日本で販売されている商品には、基本的に「消費税」が課せられています。それとは別に、販売品目に固有の税金が課せられているものがあります。例えば「たばこ税」です。
たばこを日常的に吸っている方にとっては、たばこ税の負担は決して軽く見ることができないでしょう。課税されることは仕方ないとしても、「どれくらいの負担になっているのか?」「負担した税金はどんな立ち位置なのか?」気になりませんか。
本記事では、たばこ税の税収としての立ち位置について中心に解説します。たばこに課せられている税金について興味がある人にとって必見の情報を盛り込んでありますので、ぜひご覧になってください。
たばこに課せられる4つの税金

たばこには、一般的に「たばこ税」と呼ばれている3種類の税金と、消費税の合計4種類の税金が課せられています。
- 国たばこ税
- 地方たばこ税
- たばこ特別税
- 消費税
財務省によると、令和2年10月時点におけるたばこ税の課税については、以下のように規定されています。
国税 | 地方税 | |||
---|---|---|---|---|
国たばこ税 | たばこ特別税 | 道府県たばこ税 | 市町村たばこ税 | |
金額 | 6,302円/千本 | 820円/千本 | 1,000円/千本 | 6,122円/千本 |
小計 | 7,122円/千本 | 7,122円/千本 | ||
合計 | 14,244円/千本 |
例えば、20本入り540円のたばこを購入するとすれば、消費税を含めると約340円が税金になりますので、購入金額のうち6割以上を税金が占めます。
たばこが重い課税であることがわかる比較

一般的なイメージとして「たばこ=重税」のイメージがあります。それが具体的にわかる比較として「ビール」と「ガソリン」の税負担率と比較してみましょう(以下の税率は一般的な販売価格における、消費税を含めた割合で計算)。
- たばこ:約62%
- ビール:約49%
- ガソリン:約48%
ビールやガソリンも固有の課税による税負担が大きい物品ですが、たばこはそれらよりも10%ほど税負担が大きな物品であることがわかります。
たばこ税の税収額

たばこが、担税物品の中でも税負担の重いものであることはわかりました。では、その税収は国や地方においてどのような立ち位置となっているのでしょうか?
国税におけるたばこ税の割合
国税庁のデータ集「国の一般会計歳入額内訳(令和3年度当初予算【臨時・特別の措置を含む】)」によると、たばこに関する国税の合計額は約9,120億円、国税収入の合計額が約106兆6,097億円なので、国税収入の約0.9%がたばこ税であることがわかります。
国税庁の「税の学習コーナー」を見てみると、たばこ税の立ち位置や、実際にその税収額に相当する支出がどんなものであるのか、わかりやすいでしょう。
地方税におけるたばこ税の割合
総務省のデータによると、令和元年決算における地方たばこ税の合計額が9,934億円、同年の地方税の総額が約43兆円なので、地方税収入の約2.3%がたばこ税であることがわかります。
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直近のたばこ税の見直し

ここ数年で、たばこ税の税負担率は何度か見直されています。直近では「平成30年度改正」と「令和2年度改正」の2つの改正を押さえておく必要があります。
平成30年度の改正
平成30年度におけるたばこ税の改正は、3段階で1本1円ずつ増税されることになりました。令和2年10月時点で2回目の増税が実施されており、記事執筆時点(令和3年2月)では1本あたり14.244円のたばこ税が課せられている状態です。令和3年10月には3段階目の増税が実施され、1本あたり15.244円のたばこ税が課せられる形になります。
増税の背景としては、以下の内容を押さえておきましょう。
- たばこは貴重な税源として扱われている
- 健康意識などの観点からたばこの消費量は減少傾向にある
- 従量課税であるため、消費量が減れば税収も減る
- 税負担を重くすることで税収の確保を図る
- 予見可能性を鑑みて3段階の増税とした
令和2年度の改正
令和2年には、平成30年改正における2段階目の増税が実施されましたが、それとは別に「軽量な葉巻たばこ(1本当たりの重量が1g未満)」の課税方式が変更されました。葉巻たばこ1g分を紙巻たばこ1本分として課税する方式から、1本を1本のたばことして課税する方式へと変更されました。
ただし、経過措置として令和2年10月1日~令和3年9月30日の間については、1本当たりの重量が0.7g未満の葉巻たばこに限り、葉巻たばこ1本を紙巻たばこ0.7本分に換算して課税されます。
たばこ税の将来は?

最後に「今後、たばこ税はどうなるのか?」について考察してみます。
令和3年にさらなる引き上げが予定されている
おさらいになりますが、平成30年度改正におけるたばこ税の値上げは、令和3年10月に3段階目の増税が予定されています。予定通り実施されれば、たばこ1本あたり1円プラスされて、1本あたり15.244円のたばこ税が課税されます。
コロナ禍の影響で財政収支は悪化している
前述の通り、たばこ税は「貴重な税源」としての立ち位置です。新型コロナウイルスにより、政府や自治体はさまざまな理由で財政支出を迫られる状態でもあります。少しでも財源を確保するためには、たばこ税による税収はより重要な立ち位置になるかもしれません。
たばこ税は減税の見通しを考えにくい
逆に減税される可能性については、その可能性は極めて低いでしょう。
たばこ税に関しては、過去に増税はされても、減税されたことはありません。昨今、健康志向の高まりなどの理由から、喫煙は良くないイメージが定着しています。分煙などの配慮はされつつありますが、基本的に自身の健康や周囲の目線などの影響により、たばこの消費量は減少傾向にあります。
平成30年度改正によるたばこ税の増税も、従量課税方式であるたばこ税の税収確保という意味が強いです。つまり、よほどたばこブームなどによりたばこ消費量が増加傾向にでもならない限り、たばこ税が減税される見通しはないと考えられます。
まとめ:愛煙家には増税が厳しいが税収として貢献している
本記事では、たばこ税の税収としての立ち位置などについて解説しました。以下の内容を押さえておきましょう。
- たばこは価格の6割以上が税金
- 国税・地方税の収入の1〜2%程度がたばこ税で占められている
- たばこ税は増税の予定があり、減税の可能性は低い
たばこを日常的に買う方にとっては、肩身の狭さと懐の厳しさが身に染みるところでしょう。喫煙の是非はこの場では問いませんが、たばこ税は貴重な税収として重宝されているという側面を無視することはできません。