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年金

日本に住む全ての人は国民年金保険の加入者として、20歳から60歳になるまで保険料を支払う義務があります。国民年金保険料は毎年見直しが行われており、令和2年度現在で月額16,540円、年間総額20万円ほどです。

決して少ない金額ではありません。「学生」や「収入の減少」などの経済的な理由で保険料が支払えなかった方のために、国民年金には「追納」という制度があることをご存知でしょうか。

この記事では、追納ができるケースや追納による年金受給額の変化、追納に適したタイミングについて詳しくお伝えしていきます。

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国民年金は10年以内であれば追納できる

国民年金の加入実績があり、過去10年以内に保険料の未納がある人は、さかのぼって後払いを行う「追納」ができる可能性があります。

公的年金制度は2種類あります。1つ目は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金。2つ目は会社員や公務員が加入する厚生年金です。

厚生年金に加入している間は、国民年金保険料も厚生年金保険料と合わせて給与から天引きされます。勤め先が年金保険料を納付してくれるので、基本的に未納は発生しません。

関連記事: 国民年金と厚生年金の違い

追納できる3つのケース

追納できる保険料は、一定の条件を満たすものだけです。過去10年以内に、次の3つの制度のいずれかを利用して保険料の免除や猶予を受けたことがある場合は保険料の追納が可能です。

①保険料免除制度を利用した時

収入減などにより、本人と配偶者、世帯主の前年所得が一定額以下の場合に利用できる制度です。日本年金機構へ申し出をし、承認を受けると保険料の納付が免除されます。

免除額は本人と配偶者、世帯主の前年所得に応じて「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類です。
 

②保険料納付猶予制度を利用した時

20歳以上50歳未満で本人と配偶者の前年所得が一定額以下となり保険料の支払いが難しいときに利用できる制度です。

平成28年6月までは30歳未満が対象でしたが、平成28年7月からは50歳未満まで対象範囲が広がりました。日本年金機構へ申請し承認を受けると、保険料の納付を猶予してもらえます。

③学生納付特例制度を利用した時

所得が一定額以下の学生が利用できる制度です。家族の所得は関係ありません。

学生とは、大学(大学院)や短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校などに在学する人で夜間や定時制課程、通信課程の人も含まれます。ほとんどの学生が利用可能です。

本人が申し出て日本年金機構から承認がおりれば、学生である間の保険料納付を猶予してもらえます。

免除や猶予を受けると受給資格期間・年金額は変わるの?

国民年金には「受給資格期間」が10年以上という受給要件があることをご存知でしょうか。また、国民年金の受給額は、保険料を支払った月数をもとに計算されます。

ここでは、前述の3つの制度を利用して国民年金保険料の免除や猶予を受けた場合の「受給資格期間」と「年金額」について説明します。

免除や猶予の期間も受給資格期間に含まれる

まず、国民年金保険料の免除や猶予を受けた期間は「受給資格期間」となるか確認しましょう。

免除や猶予を受けた期間は「受給資格期間」に含まれます。保険料納付済期間と免除や猶予制度を利用した期間の合計が10年以上あれば、国民年金の受給要件をクリアします。

免除か猶予かで年金額に反映されるか異なる

次に、国民年金保険料の免除や猶予を受けた場合、年金額がどうなるかについて見ていきます。結論としては、免除期間は年金額に反映されますが、猶予期間は年金額に反映されません。

免除の手続きを行うと、保険料を納付していなくても国庫負担により免除割合に応じた一部年金が支給されます。例として、全額免除期間の場合、保険料を納めなくても年金額が半分保障されます。

猶予の場合は、国庫負担はなく年金額の計算に反映されません。学生の期間など収入がなく保険料の納付を猶予してもらった場合は、放っておくと将来の年金受給額が少なくなってしまうので注意が必要です。

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追納した場合、受給額はいくら増える?

以下の表は令和年3月末までに追納する場合の1ヶ月分の追納額と加算額をあらわしたものです。

免除・猶予を受けた年度 追納額
(1ヶ月)
当時の保険料
(1ヶ月)
加算額
平成22年度 15,550円 15,100円 450円
平成23年度 15,340円 15,020円 320円
平成24年度 15,190円 14,980円 210円
平成25年度 15,160円 15,040円 120円
平成26年度 15,310円 15,250円 60円
平成27年度 15,640円 15,590円 50円
平成28年度 16,290円 16,260円 30円
平成29年度 16,510円 16,490円 20円
平成30年度 16,340円 16,340円 0円
令和元年度 16,410円 16,410円 0円

出典:日本年金機構HP「令和3年3月末までに追納する場合の追納保険料額」

表を見て分かるように、2年前までの保険料であれば追納時に加算はありませんが、それ以前の保険料を追納する場合は加算があります。例えば、平成22年度の分だと1ヶ月あたり450円増えます。

加算額を負担してまで保険料を追納すべきなのでしょうか。ここでは、年金を追納したら将来の受給額はいくら増えるのかお伝えしていきます。

以下の表は、保険料支払い猶予を2年間受けた場合の追納有無による年金受給額の違いを表したものです。

  追納額 年金受給額(月額)
追納しない場合 0円 約6万1,700円
追納した場合 約39万円 約6万5,000円

 支払いできていない分の保険料を追納することで、受給額が月約3,300円増えます。年間に換算すると約4万円です。およそ39万円の追納で、追納しない場合と比べて年間4万円ほど年金の受給額が増えるため、将来10年にわたって年金を受給すると追納分を取り戻せるとも言えます。

追納する方法は?

では、将来受け取れる年金額を増やすために追納したいと思ったとき、どうすればよいのでしょうか。

保険料の追納方法は納付書を使用した現金振込みのみです。口座振替やクレジットカードで支払うことはできません。振込に必要な納付書をもらうためには、年金事務所への申請が必要です。申請方法は2種類あり、1つは年金事務所の窓口で申請する方法。もう1つは必要書類を「ねんきんネット」から印刷し郵送にて申請する方法です。

追納は1ヶ月単位の分割で行うことができます。

追納することで節税効果も得られる

追納制度は、節税効果もあるという話を耳にしたことはありませんか。追納した保険料は全額「社会保険料控除」の対象となり、所得税と住民税を抑えることができます。

例えば、年収500万円(適用税率:所得税10%、住民税10%)の人が、学生納付特例制度を利用し猶予を受けていた期間の保険料20万円(約1年分相当)を追納します。そうすると、その年の年末調整を行えば4万円が戻ってくるのです。
課税所得が高い人ほど、社会保険料控除額が増加し節税効果が大きくなるので、所得が高い年に追納することをおすすめします。

申告方法は年末調整か確定申告の2種類です。

追納の証明資料として「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」または「納付書・領収(納付受託)証書」のいずれかが必要です。

年末調整の場合は、追納時期により「控除証明書」の到着が年末調整に間に合わない場合もあります。その場合、控除を受けるには確定申告が必要です。年末調整・確定申告まで「控除証明書」「領収(納付受託)証書」は大事に保管しておきましょう。

まとめ:金銭的余裕があれば、保険料を追納しよう

この記事では、追納ができるケースと支払方法、追納による年金受給額の変化、追納に適したタイミングをお伝えしました。

国民年金は猶予期間や免除期間があると、将来受け取れる年金額が減ってしまいます。

猶予や免除の期間がある人は1ヶ月分から分割して追納できるので、現在余裕があれば国民年金保険料の追納をぜひ考えてみましょう。さかのぼって追納ができるのは過去10年分なので、迷っている人は注意してください。

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