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資産運用

公的なデータを見る限り、貯金額5,000万円を超えているのは全体のほんの一握りの世帯のみです。

「ここまでくれば、セミリタイアや、FIREも現実的になってくる?」と考える方もいるかもしれません。実際のところ、5,000万円の貯金があれば優雅な老後生活や早期リタイアは実現するのでしょうか

本記事では貯金5,000万円を超えた人に資産運用をおすすめする理由や、おすすめできる代表的な資産運用の方法を紹介します。

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30代・40代で貯金が5,000万円を超えた人は全体の何割くらい?

貯金5,000万円といえば、一般的には「準富裕層」と呼ばれる階層です。自分の周りに、それだけの貯金を持っている人はほとんどいないのではないでしょうか。特に子どもがまだ小さく、子育てにお金がかかる30代・40代ならなおさらです。

株式会社野村総合研究所によれば、貯金5000万円以上の世帯は473.9万世帯です。全体の10%前後しか、準富裕層以上の世帯がいないことが分かります。

出典:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は 149 万世帯、その純金融資産総額は 364 兆円と推計」

ほかにも、少し古いデータからも確認していきましょう。

金融庁「平成27年度金融事務レポート」には資産4,000万円以上の家計金融資産の分布がありますが、30代・40代で4,000万円以上の資産を持っている人はほとんどいません。

また、金融広報中央委員会「令和5年(2023年)家計の金融行動に関する世論調査」では、年代別に3,000万円以上の金融資産を持っている人の割合が以下のとおり公表されています(金融資産を保有していない世帯を含む)。

単身世帯の場合

世帯主の年代 金融資産3000万円以上の割合
20歳代 0.0%
30歳代 4.0%
40歳代 4.3%
50歳代 9.3%
60歳代 15.1%
70歳代 17.3%

 

二人以上世帯の場合

世帯主の年代 金融資産3000万円以上の割合
20歳代 0.6%
30歳代 4.0%
40歳代 6.5%
50歳代 11.2%
60歳代 20.5%
70歳代 19.7%

 

30代・40代のなかで3,000万円以上の資産を持っている家庭は、単身世帯でも二人世帯でも2~5%前後しかいません。5,000万円以上の資産を持っている家庭はさらに少なく、ごくまれであることが分かります。

一方、50代・60代・70代と年齢を重ねるほど、3,000万円以上の金融資産を持つ家庭は増加していきます。

60代の二人世代では5件に1件は3,000万円以上の金融資産を持っており、5,000万円以上の金融資産を持つ家庭も相当数あることが考えられるでしょう。

貯蓄が5,000万円を超えるメリット

貯蓄が5000万円を超えることのメリットとしては、以下の2つが考えられます。

  1. 生活に余裕が生まれて安心感ができる
  2. 様々な投資に挑戦することができる

生活に余裕が生まれて安心感ができる

貯金が5000万円もできることで、生活に余裕と安心感が生まれることが大きなメリットです。子どもの教育費用や学校の行事、自分の仕事の出張、冠婚葬祭など急な出費が伴うときも、貯金を使うことで難なく乗り切ることができます。

また老後のことを考えたときも、現役のときから5000万円を超える貯金があれば安心です。

使い過ぎには注意が必要ですが、毎日の生活水準を上げることで満足度の高い生活を送ることも可能でしょう。

様々な投資に挑戦することができる

5000万円も貯金があることで、一般的な金額の貯金しか持っていない人よりも投資の選択肢が広いこともメリットです。

半分ほどを生活防衛のために残しておくとしても、2000~3000万円を投資に充てることができます。通常ではなかなかチャレンジできないような高額な投資に大胆に挑戦できるため、うまく成功させれば新たに大きな利益を得ることもできるでしょう。

また5000万円もあれば、世界中の株式に自由に投資できます。

貯金が少ない人でも投資信託なら世界中の株式に100円から間接的に投資できますが、投資家側で投資銘柄の選定や比率の変更はできません。

5000万円もあれば、自身が銘柄分析で厳選した世界中の銘柄に分散投資をして、自分だけのポートフォリオを作ることも可能です。

不動産投資に挑戦して中古アパートやマンションの一室を購入し、貸し出すことで安定した家賃収入を得ることもできます。最近ではコインランドリーを開業して利益を狙う「コインランドリー投資」もあり、5000万円もあれば十分に可能です。

5,000万円の貯金があれば投資は不要?資産運用の必要性とは

解説したように、5,000万円以上の金融資産を持つ家庭はごくわずかです。

ここまでの資産を持てば、貯金だけで老後生活ができてしまいそうなものですが、実際には「5,000万円あれば投資は不要」と言い切ることが難しいのが現状です。

5,000万円の資産を持っていても投資による資産運用が必要と考えられる根拠を紹介します。

必要性1.世界的にインフレは進行している

2021年4月あたりから、アメリカやヨーロッパを中心に世界中でインフレが進んでいます。

要因の1つとして考えられる点は「新型コロナウイルスによるパンデミック」です。新型コロナが流入したことで人の流れが変わりました。食事を例にすると外食は減少傾向にある一方、自宅で調理して食べる機会が増加しています。

サービスから物に需要がシフトしたことで物の値段が上がり、インフレを生んでいます。

ここにコロナで仕事から離れた人が多かったことによる人材不足やロシアによるウクライナ侵攻などの要因が重なり、世界的なインフレに繋がっていると考えられます。

実際、IMFの「World Economic Outlook Databases」によれば、2022年1月~10月までの時点で日本のインフレ率は1.99%、アメリカは何と8.05%でした。

この調子でインフレが進み、今まで100円で購入できたものが150円払わないと購入できなくなるような世の中になると、資産の価値は目減りすることになります。

必要性2.ゆとりある生活には1億円近い自己資金が必要

公益財団法人 生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」によると、老後の「最低日常生活費」は月額で平均23.2万円です。老後の20年間を最小限の生活で過ごす場合、「23.2万円×12ヵ月×20年=5,568万円」がかかる計算です。

貯金5,000万円あれば、年金と合わせて十分に生活することは可能です。

ただし、自分の趣味に没頭するような余裕がある「ゆとりある生活」には、は月37.9万円が必要とされています。「37.9万円×12ヵ月×20年=9,096万円」となり、5,000万円の貯金だけでは足りるか全く分かりません。

退職金や年金の額を計算してみて、不足分は資産運用でさらに貯金を増やす取り組みが必要です。

貯金が5,000万円を超えたら検討したい資産運用方法

5,000万円の貯金があっても、ゆとりある老後生活を目指すなら不足する可能性が高いことが分かりました。そこで検討したいものが、より効率的に資産を増やせる「資産運用」です。

元手が大きいほど効率的に資産運用が可能であり、貯金が5,000万円を超えた人こそ資産の一部を投資に振り向けてリスクをとった運用をすることをおすすめします。

具体的におすすめできる投資は「投資信託」「不動産投資」「株式投資」「ヘッジファンド」などです。

おすすめ1.投資信託

投資信託は、市場で多くの投資家から資金を集めて、集まった資金を運用会社やファンドマネージャーが運用する投資商品です。

運用を通じて得た利益は、投資した口数に応じて分配が行われます。

投資の目的によって、以下の2種類に大別できる点が特徴です。

  • 特定の指数に連動する値動きを目指す「インデックスファンド」
  • 特定の指数を上回る値動きを目指す「アクティブファンド」

インデックスファンドは「日経平均株価」「ダウ平均」といった特定の指数に連動する値動きを目指すもので、指数によっては数百~数千銘柄に分散投資が可能です。

おすすめ2.不動産投資

不動産投資は、アパートやマンションなどの賃貸物件を購入し、第三者に貸し出すことで家賃収入を得る投資方法です。

毎月安定した収入(インカムゲイン)を得たい人にはおすすめの方法といえます。

自分に万が一のことがあった際はローンの返済がなくなる「団体信用生命保険」に加入することで、生命保険と同じような使い方も可能です。

ただし、空室が発生した分だけ家賃収入が減少し、管理費用を払えずに赤字になるリスクがあります。空室が発生しにくい優良物件を見極める知識がある方向けの方法といえます。

おすすめ3.株式投資

株式投資は、企業が発行する株式を購入し、企業の株主になる投資方法です。

以下の3つの利益を得られる方法であり、長期投資にも短期投資にも活用できます。

  • 値上がりによる売却益
  • 配当金
  • 株主優待

株主優待は一定の株数を一定期間保有することで、企業で扱っているサービスや商品券、クオカード等を受け取れる日本独自の制度です。

「どの銘柄が値上がりするのか・配当利回りが大きいのか」といった個別分析が必要にはなりますが、うまく投資できれば投資信託と比較しても高い利回りが期待できます。

おすすめ4.ヘッジファンド

ヘッジは英語で「回避」という意味があり、市場が好調でも不調でも利益を出すことを目標にした投資です。

システムとしては投資信託と同様で、実際の資産運用を運用会社やファンドマネージャーなどのプロに任せられます。

投資信託は投資対象の指数に連動して基準価額が上下することが一般的ですが、ヘッジファンドは市場が不況なときでも「先物による売り建て」といった対策で利益を狙います。

また、別名で「私募ファンド」とも呼ばれているとおり、証券会社などを通じて公募されない特徴があります。機関投資家や富裕層などからの私募によって資金を集めるため、限られた人しか参加できません。ただ、5,000万円もの貯金があれば参加できるチャンスは十分にあります。

おすすめ5.プライベートバンク

プライベートバンク(PB)は、富裕層を対象にした資産管理・資産運用のサービスのことです。富裕層のお客様の要望をもとにオーダーメイドした資産運用サービスが提供されます。

ただし、プライベートバンクは「固定報酬」「成功報酬」「資産基準手数料」「売買手数料」など、コストがかかりやすいです。プライベートバンカーという担当者がついてくれるのでさまざまな資産管理をお任せにできる分、コストが高額になることは知っておきましょう。

またプライベートバンクは「資産が〇億円以上」など、利用するための審査内容が厳格に決まっていることがあります。富裕層でないと正式にサービスを受けられないので、「サービスを利用できたらラッキー」くらいに思って置き、基本はほかの方法を利用したほうが良いです。

おすすめ6.ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは、資金調達を考えている人と資産運用を考えている人をつないでくれるサービスです。

有名な「クラウドファンディング」もソーシャルレンディングの1つです。投資家はソーシャルレンディング事業者と契約を交わし、出資をした金額はソーシャルレンディング会社が、企業や個人に貸し付ける仕組みとなっています。お金を借りた企業はソーシャルレンディング業者に元本・利息を返済し、業者は返済額から各投資家に分配・償還を行います。

少額・短期からの資産運用が可能で、マッチングした相手によっては高いリターンが得られる可能性もあります。利回りは年2.0%~5.0%程度が一般的で、他の金融商品と比べて高い傾向にあるのが特徴です。

おすすめ7.定期預金

定期預金は、銀行の定期預金口座に預け入れる投資方法です。契約時に預入れる期間を設定しておくことで満期まで引き出すことが原則できなくなる代わり、普通預金よりも高い金利が適用されます。

1,000万円以上を預ければ「大口定期預金」となり、適用される金利が更に高くなる可能性もあります。

ほかの投資と比較してリターンの期待値はどうしても低くなりますが、元本割れをしないメリットがあります。リスクをとらずにコツコツと資産運用をしたい方は、資産の一部を定期預金に入れることも検討しましょう。

おすすめ8.債券投資

日本の個人向け国債をはじめ、地方自治体や海外の国債・社債などに投資する方法です。債券は国や企業が資金調達のために発行する借用証書で、購入すると定期的に利子を受け取って満期には元金が返済されます。

日本の国債は利回りが低い一方で信用が高く、定期預金と同じように資産防衛のための投資として優れています。海外の国債や社債は金利が高いため、日本国債より積極的に運用したいときに向いています。ただし、海外の社債は利回りが高い分だけ倒産などのリスクを含んでいる場合があります。

債券そのものを購入することもできますが、さまざまな債券を1つの投資信託で購入する方法でポートフォリオに加えることも可能です。

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投資を成功させるためのポイント

貯金が5000万円あればさまざまな投資にチャレンジすることもできますが、必ずしも成功するとは限りません。元本割れを起こしてせっかくの貯金が目減りすることも考えられます。

投資を成功させるなら、事前の勉強や入念な準備が欠かせません。

ここでは、投資を成功させるポイントとして、以下の5つをご紹介します。

  1. 何を目的に資産運用をするか決める
  2. 1つの商品に固執せず、分散投資を行う
  3. 生活資金は資産運用に使用しない
  4. 自分のリスク許容度を把握しておく
  5. 長期的な目で見て投資を行う

何を目的に資産運用をするか決める

資産運用でもっとも大事と言っても良いこととして、「目的を明確にすること」が挙げられます。

目的がはっきりせず何となく投資をしていると、「どのくらい貯めたら売却して投資を辞めれば良いか」の判断ができません。ズルズルと長く投資を続けるうちに景気が悪化し、せっかくの含み益の大半がなくなってしまったり、最悪の場合は元本割れになったりする可能性もあります。

また、目標金額と期限が分かっていないと、適切なリスクの取り方も分かりません。目標額と投資期間で考えればリスクの低い投資でも十分に目標達成できる可能性があるのにハイリスクな投資を選び、大損する可能性もあるでしょう。

必要な金額や投資期間、目指す利回りなどを把握するためにも、投資前に目標は明確にしておくと良いでしょう。

1つの商品に固執せず、分散投資を行う

貯金5000万円を超える方が投資を始めるなら、間違いなく意識したいのが「分散投資」です。

分散投資は数十~数百~数千銘柄に投資先を分けることで、リスクを分散する方法を指します。

例えば1社に5000万円を全て投資して、その1社が業績不振で倒産した場合。5000万円分の株券が一気に紙くず同然になってしまいます。

このような倒産・株価の値下がりリスクを分散するためには分散投資が必要です。仮に1社の株価が急降下しても、別の株価が上がったりキープしたりすれば、資産へのダメージを抑えることが可能です。

分散投資の方法には「資産」「地域」「時間」の3つがあります。

「資産」は、株式以外の資産クラス(債券、現金、金、不動産など)に分散投資をすること。「地域」は日本だけでなく、世界中の株式や債券に分散投資すること。「時間」は5000万円を一度に投資するのではなく、時間をかけて少額ずつ投資することを指します。

生活資金は資産運用に使用しない

貯金が5000万円ある状態で、全額を投資につぎ込むことは辞めましょう。

投資の基本は長期でコツコツと運用することなので、ひんぱんに現金化して引き出すのはおすすめできません。

また、いくらリスク管理をしていても元本割れしたり、資産が一気に減ってしまったりする可能性もゼロにはならないでしょう。

現在の収入と支出から向こう半年~1年分以上の生活費と子どもの教育費などは最低でも残しておき、仮に投資した全額を失っても生活に問題がないことを確認してから投資を始めるべきです。

自分のリスク許容度を把握しておく

どのような資産クラスに、どれくらい投資するのが最適かは、ご自身のリスク許容度によっても異なります。

例えば「できるだけ元本割れをしないように資産運用をしたい」と感じているなら株式の比率を少なめにして、現金や債券の比率を高めて投資することになります。

ただ、安全資産や低リスク資産を多くすると元本割れしない反面、資産を大きく増やすこともできません。将来の目標金額が高すぎると債券や現金の運用では達成できないため、目標を下方修正する必要はあります。

長期的な目で見て投資を行う

投資においては、短期で大きな利回りを求めるのではなく、長期的な目線でコツコツと資産を積み上げていくのが鉄則です。

ありがちなのが「毎日の値動きでマイナスになってしまうのが耐えられず、すぐに売却して現金に戻してしまう」ということ。

値下がりしているということは、その銘柄がバーゲンセール中であると考えることもできます。毎月一定額を同じタイミングで購入し続ける「ドルコスト平均法」を利用することで安いときには多くの数量を購入でき、平均購入単価を引き下げることができます。その後、景気が回復したタイミングで株価や基準価額が上がれば、大きな利益を得ることもできるでしょう。

細かな値動きに一喜一憂せず、長い時間をかけてコツコツと投資を続けることを意識しましょう。

貯金5,000万円を超えた人が投資を始める際の注意点

投資による資産運用によって効率良く資産増を狙うこともできますが、間違った運用をして大損しないように注意が必要です。

ここからは、貯金5,000万円を超えた人が気を付けたい、資産運用の注意点を見ていきましょう。

資産が多い人ほど投資の基礎知識は必須

資産が多い人ほど資金を投入できるため、同じ利回りでも多くのリターンを得られます。

100万円分の株が5%増加した際の含み益は5万円ですが、1,000万円分の株を購入していた場合は50万円の含み益になります。

ただし、5%の損失になってしまった場合はより多くの金額を失うことになるため、資産が大きい人ほど損失リスクを抑えるための勉強が欠かせません。

ハイリスクすぎる投資・投機はおすすめできない

リスクをとった資産運用で効率的に投資することは効果的ですが、かといってあまりにハイリスク・ハイリターンの投資や投機はおすすめできません。

おすすめできない投資1.FX(外国為替)

FXは外国為替取引のことで、国内のFX会社では最大25倍のレバレッジをかけられます。100万円の自己資金でも2,500万円分の取引ができることで、もし利益を得られた場合は25倍の利益を得ることが可能です。

一方、損失になった場合も25倍になるため、投資した資金が瞬く間に減ってしまうことも考えられます。証拠金維持率が一定以下になると強制的に決済される「ロスカット」という仕組みがあるため、あまりにレバレッジを高くすると少しの値下がりで損失が確定してしまうこともあります。

おすすめできない投資2.暗号資産(仮想通貨)

「暗号資産(仮想通貨)」も株式や投資信託よりもハイリスク・ハイリターンで有名な金融資産です。値上がりする時は短期間で2~3倍以上の価格になりますが、下がる時も数ヶ月で価値が半減してしまいます。

たとえば「ビットコイン(BTC)」は、2020年12月11日には1BTC=約196万円でしたが、2021年3月12日には約668万円と、3ヵ月くらいで約3.4倍になりました。しかし、2021年7月16日には約347万円と3月時点から半減しています。

5,000万円を運用するメインの投資方法としては、あまりに値動きが大きいためおすすめはできません。

貯金5,000万円があればリタイア・セミリタイアはできる?

5,000万円ものお金が貯まれば、「FIRE(早期リタイアと経済的自立)」「セミリタイア」ができるか気になる方もいるでしょう。

実際、5,000万円の貯金でFIREやセミリタイアが可能なのかどうかを解説します。

完全なFIREは難しい

冒頭で、ゆとりある老後生活のためには「月37.9万円が必要」「20年の老後生活にゆとりを持たせるには9,096万円がかかる」という解説をしました。5,000万円の貯金があったとしても、老後生活を続けるためには退職金と年金で最低4,100万円程度を得る必要があります。

早期リタイアと経済的自立を意味する「FIRE」をして、若くから自由な生活をすることは難しいと言わざるを得ません。

FIREをするには「年間生活費の25倍が必要」と一般的に言われており、仮に年間500万円で過ごすとしても、1億円の自己資金がないと完全なFIREは難しいでしょう。

利回りによってはセミリタイアなら可能

完全なFIREは難しいことが分かりましたが、セミリタイアではどうでしょうか?

「セミリタイア」とは?

本業を辞めて余裕のある仕事を始め、投資の利益と給与収入を組み合わせて生活していくこと

リスク性商品の投資利回りは確実に決まってはいませんが、仮に5,000万円を年率4%で運用すると1年で得られる利益は200万円であり、税引き後では160万円になります。

毎月13.3万円を得られれば完全なFIREは無理でも、仕事の収入を減らして自由な時間を確保するセミリタイアなら、十分に目指せるでしょう。

貯金5,000万円があれば何ができる?

5,000万円の貯金があっても、完全なFIREを実行するのは厳しいということが分かりました。では、5,000万円があれば、何ができるのでしょうか。

複利の力を借りることで1億円の資産を目指せる

年間生活費500万円と仮定すると、FIREに必要な資金は1億円が目安と解説しました。

初期費用が5,000万円もあれば、資産運用で効率良く資産を増やすことで1億円の大台に乗せることも可能です。5,000万円を元金として1年間で4%の利回りで運用した場合、追加投資なしでも「18年」で1億円に到達できる計算になります。

5,000万円に加えて毎月5万円を追加投資した場合は「15年」まで短縮が可能です。

セミリタイアができるくらいの不労所得を得ることは可能

一定のタイミングで配当金や分配金を受け取れるタイプの株式や投資信託に投資することで、不労所得を得ることも可能です。

一般的に3%以上の配当利回りがあれば高配当株といわれており、5,000万円を年3%の配当利回りの株式に投資した場合は年間150万円(税引き後は約120万円)の配当金を得られます。

月にすると約10万円の不労所得が得られる計算になり、FIREは無理でも生活費の補填として十分に頼りになるでしょう。

貯金5000万を超えた人に関するよくある質問

最後に、貯金5000万を超えた人に関するよくある質問と回答をQ&A形式でまとめました。準富裕層に興味のある方は、ぜひこの後も読み進めてみてください。

貯金が5000万円を超えたらやるべきことはありますか?

貯金が5000万円を超えたら、インフレなどの対策のために資産運用を開始しましょう。普通預金の金利は0.002%くらいですが、日本では年間2%の物価上昇を目指しています。

国の目論見通りに物価が上昇してインフレになると、お金の価値が実質的に目減りしてしまうので、インフレに負けないくらいのペースで資産運用することを検討するべきです。

GPIFでは過去23年間で年率4.36%の利益(2024年7月時点)を得ており、株式や投資信託の資産運用をすることでインフレ以上に資産を増やすことも可能です。

資産をさらに増やすことで、毎日の生活も豊かになっていくでしょう。

貯金が5000万円あればどんなことができますか?

貯金が5000万円もあれば、ほかの人がなかなかチャレンジできないような投資にチャレンジできます。

例えば不動産投資。中古のアパートやマンションの一部屋などを購入して入居者を募り、家賃収入を得ることで安定した不労所得を狙えます。

また、最近では「コインランドリー投資」も注目されています。コインランドリーは需要が安定しており、市場も成長している分野です。洗濯機や乾燥機を揃えるのにお金がかかるので貯金が少ない方はチャレンジが難しい投資ですが、5000万円の貯金があれば投資をすることは可能でしょう。

貯金が5000万円あれば老後は生活できますか?

5000万円で生活できるかどうかは、老後に求める生活レベルによって大きく異なります。

生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」によれば、老後の最低日常生活費は月額で平均23.2万円です。老後を20年間と仮定すると、「23.2万円×12ヵ月×20年=5,568万円」が必要になる計算です。

貯金5,000万円あれば、退職金や年金と合わせて十分に生活することは可能です。

一方、「ゆとりある生活」には、月37.9万円が必要とされています。「37.9万円×12ヵ月×20年=9,096万円」となり、5,000万円の貯金と年金、退職金があっても足りるか全く分かりません。

資産運用にはどのようなものがありますか?

貯金が5000万円を超えたら始めたい資産運用としては以下のようなものがあります。

  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 株式
  • ヘッジファンド
  • ソーシャルレンディング
  • 定期預金
  • 債券投資

効率的に資産を増やすなら、投資信託、不動産投資、株式投資がおすすめです。なかでも不動産投資はローンが組めるとはいってもマンションの一室や中古アパートを購入するくらいの資金が必要ですが、貯金が5000万円もある方なら資産の一部を頭金にしてローンを組みやすいです。

投資で失敗しないためのコツはありますか?

投資で失敗しないために、「分散投資」を心がけましょう。1社に集中投資するとその企業が成長しているときは大きな恩恵を得られますが、その会社がもし倒産してしまうと投資したお金を全て失う可能性もあります。

分散投資すれば仮に1社が倒産しても、ほかの会社の株価が成長したり株価をキープしたりすることでカバーできます。

貯金が5000万円以上ある人はどれくらいいますか?

30代・40代のなかで3,000万円以上の資産を持っている人は単身世帯でも二人世帯でも関係なく5%前後しかいません。5,000万円以上の資産を持っているとなればさらに数が少なくなるので、ほぼいないことがわかります。

50代・60代・70代と年齢を重ねれば3,000万円以上の金融資産を持つ家庭が増え、5000万円以上の資産を持つ人も増えるでしょう。

ただ、いずれにしても5000万円を超える貯金を持つのは日本で一握りしかおらず、十分に勝ち組といえるでしょう。

貯金が多いとどのようなメリットがありますか?

貯金が多いことで、生活に余裕ができることが期待できます。人生のなかには「結婚」「子育て」「住宅購入「介護」などお金がかかるイベントが目白押しですが、5000万円の貯金を使うことで十分に対処できます。

また、不動産投資やコインランドリー投資など、一般的には金銭の準備でハードルが高い投資にもチャレンジできます。

貯金を増やすためにはどんなことをしたら良いですか?

5000万円の貯金がある人は、複利の力を使ってさらに効率よく投資をしましょう。

複利とは、利子にもまた利子がつくことです。100万円を投資して3%の利益を得て元利合計が103万円になったら、その103万円をまた投資に利用します。次の利益率がまた3%だと仮定すると、次は30,900円を得られます。その30,900円も含めて投資をして…と繰り返すことで、雪だるま式にどんどん資産が大きくなっていきます。

初期費用が5,000万円もあれば、複利で資産を増やすことで1億円の大台に乗せることも不可能ではないでしょう。5,000万円を元金として1年間で4%の利回りで運用すると、追加投資なしでも「18年」で1億円に到達できる計算です。

貯金5000万円あればリタイアはできますか?

すでに紹介してきたように、ゆとりある老後生活には「月37.9万円が必要」です。老後20年の生活にゆとりを持たせるには9,096万円がかかります。5,000万円の貯金があったとしても、老後生活を続けるためには、退職金と年金で最低でも4,100万円程度を得ないといけません。

つまり貯金5000万円でFIREするのは難しいと言わざるを得ません。

一方、資産運用の利回りが良ければ、セミリタイアであればできる可能性はあります。

資産運用を行う際の注意点はありますか?

資産運用をするとき、あまりにハイリスクな投資や投機は選択しないように注意が必要です。

例えばFXは投資金額の最大25倍までトレードが可能で、うまく取引できれば大きなプラスになりますが、予想と逆の値動きをすると入金した金額を一気に失うリスクもあります。

まとめ:5,000万円あっても効率的な資産形成は必要

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、30~40代の比較的若い世代で3,000万円の貯金を持っている世帯は、全体の2~5%前後しかいません。5,000万円以上の貯金がある家庭は更に少ないでしょう。

ただ、5,000万円の貯金があっても、早期リタイアと経済的な自立を果たすことは難しいことが実情です。現実的にFIREが見えてくる1億円を目指し、効率的に資産運用を始めることも検討していきましょう。

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