豊かなセカンドライフを送るための資金である年金。現役時代からの年金加入を証明する年金手帳が、人によっては手元に2冊ある場合もあります。
なぜ複数の年金手帳を持っているのか、その理由を知らずにそのままにしている人も多いのではないでしょうか。
ここでは年金手帳が2冊、もしくはそれ以上ある理由や対処方法について解説します。老後に受け取ることができる大切なお金に関わることですので、しっかりと確認することが大切です。
年金手帳について正しく理解することで、さらに年金制度への理解を深めることができます。
年金手帳の色は支給された年代によって異なる
そもそも年金手帳は、公的年金制度の1つである国民年金に加入するタイミングで交付されることが一般的です。20歳到達時に国民年金に加入する際に年金手帳を手にすることが多いでしょう。
公的年金制度への加入を証明する年金手帳は、就職や退職、年金の受給手続きの際に利用します。
現在は青色の年金手帳に統一されているものの、以前は年代によって異なる色が使われていました。手元に色の異なる年金手帳があるのは、交付された時期が異なることが原因です。
過去を含め、年金手帳の色はさまざまですが、以下のいずれかの色を持っている人が圧倒的に多いとされています。
- 青色
- オレンジ色
- それ以外の色(茶色・水色・薄橙色)
色ごとの交付年月を以下で詳しくお伝えします。
青色
青色の年金手帳は、平成9年1月以後に被保険者資格の取得手続きを行ったことを意味します。
発行者が「日本年金機構」であれば、平成22年1月以後に発行された年金手帳ということが一目で分かるようになっています。平成9年1月から平成21年12月までの発行分は、発行者が「社会保険庁」となっているという違いがあります。
オレンジ色
昭和49年11月から平成8年12月までに被保険者資格取得のための手続きを行った人は、年金手帳はオレンジとなります。
それ以外の色(茶色・水色・薄橙色)
青色やオレンジ色の他にも、たとえば茶色の年金手帳を持っている人もいます。茶色は、昭和35年10月~昭和49年10月の間に被保険者取得手続き(国民年金)を行った人に発行されたものです。
この時期の年金手帳はおよそ5年ごとに刷新されており、茶色以外にも水色や薄橙色があります。
手元に複数の年金手帳がある理由
本来、年金手帳は1人1冊交付されるものですが、諸事情により2冊、もしくはそれ以上の年金手帳が手元にあると言う人もいます。手元に複数の年金手帳が存在する理由として、以下の3つが考えられます。
紛失等により再交付されたため
本来大切に保管すべき年金手帳ですが、誤って紛失するケースも少なくありません。紛失によって年金手帳の再交付を受け、紛失したと思っていた年金手帳を後日見つけると複数の年金手帳が手元にあることになります。
就職や退職の際に新しい手帳の交付を受けたため
稀なケースですが、就職や結婚といった人生の節目に、新たな年金手帳の交付を受けることがあります。他にも転職や退職など、年金手続きが必要となるタイミングは、意図せず新しい年金手帳を手にすることがあるかもしれません。
異なる年金制度に加入していたため
以前は、「国民年金」「厚生年金」「共済年金」のそれぞれの年金制度において、別の年金番号を用いて管理・区別されていました。そのため、区別されていた当時に年金に加入していれば、年金手帳が2冊あるという人がいてもおかしくありません。
特に違う色の年金手帳を持っている人の多くは、このことが要因となっていることが多いと言われています。
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年金手帳を2冊以上持っていることによる影響は?
基礎年金番号とは、公的年金制度で共通して使用する1人1つの番号を指します。国民年金・厚生年金保険・共済組合などの公的年金制度の中で利用されており、10桁の数字で表されます。
平成8年12月までは、年金制度によってそれぞれ異なる番号で管理していたため、1人につき複数の年金番号が割り振られることもありました。そのため、退職や転職、年金請求の際に番号ごとに調べる必要があり非常に時間がかかっていました。
このような状況を改善し、正確で迅速な支払いを目的として、平成9年1月より基礎年金番号を導入するようになりました。
年金手帳を2冊以上持っている場合、基礎年金番号は同じなのか、異なっているのかがポイントになります。以下でそれぞれのケースについて解説します。
基礎年金番号・記号番号が同じ場合
自分の基礎年金番号は、青色の年金手帳の場合は「基礎年金番号欄」に記載されています。オレンジ色の手帳の場合は「記号番号」という表記で記載があるので確認しましょう。
手元にある年金手帳を確認し、基礎年金番号もしくは記号番号が同じ場合は問題ありません。
基礎年金番号・記号番号が異なる場合
複数の年金手帳に異なる基礎年金番号や記号番号がある場合は要注意です。先述の通り、年金は番号で管理されています。番号が異なるということは、年金の加入履歴において、同一人物として認識されていないことが考えられます。
この場合、年金の加入歴が合算されない、または請求分と異なる基礎年金番号や記号番号分については支給されない可能性があります。
年金手帳が2冊以上あるときの対処法
実際に年金手帳が2冊以上ある場合、ケースによっては手続きが必要になることもあります。まずは、手帳の色と基礎年金番号を確認するようにしましょう。
以下で、それぞれのケースにおける対処法を解説します。
- 名字が異なる複数の年金手帳を持っている場合
- 青色の年金手帳を複数持っている場合
- 青色とそれ以外の場合
- 青色の年金手帳を持っていない場合
年金手帳は将来の年金受け取りの際にも使う大切なものです。自分の安易な判断で処分したり、「大丈夫だろう」とそのままにしておくことは絶対にやめましょう。
必要であれば、日本年金機構のホームページ、もしくは最寄りの年金事務所に問い合わせて適切な判断を仰ぐようにしてください。
名字が異なる複数の年金手帳を持っている場合
記載されている名字が年金手帳によって異なる場合、保険料の納付歴が合算されず、将来適切な年金額を受給できない可能性があります。
勤務先、もしくは最寄りの年金事務所にて手続きを行いましょう。
青色の年金手帳を複数持っている場合
2冊の基礎年金番号欄を照らし合わせ、同一の番号が記載されている場合は特段の手続きは不要です。年金手帳は1冊で事足りるため、不要な手帳は処分しましょう。
仮に基礎年金番号が違う場合、同一人物が複数の基礎年金番号を保有していることが考えられます。この現象は「重複付番」と呼ばれ、約0.2%という稀な頻度で発生するものです。基礎年金番号の統合手続きが必要ですので、勤務先もしくは年金事務所に申し出てください。
青色とそれ以外の場合
青色の年金手帳に書かれている基礎年金番号が、年金請求時に必要な番号です。青色以外の年金手帳がある場合、基礎年金番号によって管理できない記録が存在する可能性があります。
現在厚生年金保険に加入している場合は会社の社会保険担当へ、それ以外は近くの年金事務所へ直接全ての年金手帳を提出し、手続きをしてください。
青色の年金手帳を持っていない場合
基礎年金番号通知書があるかどうかがポイントです。通知書があれば、書類に書かれた番号が基礎年金番号です。通知書が見当たらない場合、青色の年金手帳の再発行を申し出るようにしてください。
まとめ:複数の年金手帳がある場合は内容を確認し、必要に応じてまとめる手続きを!
交付されるタイミングによって、表紙の色が異なる年金手帳。時代の変遷と共に年金制度が見直され、現在は青色の年金手帳やマイナンバーによって管理されています。
紛失や節目での再交付など、手元に年金手帳が複数ある理由はさまざまですが、ケース次第ではすみやかに手続きが必要となる場合もあります。
年金を受け取る際に慌てることのないよう年金手帳を適切に管理し、定期的に手帳を確認しておくと安心です。