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年金

失業保険とは、離職した人の生活を補償し再就職に役立てるために支給されるものです。

しかし、失業保険と65歳までの老齢厚生年金は同時にもらえません。あるいは減額される可能性があります。一方、同時にはもらえなくても時期をずらして両方もらう方法もあるのです。

そこで本記事では、失業保険の給付種類を紹介し、失業保険と年金を同時にもらう3つの方法を紹介いたします。

この記事を最後までご覧いただけば、失業保険と年金の関係を理解できることでしょう。ぜひ参考にしてください。

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そもそも失業保険とは?

失業保険は、厚生労働省(政府)が取りまとめる雇用保険制度の一環です。年収や労働時間に関係なく適用されます。

実は、「失業保険」という名称は1974年以降正式名称ではありません。というのも、1974年に「雇用保険法」が制定されたためです。

つまり、雇用保険が制定されるまでは「失業保険」。制定されてからは「雇用保険」という名称に変更されたのです。実際、雇用保険には失業だけでなく教育訓練を受けた場合、育児のために休業した場合に給付されるものもあります。

とはいえ、「失業した場合に給付がある保険」として、失業保険という呼び名を現在でも使ってる人は少なくありません。

失業保険(雇用保険)の中身については以降で解説していきます。

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失業保険にはどのような給付(手当)がある?

失業保険(現在の雇用保険)は多くの給付(手当)が設けられています。本記事では、そのなかでも年金と特に関係の深い下記の太字黄色の3つの給付(手当)について簡単に紹介します。

<雇用保険の給付の一例>

  • 基本手当
  • 技能習得手当
  • 傷病手当
  • 高年齢求職者給付金
  • 就業促進手当
  • 教育訓練給付金
  • 高年齢雇用継続給付
  • 介護休業給付
  • 育児休業給付金

<年金と特に関係の深い3つの給付(手当)の概要>

雇用保険による給付 対象者 給付額
基本手当 離職後1年以内にハローワークで求職を申し込み、「失業の状態」の認定を受けた被保険者 基本手当日額の90~330日分
高年齢雇用継続給付 賃金が低下した60~65歳の被保険者 60歳以前6ヶ月の平均賃金月額に対する賃金の割合に応じて、対象月賃金の最大15%
高年齢求職者給付金(65歳以降の失業者が対象) 65歳以降の失業者(高年齢被保険者) 基本手当日額の30日または50日分

基本手当について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)」をもとに作成

基本手当

失業保険(現在の雇用保険)といえば、これから紹介する基本手当のことを指しています。

基本手当を受給する要件を以下に示します。

  • ハローワークに来所し、求職の申し込みをすること
  • 就職の意思と就職できる能力があるが就職できていない「失業の状態」にあること
  • 離職以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること

なお、事業主(離職前の勤め先の会社)から「離職票」を交付してもらい、離職理由などを記入した後にハローワークに提出しなければなりません。さらに、基本手当は離職の翌日から原則1年間しかもらえません。

もらえる基本手当の金額については、下表のように求めます。ただし、もとになる数値などは毎年改定される場合があるため最新の情報を確認してください。

正確な支給額を知るためには、ハローワークに問い合わせると確実です。

流れ 計算方法
賃金日額 離職日以前6ヶ月の賃金の合計を180で割る※賞与は除く
基本手当日額 賃金日額の45~80%※詳細は後述
所定給付日数 被保険者期間が1年以上10年未満:90日被保険者期間が10年以上20年未満:120日被保険者期間が20年以上:150日
基本手当の総額 基本手当日額 ✕ 所定給付日数

※2021年1月時点で60~64歳の場合
※離職理由が倒産や解雇などではない場合
基本手当について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)」をもとに作成

賃金日額(w) 基本手当日額(y)
2,574円以上5,030円未満 y = 0.8w(賃金日額の80%)
5,030円以上11,140円以下 ・y = 0.8w-0.35{(w-5030)/6110}w・y = 0.05w+4456いずれか低いほう
12,140円を超え15,970円以下 y = 0.45w(賃金日額の45%)
15,970円超え y=7,186(7,186円)

※2021年1月時点で60~64歳の場合
基本手当日額の計算式及び金額(令和2年8月1日~)|厚生労働省」をもとに作成

高年齢求職者給付金(65歳以上)

高年齢求職者給付金とは、65歳以上の被保険者における基本手当の位置付けにあるものです。基本手当との違いは対象者はもちろん、支給される額が少ないのと一括で支給される点にあります。

一括でもらえるのは嬉しいですが、64歳までに退職すると最大330日分がもらえるのに対し、65歳以上では最大50日分です。つまり、失業保険(現在の雇用保険)を受けるのであれば65歳になるまでに退職しなければ実質的に損となってしまいます。

なお、失業状態の認定に加えて「離職前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あること」が要件です。これについては基本手当と比べ、要件は緩くなっています。

被保険者期間 給付額
1年以上 基本手当日額の50日分
1年未満 基本手当日額の30日分

基本手当日額の計算式及び金額(令和2年8月1日~)|厚生労働省」をもとに作成
高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)」をもとに作成

高年齢雇用継続給付(60歳以上65歳未満)

高年齢雇用継続給付は、60~65歳が継続して働き、60歳以前6ヶ月の平均賃金月額から賃金が75%未満になった際に支給されるものです。なお、原則として雇用保険の被保険者期間が5年以上ある必要があります。

高年齢雇用継続給付には、2つの給付金があります。2つの違いは、雇用継続されたか再就職したかです。具体的には、下表のようになります。

  高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金
詳細 60歳以降も継続して雇用され、賃金が75%未満になった場合 再就職し雇用保険の被保険者となり、基本手当の支給残日数が100日以上ある場合

高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)」をもとに作成

ちなみに、再就職した場合にはここで紹介した「高年齢再就職給付金」だけでなく「再就職手当」も受けられます。この2つは併給できませんので、どちらか一方を選ぶ必要があります。

項目 再就職手当 高年齢再就職給付金
支給要件 ・基本手当の支給残日数が3分の1以上で安定した職業に再就職したことなど ・基本手当の支給残日数が100日以上で安定した職業に再就職したこと・被保険者であった期間が5年以上であること・支給対象月に支払われた賃金額が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満に低下しているなど
支給額 支給残日数分 × 基本手当日額 × 60%(残日数3分の2以上)または50%(残日数3分の1以上)(一定の上限あり) 支給対象月において支払われた賃金の最大15%(一定の上限あり)
支給方法 一括支給 原則2ヶ月ごとに支給
申請期限 就職日の翌日から1ヶ月以内 支給対象月の初日から4ヶ月以内(初回の支給申請)

出典:高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)

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失業保険と年金を同時にもらう3つの方法とは?

ここまで失業保険(現在の雇用保険)について解説してきましたが、基本的には65歳になるまでの老齢年金とは同時にもらえません。しかし、以降で紹介する3つの方法では失業保険と年金を同時にもらえます。

3つの失業保険の給付(雇用保険の失業給付)と年金の関係を以下にまとめました。以降で詳細を解説します。

雇用保険による給付 年金との併給可否
基本手当 65歳になるまでの年金とは併給できない(基本手当日額の90~330日分)
高年齢雇用継続給付(働いている65歳未満の人が対象) 併給できるが減額される可能性がある
高年齢求職者給付金(65歳以降の失業者が対象) 65歳以上が対象なので併給できる(基本手当日額の30日または50日分)

①65歳以降なら失業保険と年金を同時にもらえる

失業保険による給付(雇用保険の失業給付)と年金は、65歳になるまでは同時にもらえません。そのため、65歳以降なら同時にもらえるのです。

しかし、前述のとおり65歳未満に退職すると失業保険は最大150日分を受けられますが、65歳以降に退職すると最大50日分になってしまいます。

②60歳以上65歳未満の高年齢雇用継続給付は同時にもらえるが減額される

65歳までの年金は、原則として同時にもらえません。しかし、高年齢雇用継続給付は「失業による給付」ではない点もあり、同時に受けられるのです。

しかし、減額などの併給調整が実施されることがあります。併給調整については下表を参照ください。

60歳到達時賃金月額に対する標準報酬月額の割合 年金停止率
75%以上 0.00%
74% 0.35%
73% 0.72%
72% 1.09%
71% 1.47%
70% 1.87%
69% 2.27%
68% 2.69%
67% 3.12%
66% 3.56%
65% 4.02%
64% 4.49%
63% 4.98%
62% 5.48%
61%以下 6.00%

高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について|厚生労働省」をもとに作成

③65歳前に退職し65歳以降に基本手当を受け取る

失業保険を受給できる日数は、65歳未満に退職すると最大150日分、65歳以降に退職すると最大50日分になってしまうことは前の章でご説明しました。

しかし、65歳未満の失業保険(最大150日分)と年金は同時には受け取れません。しかし、同時には受け取れませんが、どちらとも受け取る方法はあります。

65歳前に退職し、65歳以降に基本手当を受け取れば良いのです。そうすことにより、退職前に特別支給の老齢厚生年金をもらい、退職後に失業保険の最大150日分をもらえます。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 就業規則によっては、65歳前の退職は自己都合退職となり退職金と失業保険の給付制限に影響する場合がある
  • 失業保険を受け続けるには1ヶ月ごとにハローワークに出向き、失業認定を受けなければならない
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まとめ:基本手当と年金を満額もらうなら65歳の直前退職がおすすめ

本記事の結論として、最大150日分の失業保険による給付を受けるには、65歳直前での退職がおすすめです。

失業保険と年金を同時にもらう方法は次のとおりでした。

  • 最大50日分になるが、65歳以降で高年齢求職者給付金と同時にもらう
  • 減額の可能性があるが、働き続けながらもらえる高年齢雇用継続給付と同時に受ける

ぜひ本記事を、60歳以降の失業保険(現在の雇用保険)と年金を選択するための参考としてください。

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