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税金

必要納税額以上に税金を納めていた場合、納めすぎた税金を取り戻せます。しかし、具体的な手続きについては、あまり知られていないです。「還付申告や確定申告が必要と聞いたけれど、どう違うのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、確定申告と還付申告との違いの解説や、還付申告が必要なケース、代表的な5つの事例での還付申告における必要書類、還付申告の期限と注意点、還付申告の手続き方法をご紹介します。自分が還付申告の対象かどうか判断でき、手続きも速やかに済ませられるようになるでしょう。

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還付申告とは?確定申告と還付申告との違いを解説

確定申告と還付申告は似た言葉ですが、意味がまったく異なります。確定申告は、前年の所得および算出される税額を国に申告することです。

会社員などお勤めの場合は、年末調整という形で納税を済ませているため、原則として確定申告をする必要はありません。自営業者や個人事業主の場合、所得を国が把握できないため、確定申告をする義務があります。

一方、還付申告は、会社員など本来ならば確定申告不要な人が、確定申告によって払い過ぎた税金を取り戻すことです。源泉徴収や予定納税による納税額が、納めるべき金額より多く徴収されている場合、還付申告で超過分を還付できます。還付申告は義務ではなく、税金をとられすぎた人の権利です。

還付申告が必要なのはどんな時?

では、還付申告が可能となるのはどのような事態でしょうか。以下で、

  • 還付申告の対象となるケース
  • 還付申告の対象にならない所得例

について、それぞれ具体的にご紹介します。

還付申告の対象となるケース

以下のケースに該当する場合、還付申告の対象となり所得税が還付されます。

  • 年の途中で退職したため年末調整を受けておらず、源泉徴収税額を納めすぎている
  • 一定の要件を満たすマイホーム取得などを行ない、住宅ローンがある
  • マイホームに特定の改修工事をした
  • 認定住宅の新築等をした
  • 災害や盗難で資産に損害を受けた
  • 特定支出控除の適用を受ける
  • 多額の医療費を支出した
  • 特定の寄付をした

還付申告の対象とならない所得例

次の4点の所得は、源泉分離課税がなされており、還付申告の対象外です。そのため、これらの所得にかかわる税額は還付されません。

  • 預貯金の利子
  • 抵当証券など金融類似商品の収益
  • 一定の割引債の償還差益
  • 一定の一時払い養老保険の差益

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還付申告の必要書類は?代表的な5つのケース別に詳しく解説

上記の「還付申告の対象となるケース」で、具体例をご紹介しました。

実際に還付申告を行うとき、それぞれのケースによって、必要な書類が異なります。還付申告の対象となるケースの中でも、代表的なものが次の5つのケースです。

  • 多額の医療費を支払ったとき
  • マイホームを購入して住宅ローンを支払い始めたとき
  • 【ふるさと納税も還付申告の対象】「特定寄付」をしたとき
  • 年度途中で退職して年末調整を受けていないとき
  • 資産に損害を受けるほどの災害・盗難にあったとき

これら5ケースについて、確定申告書以外にどのような書類が必要なのか、以下でご説明します。

①多額の医療費を支払ったとき

1年間に自分や家族にかかった医療費が多額の場合、還付申告ができます。提出書類として必須なのが医療費控除の明細書です。医療費控除の明細書は自分で作成する必要があります。

申告の際に領収書の添付が不要となった一方、医療費控除の明細書の添付が義務づけられています。医療費控除の明細書を作成するために、以下の書類を用意しておきましょう。

  • 病院や診療所で受け取った領収書
  • 治療や療養に必要な医薬品購入時の領収書
  • 通院にかかった交通費(公共交通機関利用の場合、領収書不要。記録が必要)

申告時には領収書を提出する必要はありません。しかし、申告期限等から5年以内は明細書内容の確認のために、提出または提示を求められることがあります。領収書類は5年の間保管しておいてください。

②マイホームを購入して住宅ローンを支払い始めたとき

マイホームを購入して住宅ローンで支払い始めた場合、通称「住宅ローン控除」として知られる「住宅借入金等特別控除」を受けられます。手続きに必要な書類はかなり多いので、早めに準備しておきましょう。以下が、必要書類の一覧です。

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • マイホームを購入した年の源泉徴収票(勤務先で入手)
  • 住民票の写し(市町村役場で入手)
  • 年末残高証明書(住宅ローンを借り入れた金融機関から送付される)
  • 土地・建物の登記事項証明書(法務局で入手)
  • 不動産売買契約書の写し
  • 不動産請負契約書の写し

必要書類一覧から、公的機関で入手する書類も複数あることがわかります。書類準備にかなり手間と時間がかかるため、計画的に準備するのがおすすめです。

③【ふるさと納税も還付申告の対象】「特定寄付」をしたとき

国や地方公共団体などに特定寄付をしたときも還付を受けられます。必要書類は次の2点です。

  • 寄付された団体が発行した、寄付金の受領証や領収書
  • 寄付された団体の証明書の写し

特定寄付の中でもふるさと納税の場合は、ワンストップ特例制度を利用すると還付申告が不要です。ワンストップ特例申請書を送付するだけで済みます。次の2条件を満たしている場合、ワンストップ特例制度を利用できます。

  • 確定申告や住民税申告の必要がない給与所得者
  • 年間の納税先自治体数が5つ以内

2条件を満たす場合のみ、ワンストップ特例制度の利用が可能です。なお、ふるさと納税を6回以上した場合でも、納税先自治体数が5つ以内ならワンストップ特例制度の対象です。会社員にとって便利な制度なので、ふるさと納税先の自治体が5つ以内の場合、ぜひ活用してください。

④年度途中で退職して年末調整を受けていないとき

12月末日までに退職し無職状態の場合、元の勤務先で年末調整を受けていません。会社員は源泉徴収という形で毎月所得税を天引きされています。しかし、源泉徴収は「納税見込み額」のため、納めるべき金額より多く徴収されているケースがあります。

徴収しすぎた金額を正しく調整するのが年末調整なので、年末調整を受けていないと必要以上に税金を納めている状態です。還付申告をすることで、払い過ぎた税金を取り戻せます。必要書類は、元勤務先の源泉徴収票です。元勤務先に連絡し、送付してもらいましょう。

⑤資産に損害を受けるほどの災害・盗難にあったとき

土地建物や所有資産に損害を受けるほどの災害や盗難にあった場合は、還付申告で一定金額まで雑損控除を受けられます。震災や風水害といった自然災害のほか、火災など人為災害や、盗難、横領による損害が対象です。

必要書類は、災害等に関連したやむを得ない支出の領収書です。確定申告書に添付または提示する必要があります。

還付申告に関して知っておきたい注意点2つ

還付申告は税金を納めすぎた者の権利であり、行使すると徴収されすぎた税金を取り戻せます。ただし、還付申告に関して知っておきたい注意点があります。次の2点です。

  • 一方が確定申告すると還付申告で扶養親族の付け替えは不可
  • 医療費控除の還付申告は医療費10万円超でなくても可能

知らないまたは誤解したままでは、還付申告をうまく活用できないので、ぜひ確認しておいてください。

①一方が確定申告すると還付申告で扶養親族の付け替えは不可

夫と妻がそれぞれ源泉徴収されていて、夫が息子を扶養しているケースで考えてみます。息子を妻の扶養に入れた方が少ない納税額で済む状況になった場合、夫から妻に扶養親族を付け替えることが可能です。夫妻双方が扶養親族の付け替えを記載した確定申告書を提出して、手続きは完了します。

しかし、夫妻のどちらか一方が確定申告を済ませた後に、還付申告で扶養親族の付け替えをすることはできません。扶養親族の付け替えを還付申告で行う場合は、両者が確定申告書に扶養親族の付け替えを記載し、提出する必要があります。

②医療費控除の還付申告は医療費10万円超でなくても可能

「かかった医療費が10万円以上でないと、医療費控除は受けられない」と思っている方も多いです。実は、10万円とは医療費控除の上限額であるため、医療費控除の還付申告は医療費が10万円以下でも可能です。

医療費控除額=支払った医療費合計額-保険金等で補てんされた金額-10万円、により医療費控除額は算出されます。ただし、総所得が200万円未満の場合は総所得の5%が医療費控除額となります。

「医療費は10万円以下だから還付申告は無理だろう」と諦めず、総所得を計算して医療費控除額を算出してみましょう。

還付申告はいつから?翌年1月1日から期限は5年間

還付申告は確定申告書で手続きするため、確定申告と同期間で行なわなければいけないと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「2月や3月は年度末で忙しいのに」と諦めたくなるかもしれません。

実は、還付申告は確定申告とまったく期限が異なります。確定申告は翌年2月16日から3月15日が原則スケジュールです。一方、還付申告の期限は翌年の1月1日から5年間です。5年以内なら季節を問わず申告できます。自分に都合のいい時期に手続きできるので、ぜひ還付申告をしましょう。

還付申告のやり方は?申告書の入手方法と提出方法を解説

「還付申告の事例や注意点はわかったけれど、どう手続きすればいいの」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。還付申告の申告書の入手方法と、提出方法を以下でご紹介します。申告書の入手および提出は、知っていると簡単です。ぜひご一読ください。

還付申告の申告書の入手方法は?国税庁HPより入手可能

還付申告のための確定申告書は、各税務署で配布されているので、お近くの税務署で入手可能です。また、国税庁ホームページから確定申告書をダウンロードし、印刷できます。

そのほか、「e-Tax(イータックス)」の確定申告書等作成コーナーで、還付申告に必要な情報を入力して申告書を作成し、印刷できます。

還付申告書の提出方法は?郵送やe-Taxでも可能

還付申告書の提出先は、住所地を管轄する税務署です。提出方法は次の3パターンです。

  • 税務署へ持参
  • 郵送:郵便物または信書便物として送る
  • e-Taxを利用して電子申告:事前に準備が必要

まとめ:還付申告の期限は5年間!申告漏れによる税金の過払いに注意しよう

確定申告と還付申告との違いの解説や、還付申告が必要なケース、代表的5事例での還付申告の必要書類、還付申告の期限と注意点、還付申告の手続き方法をご紹介しました。還付申告は期限が5年間あるため、自分のペースで手続きできます。

還付申告のケースによっては、多くの書類を準備する必要がありますが、手続きする価値はあります。ぜひ還付申告を行なって、払い過ぎた税金を取り戻しましょう。

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