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税金

給与明細を見ると、社会保険料が差し引かれています。会社員が退職する場合、退職日によって社会保険料に差が出ることをご存知でしょうか。

ここでは退職日によって社会保険料にどのような差が出るのかについて解説します。社会保険制度を正しく理解し、退職後は漏れなく手続きをしましょう。

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社会保険料の概要

民間保険の保険料と違い、社会保険料は誰もが負担しているお金ですが、詳細をきちんと理解しているでしょうか。ここでは社会保険料について詳しく解説します。

4つの社会保険

日本における社会保険は大きく分けて4つあり、加入者で保険料を出し合いながらリスクに遭遇した人に必要なお金やサービスを支給しています。

社会保険の財源は加入者や事業主が支払う保険料が中心ですが、国や地方自治体、利用者自身が一部負担することもあります。ここでは以下の4つの社会保険の概要を1つずつ解説します。

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 介護保険
  • 労働保険

①医療保険

全ての国民に医療サービスを提供するもので、保険料を納付することで医療機関での自己負担額が一定割合に抑えられています。自己負担額は原則3割ですが、高齢者や義務教育就学前の子供は年齢によって負担額が異なります。
 

②年金保険

現役世代が納めた保険料を財源とし、高齢者に年金を給付するのが年金保険です。平均寿命が伸び、豊かなセカンドライフの資金として年金は今やなくてはならないものになっています。

公的年金保険は日本に住む20歳以上60歳未満のすべて人が加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金があり、国民年金(基礎年金)をベース(1階部分)とし、厚生年金(2階部分)が上乗せされる「2階建て」の構造を持っています。

③介護保険

2000年から実施されている最も新しい社会保険制度で、介護が必要になった場合に施設や自宅で介護サービスを受けることができる制度です。40歳以上は保険料を負担する必要があり、保険料は所得によって異なります。

要支援要介護の2つの区分があり、利用者はかかった費用の原則1割(65歳以上で合計所得金額160万円以上の人は2割)を負担します。

加入・資格喪失のタイミング

健康保険や厚生年金保険は会社(事業所)ごとに適用され、その会社(事業所)に常時使用される人は、すべて社会保険の被保険者です。

社会保険への加入は以下の通り定められています。

被保険者は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条一項だたし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。

引用元:健康保険法 第35条

一方、社会保険の資格の喪失は、同じく健康保険法において以下の通り定められています。

被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日から、被保険者の資格を喪失する。 1.死亡したとき 2.その事業所に使用されなくなったとき 3.第3条第1項ただし書の規定に該当するに至ったとき 4.第33条第1項の認可があったとき

引用元:健康保険法 第36条

つまり、社会保険は就職した日が加入日で、退職日の翌日が資格喪失日です。

社会保険料の算出方法

社会保険料は日割りで計算されず、社会保険料は被保険者資格を取得した日の属する月から発生します。したがって、月の途中で入社する場合でもその月から1ヵ月分の社会保険料がかかります。

また、社会保険料は資格を喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生します。一般的に事業主は、毎月の給与から前月分の社会保険料を控除するため、退職する月であっても退職前月の社会保険料が控除対象です。
 

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退職日によって社会保険料の取扱いが異なる?

会社員であれば毎月の給与から社会保険料が天引きされているため、退職のタイミングによって社会保険料の取扱いに差が出ます。社会保険料の負担を考え、退職日を調整しましょう。

退職日が月の末日と、月の末日以外に分けてそれぞれ解説します。
 

①月の末日が退職日

仮に1月31日を退職日とすると、資格喪失日は2月1日です。健康保険法の第156条に「被保険者の資格喪失日の存在する月の保険料は算定しない」とあるため、2月の社会保険料はかかりません。

しかし、1月分は発生するため給与から差し引かれます。月の末日に退職した場合は、退職月の前月と退職月の2ヵ月分の社会保険料が退職月の給与から差し引かれるため注意しましょう。
 

②月の末日以外が退職日

仮に1月30日を退職日とすると、資格喪失日は1月31日です。1月中に資格を喪失しているため1月分の社会保険料は不要で、前月の12月分までを支払う必要があります。

つまり、退職月の前月分の保険料が退職月の給与から控除されます。月の末日以外を退職日とするほうが、社会保険料は1ヵ月分安くなる点を覚えておきましょう。

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退職後に必要となる社会保険に関する手続き

退職する場合は、健康保険年金保険といった社会保険において、以下の手続きが必要です。

  • 失業手当の申請
  • 健康保険の切り替え
  • 年金の切り替え

ここでは退職後、再就職する意志はあるものの一定期間就職できなかったと想定し解説します。

①失業手当の申請

退職すると失業手当を申請できます。申請の際は、会社から発行される離職票や本人確認書類が必要です。

最寄りのハローワークで失業給付の受給資格の決定が行われ、失業の認定が行われます。失業給付の基本手当を受け取るには、決められた期間に求職活動を行う必要があります。

なお、虚偽の申告によって基本手当を不正に受給した場合は厳しい処分の対象です。失業中のアルバイト収入などはきちんと申告しましょう。
 

②健康保険の切り替え

在職中に使用していた健康保険証は退職と共に会社に返却し、退職後は以下のいずれかを選択する必要があります。

  • 任意継続制度を利用する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の扶養に入る

健康保険証がないまま医療機関を受診すると、医療費は全額自己負担です。それぞれ手続き方法が異なるため、以下で1つずつ解説します。

任意継続制度を利用する

任意継続制度とは、退職後も以前勤務していた会社の健康保険に加入するものです。この制度は利用期間が2年と定められており、保険料が全額自己負担となる点には注意しましょう。

なお、任意継続制度を利用する場合は退職の翌日から20日以内に手続きし、転職先が決まった場合はさらに手続きが必要です。
 

国民健康保険に加入する

任意継続制度を利用しない場合は、国民健康保険に加入することが一般的です。国民健康保険に加入する場合は退職後14日以内に、市町村役場で手続きをしましょう。

手続き時には、健康保険の資格を喪失したことを証明する書類を提出します。離職票退職証明書を準備しておきましょう。また、転職先が決まったら、脱退の手続きが必要です。

家族の扶養に入る

年収が130万円を下回る場合は、扶養として家族が加入している健康保険に加入できる可能性があります。

扶養として加入する場合は、加入先の健康保険組合の諸条件を確認した上で家族を通して加入手続きを行います。年収が基準額を超えた場合や、転職先が決まった場合には忘れず手続きを行いましょう。

なお、退職後の健康保険加入に関する詳細は以下をご覧ください。

参考:全国健康保険協会 退職後の健康保険加入のご案内
 

③年金の切り替え

これまでは厚生年金に加入していましたが、退職によって年金保険の被保険者区分が変わります。会社に所属していた頃は国民年金の第2号被保険者として保険料は給与から天引きされていましたが、退職に伴い第1号被保険者になります。

そのため保険料は自分で納めなければならず、所定の手続きが必要です。年金の切り替え手続きは退職後14日以内に市町村役場にて行います。基礎年金番号が確認できる年金手帳を準備しましょう。

なお令和3年度の国民年金の保険料は16,610円です。収入の減少や失業により保険料を納めることが難しい場合は、保険料免除制度や納付猶予制度を利用しましょう。

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まとめ:退職日によって社会保険料の取扱いが異なる点に注意

社会保険料は、月の末日に退職するか、末日以外に退職するかで取扱いが異なるため注意が必要です。また、退職後は各種社会保険を切り替えなければならず、手続きも全て自分自身で行います。社会保険料の仕組みを理解し、退職日を調整できるなら、末日以外への調整も検討しましょう。

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