皆さんは、確定申告するにあたって「添付書類」がいくつか必要であることをご存知でしょうか?今まで確定申告したことがないという方は、ご存知ではない方が多いのではないでしょうか。
確定申告に必要な書式はインターネットからダウンロードできますし、電子申請も可能です。しかし、いくつかの書類を添付しなければならない場合もあり、添付書類に問題があると確定申告の手間を増やすことになりかねません。
本記事では、確定申告に必要な添付書類の種類や、添付書類に関する注意点などについて解説します。確定申告が初めての方や、収入の形式が大きく変わった方にとって役立つ情報を数多く掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
確定申告の必要書類
確定申告には「誰でも必ず添付しなければならない書類」と「人によって必要になる可能性がある書類」の2種類の添付書類があります。本記事では概要だけ説明しますので、詳しいことは下記の国税庁のHPを参考にしてください。
参考:国税庁「申告書に添付・提示する書類」
- 必ず必要になる添付書類
- 申告内容によって必要になる添付書類
ただしe-Taxを利用した確定申告の場合は、マイナンバーカードに組み込まれた電子証明書などで本人確認が可能なため、添付は必要ありません。
必ず必要になる添付書類
まず最初に必ず必要になるのが「申告者本人の情報を確認できる書類」です。「マイナンバーカード」を持っているかどうかで添付書類が2パターンあります。
確定申告とマイナンバーの関係については、以下の記事も参考にしてください。
マイナンバーカードを持っている場合
マイナンバーカードをお持ちの方は、「マイナンバーカードの写し」を添付書類として提出する必要があります。注意点は、マイナンバーカードの写しは「表面の写し」と「裏面の写し」の2つが必要という点です。
マイナンバーカードを持っていない場合
マイナンバーカードをお持ちではない場合は、「マイナンバーを確認できる書類」と「本人確認書類」の2つが必要になります。
「マイナンバーを確認できる書類」としては、以下の書類が提出可能です。
- マイナンバーの通知カード
- マイナンバーの記載がある住民票の写し
- マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書
「本人確認書類」としては、以下の書類が提出可能です(以下は一例、使用可能かどうかわからない書類については税務署等に問い合わせてください)。
- 運転免許証
- 公的医療保険の被保険者証
- パスポート
申告内容によって必要になる添付書類
ここから解説する添付書類は、確定申告の申告内容によっては必要になる書類です。確定申告の申告項目で以下の項目に該当する記載金額がある場合に、対応する添付書類の提出が必要になります。
ただし、e-Taxを利用する場合は源泉徴収票、雑損控除・各種保険料控除・寄附金控除の証明書などの提出を省略することができます。
「収入金額等」に記入事項がある場合
「収入金額等」に以下の記入事項がある場合、対応する添付書類の提出が必要です。
項目 |
必要な添付書類 |
事業・営業等 | 青色申告:青色申告決算書 |
(総収入金額および必要経費の内訳が記載されているもの) | |
事業・農業 | 白色申告:収支内訳書 |
不動産 | (総収入金額および必要経費の内訳が記載されているもの) |
配当 | ・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書 |
・配当等とみなす金額に関する支払通知書 | |
・上場株式等の支払通知書 | |
・特定口座年間取引報告書 | |
給与 | 給与所得の源泉徴収票(原本) |
雑・公的年金等 | 公的年金等の源泉徴収票(原本) |
「所得から差し引かれる金額」に記入事項がある場合
「所得から差し引かれる金額」に以下の記入事項がある場合、対応する添付書類の提出が必要です。
項目 |
必要な添付書類 |
雑損控除 | 該当する支出額を証明できる領収書 |
医療費控除 | ・医療費控除の明細書 |
・医療費通知書の原本(明細の記載を省略する場合) | |
セルフメディケーション | ・セルフメディケーション税制の明細書 |
税制による | ・一定の取り組みを行ったことを証明できる書類 |
医療費控除の特例 | |
社会保険料控除 | 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書など |
小規模企業共済等 | 支払った掛金額の証明書 |
掛金控除 | |
生命保険料控除 | 支払額などの証明書 |
(旧生命保険料にかかるもので9千円以下の契約を除く) | |
地震保険料控除 | 支払額などの証明書 |
寄附金控除 | ・寄附金の受領書 |
・法人や信託が適格であることなどの証明書 | |
または認定証の写し | |
・寄附金(税額)控除のための書類 | |
(選挙管理委員会等の確認印のあるもの) | |
勤労学生控除 | 学校や法人から交付される証明書 |
障害者控除 | 国外居住親族について適用を受ける場合は「親類関係書類」および「送金関係書類」 |
配偶者(特別)控除 | |
扶養控除 |
「税金の計算」に記入事項がある場合
「税金の計算」に以下の記入事項がある場合、対応する添付書類の提出が必要です。
項目 |
必要な添付書類 |
「 」(区分) | 適用を受ける控除の計算に関する明細書等 |
(特定増改築等) | 以下を参照 |
住宅借入金等特別控除 | 国税庁「令和2年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受けられる方へ」 |
政党等寄附金特別控除 | ・政党等寄附金特別控除額の計算明細書など |
・寄附金(税額)控除のための書類 | |
(選挙管理委員会等の確認印があるもの) | |
認定NPO法人寄附金特別控除 | 以下を参照 |
国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」 | |
公益社団法人等寄附金特別控除 | 以下を参照 |
国税庁「No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき」 | |
住宅耐震改修特別控除 | 以下を参照 |
国税庁「No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」 | |
住宅特定改修 | 以下を参照 |
特別税額控除 | 国税庁「No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」 |
認定住宅新築等 | 以下を参照 |
特別税額控除 | 国税庁「No.1221 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)」 |
外国税額控除 | ・外国税額控除に関する証明書 |
・外国所得税を課税されたことを証明できる書類 |
添付書類の「原本」と「コピー」の違い
確定申告の添付書類には「原本でなければならないもの」と「コピーや写しで構わないもの」の2種類があります。基本的に、添付書類の説明欄に「(原本)」や「~の写し」のように記載されていますので、その通りに用意すれば問題ありません。
「原本」とは、最初に作成された一通の書類、言い換えれば「オリジナル」の書類です。一方で「コピー」は原本を写したものであり、原本が必要な書類でコピーを提出するとトラブルの原因になります。
なお、よく「住民票の写し」の提出を求められる機会があるでしょう。この「写し」とは「市町村役場で発行した写し」であり、これをご自宅等でコピーすると「写しのコピー」という扱いになります。住民票は原本の請求ができないため、住民票の提出を求められた場合には市町村役場等で発行してもらい、そのまま提出してください。
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確定申告の添付書類の正しい貼り方
ご家庭等で確定申告の書類を印刷して郵送等で提出する場合、添付書類は一緒に印刷される「添付書類台紙」に貼り付けて提出することになります。台紙には「のりしろ」などが記載されているので、その通りにのり付けして添付書類を貼り付けてください。
注意すべきポイントは「書類同士がくっつかない」ことです。のりつけの仕方次第では添付書類同士がくっついてしまい、不備になる可能性も捨てきれません。特に添付書類の枚数が多い場合など、台紙に貼り付ける際には添付書類同士がくっついてしまわないように注意しましょう。
e-Tax(国税電子申告)での添付書類の提出方法
確定申告会場に出向いたり、ご家庭で印刷した書類を郵送するなどの手間をかけずに、確定申告をネット上で行える「e-Tax」という方法もあります。このとき、添付書類の提出に関しては記載内容を入力して送信する、またはオンライン上で送信する方法もあります。
ただし、確定申告の添付書類には「電子的に提出できない添付書類」も含まれています。e-Taxの質問コーナーによると、「申告書等送信票(兼送付書)」を印刷して、添付書類と一緒に所轄の税務署に提出するという形式をとるとされています。
確定申告の添付書類にミスがあった場合の対処法
確定申告の添付書類等に関して何らかのミスが発覚した場合、速やかに所轄の税務署に連絡しましょう。ご自身の確定申告の申告内容について照会し、添付書類について確認してください。提出や修正等が必要であれば、案内に従って再提出等を行いましょう。
もし、確定申告の添付書類や申告内容に何らかの問題があった場合、税務署から何らかの通知が来るでしょう。この通知には回答期限が設けられていることが多いので、余計なトラブルに発展しないうちに速やかに対処してください。
まとめ:案内に従って添付書類を用意して確定申告に臨もう
本記事では、確定申告の添付書類について解説しました。以下の内容を押さえておきましょう。
- 添付書類は申告内容によって必要な種類が異なる
- 添付書類を郵送する場合はのり付けに気を付けて書類同士がくっつかないようにする
- 添付書類にミスがあれば早めに税務署に問い合わせて対処する
基本的に、確定申告は案内に従って記入や添付書類の用意をすれば、問題なく完了します。とはいえ、確定申告に慣れていない方や特殊なケースでは、添付書類に関してわからないこともあるでしょう。ミスがあれば余計な手間を増やす結果になりかねませんので、不明な点は税務署や納税関係の窓口に相談して、ミスなく確定申告を済ませてください。