通常、「確定申告」は1月1日~12月31日の間の所得に関して、翌年の2月~3月の間に申告するのが一般的な流れです。しかし、中にはその期間を過ぎてから確定申告したいと考える方もいるでしょう。
例えば「申告内容が間違っているとわかった」といった事情があります。それを放置すると「何らかのペナルティがあるのではないか?」「損をするのではないか?」と不安になってしまうでしょう。
本記事では、申告期限の過ぎてしまった「過去の分」の確定申告も可能なのか、遡れるとしたら何年分まで遡ることができるのかについて解説します。何らかの事情で過去分の確定申告をしたい方に必見の情報です。ぜひ参考にしてください。
確定申告は「過去5年」なら遡って申告可能
確定申告は、申告期限が過ぎてしまった年度分であっても、5年以内であれば「更正の請求」が可能です。
通常、確定申告は毎年2月中旬~3月中旬の間に、前年分の所得に関する申告を行わなければなりません。しかし、その期限が過ぎた後になって、申告内容にミスがあったと気が付くこともあるでしょう。
税金を多く納めすぎた場合や還付される税金が少なすぎた場合には、5年以内であれば正しい税額への訂正をすることができます。これを、更正の請求と言います。更正の請求は「最終的に納税すべき金額が変動する場合」のみ可能です。
税額を少なく申告していた場合は、「修正申告」が必要です。税務署からの調査をうけた後で修正申告を行うと、ペナルティを受ける場合があります。過去分の確定申告を修正したい場合には、以下の国税庁のページも確認しておくことをおすすめします。
参考:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
申告内容次第では、必要書類が追加される場合もあります。詳しくは以下の記事が参考になりますので、こちらもご覧になってください。
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過去分の確定申告を行うメリット
すでに申告期限が過ぎてしまった確定申告を行うことには、以下のようなメリットがあります。
- 還付を受けられる可能性がある
- ペナルティを最小限に抑えられる
- 不安を解消できる
メリット①還付を受けられる可能性がある
過去分の確定申告を行うことで「還付」を受けられる可能性がある点が大きなメリットです。
例えば、経費を申告し忘れていた場合であれば、収入から差し引く金額を過少申告しているため、その分だけ多くの税金を納めている計算になります。この場合、更正の請求をすることにより、「間違って納めていた税額-本来納めるべき税額」の分だけお金を返してもらうことが可能です。
メリット②ペナルティを最小限に抑えられる
過去分の確定申告を行うことで「ペナルティ」を最小限に抑えることができるというメリットがあります。
先ほどのケースとは逆に、本来の納税額よりも税額が少なくなるような申告をしてしまったというケースもあります。確定申告後、税務署の調査によってその事実が発覚した場合、ペナルティを課せられる可能性があります。
申告期限後であっても、申告内容が間違っていることが発覚した時点で修正申告することにより、ペナルティの影響を最小限に抑えられる可能性があります。
ペナルティ① 延滞税
「延滞税」とは、納税の期限までに納税しなかった場合に、延滞日数に応じて年数%の割合で課せられる附帯税です。延滞した日数が長いほど延滞税も高額になるので、延滞している場合は早めに修正申告と納税を済ませなければなりません。
ペナルティ② 過少申告加算税
「過少申告加算税」とは、本当の納税額よりも少なくなる納税額を申告した場合に課せられる加算税です。税務署の調査通知前に自主的に修正申告すれば加算されませんが、調査通知後の申告では最大で超過部分の15%の加算税が課せられます。
ペナルティ③ 無申告加算税
「無申告加算税」とは、確定申告の期限を過ぎてから確定申告をしたり、税務署から無申告の通知が来て納税した場合に課せられる加算税です。
ペナルティ④ 重加算税
過少申告加算税や無申告加算税が課されるケースで、意図的に所得を少なく申告したり、故意に申告しないなど悪質なケースでは、過少申告加算税・無申告加算税にかえて、「重加算税」が課されます。 重加算税の税率は、過少申告の場合35%、無申告の場合40%とかなり重いペナルティです。
ペナルティ⑤ 青色申告の取消
申告の遅れや無申告により「青色申告」の承認取消というペナルティを課せられる可能性があります。
青色申告とは、事業所得などの税制上の優遇措置です。一定の条件を満たすことで承認申請をすることができ、節税効果を期待できます。
この青色申告の承認については、いくつかの理由により取消される可能性があります。その中に「無申告のために所得金額の決定をした場合」「2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合」が挙げられます。
メリット③不安を解消できる
過去分の確定申告を正しく修正することにより、不安や後悔といったネガティブな考えを解消できます。
「修正しなかったら、いつの日かペナルティを課せられるのでは?」「修正申告しておけば、税金が返ってきたかもしれない」といったネガティブな考えを抱えてしまうこともあるでしょう。還付を受けられる場合でも、追加納税しなければならない場合でも、「正しい内容に修正できた」という安心感を得られることは、相応のメリットなのではないでしょうか。
過去分の確定申告を行う際の注意点
もし、これから過去の分の確定申告を行おうと考えているのであれば、以下の3つのポイントに注意しておきましょう。
- 申告が通らないこともある
- 追加で課税される可能性もある
- 5年の期限がある
注意点① 申告が通らないこともある
申告期限が切れた確定申告をしようとしても、申告が通らないこともあります。
例えば「経費の申告に漏れがあった、更正の請求で払い過ぎた税金を返してもらおう」というケースがあるとします。このとき、追加で申告する経費を、経費として認められない可能性もあります。その他にも特殊な事情などがあれば、期限後の申告を認められない可能性がある点に注意が必要です。
注意点② 追加で課税される可能性もある
過去分の確定申告をする場合、追加で課税される可能性がある点に注意が必要です。
過去分の確定申告は、「間違っていた申告内容に基づく納税額」と「本当の申告内容に基づく納税額」の差が、プラスかマイナスかによって申告者のとるべき対応が異なります。本当の納税額の方が少なければ還付を受けられますが、本当の納税額の方が多ければ差額を追加で納税しなければなりません。
注意点③ 5年の期限がある
過去分の確定申告は、「5年」という有効期限がある点に注意が必要です。
更正の請求など、過去分の申告期限の申告内容を修正しようとする場合、5年以内でなければ申告できません。「本当は還付を受けられる内容だったけれど、暇なときにでもやっておくか」と考えてしまうと、忘れてしまうことも多いでしょう。
確実に申告内容が間違っていたのであれば、5年の期限が切れる前に早めに対応することをおすすめします。
まとめ:確定申告は過去5年以内であれば後からでも申告できる
本記事では、過去分の確定申告について解説しました。以下の内容を押さえておきましょう。
- 期限後でも5年以内なら「更正の請求」ができる
- 本来の納税額の方が少なければ、差額を還付してもらえる
- 逆に、本来の納税額の方が多ければ、差額を追加納税しなければならない
「5年以内であれば過去分でも申告できる可能性がある」という点をしっかりと覚えておきましょう。 確定申告や納税に関しては、難しい内容も多いです。不明な点をそのままに確定申告しても、適切に申告できる可能性は低くなります。不明な点があれば、納税関連の窓口に問い合わせて、適切に確定申告や修正申告しましょう。