最近「老後は年金だけで生活するのは難しい」とよく言われるため、不安に思った人もいらっしゃるのではないでしょうか。そもそも、自分が老後にどの程度の年金額を受け取れるかがわからないという人も多いです。
そこで本記事では、老齢基礎年金の満額はいくらなのか、満額を受け取るための条件、満額支給されないケースとその対策などをご紹介します。自分が老齢基礎年金を満額受給できるかどうか判断でき、万一満額受給されない場合の対策もわかるので、落ち着いて対処できます。
2020年度の老齢基礎年金の満額は78万1,700円
2021年度の老齢基礎年金の満額は78万900円(年度改訂)です。年額なので、月当たりに換算するとおよそ6万5075円です。死ぬまで受け取ることができるので、長い老後を支えてくれます。
正確には、自分が死亡した月まで支給されます。ただし、老齢基礎年金の満額は毎年変化する点に注意が必要です。
毎年変化する老齢基礎年金の満額の推移
老齢基礎年金の満額は毎年どのように変化しているのでしょうか。満額は前年の物価および賃金の変動に基づいて決定されています。2004年以降は78万900円を基準として、物価や賃金の変動を加える改定率を乗じて算出されており、だいたい78万円前後に落ち着いています。
2004年以前は変動幅が大きいです。たとえば、1989年は66万6,000円だったのが1994年には78万円、1999年には80万4,200円と大幅上昇します。この後は経済停滞により満額も微減し、2004年以降は毎年微増減をくり返しています。
老齢基礎年金を満額受け取るための3つの要件
老齢基礎年金を満額受け取るためには、次に挙げた3つの要件を満たす必要があります。
- 定められた期間保険料を納めている
- 会社員や公務員であった
- 第3号被保険者であった
それぞれどのような要件なのか、以下で具体的にご紹介します。
①定められた期間保険料を納めている
まず、満額受給するために必要と定められた期間分の国民年金保険料を納めていることが必須です。ただし、1941年4月1日を境に、必要な納付期間が異なります。どう異なるのか、以下でご説明します。
1941年4月2日以降に生まれた人は40年間の納付が必要
1941年4月2日以降に生まれた人は、20~60歳までの40年間(480月)国民年金保険料を納付すると満額受給できます。国民年金保険料の免除や猶予、未納期間等があると満額にはなりません。
1941年4月1日以前に生まれた人の国民年金への加入可能期間
一方、1941年4月1日以前に生まれた人は、生年月日に応じて国民年金への加入可能期間が定められています。現行の国民年金制度が1961年4月1日に始まったため、その時点で20歳を超えていて年金に加入できなかった人への配慮です。たとえば、1931年4月2日生まれの場合は30年(360月)とされています。
②会社員や公務員であった
会社員や公務員であった場合、「国民年金保険料を納付していた記憶がない」という人もいらっしゃるかもしれません。勤務先が厚生年金(公務員の場合は共済年金)に加入していると、国民年金も自動的に含まれ、天引きで納付されています。
そのため、20~60歳まで勤務していると満額受給できます。
③第3号被保険者であった
国民年金保険の第3号被保険者、つまり配偶者が会社員や公務員である場合も満額受給できます。「自分で納付した覚えはないのだけど」と思うかもしれません。第3号被保険者は配偶者の扶養に入っており、実際に納付していなくても納付したとみなされます。
20歳以前に結婚し、60歳まで第3号被保険者であり続けると満額受給できます。
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老齢基礎年金を満額もらえないケース|免除制度に要注意
国民年金保険料の納付が480月に満たない場合、老齢基礎年金を満額受け取ることはできません。単なる未納であっても、免除制度を利用した場合でも満額受給できない点では同じです。
たとえば、一度退職し転職先を探している間は、自分で国民年金保険料を納付する必要があります。しかし、多忙によりつい忘れてしまうことも。この場合満額受給はできません。就職や転退職、独立、結婚など働き方が変わった時は、年金の手続きが必要です。
気をつけたいのが、免除制度を利用したケースです。国民年金保険料を納付するのが難しい場合、納付を免除または猶予してもらうことができます。しかし、その免除制度を利用した
期間は年金額が半減または0円になることもあります。満額受給のためには追納しましょう。
満額支給されない人が今からできる対策「任意加入制度」とは?
ここまで本記事を読み、自分は満額受給できないとわかった人もいらっしゃるでしょう。しかし、がっかりする必要はありません。「任意加入制度」を利用すれば今からでも満額受給に間に合う可能性があるので、ぜひご一考ください。
任意加入制度とは、60歳になっても受給資格を満たしていないまたは480月納付していないため、満額受給できない人が国民年金に任意で加入し保険料を納付できる制度です。義務ではなく、本人の申し出により行なわれます。以下で対象者やメリット、手続き方法についてご紹介します。
対象者は3パターン
任意加入制度の対象となる人は次の3パターンです。
- 5~69歳未満で年金の受給資格期間に満たない人
- 20~64歳未満で海外に居住する人
- 以下の4条件を全て満たしている人
3点目の「4条件」の具体的内容は下記のとおりです。
- 60~65歳未満で日本国内に住所がある人
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給していない人
- 20~60歳未満の間の国民年金保険料納付月数が480月未満の人
- 厚生年金や共済組合に加入していない人
任意加入制度のメリット3選
任意加入制度を利用すると、次に挙げる3つのメリットを得られます。
- 老齢基礎年金を最大満額まで増やせる
- 社会保険料控除の対象になる
- 障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができる
いずれも見過ごせないメリットです。それぞれについて具体的にご紹介します。
①老齢基礎年金を最大満額まで増やせる
任意加入すると、生涯続く老齢基礎年金の受給額を増やせるのが魅力です。最大満額まで増やすことができます。たとえば、前述の3パターン目の対象者で3年分の未納がある場合、60歳から3年間毎月納付することで満額受給が可能です。
②社会保険料控除の対象になる
任意加入で納付する国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。確定申告することで、所得税が減税されます。
③障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができる
一定の条件を満たすと、任意加入期間中に万一のことがあった場合も、本人や残された家族が障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れます。
任意加入の手続き方法
任意加入の手続き方法は簡単です。準備するものは年金手帳と預金通帳、金融機関への届出印のみです。これら3点を持って、お住まいの市区役所や町村役場の国民年金担当窓口か、年金事務所で手続きしてください。
まとめ:制度の理解を深めて将来の生活費を準備しよう
老齢基礎年金の満額はいくらなのか、満額を受け取るための条件、満額支給されないケースとその対策などをご紹介しました。自分が満額受給できないと気づいた場合でも、今から受給額を増やせる対策があるとわかり、安心できたのではないでしょうか。 老齢基礎年金は生きている間ずっと受け取れる年金です。満額受給できないと気づいた段階で少しでも早く対処すると、老後の生活費アップにつながります。