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年金

皆さんは、お知り合いから「年金は25年払えばいい」といった話を聞いたことがありませんか?

年金には受給要件が設定されており、その中には「保険料の納付に関する条件」も含まれています。年金は60歳まで保険料を負担しなければなりませんが、20歳から60歳の40年すべての期間において保険料を負担しなければならないのかと疑問を抱く方は少なくありません。

この記事では、年金保険料は何年間負担すれば受給できるのか、どうすれば満額受給できるのかといった受給資格について解説します。

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「25年」という数字は古い

結論から述べると、「25年」という数字は古い情報です。

この25年という数字は、おそらく一昔前までの「老齢基礎年金の受給資格の1つである、保険料納付要件」についての数字のことでしょう。確かに以前までは加入期間のうち25年以上の保険料納付が老齢基礎年金の受給要件だったのですが、未支給者の増加が社会問題になったことから/'2017年8月に改正されています。現在は「10年以上」が最短年数です。

日本年金機構によると、老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になったときに受給できます。

例えば、年金保険料の納付期間が12年分だったとしましょう。改正前のルールでは25年に対して不足しているため受給資格がありませんでしたが、現行法では10年以上なので受給資格があります。
 

年金の受給資格

一口に年金といっても種類があり、まず、2つの年金制度に大別されます。

  • 国民年金

  • 厚生年金

そして、受給理由によりそれぞれ以下3つの種類に分類されます

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金

保険料納付期間についても各年金ごとに受給要件が異なりますので、それぞれの受給資格について見ていきましょう。
 

国民年金の受給資格

国民年金は以下の3種類それぞれ受給資格が異なります。

  • 老齢基礎年金
  • 障害基礎年金
  • 遺族基礎年金
     

老齢基礎年金の受給資格

老齢基礎年金は、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年以上である場合に、65歳になったら受給可能です。このうち「免除期間」と「65歳になったら」という条件は年金の受給額にも影響しますが、これについては後ほど詳しく解説します。

障害基礎年金の受給資格

障害基礎年金には、3つの受給要件が設定されています。


  • 国民年金加入中に、障害の原因となった病気やケガについて「初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)」がある(20歳前や、60歳以上65歳未満の年金制度に加入していない期間で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含む)

  • 一定の障害の状態にある

  • 保険料納付要件(初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしている)
    1.初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されている
    2.初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない



引用:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」

1つ目の「初診日」は、障害基礎年金の受給可能タイミングに影響します。 2つ目の「一定の障害」は、障害等級1級または2級であることが条件です(3級は対象外)。 3つ目の「保険料納付要件」については2つの条件が設定されており、「初診日の前々月までの加入期間で2/3以上の納付期間がある」または「初診日で65歳未満+初診日の前々月までの1年間で保険料の未納がない」のいずれかを満たせば大丈夫です。

遺族基礎年金の受給資格

遺族基礎年金には、2つの受給要件が設定されています。

1つ目は「亡くなった方(国民年金の被保険者)の要件」です。

  • 被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した
  • 死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上ある
  • 令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がない


2つ目は「遺族の要件」です。

  • 死亡した者によって生計を維持されていた「子のある配偶者」
  • 死亡した者によって生計を維持されていた「子」
  • 「子」は「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない」または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級」が条件

参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」

厚生年金の受給資格

厚生年金も、それぞれ受給資格が異なります。

  • 老齢厚生年金
  • 障害厚生年金
  • 遺族厚生年金

老齢厚生年金の受給資格

老齢厚生年金には、以下の受給要件が設定されています。

  • 厚生年金の被保険者期間がある
  • 老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしている
  • 65歳になったとき

参考:日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」

障害厚生年金の受給資格

障害厚生年金には、以下の受給要件が設定されています。


  • 国民年金加入中に、障害の原因となった病気やケガについて「初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)」がある

  • 一定の障害の状態にある

  • 保険料納付要件(初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしている)
    1.初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されている
    2.初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない


引用:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」


いっけん「障害基礎年金」と同じなのですが、最大の違いは「一定の障害」として認められる障害等級の違いです。

  • 障害基礎年金:障害等級2級以上
  • 障害厚生年金:障害等級3級以上

障害等級が「3級」の場合、他の要件を満たしていても障害基礎年金は受給できませんが、障害厚生年金は受給できます。
 

遺族厚生年金の受給資格

遺族厚生年金には、遺族基礎年金と同じように2つの受給要件が設定されています。

1つ目は「亡くなった方(厚生年金の被保険者)の要件」です。


  • 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した

  • 死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上ある

  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した

  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡した


引用:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法」

 

2つ目は「遺族の要件」です。「死亡した者によって生計を維持されていた」ことを条件に、以下のいずれかであれば対象者となります。

  • 配偶者
  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
  • 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)

 

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老齢基礎年金は何年払えば満額もらえるのか

ご存知の方も多いですが、年金は「受給する人やタイミングによって、受給できる年金額が異なる」という特徴があります。

改正前であれば25年、改正後は10年の保険料納付期間があることが「老齢基礎年金を受給する要件」となります。しかし、これとは別に「納付状況によって、受給できる老齢基礎年金の金額が異なる」という点に注意が必要です。

20歳~60歳の加入期間全額払えば満額

日本年金機構によれば、老齢基礎年金の年金額(令和3年4月分から)は最大780,900円です。この金額は、一般的に「満額」と呼ばれています。

簡単に説明すると、老齢基礎年金を満額もらうためには「加入期間(20歳~60歳)の40年間、保険料を全額きちんと支払う」ことが条件です。

「免除」や「未納」があると減額される

老齢基礎年金の年金額は、以下の計算式によって受給額が求められます。

780,900円×(保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+4分の1納付月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)/40年(加入可能月数)×12月

参考:日本年金機構「老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」

 

国民年金制度には「免除」という制度があります。簡単に説明すると、年収がいくら未満であれば何分の1だけ保険料を納付すれば良いという仕組みです。

手続きすることで、年収により「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4つの免除区分が適用されます。

ただし、この制度を利用すると将来受給できる老齢基礎年金の金額が減少します。

  • 全額免除:4/8
  • 4分の1納付(4分の3免除):5/8
  • 半額納付(半額免除):6/8
  • 4分の3納付:(4分の1免除):78

「繰り上げ受給」と「繰り上げ受給」で年金額が変動

老齢基礎年金には、受給額と受給タイミングが変化する「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」の2つの制度があります。

  • 繰り上げ受給:早くから年金を受給できるけれど、年金額は減る
  • 繰り下げ受給:受給できるのは遅くなるけれど:年金額が増える

基本的に老齢基礎年金は「65歳になったら受給できる」というルールです。しかし、受給タイミングを早められる「繰り上げ受給」と、遅くできる「繰り下げ受給」によって、受給タイミングは60歳~70歳という幅が生じます。

受給するタイミングによって増減率も変動しますが、繰り上げ受給は最大で30%減少、繰り下げ受給は最大142%の増額です。
 

まとめ:10年払えば受給資格があり、満額には40年が必要

この記事では、年金保険料の納付期間と受給資格や受給額との関係について解説しました。

以下の3つのポイントをおさえておきましょう。

  • 老齢基礎年金は「以前は25年」「今は10年」の納付期間が受給要件である
  • 年金の種類によって受給要件は異なる
  • 老齢基礎年金を満額もらうためには40年全ての期間で満額保険料を納付する必要がある

10年間、保険料を納付した実績があれば老齢基礎年金を受給できますが、満額もらうためには40年すべての期間で満額の保険料を納付しなければなりません。

とはいえ、経済的に満額納付は困難だという方もいらっしゃるでしょう。その場合は免除や猶予といった制度を利用することも検討する必要があります。

手続きなど詳しいことについては専門の窓口などに相談して、できるだけ多くの年金を受給できるように工夫しましょう。
 

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