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年金

個人年金の保険料払い込みは長期にわたるため、ときには保険料の払い込みが難しいと感じ解約を検討する人もいるでしょう。一般的に「保険は途中で解約すると損」といわれますが、個人年金についてはどうでしょうか。

今回の記事では、個人年金を解約するデメリットと解約しようと考えたときの対処法について解説します。デメリットや対処法を知らずに解約すると損をすることもあるため、解約の可否判断に役立ててください。

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個人年金解約のデメリット

個人年金を中途解約(以下、解約)するのは一般的に損です。まず最初に、個人年金解約のデメリットを解説します。

デメリット①:解約すると元本割れする

デメリットの1つ目は、個人年金を解約すると元本割れすることです。元本割れとは、解約返戻金がこれまで払い込んだ保険料の総額を下回ることです。老後の資金づくりを目的に加入したつもりが、結果として損をすることになります。

解約返戻金を払い込んだ保険料の総額で割った値を「解約返戻率」といいます。解約返戻金が50万円、保険料の総額が100万円ならば、解約返戻率は50%です。解約返戻率が100%を下回る状態が元本割れです。

加入年数と元本割れの関係

解約返戻率は加入年数が長いほど高くなり、払い込み完了時期が近づくにつれ100%に近づきます。ただし、解約返戻率が高い方が元本割れが少ないかというと、必ずしもそうではありません。

デメリット②:解約返戻金に税金がかかることがある

デメリットの2つ目は、解約返戻金に税金がかかるケースがあることです。税金がかかるのは、解約返戻金が払い込んだ保険料総額を50万円超上回るケースです。上回った金額は「一時所得」となります。一時所得を1/2した金額が他の所得と合算され、計算されます。

また、5年以内の解約の場合、増えた金額に20.315%の税金が課されます

年金で受け取った場合、年金には公的年金等控除が適用されるため、非課税であったり税金が少なくて済むケースもあります。年間所得1,000万円以下で公的年金控除の対象となる所得が個人年金だけの場合、65歳未満の人は年金額60万円、65歳以上の人は110万円まで非課税です。

個人年金をやめたい理由

個人年金をやめたいと考える理由はなんでしょう。理由が明確になれば、適切な対処法を見つけることもできます。個人年金をやめたい理由で考えられるものは次の3つです。

保険料の払い込みをする余裕がない

理由の1つ目は、保険料の払い込みをする余裕がないことです。加入時には最後まで保険料を支払って老後資金を準備するつもりであっても、家計の状況が変わって経済的に厳しくなることもあるでしょう。

教育費や住宅ローンの負担が思ったより多い、病気や転職などで収入が減った、親の介護が必要になり支出が増えた、など家計の状況はときとともに変化します。支出の削減に迫られたとき、目先の出費より将来のための生命保険などが削減の対象となるのが一般的です。

老後の生活に困らないように、一時的に節約して個人年金を継続できればいいですが、教育費や住宅ローンの支払いなど削減できない費用があるのも現実です。

まとまったお金が必要になった

理由の2つ目は、まとまったお金が必要になったりすることです。家計の収支計画をしっかり立てていても、予期せぬ高額の出費が発生して計画通りにいかないことも多いからです。

子どもが留学する、台風の被害で家の改修が必要、人にケガをさせて損害賠償しなければならない、など、想定外の事態が発生した場合、余裕資金がなければ個人年金の解約返戻金が必要になることもあるでしょう。

いざという時の資金を現金で準備しておくことは重要ですが、毎月の生活に追われて余裕資金を準備できないこともあります。

個人年金ではなくiDeCoなどを利用したい

理由の3つ目は、個人年金ではなくiDeCoなどを利用したいことです。老後資金を準備する方法は、個人年金だけではありません。iDeCo(確定拠出型個人年金)や、つみたてNISA(小規模投資非課税制度)などに魅力を感じる人もいるでしょう。

iDeCoは国民が老後生活資金を準備しやすいように国が設けた任意加入の私的年金制度です。掛け金について全額所得控除される措置や運用益が非課税とされる措置など、さまざまな税制上の優遇措置が設けられています。

つみたてNISAは、国民の投資を促進するために国が設けた制度です。運用益が非課税であるためその全額を再投資に回して効率的な資産運用が可能です。60歳まで資金を引き出せないiDeCoと異なり、いつでも換金できるため自由度の高い制度といえます。

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保険料払い込みの金銭的余裕がない場合の対処法

個人年金を解約すると損をする可能性が高いため、できれば解約は避けたいです。解約の理由別に解約を避ける方法を紹介しますので検討してみてください。

最初に、保険料払い込みの金銭的余裕がない場合の対処法を紹介します。

対処法①:払済保険にする

保険料の払い込みが今後も見込めない場合は、「払済保険」にするという方法があります。保険料の払い込みは終了し、これまでに積み立てたお金を原資に一時払いの個人年金に加入するイメージです。ただ、すべての商品が払い済みできるわけではありませんので、ご注意ください。

払済保険にすることで、年金額は少なくなりますが個人年金は解約しなくて済みます。払済保険にしても加入時の予定利率が適用されるため、予定利率の高い時期に加入した個人年金は、解約より払済保険がおすすめです。

対処法②:自動振替貸付を利用する

一時的に保険料の払い込みが難しい場合は、「自動振替貸付」がおすすめです。自動振替貸付とは、これまでに積み立てたお金の一部を保険料に充当して契約を継続する仕組みです。自動振替貸付を利用すれば、保険料を支払うことなく加入時の個人年金をそのまま継続できます。

ただし、自動振替貸付を受けた金額は利息をつけて返済しなければなりません。返済しないで放置すると、積み立てたお金がどんどん減っていきます。自動振替貸付は、当面の保険料払い込みを避けるための一時的な対処法であることを覚えておきましょう。

対処法③:契約者貸付を受ける

まとまったお金が必要な場合には、「契約者貸付」を受けるという方法があります。契約者貸付とは、保険契約者が生命保険会社から受ける貸付のことです。借りられる金額は、これまでに個人年金で積み立てた金額の一定割合です。

自動振替貸付と同様、貸付を受けた金額は利息付きで返済が必要ですが、まとまったお金を準備でき個人年金も継続できます。予定利率が高い契約ほど貸付利率が高いため、早期返済を心がけましょう。

対処法④:個人年金を減額する

個人年金を「減額」すると、保険料の払い込みを減らせます。たとえば、毎月の保険料2万円、年金額100万円の個人年金を50万円に減額した場合、保険料も半額の1万円です。減額によって50万円の年金保険を解約したことになります。

税制適格特約がついた個人年金については将来の年金原資に充当される保険もあるので要注意です。税制適格特約とは、個人年金保険料控除を受けるために加入時に付加する特約です。

iDeCoを利用したい場合の対処法

最後に、老後の資産形成の方法として、個人年金ではなくiDeCoなどを活用したい場合の対処法を紹介します。

払済保険にする

個人年金の加入年数が長い場合は、払済保険がおすすめです。払い込み完了が近ければ、年金額もそれほど下がりません。払済保険を老後資金の一部として活用しましょう。

近年、国内大手生命保険会社の予定利率は大幅に低下しています。平成5年3月以前は5%以上だった予定利率は徐々に低下し、現在は1%程度です。予定利率が高いほど同じ保険料に対する年金額は大きくなるため、加入年数が長い個人年金は解約せずに続けましょう。

まとめ:個人年金の解約を避ける方法を理解した上で解約の可否を判断しよう

個人年金を解約すると、多くの場合、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回る元本割れになります。

解約すると損をするため、ケースに応じて「払済保険」「自動振替貸付」「契約者貸付」「減額」などを活用して解約を避けましょう

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