ニュースレター登録

年金

皆さんは「将来、自分はどれだけ多くの年金を受給できるのだろう?」と思ったことはありませんか?

厚生年金の受給額について調べてみると「報酬比例部分」という単語を目にすることになります。パッと見では、どんな項目であるのかわからない人がほとんどでしょう。

この記事では、厚生年金における報酬比例部分についてを中心に、厚生年金の受給額について解説します。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

厚生年金の「報酬比例部分」とは

厚生年金における「報酬比例部分」とは、各被保険者が厚生年金をどれだけ受給できるかを決める計算式に含まれている項目の1つです。

老齢厚生年金の年金額の計算式

老齢厚生年金は、次のように計算されます。

  • 65歳未満:定額部分 + 報酬比例部分 + 加給年金額
  • 65歳以上:報酬比例年金額 + 経過的加算 + 加給年金額

老齢厚生年金は受給する年齢によって計算式が異なりますが、どちらの場合においても計算式に「報酬比例」という単語が含まれています。

なお、65歳以上の場合の計算式の「報酬比例年金額」は、65歳未満の場合の計算式に含まれている「報酬比例部分」と同じです。

報酬比例部分の計算式

上記の計算式に「+報酬比例部分(報酬比例年金額)」と記されているので、これが大きい金額であるほどに受給できる年金額も増額されることがわかります。

報酬比例部分の金額については、以下の計算式によって求められます。

  • ①:平均標準報酬月額 × 9.5/1000~7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 ×7.308/1000~5.481/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数
  • ②:(平均標準報酬額 × 10/1000~7.5/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 ×7.692/1000~5.769/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数) × 1.001(昭和13年4月2日以降に生まれた場合は0.999)

基本的に上記①の計算式で算出した額が該当しますが、①の計算式の結果が、②の計算式で算出した額を下回る場合は、②の計算式で算出した額を報酬比例部分の年金額とすると定められています。つまり、①と②のうち、金額の大きい方が報酬比例部分の金額として該当するということです。

この計算式について理解するためには、「平均標準報酬月額(平均標準報酬額)」と「計算中に登場する分数」の2つについても理解する必要があります。

  • 平均標準報酬月額:平成15年3月までの被保険者期間の各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間の月数で除して得た額
  • 平均標準報酬額:平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で除して得た額

引用:日本年金機構「老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」

 

「標準報酬額」とは、厚生年金の保険料に関係する項目です。各被保険者の収入を32区分に分けて、該当する金額に「保険料率」をかけて毎月の保険料が決まります。それを労使折半(勤め先が50%を負担)で納付する仕組みです。(従業員負担分は給料から天引きして納付する形式)

平均標準報酬月額(平均標準報酬額)にかける分数(9.5/1000~7.125/1000などの部分)については、日本年金機構「報酬比例部分の乗率」に生年月日ごとに区分された数値が記載されているので参照してください。

3種類の厚生年金の年金額の計算方法

厚生年金は「老齢」「障害」「遺族」の3種類の年金(受給の仕方)があり、それぞれ年金額の計算方法が異なります。

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、前述の通り以下の計算式で求められます。

  • 65歳未満:定額部分 + 報酬比例部分 + 加給年金額
  • 65歳以上:報酬比例年金額 + 経過的加算 + 加給年金額

先ほどは「報酬比例部分」だけ説明していますので、他の項目についても触れておきましょう。

  • 定額部分:1,628円(令和3年度分) × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数
  • 加給年金額:受給時に生計を維持されている配偶者や子がいる場合の加算分
  • 経過的加算:1,628円(令和3年度分) × 生年月日に応じた率 × 厚生年金保険の被保険者月数 - 780,900円(令和3年度分) × 昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数/加入可能年数 × 12

障害厚生年金

「障害厚生年金」の年金額は、報酬比例の年金額の計算と「認定された障害等級」によって受給額が決まります。

  • 障害等級1級:報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額(224,700円・令和3年度分)
  • 障害等級2級:報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額(224,700円・令和3年度分)
  • 障害等級3級:報酬比例の年金額(最低保障額585,700円・令和3年度分)

障害厚生年金の受給額に関係する「報酬比例の年金額」は、以下の計算式(基本は①、②の方が大きければ②)で求められます。

  • ①:平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数
  • ②:(平均標準報酬額 × 7.5/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数) × 1.001(昭和13年4月2日以降に生まれた場合は0.999)

「障害等級」についてはこちらを参照してください。

遺族厚生年金

「遺族厚生年金」の受給額に関係する報酬比例の年金額は、以下の計算式(基本は①、②の方が大きければ②)で求められます。

  • ①:(平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数) × 3/4
  • ②:(平均標準報酬額 × 7.5/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数) × 1.001(昭和13年4月2日以降に生まれた場合は0.999)× 3/4

以下のいずれかの条件に該当する妻が遺族厚生年金を受給する場合は、40歳~65歳になるまでの間「中高齢寡婦加算(年額585,700円・令和3年度分)」が加算されます。

  • 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなった

引用:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」

また、以下のいずれかの条件に該当する場合、「経過的寡婦加算」(※)が加算されます。
※経過的寡婦加算は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢寡婦加算の額と同額になるよう決められています。

  • 昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき
  • 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき

引用:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」

この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。

受給できる年金額を増やす方法とは

年金は、老後や障害状態、死亡に対する大切な備えであり、少しでも多く受け取れるほうが安心です。
そこで、受給できる年金尾金額を増やす3つの方法について解説します。

①収入を増やす

1つ目の方法は「厚生年金の被保険者の収入を増やす」ことです。

厚生年金は「いくら保険料を納付したか」が報酬比例部分に関係するため、保険料の金額を決める被保険者の収入が多いほど報酬比例部分が増額されます。被保険者の収入が多いほど保険料負担は増額されますが、その分だけ将来多くの年金を受給可能です。

②国民年金の「繰り下げ受給」を利用する

2つ目の方法は「国民年金の繰り下げ受給を利用する」ことです。

老齢基礎年金は、基本的に60歳まで加入(保険料負担)して、65歳になったら年金を受給開始します。しかし、本人が希望すれば60歳以降65歳になるまでに受給を開始する「繰り上げ受給」と、65~70歳までの間に受給開始する「繰り下げ受給」を選択可能です。

繰り上げ受給を利用する(早めに受給する)場合は年金額が減りますが、繰り下げ受給を利用する(遅めに受給する)場合は年金額は最大で1.42倍に増額されます。預貯金など生活基盤に余裕があれば、繰り下げ受給を利用することも検討してみましょう。

③上乗せできる年金を利用する

3つめの方法は「年金を上乗せして将来に備える」という方法です。

日本の年金制度は一般的に「2階建ての構造」といわれています。これは、20歳~60歳の全国民が加入する「国民年金」を1階部分として、雇用されている方が加入する「厚生年金」を2階部分として捉える考え方です。

厚生年金に加入している方は、国民年金だけでなく厚生年金も受給できます。しかし、個人事業主など厚生年金に加入できない人は国民年金しか受給できず、受け取れる年金額が少なくなってしまいます。

これに対しては「国民年金基金」や「付加年金」、「確定拠出年金」など、任意加入によって年金額を上乗せする制度が用意されています。もちろん、加入した分だけ保険料負担は増額されますが、将来もらえる年金額が増額されるので将来への備えとして加入する方が多いです。

その他にも「民間保険に加入する」という方法もあります。いずれにしても、基本的に加入は任意であるため、自分から行動しないと結果につながりません。制度について詳しく理解し、必要だと考える上乗せ方法があれば利用しましょう。

まとめ:報酬比例部分は被保険者の収入に関係

今回は、厚生年金の報酬比例部分についてを中心に解説しました。

以下の3つのポイントをおさえておきましょう。

  • 報酬比例部分は厚生年金の受給額に関係する
  • 報酬比例部分は被保険者の収入に依存する
  • 受給額の計算は年金の受給理由により異なる

報酬比例部分は、被保険者の収入をもとに金額が計算されます。
厚生年金の3種類の受給理由それぞれに報酬比例部分や、これに相当する計算項目が含まれていますので、受給見込み額を計算するうえで必ず触れることになるでしょう。

報酬比例部分の計算式は細かい分数が含まれていたり、平均標準報酬額を調べなければならないなど、本格的に計算しようと思えば手間がかかります。

日本年金機構の「年金見込額試算」を利用することで、手軽に年金受給見込み額を調べることが可能です。

受給額や保険料、その他にも年金制度に関する疑問があればそのままにせず、専用の窓口や年金関係に詳しい専門家に相談して不安を解消しましょう。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

CONTENTS 注目のコンテンツ

THIS WEEK’S RANKING 今週の記事ランキング