貯金額の目標は人それぞれでしょうが、「2,000万円」という大きな目標をもって毎日コツコツお金を貯めている人もいるのではないでしょうか。あるいは、すでに貯金額が2,000万円を超えている人もいるかもしれません。
しかし、2,000万円あれば本当に安泰と言えるのでしょうか。老後破産を起こさないためにも、貯金2,000万円を更に効率的に増やすことも考えるべきです。
本記事では貯金2,000万円を超えた人にこそおすすめしたい資産運用方法と、貯金2,000万円を超えてもリスクをとった資産運用をするべき理由について紹介します。
貯金が2,000万円を超えた人におすすめしたい資産運用・投資方法
貯金が2,000万円を超えたら守ることも重要ですが、さらに効率的に資金を増やすために資産運用も検討しましょう。
元手が大きい方が、より効率的に資産運用を進められます。
具体的におすすめできる資産運用方法は「投資信託」「不動産投資」「株式投資」「ヘッジファンド」の4つです。
おすすめ1.投資信託
投資信託は、多くの投資家から資金を集めて、集まった資金を運用会社やファンドマネージャーといったプロが運用する投資商品です。
運用を通じて得た利益は、投資した口数に応じて分配が行われるタイプの投資信託もあります。元本は保証されていませんが、最小100円から投資できるため、高額投資にリスクを感じる人でも気軽に始められるでしょう。
後述する「株式投資」では投資対象を自分で決めなければいけませんが、投資信託は投資する企業はすでに決められているため、詳細な分析をしなくても始められるメリットもあります。
なかでも、「日経平均株価」「ダウ平均」といった有名な指数に連動した値動きを目指すインデックスファンドなら、指数に含まれる全銘柄に間接的に投資することによって自然とリスクを抑えた分散投資が実現します。
おすすめ2.不動産投資
不動産投資はマンションやアパート等の賃貸物件を購入し、貸し出すことで家賃収入を得たり、値上がりした物件を売却したりすることで利益を得る投資法です。
空室にならない限り安定した家賃収入(インカムゲイン)を獲得でき、株式と比較して価格変動リスクが小さいというメリットがあります。ローンを利用すれば手元資金を減らさずに投資を始められます。
一方、空室が発生した分だけ家賃収入が減少する点がリスクです。また災害によって建物が倒壊するリスクもあります。
現物を保有することを避けるなら、現物ではなく不動産を投資対象にした不動産投資信託(REIT)に投資する選択肢も検討しましょう。
日本のREITはJ-REITとも呼ばれており、収益の90%以上を分配するなど一定の条件を満たすことで法人税が免除されることから、高い利回りを期待できます。
おすすめ3.株式投資
株式投資は、企業が発行する株式を購入し、値上がったときに売却して売却益(キャピタルゲイン)を得たり、長期保有して定期的に配当金(インカムゲイン)を得たりする投資方法です。
一部のプロが短期売買しているイメージを持っている方もいるかもしれませんが、長期保有することで配当金や株主優待といった特典を継続して得られ、長期投資にも向いています。
ただし、投資信託と違って自分で投資先の企業を見極める必要がある点が注意点です。企業ごとに業績や将来性が異なり、その違いは株価に反映されます。業界全体が好調でも、投資した企業の株価だけが下がる、ということも考えられます。
どの株式でも良いわけではなく、配当利回りや株式の成長性、株価が今の業績や将来性と比較して割安かどうかといった個別分析も必要になります。
株式には大まかに「グロース株」「バリュー株」がありますが、長期投資を考えるならおすすめはバリュー株です。
ソニーやMicrosoft、AppleなどのIT関連のハイテク株は「グロース株」と呼ばれ、大きく株価が上昇する可能性があります。一方で悪条件によって株価が下がることも多く、株式を購入するタイミングを間違えて高値掴みをすると含み損が大きくなるリスクがあります。
グロース株の多くは配当金がない、または少ないため、配当金を得て損失を埋めることも難しいでしょう。
一方のバリュー株は食品や金融、エネルギーなど成熟したジャンルの株のことです。将来への期待から一気に値上がりすることは少ないものの、株価の上下はマイルドな傾向にあります。グロース株が不調になると注目を集めるため、投資時期を見極めることで売買差益を狙うこともできます。
高配当の株式も多く、定期的に配当金や株主優待を得ることで比較的低リスクに運用できるでしょう。
おすすめ4.ヘッジファンド
ヘッジファンドは投資信託と同じく、投資家から集めた資金を運用会社やプロのファンドマネージャーが運用する方法です。
基本的な仕組みは投資信託と同様ですが、証券会社を通じた公募がないことに特徴があります。
また、投資信託は市場全体が不調な場合は含み損が発生しますが、ヘッジファンドは市場が不調のときに利益が出る投資も行うことで、市場がどんな状況でも利益を狙います。
- 現物の株価が下落している時は、先物取引で売り建ててリスクヘッジをする
- 現物を購入する資金がない時でも、先物取引で買いを建てて利益を狙う
このような運用の判断を運用会社に任せることができ、初心者でも利益を狙いやすい点がメリットです。
ネックになるのは「公募がされていない」ことですが、資産が2,000万円を超えた人なら大口投資家と認められて投資に参加するチャンスは十分にあります。
貯金が2,000万円を超えてもおすすめできない資産運用・投資方法
貯金が2,000万円を超えたら、投資信託や株式投資による配当金・株主優待などを利用して効率良く資産形成を進められます。
一方、貯金が2,000万円を超えたとしても、あまりおすすめできない投資方法もあります。
おすすめできない1.元本保証の金融商品のみによる資産運用
貯金が2,000万円を超えた方のなかには「リスクをとって資産を減らしたくない……」と考えてしまう人もいるでしょう。もちろん、全額をリスク性商品に投資する必要はなく、資産のうち、損失を被っても我慢できる範囲内で投資をすることが鉄則です。
ただ、元本が保証された金融商品だけで資産運用する、ということはおすすめしません。
2023年4月現在、大手メガバンクの普通預金の金利は0.001%、定期預金でも0.002%程度です。2,000万円を全額定期預金に1年間預け入れたとしても、得られる利息は税引き前でもわずか400円程度。
たしかに元本は保証されますが、これではより効率的に資産を増やすことはできず、インフレして物価が上昇すると実質的に財産が目減りすることも考えられます。
おすすめできない2.ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、「お金を貸したい個人投資家」と、「お金を借りたい企業」をマッチングさせるサービスのことです。融資型クラウドファンディングとも呼ばれています。
仕組みとしては、「不特定多数の投資家から資金を集め、最低成立金額に達した場合に企業に融資する」というものです。
募集時に決められた想定金利で利益を受け取れるメリットがありますが、以下のように不確実な要素が多いデメリットもあります。
- 元本保証は確実ではない
- 資金拘束される期間が長い
- ソーシャルレンディング会社の倒産のリスクがある
ソーシャルレンディングでは元本保証がない案件も多く、もし貸し倒れが発生すると投資家は元本の回収ができなくなります。
また、運用期間が数ヶ月~2年程度と長く、運用期間中の解約もできません。売りたい時にすぐ売却できる投資信託や株式投資と違って資金拘束期間も長くなってしまいます。
加えてソーシャルレンディング会社は証券会社よりも歴史が浅く、大手の証券会社と比較すると倒産リスクも見過ごせません。
このように不確実なリスクが多いことが、貯金2,000万円を超えた人の投資方法としては強くおすすめができない理由です。
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貯金が2,000万円を超えるのは難しい?年代・年収別に解説
すでに2,000万円を得ている人ばかりではなく、今まさに2,000万円超えを目指して貯金を頑張っている人もいるでしょう。実際、貯金が2,000万円を超えている人は、どのくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会が公表している「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」の結果から、貯金が2,000万円を超えている人の割合を年代別に紹介します。
20代で2,000万円を貯めている人の割合は、わずか1.2%
20代で2,000万円を貯めている人の割合と、平均的な貯蓄額は以下のとおりです。
20代の二人以上世帯 | |
---|---|
2,000万円以上の貯蓄割合 | 1.2% |
平均貯蓄額 | 214万円 |
貯蓄額の中央値 | 44万円 |
2,000万円以上の貯蓄をしている20代はわずか1.2%です。中央値を見ると44万円であり、2,000万円も貯蓄できているのはごく一部の高年収な職業についている人だけでしょう。
30代では6.1%が2,000万円を貯金している
30代で2,000万円を貯めている人の割合と、平均的な貯蓄額は以下のとおりです。
30代の二人以上世帯 | |
---|---|
2,000万円以上の貯蓄割合 | 6.1% |
平均貯蓄額 | 526万円 |
貯蓄額の中央値 | 200万円 |
30代は平均貯蓄額が526万円と20代から大きく伸びており、資産運用や副業収入などの工夫によって貯金額が2,000万円を超える可能性も十分にある年代だといえます。
40代でも2,000万円を貯めているのは10.1%に留まる
40代で2,000万円を貯めている人の割合と、平均的な貯蓄額は以下のとおりです。
40代の二人以上世帯 | |
---|---|
2,000万円以上の貯蓄割合 | 10.1% |
平均貯蓄額 | 825万円 |
貯蓄額の中央値 | 250万円 |
この年代から2,000万円以上の貯蓄をしている人が全体の10%を超えてきます。平均でも825万円、中央値でも250万円の貯蓄額があります。
子どもに手がかからなくなることでフルタイムの共働きが可能になれば世帯収入アップが期待できますし、昇進による年収アップも狙える年齢でもあることから、2,000万円を超えることも十分に可能でしょう。
50代・60代でようやく貯金の平均値は1,000万円にも届く
50代・60代で2,000万円を貯めている人の割合と、平均的な貯蓄額は以下のとおりです。
50代の二人以上世帯 | |
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2,000万円以上の貯蓄割合 | 18.0% |
平均貯蓄額 | 1,253万円 |
貯蓄額の中央値 | 350万円 |
60代の二人以上世帯 | |
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2,000万円以上の貯蓄割合 | 29.1% |
平均貯蓄額 | 1,819万円 |
貯蓄額の中央値 | 700万円 |
50代以降は人生で年収がもっとも高い時期であり、人生の三大出費である子どもの教育費用がかからなくなる年齢です。また、退職金や相続などで資産額が大きく増えやすい時期でもあります。
全体の約30%が2,000万円以上の貯蓄をしていることからも分かる通り、2,000万円の貯蓄を目指すならチャンスの年代といえます。ただし、中央値が700万円ということからも、貯蓄額が二極化していることも読み取れます。
年収1,200万円以上でも2,000万円以上貯金しているのは約半分
今度は年齢ではなく、年収別に「2,000万円以上の貯蓄がある人」の割合を見てみましょう。
年収 | 貯蓄額が2,000万円以上の割合 |
---|---|
300万円未満 | 8.8% |
300~500万円未満 | 16.4% |
500~750万円未満 | 18.7% |
750~1000万円未満 | 25.5% |
1000~1200万円未満 | 33.5% |
1200万円以上 | 46.2% |
高年収の人ほど貯蓄額は多い傾向にありますが、年収1,200万円の人でも半分の人しか2,000万円の貯金ができていません。
貯金が2,000万円あれば老後資金は足りるのか
貯金2,000万円だけで老後生活が安泰であれば、無理にリスク性商品に投資する必要はありません。
しかし、結論からいってしまうと、2,000万円の貯金があっても老後は安泰、とはいきません。冒頭から「元本保証だけでなくリスク性商品への投資もおすすめ」としてきたのは、これが理由です。
2,000万円の貯金があっても老後生活が安心できないのか、公的データを元に計算してみましょう。
年金・退職金の前提条件を考える
老後資金として使うことになるお金は、主に以下の3つです。
- 公的年金
- 退職金
- 現役世代からの貯金
貯金が2,000万円あるとして、年金と退職金をどれくらい得られるでしょうか。
日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」によると、令和4年4月分から受け取れる夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は「219,593円」でした。
一方、厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。
夫婦2人で65歳から年金を受け取り始めて85歳まで生きるとすると、「219,593円×12ヵ月×20年=約5,270万円」という結果になりました。
退職金は、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒の管理・事務・技術職の平均が1,788万円でした。
【前提条件】 65歳の夫婦で夫が大卒会社員の場合、退職金と年金で7,058万円を得ると仮定する 貯金2,000万円を合わせると「9,058万円」 |
最小限の生活でも老後資金が不足する可能性がある
公益財団法人 生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」によると、老後の最低日常生活費は月額で平均23.2万円です。老後の20年間を最小限の生活で過ごすとしても、「23.2万円×12ヵ月×20年=5,568万円」がかかる計算です。
最低限度の生活であれば、年金・退職金・貯金2,000万円があれば十分に過ごすことはできそうです。
ただし、年金に関しては自営業者は国民年金のみであり、令和4年度は満額で受け取っても月64,816円にしかなりません。
退職金の支給もなく、貯金2,000万円と年金(64,816円×12ヵ月×20年=約1,555万円)で生活すると考えると、自営業者では最小限の生活も厳しいということになります。
ゆとりある生活では2,000万円でも足りない!
一方、ゆとりある老後生活費は月37.9万円が必要とされています。
「37.9万円×12ヵ月×20年=9,096万円」となり、会社員で厚生年金と退職金を受け取るという前提でも不足する可能性があることが分かります。
まとめ:2,000万円の貯金でも十分とはいえない!効率良い資産運用を
長年勤めあげた会社員であれば、退職金と厚生年金の分もあって貯金2,000万円で老後を過ごすことは可能です。ただ、趣味を思い切り楽しむような「ゆとりある生活」には不足する可能性もあることが分かりました。
今まさに2,000万円を目標に貯金している方も、すでに貯金額が2,000万円を超えてしまった人も、老後の安泰を目指すなら更に効率的な資産運用を検討することをおすすめします。