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税金

給与から引かれる社会保険料はいくら?実際に算出してみよう

日本にはさまざまな公的制度があり、加入に伴い保険料負担が義務づけられています。会社員であれば毎月の給与から社会保険料が引かれていますが、その金額の詳細をご存知でしょうか。

ここでは社会保険料について解説し、さらにモデルケースを用いて実際に社会保険料を算出します。

この記事を読むことで、ご自身の社会保険料について具体的に知ることができます。

日本における4つの社会保険制度

社会保険制度とは、病気や失業といったリスクに備えてお金を出し合い、必要な人にお金やサービスを提供する仕組みです。社会保険制度は国民の加入が義務付けられており、それぞれ給付内容や負担割合が細かく定められています。

日本における社会保険制度は以下の4つから構成されています。

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 介護保険
  • 労働保険

 それぞれの保険ごとに保障内容が異なるため、正確に確認しましょう。

①医療保険

国民に医療サービスを提供する制度が医療保険です。国民は保険料を納付することで一定割合の自己負担額で医療を受けることができます。また、医療保険には高額療養費制度が設けられており、自己負担限度額を超えた場合に負担が軽減されます。

医療保険の保険料は被保険者の標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じた金額です。中小企業に勤務し、協会けんぽに加入している場合の保険料は事業主と被保険者が折半し負担しています。都道府県ごとに保険料率が異なります。

各都道府県における健康保険料額は、以下でご確認ください。
参考:全国健康保険協会 令和3年度保険料額表

標準報酬月額

医療保険料の算出の基準となる標準報酬月額とは、報酬の月額を一定期間で区切ったものを指します。具体的には、毎年4月・5月・6月の報酬から算出される仕組みです。

健康保険における標準報酬月額は金額によって等級が定められており、全部で50等級の区分が設定されています。

②年金保険

現役世代が保険料を支払い、支払われた保険料を高齢者世代に年金として給付する制度が年金保険です。公的年金保険は国民年金と厚生年金に大別することができ、それぞれ加入対象者や保険料が異なります。

国民年金

20歳以上の全ての人は国民年金に加入する必要があり、令和2年度の保険料は一律16,540円です。年金制度の1階部分と呼ばれ、加入から一定の要件を満たすことで障害基礎年金を受給することができます。

国民年金に関連する制度として、低所得者のために保険料免除制度や納付猶予制度が設けられています。

厚生年金

会社に勤務している人は厚生年金に加入します。この場合、国民年金にも加入したことになり、厚生年金保険料を支払うことで国民年金保険料を別途支払う必要はありません。

厚生年金保険料は報酬によって異なり、標準報酬月額に18.3%を乗じた金額を事業主と被保険者で折半します。

③介護保険

日本における社会保険制度のうち、最も新しい制度が介護保険です。2000年からスタートし、介護が必要となった場合に費用の1割を負担することで介護サービスを受けることができます。要介護者、もしくは要支援者認定が必要です。

介護保険は40歳以上の加入が義務づけられています。保険料は所得によって異なり、40歳以上65歳未満は医療保険料と一緒に一括で徴収されます。65歳以上は原則として年金から天引きされる仕組みです。

④労働保険

労働保険雇用保険労災保険の総称です。保険からの給付はそれぞれ別で行われていますが、保険料は一体で扱われています。

雇用保険

失業や雇用の継続が難しい場合、また職業訓練を受けた場合には雇用保険からの給付金を受けることが可能です。保険料は事業主と被保険者が折半し、賃金の総額に保険料率を乗じて算出します。一般事業の労働者が負担する雇用保険料率は3/1000となっています。

詳細は以下でご確認ください。
参考:厚生労働省 令和2年度の雇用保険料率

労災保険

仕事が原因で発生した災害や通勤途中で事故に遭った場合、被災した労働者もしくは遺族に労災保険からの給付があります。労災保険は、使用されているあらゆる労働者を対象にした制度であり、正社員やパート、アルバイトといった雇用形態によらず誰でも労災保険の給付を受けることが可能です。

なお、保険料は全額事業主が負担することとなっており、事業場において法令が守られているかどうかといった点をチェックする業務は労働基準監督署が担っています。

社会保険料はいくら?算出に必要な5つのステップ

社会保険料は健康保険料や雇用保険料といった保険料の総額を指し、算出方法が煩雑です。社会保険料への理解を深めるために、ここではモデルケースとして以下の条件で社会保険料を算出します。

  • 東京都在住
  • 会社員
  • 42歳
  • 4月から6月の報酬月額は325,000円
  • 協会けんぽに加入

 この会社員が支払う社会保険料がいくらになるか、以下で計算してみましょう。

①標準報酬月額を算出

社会保険料の計算にはまず標準報酬月額の算出が必要です。今回のケースは、標準報酬月額の算出時に対象となる4月から6月の報酬月額が325,000円ですので、東京都の健康保険・厚生年金保険の保険料額表より標準報酬月額は320,000円であることがわかります。

この320,000円の標準報酬月額は、表より23等級であることも確認しておきましょう。各都道府県の令和2年度の保険料額表は以下で確認してください。

参考:全国健康保険協会 令和3年度保険料額表

②健康保険料と介護保険料を算出

今回のケースは42歳ですので、介護保険料も負担する必要がある年齢です。つまり、介護保険における第2号被保険者となります。

先ほど用いた表の全国健康保険協会管掌健康保険料の欄のうち、介護保険第2号被保険者に該当する場合を見ると保険料率は11.64%で、折半額は18,656円であることがわかります。

③厚生年金保険料を算出

厚生年金保険料も、同じ表から読み取ることが可能です。厚生年金保険料欄を確認すると保険料率は18.3%です。厚生年金保険料は事業主と被保険者の折半ですので、基準となる標準報酬月額の320,000円に18.3%を乗じたものを2で割って算出します。

ここから、今回の厚生年金保険料は29,280円です。

関連記事:厚生年金保険料が上がった?保険料の計算方法を徹底解説

④雇用保険料を算出

先述のように、一部事業における労働者負担の雇用保険料率は3/1000です。雇用保険は毎月の給与総額に雇用保険料率を乗じて計算します。

今回の場合、325,000円×3/1000で975円となります。

⑤社会保険料額を算出

これまで計算した②から④のそれぞれの保険料を合算します。

②健康保険料と介護保険料の合計18,656円+③厚生年金保険料29,280円+④雇用保険料975円=48,911円

48,911円が今回のケースにおける1ヵ月の社会保険料額です。

まとめ:4つの社会保険を理解して社会保険料を算出してみよう

日本には4つの社会保険制度があり、相互扶助の考え方をもとに保険料を負担し合っています。それぞれの保険料は収入や年齢によって異なり、算出方法も煩雑なため、社会保険料算出の仕組みを理解することが重要です。

普段は何気なく見ている給与明細ですが、これを機にご自身の社会保険料を算出してみましょう。

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