お金に関する幅広い知識を習得できるFP資格は人気ですが、その中でも最高峰と言えるのがFP1級資格です。
FP1級資格を目指す人の中には、「FP1級資格の受験資格は?」「試験内容と合格率は?」「どんなメリットがあるの?」などの疑問を抱く人もいるでしょう。
今回の記事では、FP1級の受験資格と試験内容について解説します。合格率や資格取得のメリットも紹介するので、FP1級を目指す人は参考にしてください。
FP1級資格とは
まず最初に、FP1級資格とはどのような資格なのかについて説明します。
FP1級は国家資格
FP1級は、「1級FP技能検定」の合格者に与えられる国家資格です。正式名称は「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」です。一度取得すると、更新手続きがなく一生涯有効です。
資格取得者は、その知識を金融業界や不動産業界などで活かしたり、独立してFP事務所を経営したりしています。FP資格がなくても仕事はできますが、お金の専門家として高い信用が得られる資格です。
FP1級はCFPと同レベル
FP資格は、国家資格である「FP技能検定1級・2級・3級」と日本FP協会が認定する「CFP・AFP」に大別されます。
資格の取得要件は異なりますが、難易度はFP1級はCFPと、FP2級はAFPと同レベルです。CFPやAFPの資格を継続するには、所定の継続教育の履修や年会費の支払いなどが必要です。
FP1級試験の内容
FP1級試験は、学科試験と実技試験があります。それぞれの試験内容について説明します。
学科試験の内容
学科試験は「基礎編」と「応用編」に分かれ、それぞれ100点満点で合計200点です。基礎編と応用編の合計が120点以上で合格です。
- 基礎編:マークシート方式、択一式で50問
- 応用編:記述式の試験、5問
学科試験は、次の6分野から出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続、事業承継
実技試験の内容
実技試験は「資産相談業務」です。学科試験6分野の知識を基礎として実技をします。審査ポイントは次の通りです。
- 関連業法との関係や職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- 顧客のニーズや問題点の把握
- 問題解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った対応
なお、試験を行うのは「きんざい」と「日本FP協会」の2つです。
- FP1級学科試験:「きんざい」(年3回)
- FP1級実技試験:きんざい(年3回)と日本FP協会(年1回)
FP1級の受験資格
FP1級試験を受験するには、実務経験や所定の資格取得などが必要です。学科試験と実技試験の受験資格を説明します。
学科試験の受験資格
学科試験を受験するには、以下いずれかの資格が必要です。
- 「2級技能検定合格」かつ「FP業務1年以上」の実務経験
- 「FP業務5年以上」の実務経験
- 「厚生労働省認定金融渉外技能審査2級合格」かつ「FP業務1年以上」の実務経験
実務経験とは、資産運用などの相談業務やファイナンシャル・プランニング業務などの経験です。金融機関や不動産会社などで相談業務を行っていた人などが該当します。
どの資格を取得するにしても、学科試験の受験には実務経験が必要です。
実技試験の受験資格
実技試験を受験するには、次のいずれかの資格が必要です。
- 「FP1級の学科試験合格者」
- 「FP養成コース修了者」かつ「FP業務1年以上」の実務経験
- 日本FP協会の「CFPの認定者」または「CFP資格審査試験(6課目)の合格者」
前述の学科試験合格後に実技試験を受験するのが一般的な流れです。
「FP養成コース」は「きんざい」が行う研修です。受講料が約100万円、2か月間終日参加の研修であるため、受講できる人は限られます。
着実に合格を目指すならCFP資格審査試験を活用
実務経験のない人は、CFP資格審査試験に合格してからFP1級の実技試験を受けるのがおすすめです。CFPの認定を受けるには、CFP資格審査試験の合格のほかに実務経験などが求められますが、受験にあたっては実務経験は求められません。実務経験なしで受験資格を得られるのは、CFP資格審査試験の合格者だけです。
また、FP1級の学科試験は全分野が出題される試験に合格しなければいけないのに対し、CFP資格審査試験は6課目の試験を1課目単位で受験できます。時間がかかっても、1課目ずつ着実に合格を重ねて6課目に合格すれば良いのです。
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FP1級の合格率
試験について概要を説明しましたが、実際に合格率はどれくらいでしょうか。学科試験と実技試験の合格率を紹介します。
学科試験の合格率
直近の学科試験の合格率(きんざい)はおおむね10-20%で、難易度は高いと言えるでしょう。
- 2022年1月:6.67%
- 2021年9月:13.03%
- 2021年5月:20.05%
- 2021年1月:9.95%
- 2020年9月:15.01%
実技試験の合格率
直近の実技試験の合格率(きんざい)はおおむね85-90%です。学科試験の合格率を大幅に上回ります。
- 2022年2月:85.88%
- 2021年9・10月:85.16%
- 2021年6月:85.27%
- 2021年2月:88.49%
- 2020年9・月:86.34%
なお、日本FP協会の合格率(試験は年1回)は90%を超えています。
- 2021年9月:93.8%
- 2020年9月:97.7%
参考:日本FP協会「FP技能士の取得者数及び試験結果データ」
FP1級のメリット
最後に、FP1級資格を取得するメリットを紹介します。
メリット①:一生役に立つ金融全般の知識が身につく
メリットの1つ目は、一生役に立つ金融全般の知識が身につくことです。資産運用や老後を含む生活設計、税金のことなど、社会人として知っておきたい知識が満載です。
お金に関する知識を持つことで、人に頼らず自分で判断できる場面を数多く経験できるでしょう。たとえ、仕事に関係ない資格であっても、受験勉強を通じて得た知識は一生涯役に立ちます。
メリット②:勤務先で専門性の高い仕事ができる
メリットの2つ目は、勤務先(金融機関や不動産会社)で専門性の高い仕事ができることです。自社商品以外にも幅広い知識があれば、顧客のさまざまな相談に応じることができます。また、隣接業界と競合したとき、FPの知識を活かせることもあるでしょう。
資格を取得したことや専門性の高い仕事が認められて、希望部署へ配属されたり昇格につながるケースも考えられます。また、勤務先によっては、資格手当がつくこともあります。
メリット③:ファイナンシャルプランナーとして信用力が高まる
メリットの3つ目は、ファイナンシャルプランナーとして信用力が高まることです。個人でFP事務所などを経営する場合、資格も信用力を高める1つの材料になります。
特に、FP1級やCFPは資格取得の難易度が高く取得者が多くないため、競合他社と差別化できます。
FPの仕事や報酬などについて詳しく知りたい人は、次の記事を参照ください。
まとめ:受験の負担軽減のため効率よく受験資格を取得する方法を選ぼう
FP資格は、国家資格であるFP技能検定の最高資格です。FP1級を取得することでお金に関する専門的な知識が習得でき、仕事や日常生活に活かせます。
FP1級の受験資格を得るにはいくつかの方法があります。実務経験がなければ、CFP資格審査試験に合格してFP1級の実技試験を受けるのがおすすめです。
長時間の学習を要する試験であるため、自分の学習スタイルや実務経験に応じて効率よく受験資格を取得できる方法を選択しましょう。