ニュースレター登録

年金

60歳で定年退職して一定の要件を満たせば、雇用保険の失業等給付を受ける権利が発生します。

一方、老齢年金に関しては「繰上げ受給」もしくは「特別支給の老齢年金」によって60歳から老齢年金を受ける権利が発生することもあります。

したがって、60歳で定年退職した場合には、雇用保険の失業給付と老齢年金の両方を受け取れる権利を持つことがあるのです。しかし、雇用保険の基本手当と65歳までの老齢年金は同時に受け取れません。

そこで本記事では、雇用保険の失業等給付と老齢年金の関係、どちらを受け取るべきか、両方受け取る方法はないのかについて解説します。

ぜひ、賢く雇用保険の失業給付または年金を受けるための参考にしてください。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する
マネーコーチが家計を診断・改善 オンライン家計診断
放っていてもお金が貯まる 【30秒で予約完了】今すぐ診断する

雇用保険の失業等給付と老齢年金は同時に受け取れる?

冒頭でご説明したとおり、65歳になるまでは雇用保険の失業等給付と老齢年金は同時に受け取れません。しかし、実は同時に受け取ることができなくても、期間をずらして「両方受け取る裏ワザ」があります。

雇用保険の失業等給付と老齢年金を両方受け取る裏ワザについては、この記事の終盤に解説しますのでぜひ最後までご覧ください。

雇用保険と老齢年金の関係について、概要を下表にまとめました。

雇用保険による給付 年金との併給可否
基本手当 65歳になるまでの年金とは併給できない(基本手当日額の90~150日分)
高年齢雇用継続給付(働いている60歳以上65歳未満の人が対象) 併給できるが減額される可能性がある
高年齢求職者給付金(65歳以降の失業者が対象) 65歳以上が対象なので併給できる(基本手当日額の30日または50日分)

以降で詳しく解説していきます。

65歳になるまでの年金とは併給できない

雇用保険の失業手当(正式には基本手当)と老齢年金は、65歳になるまで併給できません。具体的には、ハローワークで求職の申し込みをした時点で、その翌月から年金が全額支給停止されます。

そもそも、老齢年金は老齢基礎年金も老齢厚生年金も原則65歳から受け取れるものです。つまり、65歳になるまでに受け取れる年金は特別なものです。

60歳から65歳になるまでに受け取れる年金を下表にまとめました。繰上げ受給の場合、年金は減額されてしまうので注意が必要です。

65歳になるまでに受け取れる年金 内容
繰上げ受給(老齢基礎年金) 60歳から65歳になるまでの間、希望すれば受けられる
繰上げ受給(老齢厚生年金) 昭和28年4月2日以降生まれの男性または昭和33年4月2日以降生まれの女性は、繰上げ受給の老齢厚生年金を受け取れる
特別支給の老齢厚生年金 60歳以上で厚生年金保険に1年以上加入していた昭和36年4月1日以前生まれの男性または昭和41年4月1日以前に生まれた女性は特別支給の老齢厚生年金を受けられる

したがって、一般的には「特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の基本手当のどちらを受けるか」を選ぶ必要があります。

一般的には雇用保険の基本手当を受けることが多いのですが、どちらを選ぶべきかの判断については後述します。

高年齢雇用継続給付を受給する場合は年金が減額される

雇用保険には失業手当(基本手当)だけでなく、高年齢雇用継続給付というものもあります。高年齢雇用継続給付は年金と同時に受けられますが、「併給調整」により減額される可能性があるため注意が必要です。

具体的には、下表のとおり年金が停止(減額)されます。簡単にいえば、高年齢雇用継続給付で支給される額が大きくなると、調整のため減額される仕組みになっています。

60歳到達時賃金月額に対する標準報酬月額の割合 年金停止率
75%以上 0.00%
74% 0.35%
73% 0.72%
72% 1.09%
71% 1.47%
70% 1.87%
69% 2.27%
68% 2.69%
67% 3.12%
66% 3.56%
65% 4.02%
64% 4.49%
63% 4.98%
62% 5.48%
61%以下 6.00%

高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について|厚生労働省」をもとに作成

さらに、高年齢雇用継続給付とは関係なく、在職中の給料と年金の額によっては年金が減額されることもあります。在職中の年金減額については、日本年金機構の以下のページをご確認ください。

参考:在職中の年金(在職老齢年金制度)|日本年金機構

高年齢求職者給付金は65歳以上なので同時に受けられる

高年齢求職者給付金とは、65歳以上のための「雇用保険の失業給付(基本手当)」です。65歳以上が対象であるため、老齢年金と同時に受けられます。

ただし、65歳未満の年金は特別なものでしたが、65歳以降は通常どおり年金を受け取れるということもあり、給付金の額は少なめに設定されています。

そもそも高年齢求職者給付金とは、雇用保険の被保険者であった期間に応じて基本手当日額の30日分(1年未満)または50日分(1年以上)相当額が一時金として支給されるものです。
※65歳未満の雇用保険の失業給付(基本手当)では、通常の場合、最大150日分が支給されます

なお、高年齢求職者給付金は、離職前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あることが要件です。詳細は、厚生労働省の以下のページをご確認ください。

参考:基本手当について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)

マネーコーチが家計を診断・改善 オンライン家計診断
放っていてもお金が貯まる 【30秒で予約完了】今すぐ診断する

雇用保険の失業等給付と特別支給の老齢年金は、どちらを選ぶべき?

どちらを選ぶべきかについての結論は、当然「雇用保険の失業給付(基本手当)と特別支給の老齢厚生年金の多いほうを選ぶべき」です。

そのためには、雇用保険の失業給付(基本手当)と特別支給の老齢厚生年金を計算しなければなりません。最も確実な方法は、雇用保険についてはハローワークに、年金については最寄りの年金事務所に確認することです。

とはいえ、多くの場合、雇用保険の失業給付(基本手当)が受給額は多くなります。

ちなみに、令和6(2024)年度には特別支給の老齢厚生年金を貰える人はいなくなります。

雇用保険の失業給付(基本手当)と、特別支給の老齢厚生年金のどちらを選ぶべきか検討する人は少数ですが、それぞれの計算方法を解説します。

雇用保険の失業給付(基本手当)の計算

雇用保険の失業給付(基本手当)は下記の方法で計算できます。流れは次のとおりです。

流れ 計算方法 計算具体例
賃金日額 離職日以前6ヶ月の賃金の合計を180で割る※賞与は除く 平均給与は年額約333万円のため、6ヶ月の賃金の合計は166.5万円166.5を180で割ると0.925(9,250円)
基本手当日額 賃金日額の45~80% 後述の上式の結果、約5,164円後述の下式の結果、約4,919円低いほうは、4,919円
所定給付日数 被保険者期間が1年以上10年未満:90日被保険者期間が10年以上20年未満:120日被保険者期間が20年以上:150日 被保険者期間は38年であるため、150日
基本手当の総額 基本手当日額 ✕ 所定給付日数 4,919円 ✕ 150日より、737,850円

※2021年1月時点で60~64歳の場合
※離職理由が倒産や解雇などではない場合
基本手当について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)」をもとに作成

なお、「令和元年分 民間給与実態統計調査」を参考に、以下の前提条件で基本手当の総額を求めています。

  • 60~64歳の平均給与は411万円
  • 平均給与・手当に対する賞与の割合は約19%
  • よって、賞与を除く平均給与は年額約333万円
  • 雇用保険の被保険者期間は38年とする

基本手当日額については、賃金日額に応じて以下のように求めます。

賃金日額(w) 基本手当日額(y)
2,574円以上5,030円未満 y = 0.8w(賃金日額の80%)
5,030円以上11,140円以下 ・y = 0.8w-0.35{(w-5030)/6110}w・y = 0.05w+4456いずれか低いほう
11,140円を超え15,970円以下 y = 0.45w(賃金日額の45%)
15,970円超える場合 y=7,186(7,186円)

※2021年1月時点で60~64歳の場合
基本手当日額の計算式及び金額(令和2年8月1日~)|厚生労働省」をもとに作成

特別支給の老齢厚生年金の計算

特別支給の老齢厚生年金の計算式は以下のとおりですが、2021年現在では特別支給の老齢厚生年金の定額部分を受け取れる人はいません。そのため、実質「報酬比例部分」のみとなります。

なお、報酬比例部分についても令和6(2024)年度までの支給が最後です。つまり、それ以降は繰上げ受給を除いて65歳未満に年金を受ける方法はありません。

  • 特別支給の老齢厚生年金 = 定額部分 + 報酬比例部分
  • 定額部分 = 定額単価 ✕ 加入月数
  • 報酬比例部分 =(1) + (2) (1)「平均標準報酬月額 ✕ 支給乗率(1000分の7.125) ✕ 平成15(2003)年3月までの被保険者期間の月数」 (2)「平均標準報酬額 ✕ (1000分の5.481) ✕ 平成15(2003)年4月以後の被保険者期間の月数」

※報酬比例部分は被保険者期間の上限なし
参考:た行 特別支給の老齢厚生年金|日本年金機構
参考:た行 定額部分|日本年金機構
参考:は行 報酬比例部分|日本年金機構

この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。

マネーコーチが家計を診断・改善 オンライン家計診断
放っていてもお金が貯まる 【30秒で予約完了】今すぐ診断する

雇用保険の失業等給付と年金を両方受け取る方法とは?

雇用保険の失業給付(基本手当)と特別支給の老齢厚生年金を両方受け取る方法を紹介します。

結論は、65歳の誕生日前々日以前に退職し、65歳を過ぎてからハローワークに求職を申し込むことです。

65歳を過ぎれば年金の減額や全額支給停止などの調整はありません。これで、在職中に年金を貰い、退職後に最大150日分の失業給付(基本手当)を受けられるのです。

ただし、会社の就業規則によっては「自己都合退職」の扱いになってしまい、失業給付(基本手当)で3ヶ月の支給制限を受けてしまう場合もあります。

さらに、「失業認定」を受けるために1ヶ月ごとにハローワークへ行かなければなりません。このような手間が生じることは事前に把握しておきましょう。

マネーコーチが家計を診断・改善 オンライン家計診断
放っていてもお金が貯まる 【30秒で予約完了】今すぐ診断する

まとめ:65歳未満の年金と雇用保険の失業給付は併給できない

65歳未満の年金(特別支給の老齢厚生年金)と、雇用保険の失業給付(基本手当)は同時に受けられません。しかし65歳になる前に退職し、65歳になってからハローワークに求職の申し込みをすると、時期をずらして両方受け取れるのです。

もし64歳未満で退職するのであれば、一般的には特別支給の老齢厚生年金ではなく雇用保険の失業給付(基本手当)のほうが額は大きくなります。そのため、失業給付(基本手当)を選ぶべきでしょう。

\ 「オリジナル家計診断書」無料プレゼント /

無料診断する

CONTENTS 注目のコンテンツ

THIS WEEK’S RANKING 今週の記事ランキング