通勤手当は年金受給額に影響する!その理由と年金以外への影響も解説


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や働き方改革の影響により、通勤手当が減額となったサラリーマンは多いのではないでしょうか。

そこで気になるのが「通勤手当の減額が将来の年金に影響する(減る)のか」といったポイントです。

ご懸念のとおり、通勤手当が減額すると年金の受給額が減ってしまう可能性があります。しかし、ネガティブな影響ばかりではありません。

今回は、通勤手当が将来の年金受給額に影響する詳しい理由と、どれくらい年金が減るのか、さらに、年金以外への影響をわかりやすく解説します。

この記事を読めば、通勤手当が減額されていくら年金が下がってしまうのか、ご自身にかかわる影響を具体的に検討できます。ぜひ参考にしてください。

通勤手当は将来の年金受給額に影響する


冒頭で述べたとおり、通勤手当は将来もらえる年金受給額に影響します。その理由には順序があり、以下のとおりです。

  1. 通勤手当が下がると標準報酬月額が下がる
  2. 将来もらえる老齢厚生年金の額は標準報酬月額をもとに計算される
  3. 標準報酬月額が下がれば老齢厚生年金の受給額も下がる

標準報酬月額が下がれば納付する厚生年金保険料も下がるため、「通勤手当が減額されれば損する」とは一概にはいえません。

なお、標準報酬月額について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参照ください。
関連記事:標準報酬月額

以降では、通勤手当が2万円減額された場合を例にして、いくら年金が減ってしまうのかを具体的に見ていきます。

通勤手当が減ればどのくらい年金が減ってしまうのか


実際に通勤手当が減ればどのくらい年金が減ってしまうのかといった具体例を考えましょう。

なお、計算の前提条件は以下のとおりです。

  • 2020年11月現在35歳(平成20年入社)で、「標準報酬月額28万円
  • 「平均標準報酬額」はボーナスも含めて考えるため、1年間のボーナスを120万円と仮定
  • 1月あたりのボーナスは12万円であるため、「平均標準報酬額は40万円

リモートワークになり通勤手当2万円がなくなった場合

通勤手当が2万円減額された場合、前提条件の標準報酬月額28万円が26万円になります。

将来もらえる年金のうち、標準報酬月額が影響するのは老齢厚生年金です。

昭和21年4月以降に生まれの場合、もらえる年金額は以下の計算式で求めます。
老齢厚生年金=(平均標準報酬月額✕(7.125/1000)✕平成15年3月までの加入月数)+平均標準報酬額✕(5.481/1000)✕平成15年4月以降の加入月数)

通勤手当2万円が減額される前の老齢厚生年金の受給額を計算します。
(40万円✕0.005481)✕444月=約97.3万円(年額)

次に通勤手当2万円が減額された後の老齢厚生年金の受給額を計算しましよう。(入社月から通勤手当2万円がないものと考えているため、実際とは異なります。)
(38万円✕0.005481)✕444月=約92.5万円(年額)

今回の計算はあくまでも一例ですが、通勤手当2万円の減額により、年額にして約4.8万円(月額で約4,000円)減額されるという試算結果となりました。

ちなみに、納める厚生年金保険料は2万円の減額で月額23,790円となり、月額1,830円(年額約2.2万円)安くなります。

なお、ここでの計算は目安であり、細かい条件によって結果は変動します。

年金だけではない!通勤手当が減額されることによる3つの影響


通勤手当が減額されることによる影響は、年金だけではありません。ここでは年金を除く3つの影響を紹介します。

①健康保険からの傷病手当金が減る

傷病手当金とは、業務外の病気やケガの療養のために、連続する3日間を含み4日以上休業したことなどを条件に支給されるものです。

支給される金額は、「支給開始日以前12ヶ月間における平均標準報酬月額の2/3」であるため、通勤手当が減額されると「平均標準報酬月額」が減り、支給される傷病手当金が減ってしまいます。

②医療費の自己負担限度額が減る

医療費の自己負担限度額とは、医療機関などの窓口で支払う自己負担の限度額を定めたものです。

限度額は、「標準報酬月額26万円以下」や「標準報酬月額28~50万円」のような所得区分で
定められます。そのため、通勤手当の減額などで標準報酬月額が所得区分をまたいだ場合、自己負担限度額が減ります。

所得区分 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)✕1%
標準報酬月額53~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)✕1%
標準報酬月額28~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)✕1%
標準報酬月額26万円以下 57,600円
市区町村(住民)税の非課税者等 35,400円

 参考:限度額適用認定証をご利用ください|全国健康保険協会

③失業手当など雇用保険による給付額が減る

原則として離職日以前に雇用保険の被保険者だった期間が12ヶ月以上あり、ハローワークで求職の申し込みをしてもなお就職できない場合に、失業手当などが支給されます。

失業手当などの受給額は、原則として離職以前6ヶ月の賃金に対し50~80%の割合で決められています。ここでいう「賃金」も通勤手当を含むため、通勤手当が減額すると失業手当など雇用保険による給付額が減る可能性があるのです。

参考:基本手当について|ハローワーク インターネットサービス(厚生労働省)

まとめ:通勤手当が減額されることによる影響を把握しておこう

通勤手当が減額されると標準報酬月額や標準報酬額が減るため、老齢厚生年金の受給額が減る可能性があります。

通勤手当の減額が年金にどのように影響するのかといった疑問から、年金や社会保険について深く考える機会となったでしょうか。

ぜひこの記事を参考に、ご自身の通勤手当減額によってどれほど将来の年金額に影響があるかなど、目安を検討してみてください。


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