毎年2月から3月にかけて、確定申告に追われる方も多いです。2021年は特に変更点が多く、今まで確定申告をしてきた方も新たな対応が求められます。「そもそも初めて確定申告をするからどうすればいいか分からない」と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、確定申告についての概要と、手続きや期限、青色申告、2021年確定申告の変更点などについて紹介します。初心者から経験者まで、確定申告の方法が確認でき、変更点とスケジュールが理解できるのでぜひご一読ください。
確定申告とは?
確定申告とは、1月1日から12月31日までに得たすべての所得にかかる所得税を算出し、税務署に納めるべき所得税額を申告する手続きです。「自分は会社員だから確定申告をしたことがない」という人もいらっしゃるでしょう。
しかし、場合によっては会社員も確定申告をしなければならないことがあります。以下で、
- 確定申告が必要な人
- 会社員でも確定申告が必要なケース
- 確定申告と年末調整の違い
についてご紹介します。
確定申告が必要な人
確定申告が必要なのは、組織に帰属せず個人で所得を得ている人です。個人で事業をする人の所得がいくらなのか、税務署が把握できないため確定申告が必須です。
具体的には次のような人が該当します。
- 自営業者や個人事業主、フリーランスなど事業所得がある
- 土地建物の賃貸収入など不動産所得がある
- 株式の配当所得や株式およびFXの譲渡益がある
- 退職所得がある
また、所得が給与のみの場合でも、アルバイトのかけもちなどで複数の勤務先から給与を得ているフリーターは確定申告が必要です。
会社員でも確定申告が必要なケース
会社という組織に帰属している会社員は、基本的には確定申告が不要です。会社が年末調整という形で所得を確定および報告しているからです。
しかし、会社員でも確定申告が必要なケースがあります。次の条件のいずれかにあてはまる人は、確定申告が必要です。
- 給与が2,000万円超である
- 2カ所以上から給与を受け取っている
- 不動産所得や配当所得、雑所得などの副業の所得が20万円を超える
- 医療費控除や雑損控除を受ける
- 住宅ローン控除を受ける1年目である
- ふるさと納税の納税先自治体が6カ所以上ある
働き方改革で生まれた時間を有効活用したり、コロナ下で少しでも収入を増やしたりするために、アルバイトやフリーの副業に取り組む会社員も多いでしょう。副業の所得が20万円を超える場合、確定申告を忘れないでください。
確定申告と年末調整の違い
確定申告と年末調整はいずれも所得税額を確定するものですが、何が違うのでしょうか。
年末調整とは、給与所得から毎月天引きされている所得税額を年末に住宅ローン控除や生命保険料控除を含めて改めて計算し、所得税額確定後に不足分の徴収や過払い分の還付をすることです。手続きは会社がおこないます。
確定申告は、個人の所得を合計しそこにかかる所得税額を算出して税務署に報告することです。計算から手続きまで自分がおこなう必要があります。
この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。
確定申告のやり方は?3つのケースを解説
「確定申告ってどうやるの」と不安になるかもしれません。特に初心者の場合わからないことが多いですが、サービスを利用することによって確定申告がより容易におこなえるでしょう。
確定申告をおこなう方法として、次の3つが挙げられます。
- 確定申告書を手書きで作成する
- 確定申告書作成コーナーを利用する
- 確定申告ソフトを利用する
昔ながらの手書きだけでなくパソコンで完結する方法もあるので、初心者も自分に合ったやり方を選ぶと作成しやすいです。以下でそれぞれについてご説明します。
①確定申告書を手書きで作成する方法
確定申告書を手書きで作成する場合は、税務署に確定申告書をもらいに行く、または国税庁ホームページから確定申告書をダウンロードする必要があります。
いずれかの方法で確定申告書の書類が手元にそろったら、申告書に直接記入します。金額の計算なども自分でおこなう必要があるため、いったん別紙に計算しておくと間違いがありません。
②確定申告書作成コーナーを利用する方法
国税庁ホームページには「確定申告書作成コーナー」というサービスがあります。画面の案内どおりに項目を埋めていくだけで、確定申告書が作成できます。計算も自動的におこなわれるため、手書きが不安な方にもおすすめです。
ただし、住宅ローン控除や生命保険料控除、配偶者控除等については自分で調べて計算する必要があります。
③確定申告ソフトを利用する方法
確定申告ソフトにはいろいろな種類があり、無料から有料まで幅広いです。操作のしかたやサポートの充実度などを自分の好みで選べます。
初心者で確定申告のことがまったくわからないという場合でも、オンラインサポートを活用することで簡単に作成できるでしょう。
確定申告の主な3つの提出方法
確定申告書の作成完了後、忘れずに提出をしましょう。
確定申告書の提出方法は次の3とおりです。
- 住所地の税務署の受付に提出(時間外収受箱に入れることも可能)
- 住所地の税務署に、郵便または信書便で送付
- e-Taxを用いてインターネット経由で提出
3つ目のe-Taxは24時間オンラインで受け付けており、確定申告書の作成から提出、納税まで一括でおこなえますが、マイナンバーカードが必要です。
2021年確定申告の期間は?2月16日から3月15日まで
確定申告の期間は毎年決まっており、2020年分(令和2年分)の提出期間は2021年2月16日から3月15日までです。「いつでも作成できる」と思っていると、予想外に月日が早く過ぎ期限ぎりぎりで慌ててしまうこともあります。
12月頃から確定申告について意識し、必要な書類や帳簿などを用意しておくと焦らずに済みます。3月は年度末なので仕事が忙しくなることも多いため、早めにスケジュールを確認し、準備しておきましょう。
青色申告とは?多少手間がかかるが節税できる制度
個人事業主や自営業者の場合、「青色申告」という用語をよく耳にします。実際に青色申告をしている方もいれば、「お得だと聞いたけれど、わからないのでやっていない」という方もいらっしゃるでしょう。
ここでは青色申告のメリットおよびデメリットと、青色申告と白色申告の違いをご紹介します。少し手間がかかりますが青色申告なら節税ができるので、導入を検討してみてください。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは節税ができる点です。おもなメリットをご紹介します。
- 青色申告特別控除が受けられる:最大65万円
- 青色事業専従者給与を経費に計上できる(家族への給与が経費になる)
- 貸倒引当金を経費に計上できる
- 純損失の繰越しと繰戻しができる(赤字を繰越す・繰戻すことで税負担が軽減できる)
青色申告ならこのように、納税額が軽減されるメリットを享受できます。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは記帳の難しさです。原則、複式簿記で記帳する必要があるため手間がかかります。簿記を学んだことのない人にとっては難しいかもしれません。
青色申告に対応した確定申告ソフトを使うと、初心者でも青色申告がしやすいです。
青色申告と白色申告の違い
青色申告と白色申告の違いは、大きく3つあります。
- 事前申請の有無:青色は事前申請必要、白色は不要
- 簿記の形式:青色は原則複式簿記、白色は収支のみの簡易な記載で可
- 特典の有無:青色は上述の特典を受けられるが白色にはない
白色申告は事前に申請する必要もなく、帳簿も簡単なもので済みますが、節税メリットをまったく受けられません。多少手間はかかりますが、青色申告をすると税負担が大きく軽減されます。
2021年確定申告の6つの変更点
2021年提出の確定申告には、6つの変更点があります。所得税に関する5点と新型コロナに関する1点です。
所得に対する控除が5つも変更されているので、ぜひ確認しておきましょう。以下が変更点6つです。
- 配偶者控除・扶養控除の判定基準の変更
- ほとんどの会社員の給与所得控除が10万円引き下げ
- 高所得の子育て世帯は所得金額調整控除で調整
- 青色申告特別控除の控除額の変更
- ひとり親に関する控除の変更
- 新型コロナ対策の給付金や助成金は雑収入として記帳
それぞれについて、詳しくご紹介します。
①配偶者控除・扶養控除の判定基準の変更
配偶者の所得が一定額以下の場合に受けられる「配偶者控除」と、配偶者以外に親族を扶養している場合に受けられる「扶養控除」の判定基準が変更されました。2019年分までは、配偶者および扶養親族の所得額がそれぞれ38万円以下であることが、控除を受ける要件でした。
2020年分から、要件が「48万円以下」に引き上げられます。配偶者や扶養親族が以前より10万円多く収入を得ても控除対象になり得ます。
②ほとんどの会社員の給与所得控除が10万円引き下げ
給与所得控除とは、会社員など給与所得者が仕事で出費した経費を、給与所得から控除できるしくみです。仕事のための用具や交通費を自己負担せざるを得ない場合に、給与所得控除に計上することで、公平性が保たれます。
しかし、2020年分から年収が850万円以下の場合、給与所得控除額が10万円引き下げられます。つまり、ほとんどの会社員の給与所得控除が10万円減ります。
ただし、給与所得控除が10万円引き下げられる一方、基礎控除額が10万円引き上げられるため、ほとんどの場合増税にも減税にもなりません。
③高所得の子育て世帯は所得金額調整控除で調整
年収850万円以上の高所得の会社員の場合、給与所得控除の引き下げ額が基礎控除額の引き上げ額より大きいため、実質的に増税となります。
ただし、子育てなど一定の負担がある会社員は、新設された所得金額調整控除で増税を避けられます。
所得金額調整控除が受けられるのは、次の3点のいずれかを満たした場合です。
- 本人が特別障害者である
- 23歳未満の扶養親族がいる
- 生計を同じくする、特別障害者の配偶者や扶養親族がいる
④青色申告特別控除の控除額の変更
青色申告特別控除の控除額が、65万円から55万円に引き下げられました。今までのように複式簿記で記帳し申告しても、控除額は55万円です。
しかし、複式簿記で記帳し、かつ次の2要件のいずれかを満たせば65万円控除されます。
- e-Taxを用いて申告する
- 電子帳簿で保存する
電子帳簿保存の場合、帳簿の備え付け開始日の3カ月前までに税務署に申請書を提出する必要があるので、すぐに開始できないことにご注意ください。
⑤ひとり親に関する控除の変更
2019年分までは、夫を亡くした女性への「寡婦控除」と妻を亡くした男性への「寡夫控除」がありました。しかし、2020年分からは「寡夫控除」が廃止され、「ひとり親控除」が新たに設けられます。
「ひとり親控除」は従来の寡婦・寡夫控除と異なり、結婚歴のないひとり親が結婚歴のあるひとり親と同様に控除が受けられます。
⑥新型コロナ対策の給付金や助成金は雑収入として記帳
新型コロナ対策の事業持続化給付金や自治体からの助成金等は、雑収入として記帳します。
国民に一律に支給された特別定額給付金(10万円)は非課税ですが、その他新型コロナ関連の給付金や助成金はすべて課税されます。事業売上ではないため、雑収入に計上します。
まとめ:確定申告のやり方と変更点を把握し、2021年は青色申告を
今回は、確定申告についての概要と、手続きや期限、青色申告、2021年確定申告の変更点などについてご紹介しました。
2021年は6つも変更点があるので、確定申告に慣れている方も要注意です。提出期間は2月16日~3月15日と長いようで短いです。日程に気をつけて、確定申告をおこないましょう。