場合も受給条件に当てはまります。
厚生年金の被保険者つまり国民年金の第2号被保険者は、会社員または公務員に限られています。遺族厚生年金は遺族基礎年金と異なり、亡くなった方の職業によって受給資格が限定されます。
受給対象者の条件
遺族厚生年金の受給の対象者は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族から、次の優先順位によって定められています。
- 配偶者または子
- 父母
- 孫
- 祖父母
子および孫は「18歳になる年の3月31日以前または20歳未満の障害等級1級・2級」が条件です。また、夫と父母、祖父母は55歳以上であることが条件であり、受給できるのは60歳以降です。妻は子がいない30歳未満の場合、5年間のみ受給できます。
なお、子がいる配偶者や子は遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給できます。
受給金額
遺族厚生年金の受給金額は遺族基礎年金と異なり、亡くなった方の厚生年金の加入実績に基づいて算出されるため、個々人によって違ってきます。厚生年金の加入実績とは、厚生年金への加入期間や保険料の納付額、給与や賞与等です。
受給金額を決定する計算式はかなり複雑ですが、具体的に確認したい方はこちらの日本年金機構のサイトで計算してみてください。
受給期間
遺族厚生年金は生涯受け取り続けられます。受給者が配偶者の場合、再婚しない限りはずっと受給できます。子の年齢が18歳を超えると受け取れない遺族基礎年金との大きな違いです。
また、遺族厚生年金を妻が受給する場合は、受給期間中に条件次第で中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算が受給額に加えられます。
条件によって受給金額が加算される制度1:中高齢寡婦加算
妻が遺族厚生年金を受給している際に、40~65歳未満で遺族基礎年金を受給していないまたは受給できなくなった時、中高齢寡婦加算が適用されます。遺族基礎年金の4分の3相当の58万6,300円が、遺族厚生年金に加算される額面です。
この中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金の要件となる子がいないことで妻の経済面が不利になるのを解消する目的で行なわれています。65歳になると妻自身の老齢基礎年金を受給できるため、加算は終了します。
条件によって受給金額が加算される制度2:経過的寡婦加算
経過的寡婦加算は、1956年4月1日以前に生まれた妻が
- 65歳以上で遺族厚生年金の受給権者になった
- 中高齢寡婦加算を受けていたが、65歳に達した
という場合に加算されます。
かつては主婦の年金加入が任意であったため、妻が未加入だった時期があると老齢基礎年金の受給額が減ります。その減少分を補うために設けられた制度です。額面は老齢基礎年金と中高齢寡婦加算との差額を埋めるよう決定されます。
受給に必要な手続き
遺族厚生年金を受給するために必要な書類、および書類の提出先をご紹介します。遺族厚生年金も自動的に支給されるわけではなく、請求しないと受給できないため、手続きはすみやかに行ないましょう。
必要な書類
遺族厚生年金を請求するために必要な年金請求書は、お近くの年金事務所や年金相談センターでも入手できます。その他必要な書類は状況によって異なるため、こちらの日本年金機構のサイトでご確認ください。
書類の提出先
書類の提出先は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。
【補足】遺族厚生年金は老齢基礎年金と合わせて受給が可能
自身の老齢年金を受給できる年齢になると、遺族年金と老齢年金を合わせて受給できるか気になる方もいらっしゃるでしょう。遺族基礎年金と老齢基礎年金は併給は不可能であり、いずれか1つを選ぶ必要があります。
いっぽう、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給可能です。このように、亡くなった方が「2階建て」の厚生年金の加入者であった場合、遺族も「2階建て」の年金を受給できます。
65歳になり老齢年金と遺族厚生年金の両方を受給できるようになるパターンは遺族厚生年金が老齢厚生年金よりも高額の場合です。このとき、老齢厚生年金と遺族厚生年金の差額が、老齢年金に上乗せされて支給されます。
遺族年金の受給ができなかった場合に利用できる制度
「遺族基礎年金も遺族厚生年金も受給できない」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。基礎年金も厚生年金も受給要件は厳しく、受給できないことはありえます。しかし、ご安心ください。
遺族年金の受給ができなかった場合に利用できる制度として、死亡一時金と寡婦年金があります。受給できるのはどちらかのみなので、より多く受給できる制度を選択しましょう。
死亡一時金
死亡一時金は、亡くなった方が国民年金の第1号被保険者(自営業者や農漁業者)で、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していない場合に、遺族が受け取れる一時金です。名前のとおり一度だけ支給されます。額面は、保険料納付期間に基づいて決定されます。
寡婦年金
寡婦年金は、亡くなった方が国民年金の第1号被保険者(自営業者や農漁業者)として10年以上保険料を納付し、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していない場合に、妻が受け取れる年金です。
夫が受け取れるはずだった老齢基礎年金の4分の3相当を、妻が60~65歳までの期間受給できます。
まとめ:遺族年金の受け取りには申請が必要なため忘れずに
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があることや、それぞれの遺族年金の解説、遺族年金の受給ができない場合に利用できる制度のご説明をしました。どちらの遺族年金も要件が複雑で難しいですが、遺族の生活を支える柱にもなる制度なので、ぜひご理解ください。
遺族年金は年金加入者が亡くなったからといって自動的に給付されるわけではありません。悲しみの中で手続きをするのは大変ですが、自分たちの生活のためにも、遺族年金の種類と受給条件、申請手続きを理解して、年金の種類に応じた申請方法で忘れずに行ないましょう。
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